甘くて、酸っぱくて、手軽に食べられるおなじみのフルーツ“みかん”。買って食べるのもいいですが、みかん狩りに行って自分でもぎ取ったみかんの味はまた格別です。
夏の終わりころから冬にかけて、全国各地で体験することのできる「みかん狩り」。子連れでの家族のおでかけや、デートで行っても気軽に楽しめるのでおすすめです。
今回は、そんなみかん狩りの魅力、収穫時期や美味しい実の見分け方、収穫体験時の持ち物から実際にみかん狩りができる名産地のまで、まとめてご紹介します。
みかん狩りの魅力とは?

果物狩りの魅力は何といっても、流通期間と熟す期間を考慮し完熟前に収穫されたフルーツとは違い、完熟している食べごろのフルーツが手に入るところです。特にみかん狩りは他のフルーツと比べてもリーズナブルで、「食べ放題」を実施しているところも多いので、気軽に楽しむことができます。
また、みかんは日当たりと風通しのよい場所で育つため、小高い丘などに畑が設けられていることが多く、気持ちのいいロケーションでみかん狩り体験ができます。木は成人男性ほどの高さなので、女性や子どもでも特殊なハサミなどの器具なしに収穫でき、手で皮をむいて食べることができるためお手軽です。
みかん狩りはいつからいつまで?種類によって違う収穫時期を説明
私たちが普段よく食べている、スーパーなどでおなじみのみかんは『温州みかん』という種類です。この『温州みかん』の中にもさらに実は100以上も品種が存在します。
収穫される時期によって、早いものから極早生(ごくわせ)、早生(わせ)、中生(なかて)、晩生(おくて)という4つの呼び名で分けられています。
ここからは、収穫される時期ごとに、説明していきます。
極早生(ごくわせ)【9月~10月】

まだ夏の名残がある時期に収穫されるみかんで、皮は薄く全体的に緑がかった見た目が特徴です。普通のみかんを早く収穫したものだと勘違いされがちですが、初秋が旬の品種で「青切りミカン」「青ミカン」とも呼ばれます。
果肉がジューシーで酸味はやや強め。ある程度みかんに酸っぱさを求める人におすすめです。じょうのう膜(みかんの内皮)が比較的薄いので食べやすいのも魅力です。極早生でよく生産されている品種には「日南1号」や「上野早生」、「ゆら早生」などがあります。
早生(わせ)【11月~12月前半】

最も日本国内での収穫量が多く全体の約6割を占めています。(※1)一般的な“みかん”というとこの早生温州がスタンダードです。全体的に黄色や橙色を帯びた色合いで丸っこいフォルム、甘味と酸味のバランスが良い上に、じょうのう膜が薄く食べやすいのが特徴です。
たくさんの品種が出回りますが、「宮川早生」が特に広く流通しています。「宮川早生」は早生温州みかんの代表的な品種として全国のみかん産地に広がり、これを元に様々な品種が誕生しています。
中生(なかて)【12月】

絵にかいたような鮮やかな橙色のみかんで、見た目は早生温州にも似ています。収穫時期が遅い分しっかりと太陽の光を浴びて糖度が高くなっており、ぎゅっと詰まった濃い甘味が特徴で、お歳暮の贈り物としても人気のみかんです。
早生に比べて少し外皮やじょうのう膜が厚くなっていますが、その分日持ちがしやすい特徴があります。「南柑20号」や、「向山温州」などがよく生産されている品種です。
晩生(おくて)【12月末~3月】

みかんの収穫シーズン最後に収穫されるみかんで、収穫されてから約1か月蔵などで貯蔵して余分な水分を抜き、酸味を和らげてから出荷するのが特徴です。熟成によりコクのある甘味が感じられます。外皮やじょうのう膜が厚く、腐りにくいため長期保存にも向いています。
品種としては「青島温州(あおしまうんしゅう)」や「林温州」がよく生産されています。
他にも、“極晩生(ごくおくて)”や“超極早生(ちょうごくわせ)”といったこれまでのみかんの流通時期から外れた時期に成熟する品種の育成も各県で進められているようです。
美味しいみかんの見分け方

美味しいみかんが見分けられると、みかん狩りを存分に楽しむことができますね。ここではその見分け方について解説します。
美味しいみかんを見つけるには、まず“良い木”を選ばなければなりません。美味しいみかんは葉が青々とした日当たりの良い木から取れるので、日当たりのいい場所にある元気なみかんの木を探しましょう。
良い木が見つかったら、次はみかんの色が濃いものを探しましょう。「早生みかん」や「中生みかん」の場合、青みが残っていたり、色あせた感じがしたりするものではなく、しっかりとオレンジ色になっているものが熟れたみかんです。
最後は軽く触れて収穫してもいい熟れたみかんかを確認します。触ってみてカチカチのものや、ぶよぶよした感じがするものはNG。
皮のつぶつぶ(油胞)がぷっくりとして皮に張りがあり、柔らかいものを選びましょう。同じ種類なら、大きなものより小ぶりのみかんの方がおすすめです。
みかん狩りの服装と持ち物

