京都・祇園に位置し、厄除けや縁結びといったご利益を求めて多くの人が訪れる「八坂神社」。「本殿」をはじめ、美の神様を祀る「美御前社」や縁結びの神様「大国主社」など、見どころが多数あります。今回は「八坂神社」を効率よく参拝できるモデルコースから、周辺のおすすめランチ情報まで詳しくご紹介しますので、ぜひ旅の計画の参考にしてくださいね。
「八坂神社」ってどんな神社?ご利益は?
“祇園さん”と親しまれる、全国八坂神社の総本社

「八坂神社」は794年の平安京遷都以前から鎮座しており、京都の人から“祇園さん”と呼ばれ親しまれている古社です。主祭神は素戔嗚尊(すさのをのみこと)で、全国にある八坂神社や素戔嗚尊を祭神とする神社3000余社の総本社となっています。
“祇園さん”と呼ばれる理由は、神仏習合時代の旧名「祇園社」「祇園感神院」の名残りで、1868年の神仏分離政策により、「八坂神社」と名称が改められました。
主祭神の素戔嗚尊は、あらゆる災いを祓う神様として信仰され、境内には数多くの神様が祀られています。本殿の周りを16の摂社・末社が取り囲み、それぞれに厄払い、縁結び、美容祈願などさまざまなご利益がありますよ。
※摂社・・・主祭神に縁の深い神様を祀る社
※末社・・・主祭神や摂社以外の神様を祀る社
見どころ1:青龍が棲むという伝説が残る「本殿」

2020年には国宝となった本殿。平安時代に本殿と拝殿(礼堂)が大屋根で覆われた1つの建物として建築された後、再建を繰り返しながらも当初の建築様式の姿をそのままに残しています。
現在は漆喰で固められている、本殿下の大きな池は、昔から青龍が棲む龍穴といわれていました。青龍は方角を司る四神のうちの一神で、東方の鎮守とされていたため、龍穴は開運効果があるそうです。
ご祭神は、あらゆる災厄を表す八岐大蛇(やまたのおろち)を退治した素戔嗚尊と櫛稲田姫命(くしいなだひめのみこと)の夫婦神、素戔嗚尊の子ども・御子神などです。厄除、縁結び、商売繁盛といったご利益が期待できますよ。
見どころ2:美の神様「美御前社」

本殿の北東に鎮座する「美御前社(うつくしごぜんしゃ)」は美容の神として信仰されている末社です。ご祭神は、素戔嗚尊の剣から生まれたという多岐理毘売命(たぎりびめのみこと)、多岐津比売命(たぎつひめのみこと)、市杵島比売命(いちきしまひめのみこと)。三女神とも容姿端麗だったため美を司る女神様といわれ、社殿前から湧き出るご神水「美容水」(飲料は不可)を肌に数滴つけると身も心も美しくなれるとされています。
三女神の中でもとりわけ美しかった市杵島比売命は美容祈願に加え、舞踊謡曲の神とも伝えられ芸能にもご利益があるのだとか。古くから祇園の舞妓・芸妓さんも多く訪れているそうですよ。
見どころ3:縁結びの神様「大国主社」

本殿の南西側に祀られる末社。ご祭神は島根県出雲市に鎮座する出雲大社と同じ、大国主神(おおくにぬしのかみ)です。素戔嗚尊の六世にあたる孫神であり、神話「因幡の白兎」で語られるように、意地悪な神様たちにだまされた白兎を助けた優しい心の持ち主。美しい八上姫(やがみひめ)と結ばれたことから縁結びの神様としても知られています。
鳥居前に置かれているのは、大国主神と白兎の石像です。袋をかついだ姿や大国が“だいこく”と読めることから、神仏習合の思想では大国主神と七福神の大黒天は同一神とされ、七福神の一人・福の神ともいわれていますよ。
見どころ4:ご利益豊富な摂社・末社
「美御前社」「大国主社」に加え、注目したい摂社や末社がほかにもたくさんあるので、その一部を紹介していきます。
大神宮社(だいじんぐうしゃ)

ご祭神は天照大御神(あまてらすおおみかみ)と豊受大御神(とようけのおおみかみ)で、身体健康のご利益があります。伊勢神宮と同じご祭神で、内宮と外宮を持つことから、こちらでお参りすると伊勢神宮へ参拝したのと同じ効果を得られるそうです。
悪王子社(あくおうじしゃ)

