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2022.05.31

シードルとはどんなお酒?度数や作り方、おすすめの国産シードルまで【全国】

ここ数年、日本でも広まりを見せているシードル。シュワッと軽い口当たりと爽やかな香りが魅力で、幅広い年齢層で着実にファンを増やしています。

実は近年国内のシードル醸造所も増加傾向にあり、たくさんの銘柄がリリースされています。ラベルもおしゃれでかわいらしいものが多いんですよ♪

ところで、シードルってそもそもどんなお酒なのでしょうか?歴史や醸造方法、さらに国内のおすすめ銘柄まで一挙にご紹介します!

シードルは世界中で親しまれるりんごのお酒

(画像提供:Adobe Stock)
生のりんごを搾ったような果汁感と爽やかさ。りんご本来のフルーティさを感じられるのがシードルの魅力です(画像提供:Adobe Stock)

シードルとは、簡単に言うとりんごを発酵させて造るお酒。実はその歴史はワインと同じぐらい古く、すでに11世紀にはフランスのノルマンディー地方やブルターニュ地方で製法が確立されていました。今でもこの地方は世界有数のシードル産地として知られています。

また、イギリスではシードルは「サイダー」と呼ばれ、一般的なパブに常備されているほどポピュラーなお酒。ビール同様にゴクゴク飲むのが定番なんです。アメリカでは「ハードサイダー」、スペインでは「シドラ」と呼ばれ、シードルは欧米各国に広く浸透しています。

シードルの作り方は?ワインとはどう違う?

(画像提供:「A-FACTORY」)
青森市にある「A-FACTORY」では8つのタンクでシードルの醸造とアップルソーダの製造を行っています。工程はガラス越しに見学可能(画像提供:「A-FACTORY」)
(画像提供:Adobe Stock)
プチプチと泡が弾けるたびに甘く爽やかな香りが広がります(画像提供:Adobe Stock)

シードル造りの工程は「収穫」「圧搾」「発酵」の大きく3つ。秋~冬にかけて成熟したりんごを収穫し、外気にさらして追熟させます。十分に成熟したら果実をクラッシュし、圧搾機にかけてゆっくりと果汁を搾っていきます。

搾った果汁を樽やタンクに移したら、酵母菌を仕込んでいよいよ発酵です。期間は最低でも3カ月。酵母菌がりんごの糖分を食べ、アルコールと炭酸ガスを発生させるとシードルの完成です。

発酵後もじっくり熟成させてアルコール度数を高めていくワインに対し、シードルは頃合いを見計らって醸造を止めるため、シュワっとした発泡が残るのです。※発泡しないタイプもあります。

シードルのアルコール度数やカロリーは?

シードルのアルコール度数

(画像提供:Adobe Stock)
一般的にワインや日本酒よりもアルコール度数が低く、カジュアルな場面で飲まれることが多いお酒(画像提供:Adobe Stock)

シードルのアルコール度数は概ね3~8%。アルコール度数の低い銘柄も多いので、普段は低アルコール飲料を選ぶ人にもおすすめです。

味わいは大きく分けて甘口と辛口。甘口は「ドゥー」または「スイート」と呼ばれ、発酵期間が短くアルコール度数が低い傾向にあります。辛口は「ブリュット」または「ドライ」と表記され、こちらはややアルコール度数が高め。中辛口にあたる「ドゥミ・セック」と呼ばれるものもありますよ。

甘口は食前酒として、またフルーツやスイーツと合わせても。キリッとした辛口は魚料理や肉料理にもよく合います。軽い飲み口のものならフライやポテトチップスなどカジュアルなフード類とも好相性ですよ。

シードルのカロリー

(画像提供:Adobe Stock)
フランス・ブルターニュ地方では陶器のシードルカップで飲むのが伝統。そば粉を使ったガレット発祥の地でもあり、シードルと合わせるのが定番です(画像提供:Adobe Stock)

カロリーを見てみましょう。アルコール飲料100mlあたりの一般的なカロリーを比較すると、日本酒約100kcal、焼酎約200kcal、ワイン約70~120kcal、ビール約40~60kcal、そしてシードルは38kcal。日本酒やワインに比べてカロリーは控え目です。

すっきりした口当たりでゴクゴク飲みやすいので、飲み過ぎには注意です!