みかん狩りに特別な装備は必要ありませんが、みかん畑の中で収穫するため、軽いアウトドア用の動きやすい服や歩きやすいスニーカーなどの靴でいきましょう。
みかんの木の間に分け入ることもあるので、長袖長ズボンがおすすめです。また、雨の日の翌日など地面がぬかるんでいそうな日は、長靴を持っていくと安心です。
必要な持ち物もあまり多くはありません。枝からみかんを収穫するハサミやみかんを入れるカゴ、持ち帰り用の袋など、最低限の道具はたいていの農園で用意されています。
当日はさらに以下の準備があると快適にみかん狩りをすることができます。
<服装・持ち物チェックリスト>
□ウェットティッシュ
みかんを食べる前に手を拭いたり、果汁が付いた手を拭いたりするのに使います。
□飲み物
甘いみかんをたくさん食べるとのどが渇くので、お茶やお水を持って行きましょう。
□日焼け止め、帽子
みかん農園は日当たりが良く、日陰が少ないので秋や冬でも日焼け対策がマストです。
□軍手
みかんの木に触れたり、切り取った枝の鋭い切り口に触れたりすることがあるのであると◎。
□エコバッグ
みかんを持ち帰りできる所は袋に入れてもらえますが、ビニール袋だと枝の切り口で裂けてしまうことがあるので、布の袋やエコバッグを持っていくと安心。
上記以外にも、残暑の頃なら「虫除け」、肌寒くなってきたら「防寒着」、もしもの時の「絆創膏・消毒液などの救急セット」があると便利です。
みかん狩りをするときの注意点

みかん狩りで注意したいのはやはり天候。当日の天気次第で農園自体がお休みになることがあるのはもちろん、その年の天候状況によってみかん狩りの実施期間が変更になったり、不作の場合は人数制限が設けられたりするので事前に実施状況をよく確認しましょう。
あらかじめネットで予約をしたり、気になることは問い合わせして確認しておくと安心です。
また、制限時間なく食べ放題のみかん狩りがしたいのか、持ち帰りがしたいのか、ランチも一緒に楽しみたいかなど、どんなふうに楽しみたいかによっても選ぶみかん狩りスポットが変わってきます。
持ち帰り可否、農園カフェやレストラン併設の有無、トイレの有無、ベビーカーや車いすでの入場可否、レジャーシートの持ち込み可否など事前に必ずチェックしましょう。
子連れの場合はアスレチックや遊具、ピクニックができる広場などもある観光農園なら1日遊べますよ。友達グループならBBQも一緒に楽しめる場所を選んだり、デートなら農園カフェがあるところなどもおすすめです。
みかんの収穫量ランキング(※3)
みかんの産地と言えば愛媛県や和歌山県が有名ですが、実際の収穫量はどうなっているのでしょうか?
1位 和歌山県 14万7800t
2位 愛媛県 12万7800t
3位 静岡県 9万9700t
4位 熊本県 9万t
5位 長崎県 5万2000t
農林水産省の統計データ(※1および※3)を見ると、都道府県別の収穫量は、和歌山県が14万7800t(全体の20%)、愛媛県が12万7800t(全体の17%)、静岡県が9万9700t(全体の13%)、熊本県が9万t(全体の12%)、長崎県が5万2000t(全体の7%)となっており、この5県で全国のみかん収穫量の約7割を占めています。(※データは「温州みかん」の生産量で、みかんから派生した柑橘類は含みません。)
ここからは、2021年にみかんの収穫量が多かった上位5県のみかん狩りについて紹介していきます。
【収穫量ランキング1位】和歌山県のみかん狩りスポット

みかん収穫量ランキング1位の和歌山県は、日本最大の半島である紀伊半島の南西側に位置しています。
特に有田地域は「有田みかん」の産地として有名で、年間平均気温は約16℃の温暖な気候です。有田地域の中央を流れる有田川の下流両岸や海岸近くの傾斜地は、日照条件や水はけが良く、みかんの生育環境に適しています。
品種としては「宮川早生」が多く栽培され、各地で収穫することができます。注目の品種は和歌山県原産の「ゆら早生」。極早生の中でも糖度が高いことが特徴で、果皮に青みが残っていても甘味はたっぷり。じょうのう膜がとても薄いのでそのまま食べても全く気になりません。
お土産には優良な県産品を認定する「プレミア和歌山」認定の『100%果汁のみかんストレートジュース』がおすすめ。厳選されたみかんの美味しさをそのままごくごく味わえます。
【収穫量ランキング2位】愛媛県のみかん狩りスポット