神様の御霊には、優しく穏やかな和魂と、荒く猛々しい荒魂の2つの側面があるとされています。
悪王子社の「悪」は「強い」という意味を持ち、祀られているのは素戔嗚尊の荒魂です。「現実に姿を現す霊験あらたかな神様」ともいわれ、諸願成就のご利益がありますよ。
八坂神社は本殿に和魂を、別の社殿に荒魂を祀っていて、そのような形態の社は全国的に多いようです。
刃物神社(はものじんじゃ)

本殿の北側に位置する末社です。京都は「刃物」の産地として多くの名工を輩出してきたことから、祖先の偉業を称えるために1973年に創建されました。案内板には「苦難を断ち切り未来を切り開く」と書かれ、開運の神様として祀られています。
疫神社(えきじんじゃ)

ご祭神は、旅をしていた素戔嗚尊を貧しいながらも手厚くもてなし、助けた蘇民将来命(そみんしょうらいのみこと)。素戔嗚尊は、そのお礼として疫病が流行しても「茅の輪」をつけて、「蘇民将の子孫なり」といえば災厄から免れると約束したという記述が残っています。
「祇園祭」の最終日、7月31日には「疫神社夏越祭」として鳥居に大きな茅の輪が設置されます。無病息災を祈願する「茅の輪くぐり」が執り行われ、授与所では茅輪守(ちのわまもり)・粟餅の授与もありますよ。
北向蛭子社(きたむきえびすしゃ)

北向きに社を構えていることから「北向蛭子社」と呼ばれ、通称“えべっさん”ともいわれる福の神で、商売繁盛のご利益があるそうです。ご祭神は大国主大神の子どもにあたる事代主神(ことしろぬしのかみ)。
毎年1月9日には正月祭事として、七福神を乗せた大きな「えびす船」が八坂神社石段下から四条烏丸間を往復し、商店街周辺は大いに賑わいます。
見どころ5:千年以上の歴史を誇る、日本三大祭の「祇園祭」

八坂神社の夏の例祭「祇園祭」は、869年、京の都をはじめ日本各地で疫病が流行した際、当時の国の数66にちなんで66本の矛を立て、神泉苑に神輿を送り災厄を祈願したことから始まったのだとか。7月1日の神事始め「吉符入」からスタートし、7月31日の「疫神社夏越祭」まで1カ月にわたり各種神事・行事が行われます。中でも7月17日と24日に催される「山鉾巡行」「神輿渡御」は祭りの見どころ。動く美術館と形容できるほど華麗な「山鉾」や、煌びやかな神輿の装飾は見逃せません。
八坂神社のおすすめのまわり方

SPOT.01 |
正門「南楼門」または「西楼門」から境内へ入る 徒歩3分(手水をして本殿へ) |
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SPOT.02 |
国宝「本殿」 徒歩3分 |
SPOT.03 |
「大神宮社」 徒歩2分 |
SPOT.04 |
「悪王子社」 徒歩2分 |
SPOT.05 |
「美御前社」 徒歩2分 |
SPOT.06 |
「刃物神社」 徒歩5分 |
SPOT.07 |
「疫神社」 徒歩2分 ※お手洗いスポットあり |
SPOT.08 |
「北向蛭子社」 徒歩2分 |
SPOT.09 |
「大国主社」 徒歩1分 |
SPOT.10 | 授与所 |
※所要時間はお参りを含めた時間です。
お守りは34種、御朱印は13種
身体健康、厄除開運、学業合格、良縁祈願、美容祈願などさまざまな種類がそろう中でも、人気があるのは「身体健康守(錦守)」だそうですよ。
また、お守りは毎年新しいものを授かり、古いものは授かった神社か近くの神社の納札所に返納するようにしてください。「八坂神社」では、神職が祝詞を奏上した後にお焚き上げが行われます。
御朱印は、中央に明治以前の名称「祇園社」と墨書きし、三つ巴と御神紋、「八坂神社」の朱印が押してある「八坂神社朱印」のほか、濃いピンクの八坂紋結びという八坂神社の御神紋を飾り結びで表したものが散らされた「御神縁御朱印」など13種類。限定御朱印を手に入れたい人は、公式ホームページで事前に調べてから行きましょう。
お守り、御朱印とも授与所で授かることができます。
[授与料]授与品により異なる
[時間]9時~17時
京都府京都市東山区祇園町北側625
参拝自由【授与所】9時~17時
なし
参拝無料
祇園四条駅より徒歩5分/名神高速道路京都東ICより20分
なし
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おすすめの八坂神社周辺ランチ
お茶漬け処 ぶゞ家


