8月12日が「世界ゾウの日」というのをご存じですか?カナダの映画監督Patricia Simsさんと、タイにあるゾウの保護団体が密猟などにより窮境に陥ったアフリカゾウやアジアゾウに注目してもらおうと2012年に設立した、世界中でゾウの保護を呼びかける日です。
今回は「世界ゾウの日」に合わせて、近年新たなゾウを迎え、ゾウ舎をオープンした「札幌市円山動物園」に取材協力いただき、ゾウを見る時により楽しくなる豆知識を紹介していきます。
※この記事は2022年8月4日時点の情報です。掲載情報は変更の可能性があります。
記事配信:じゃらんニュース
地上最大の野生動物ゾウは絶滅の危機にある

日本の絵本や童謡などにもよく登場し、子どもたちに人気の動物ゾウ。何かと身近に感じられる動物ですが、実はいずれの種も絶滅の危機に瀕しています。
ゾウの種類は大きく分類すると3種類。東南~南アジアに広く分布するアジアゾウ、アフリカの東部~南部のサバンナや半砂漠に生息するアフリカゾウ(別名:サバンナゾウ)はいずれもIUCN(国際自然保護連合)の「レッドリスト」のカテゴリーで「絶滅危惧種」となっています。さらに、アフリカ中西部の熱帯林に生息するマルミミゾウは「近絶滅種」に指定され、絶滅の危機が非常に高い状況にあります。
原因は森林破壊による生息地の消失や密猟など、全て人間が関係するもの。これ以上ゾウの生態を脅かさないように、世界規模での対応が必要です。
ゾウの鼻は全部筋肉!さらに鼻先はとっても器用

ゾウの特徴でもある長い鼻。実は鼻だけでなく上唇も一緒に進化して伸びたもので、そのほとんどが筋肉でできています。骨や関節は存在せず、人間でいうと“舌”に近いような筋肉の構造をしており、そのためあらゆる方向に柔軟に動かすことができるのだそうです。
筋肉でできている故にそのパワーは絶大。鼻の一振りで人間が吹き飛ぶのはもちろん、数百kgの重量を持ち上げることもできます。さらに、パワフルなだけではなくその鼻先はとっても器用。巻き取る、はさむ、吸い付く、つまむ、水を吸い込んで噴き出す、トランペットのように音を鳴らすなど使い方も多彩です。
ゾウはすごく鼻が利く

パワーと器用さを兼ね備えたゾウの鼻。じつは嗅覚もとても良いのだとか。明確なデータは出ていませんが、人間の数倍、犬よりも嗅覚が優れていると言われています。食べ物を口に入れる前にも鼻でしっかりニオイチェックしており、動物園でお薬を与える時もそのままだと食べてくれないそうです。
札幌市円山動物園のゾウは初めて与える食べものなどには特に慎重なのだとか。鼻で匂いを確かめるだけではなく、足で踏んでみたりすることも。薬を与えるときは、バナナや茹でたサツマイモなどに混ぜて、薬の味やにおいをわかりにくくして与えているのだそうです。
ゾウの歯(臼歯)は4本しかない

その大きな体を維持するためにたくさんの食物を食べる必要があるゾウ。たくさんの歯があるのかと思いきや、切歯(牙)が2本と、臼歯が上あごと下あごに2本ずつの計4本しかありません。ただし1つ1つが大きくて人間の足の裏くらいのサイズがあり、植物をすりつぶすために凹凸がある洗濯板のような形状をしています。
すりつぶすという動きをするためだんだん歯はすり減っていくので、一生で5回生え変わります。出生時に1番目の臼歯が生えており、その後それぞれ5本の臼歯が口の奥後方から前方にかけて水平に移動して交換されます。垂直に生え変わる人間とは大違いです。
1日に100kg以上食べて100kg以上糞をする!

1日の大半を食事に費やしているゾウ。食べる量も排泄物の量も半端ではありません。野生のアジアゾウの場合、体格や生息地、食べるものの種類などにもよりますが、一日に100~200kg程度のエサを食べると言われています。動物園での飼育下では、主食は乾草としながら野菜や果物など50~70kg程度のエサを食べるそうです。(札幌市円山動物園の場合)
さらにゾウは糞も巨大で、アジアゾウの場合1粒が約1~1.5kgもあり、大きいものだと2kgを超える場合も。1日に一頭当たり100kg程度の糞をするのだとか。札幌市円山動物園の場合、糞は捨てるのではなく堆肥にして近隣の小学校などに配り、野菜の栽培などに活用されているのだそうです。
ゾウは鏡に映った自分がわかる

ゾウはとても知能が高い動物であると様々な実験で分かっています。その一つが「鏡像認知」。ゾウの前に大きな鏡を置いてミラーテストを行った研究では、鏡に映った姿が自分のものだとしっかり認識していることが明らかになりました。このような鏡像認知は、脳での複雑な処理が必要なため高い知能が必要で、動物界では非常に珍しいとされています。
ゾウは離れた仲間と会話している!?