【青森県・青森市】おすすめのシードル1:A-FACTORY

シードル醸造所を併設する複合施設

A-FACTORY
「A-FACTORY AOMORI CIDRE sparkling(ドライ・スタンダード・スイート)」各750ml 1848円、375ml 935円、200ml 499円 ※2022年7月1日より価格改定予定
A-FACTORY
陸奥湾に面したウォーターフロントエリア。三角屋根の建物は2011年にグッドデザイン賞も受賞しました

JR東日本青森商業開発が展開する複合施設「A-FACTORY」は、青森駅に近接した便利なロケーション。飲料を製造する「シードル工房」や市場、ショップが集まり、青森の多彩な魅力に出会うことができます。

シードルに使うりんごは青森県産100%。代表銘柄の「AOMORI CIDRE(アオモリシードル)」は、県の代表品種「ふじ」と、爽やかな酸味が特徴的な「ジョナゴールド」を組み合わせて醸造しています。

A-FACTORY
吹き抜けの店内には青果や加工品がずらり。ジェラートショップやスイーツショップも併設

2階のレストラン「Galetteria Da Sasino(ガレッテリア ダ・サスィーノ)」では、ガレットなどシードルに合う食事も楽しめます。AOMORI CIDREは専用プリペイドカード(300円~)で有料試飲もできますよ!

■A-FACTORY
017-752-1890
青森県青森市柳川1-4-2
物販ショップ10時~20時、飲食ショップ11時~18時(LO17時30分)、Galetteria Da Sasino11時~20時(LO19時30分) ※変動あり
なし
JR青森駅より徒歩すぐ
「A-FACTORY」の詳細はこちら

【青森県・弘前市】おすすめのシードル2:弘前シードル工房kimori

りんご本来の個性と味わいを生かしたシードル造り

弘前シードル工房kimori
「kimoriシードル(ドライ・スイート)」各750ml 1617円、375ml 935円

弘前市りんご公園内にある小さな醸造所「弘前シードル工房 kimori」では、自社の園地で育てたりんごを使ってシードルを作っています。

甘味と酸味のバランスのよいりんご品種「サンふじ」を主な原材料に、果汁を無濾過で仕込むことでやさしい舌触りのシードルに。工房ではこれを“ぬくもりのある味わい”と表現するなど、りんごへの深い愛情を感じられます。

弘前シードル工房kimori
ガラス越しに工房を見学することができます(試飲は当面休止)

現在、工房は見学のみ。商品は弘前市りんご公園内にある土産店「りんごの家」で購入できます。公園の小高い丘から眺めるりんご畑と岩木山は、りんごの里・弘前らしい風景のひとつ。ここでのんびり休日を過ごすのもいいですね♪

■弘前シードル工房kimori
0172-88-8936
青森県弘前市大字清水富田字寺沢125
9時~17時

JR弘前駅より「弘前市りんご公園」までバスで20分
「弘前シードル工房kimori」の詳細はこちら

【長野県・飯綱町】おすすめのシードル3:サンクゼール・ワイナリー

地元の貴重なりんごを使ったシードルに注目

サンクゼール・ワイナリー
飯綱町の天然記念物の和りんご、高坂(こうさか)りんごを使った「飯綱シードル ふじ&高坂」750ml 2035円

「Country Comfort」をコンセプトに、ジャムやワイン、パスタソースなど食卓を豊かにする食品を幅広く手がける「サンクゼール」。その本店は長野県の北部、気持ちのいい田園風景の広がる飯綱町にあります。