四国の北西部に位置し、一年を通して温暖で晴れの日が多く、畑の土も水はけが良く栄養分を多く含んでいるなど、美味しいみかんを作る良い環境に恵まれている愛媛県。
愛媛県の中でも、海岸線に沿った傾斜地と瀬戸内の島々は、美味しいみかんの産地として有名です。傾斜地では、西宇和地域に代表される石垣に覆われた段々畑が多く見られます。
みかん、いよかん、デコポンなどを含め、生産品種が多いのも愛媛県の特徴。みかんから転換された品種を含めた柑橘全体の生産量は全国1位(※1、※2)を誇り、新しい品種の開発も進められています。
特に、果肉がゼリーのようにぷるぷるでやわらかく、贅沢な甘みを感じる「紅まどんな」や、平べったい形でじょうのう膜ごと食べられる「甘平」は、どちらも愛媛県が誇るオリジナル品種として有名です。
愛媛県でみかん狩りをするなら、こういったオリジナル品種やその加工品をお土産に購入するのもおすすめです。
※「紅まどんな」は全国農業協同組合連合会の登録商標です。
【収穫量ランキング3位】静岡県のみかん狩りスポット

年間の平均気温は16~17℃、平均降水量は1800~2300mmと温暖・湿潤な海洋性気候の静岡県。浜松市、静岡市、沼津市、藤枝市など広い地域で温州みかんが栽培されています。
また、静岡市、浜松市、東伊豆町、伊東市などでは「はるみ」、「ネーブル」、「日向夏」などの中晩柑類も多く栽培されており、温州みかん以外の柑橘類の味覚狩りができるところもあります。
県内で栽培されているみかん品種には、収穫時期が9月中旬から始まる「ゆら早生」「高林早生」、10月下旬から始まる「興津早生」「宮川早生」、11月下旬から始まる「青島温州」「寿太郎みかん」などがあります。
特に、静岡原産の晩生「青島温州」の栽培が盛んで、コクがあり高い糖度が人気です。また貯蔵性の高さも特徴で、貯蔵して甘くなったみかんを長く楽しむことができます。
収穫期の県内産地では、みかん狩りができる農園がたくさんあるのでぜひチェックしてみてください。
【収穫量ランキング4位】熊本県のみかん狩りスポット

九州地方の中央部に位置する熊本県。大きなみかん団地が造成されている植木地区、有明海に面し緩やかな傾斜のみかん園が広がる天水地区、熊本県の南部に位置する温暖な地域で、みかん以外の柑橘の生産も盛んな芦北地区など、各所で美味しいみかんが育まれています。
中でも熊本県で最大かつ伝統あるみかんの産地河内地区では、有明海に面した傾斜に連なる石積みのみかん園がどこまでも広がり圧巻です。
西南向きの園地では、太陽の光、石積みからの照り返り、有明海の照り返りの“3つの太陽”と言われる豊富な日光のもとで美味しいみかんが栽培されています。
「豊福早生(とよふくわせ)」、「肥のあかり(ひのあかり)」、「青島温州」、「させぼ温州」などの品種が主に栽培され、シーズンになると各地域の道の駅・直売所にこだわりのみかんが並びます。生産者自ら加工したジュースやゼリー等の加工品も登場するので、お土産を探しにぜひ覗いてみてください。
【収穫量ランキング5位】長崎県のみかん狩りスポット

九州地方の西海岸に位置し、三方を海に囲まれている長崎県。一年を通じて温暖な気候・風土、美味しいみかんを作るのにぴったりな条件が備わっています。
恵まれた気候に加え、土壌の水分管理のため、みかん畑をシートで覆う「シートマルチ栽培」に取り組み、味の濃いみかんを積極的に栽培しています。大村湾沿岸を中心に県内各地で栽培され、みかん狩りができる観光農園なども各地に数多くあります。
大村湾沿岸は観光地や農産物直売所などの立ち寄りスポットも多く、ドライブコースとしても人気が高いエリアで、みかん園と海・空とのコントラストは絶景です。
長崎県で発見・育成された「原口早生」、「させぼ温州」が広く栽培されている品種です。「原口早生」は果肉が柔らかく、甘さと酸味のバランスが良いのが特徴、「させぼ温州」は、うまみ成分であるアミノ酸含量が高く、濃厚な甘さが特徴です。
「させぼ温州」のうち、特に糖度が高く厳選されたものは「出島の華」というブランド名で出荷・販売されており人気の高い商品となっています。
まとめ
みかん狩りの魅力や種類、時期、選び方、産地や体験スポットについてなど、みかん狩りを楽しむための様々な情報をお届けしました。ぜひ参考にして、自分で収穫した美味しいみかんを堪能してください。時期による味の違いも、食べ比べて旬を感じてみてくださいね。
〇編集協力
・和歌山県農林水産部
・愛媛県農林水産部
・静岡県経済産業部
・熊本県農林水産部
・長崎県文化観光国際部
※1 農林水産省「令和3年産・作況調査(果樹)」より
※2 農林水産省「令和元年産・特産果樹生産動態等調査(かんきつ類の果樹)」より
※3 農林水産省「令和3年産みかんの結果樹面積、収穫量及び出荷量」より
※記事のトップ画像提供:Photo AC
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※この記事は2022年8月16日時点での情報です。休業日や営業時間など掲載情報は変更の可能性があります。
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