知能が高いゾウは仲間と会話することも明らかになっています。ただし、人間が聞こえる鳴き声のようなものではなく、10~15Hz前後の「低周波音」を使って会話をしているのだとか。しかも耳ではなく足の裏から地面の振動を通じて音を拾っているのだそうです。
人間が聞こえる音の高さは20~20000Hzが標準的で、それ以上はイルカが周囲の状況を把握したり仲間と会話したりするのに使うとされる「超音波」と呼ばれています。そして100Hz以下を低周波音と呼び、ゾウはこの低周波音を用いて何キロも先の仲間とコミュニケーションをとることができるのだそうです。
大きな耳は体温調節のためにある

ゾウが大きな耳をパタパタと動かすのには、体温を下げるという重要な意味があります。耳を動かし風を起こすことにより、血管を通して熱を発散させ、体を冷やすことができるのです。ゾウの耳を観察すると、とても皮膚が薄くて血管が浮き出ているのが分かりますが、より放熱しやすい構造になっているのだそうです。
夏場など、外気温が高くなるとゾウの体温も上昇し、頻繁に耳をパタパタしている様子がみられるので、動物園で見かけた時には注目してみてください。
汗をかくのは足の周りだけ!?

体温調節のためにとても重要な発汗ですが、ゾウの大きな体を考えると、その分たくさんの水分を摂取する必要があり効率的ではありません。ゾウの体には汗をかくための汗腺がなく、全身で汗をかくことはできないのだそうです。ゾウは耳を使った放熱、水浴びや泥浴びなど他の方法で器用に体温調節を行っています。
唯一、足の爪の周りの皮膚にだけ汗腺があり、足回りだけ汗をかくことができるという面白い特徴もあります。札幌市円山動物園のゾウ「シーシュ」は汗っかきで、太陽を浴びるとよく足の周りに汗をかいているそうなので、ぜひ機会があれば観察してみて下さい。
ゾウは安心していると横になって眠る

野生のゾウは、天敵から逃げやすいように立ったまま寝るのが一般的です。大人のゾウに守られている子ゾウは横になって眠るそうです。そして休息は1日4~5時間ほどと言われています。しかし、天敵に襲われる危険がなく、エサを探し回る必要がない動物園などの安心できる環境では、ゾウは横になって眠り野生下よりも長い時間休息をとります。
札幌市円山動物園のゾウたちは毎日横になり、平均5~6時間、長いときで8時間程度休息しているのだとか。とても安心して過ごしているのがわかりますね。
ゾウの日には札幌市円山動物園にゾウを見に行こう

今回取材にご協力いただいた「札幌市円山動物園」は、国内最大級のゾウ舎を有し、屋内プールなど寒冷地で飼育するための充実した屋内設備で4頭のアジアゾウを飼育しています。1mの深さで敷き詰められた床砂は、ゾウが掘って餌を探したり傾斜に寝転がったりする貴重な姿が見られることも。充実の設備でのびのびと過ごすゾウの姿を見ることができます。
[TEL]011-621-1426
[住所]北海道札幌市中央区宮ヶ丘3-1
[営業時間]9時30分~16時30分(最終入園16時)、冬期(11月1日~2月末日)9時30分~16時(最終入園15時30分)
[定休日]第2・4水(8月のみ第1・4水)※祝日の場合は翌日
4月と11月の第2月~金、12月29日~31日
[料金]大人800円、高校生400円、中学生以下無料(中学生は生徒手帳必要)
[アクセス]【電車】地下鉄円山公園駅より徒歩約15分 【車】道央自動車道新川ICより20分
[駐車場]683台(普通車700円)
「札幌市円山動物園」の詳細はこちら
まとめ
いかがでしたか?ゾウの生態に興味を持っていただけましたでしょうか?ぜひ豆知識の内容を確認しに、札幌市円山動物園や、近くのゾウに会える動物園へ足を運んでみてくださいね。
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※掲載されている情報や写真については最新の情報とは限りません。必ずご自身で事前にご確認の上、ご利用ください。
鳥井 晴風
5人の子どもを持つママ編集ライター。 子供に大好きな漫画の主人公の名前を付けてしまうほど漫画アニメ好き。キャラ弁やキャラケーキづくりが得意。好きなお出かけ先は道の駅や直売所など食材が豊富なところ。 自分で収穫する味覚狩りや芋ほりも大好き。