「サンクゼール」といえばワイン作りのための自社農場を持つことでも有名ですが、ワイナリーのあるここ飯綱町はりんごの生産も盛んなことから、同社では2003年よりシードルの醸造にも力を入れています。

サンクゼール・ワイナリー
ワイナリー、ショップ(サンクゼール・久世福本店)、デリカテッセン、レストランに加えチャペルも併設。天気がよければ芝生やテラスで過ごすこともできます
サンクゼール・ワイナリー
「サンクゼール」と中通路で繋がる「久世福商店本店」には、全国各地の生産者と共同開発した良品が並びます
サンクゼール・ワイナリー
敷地内にある「ワイナリーレストラン・サンクゼール」。心が晴れ晴れするような景色が広がります

眼下に飯綱町を眺める小高い丘の上にある「ワイナリーレストラン・サンクゼール」では、自社のシードルやワインをグラスでも楽しむことができます。気軽に味わえる小皿料理や炭火焼きのステーキなども揃うので、好みの味わいを見つけてみては。

■サンクゼール・ワイナリー
026-253-8002(サンクゼール・久世福商店本店・ワイナリー)、026-253-8070(ワイナリーレストラン・サンクゼール)
長野県上水内郡飯綱町芋川1260
9時~17時※レストランは11時~15時(LO14時30分)。ディナーの営業はHPを確認
夏季無休※レストラン・ショップは1月~3月水曜休、デリカテッセンは12月~3月冬季休業
「サンクゼール・ワイナリー」の詳細はこちら

【長野県・伊那市】おすすめのシードル4:カモシカシードル醸造所

3期の収穫時期ごとにシードルを醸造

カモシカシードル醸造所
「La 3e saison Brut 辛口2020」750ml 1650円(375mlは1000円)

南アルプスと中央アルプスの谷間にあり、南北に長い南信州は古くからおいしいりんごの産地。「カモシカシードル醸造所」はそんな南信州の中央アルプス山麓、標高900mの自然豊かな場所にあります。

自社の畑で栽培するりんごに加え、醸造所のある横山地区の8軒の農家からりんごを仕入れ、早生(わせ)・中生(ちゅうせい)・晩生(ばんせい)の3期に分けてシードルを仕込みます。それぞれに甘口、辛口、低アルコール甘口の3種を醸造。風味の違いを楽しめます。

カモシカシードル醸造所
工房ではシードルを購入できるほか、隣接のりんご畑の見学も可能

世界各国のシードルを飲み歩いたというオーナーの入倉さん。ただ甘いだけでなく、フレッシュでバランスの良いシードル造りにこだわり、奥深い味わいを日々探究し続けています。

■カモシカシードル醸造所
0265-73-0580
長野県伊那市横山10955-14
9時~12時、13時~17時(来店時は要電話確認)
不定
「カモシカシードル醸造所」の詳細はこちら

【長野県・下條村】おすすめのシードル5:FARM&CIDERY KANESHIGE

スタンダードシードルからフレーバータイプまでラインナップ

FARM&CIDERY KANESHIGE
左から「100%りんごジュース」1000ml 600円、「FARMER’S CRAFT CIDER」750ml 1700円、330ml 900円(左から2番目・3番目)

南信州・下條村で3代続くりんご農家「カネシゲ農園」。先々代が開拓した果樹園を大切に守り継ぎ、新しく立ち上げたブランド「FARM&CIDERY KANESHIGE」でシードルを醸造しています。

使用する自社果樹園のりんごは減農薬栽培にこだわり、有機肥料を使用。南アルプスの雪解け水を地下に浸透させるなど、土壌造りからこだわっています。

シードルに桃、洋梨などのフレーバーを取り込んだシリーズ(上写真右4本)なども手がけ、豊富なラインナップが揃います。

FARM&CIDERY KANESHIGE
シードルやジュースを販売するショップ。加工施設の見学は事前予約制

2022年3月には車で20分ほどの場所に「CAMP&CHEERS KANESHIGE」がオープン。“大切に育てた農産物や商品を最高の場所で堪能してほしい”という思いの下に誕生したキャンプ場で、管理棟では同社が製造するシードルやフルーツジュース、国内外のクラフトビールなどを提供しています。

■FARM&CIDERY KANESHIGE
0260-27-1250
長野県下伊那郡下條村睦沢7047-21
7時~22時
不定
【加工施設見学】20歳以上1000円、小学生500円※要予約(当日予約可)。キャンプ場の情報はHPを要確認
「FARM&CIDERY KANESHIGE」の詳細はこちら

【長野県・松川町】おすすめのシードル6:マルカメ醸造所(フルーツガーデン北沢)

シードルも楽しめる果樹園BBQ!

マルカメ醸造所(フルーツガーデン北沢)
「MARUKAME CIDER」750ml 1980円。左から甘口・瓶内一次発酵甘口(低アルコール)・辛口 ※すべて2022年6月上旬リリース予定

南アルプスを望む約6000坪の果樹園でりんごや梨、プルーンなどさまざま果物を栽培する「フルーツガーデン北沢」。80年以上の歴史ある農園が2019年に立ち上げたのが、自社栽培のりんごを主体にシードルを造る「マルカメ醸造所」です。

好条件のもとで成熟したりんごを使用し、果実本来の味わいを最大限引き出したシードルは、栓を開けた瞬間に爽やかな香りがふわり。

3種類のシードルのほか、ラ・フランスを使った洋梨スパークリングやスパークリングワインも製造しています。

マルカメ醸造所(フルーツガーデン北沢)
8月下旬からはりんご狩りと梨狩りもスタート。1kg600円~で持ち帰りもOK
マルカメ醸造所(フルーツガーデン北沢)
バーベキュー体験は地元松川産の黒豚などの食材付き。自社のりんごを使った特製ダレも用意

果樹の下でバーベキューを楽しめるセットも用意しているので、直売所で購入したシードルを合わせるのもいいですね!

■マルカメ醸造所(フルーツガーデン北沢)
0265-36-2534
長野県下伊那郡松川町大島3347
9時30分~16時。果物狩りは9時30分~16時(火曜定休・予約不要)
火(12月~8月のオフシーズンは不定。来園前に要電話確認)
【果物狩り】中学生以上700円、3歳~小学生400円※梨狩りは8月下旬~10月上旬、りんご狩りは8月下旬~11月末 【BBQ】1人前2500円、果物狩りとのセット3200円※3日前までに要予約
「マルカメ醸造所(フルーツガーデン北沢)」の詳細はこちら

まとめ

紹介した国産シードルは、どれもクラフト精神にあふれた個性派揃い。原材料の産地や造り手の思いに想像を膨らませながら、存分に味わってみてください。

きめ細やかな泡立ちのために、しっかり冷やすことをお忘れなく!

※この記事は2022年5月27日時点での情報です。休業日や営業時間など掲載情報は変更の可能性があります。日々状況が変化しておりますので、事前に各施設・店舗へ最新の情報をお問い合わせください。
※カロリーは「文部科学省 食品成分データベース」より算出しています。
出典:https://fooddb.mext.go.jp/index.pl
※飲酒運転は法律で固く禁じられています。試飲をする場合は公共交通機関でお出かけください。
※掲載の価格はすべて税込価格です。
※新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、お住まいやお出かけされる都道府県の要請をご確認の上、感染拡大防止に充分ご配慮いただくようお願いいたします。

小林 亜紗子  小林 亜紗子

岐阜県生まれ。旅行情報誌『東海じゃらん』編集部を経てフリーに。コーヒー、温泉、音楽好き。民芸や郷土食、地域の慣習など、無名の人々に継承されてきたものに惹かれます。二人の子どもたちを各地の温泉に連れ回し中。

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