八坂神社の目の前にある「お茶漬け処 ぶゞ家」では、旬の食材で作るあっさりとした京漬物と一緒にお櫃(おひつ)入りごはんのお茶漬けが楽しめます。素材を活かした漬物は、どれも体に優しい味わいで、ごはんを何杯でもお替わりできそう。
人気メニュー「ぶゞ漬」は、京野菜・壬生菜(みぶな)の浅漬けやごぼうぽん酢漬といった11種類の旬の漬物とお櫃ごはん、赤出汁、葉ワサビの田舎煮、はりはり山椒などがセットになっていますよ。

定番の漬物と旬の漬物計8種類が付く「じゃこ茶漬」もおすすめ。ごはんにかけられたじゃこ山椒は、小ぶりのじゃこと香り高い山椒を一緒に炊いた自家製です。
メニューの漬物はどれも店頭で販売されているので、気に入ったものをお土産に買って帰るのもいいですね。
京都府京都市東山区祇園町北側297
11時~18時(LO17時30分)
水
祇園四条駅より徒歩10分/名神高速道路京都東ICより20分
なし
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侘家古暦堂 祇園花見小路本店

祇園、花見小路の奥まった場所にある鶏料理の店です。店内は京都らしい落ち着いた佇まいで、ゆっくりと食事ができます。

鶏料理は素材の個性を最大限に活かすため、火の入れ具合や調味料のバランスなどにこだわり抜いているとか。中でもランチだけで味わえる「石焼親子丼」は、鶏もも肉と、コクとうま味を含んだ京都府産の卵を3個も用いた贅沢な逸品。ふわふわとろとろの半熟卵と、おこげのパリパリ感が一度に楽しめます。
シメとして、ランチに付く特製鶏スープをかけてひつまぶし風に食べると絶品ですよ。
京都府京都市東山区祇園町南側570
11時30分~14時30分、17時30分~22時(フードLO21時、ドリンクLO21時30分)
日(月曜が祝日の場合は営業、月曜休)
祇園四条駅より徒歩5分/名神高速道路京都東ICより20分
なし
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京の米料亭 八代目儀兵衛

江戸時代から続く米屋が営む料亭です。“究極の銀シャリ”をモットーに、お米に合わせた精米やブレンドにもこだわり、独自開発した土鍋釜で炊き上げられたおいしい銀シャリが堪能できます。

提供されるごはんは全て、炊き上がって10分以内のものでお替わり自由です。店のおすすめメニューは、魚好きの料理長が目利きした、旬の魚が味わえる「三種の焼き魚御膳」。香ばしく、ふっくらと焼き上げられた魚が炊き立てのごはんにぴったりです。
2階のカウンター席では八坂神社を眺めながら食事が楽しめますよ。
予約は2ケ月前より公式ホームページまたは電話にて受付。予約をしていない場合は、当日QRコードにて順番待ちが可能です。
京都府京都市東山区祇園町北側296
11時~15時(LO14時30分)、18時30分~21時30分(フードLO19時30分、ドリンクLO20時30分)
不定休(2月、6月に休業あり)
祇園四条駅より徒歩8分/第二京阪道鵜川西ICより15分
なし
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まとめ
京都のメイン通りにありながら、自然が豊富で数々の歴史や伝説も残る八坂神社。訪れた際には、おいしい食事もぜひ堪能してみてくださいね。
※この記事は2024年12月7日時点での情報です。休業日や営業時間など掲載情報は変更の可能性があります。
※掲載されている情報や写真については最新の情報とは限りません。必ずご自身で事前にご確認の上、ご利用ください。
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吉田美保
岡山県在住。主に旅行雑誌を手がける編集会社を経てフリーのライターに。花や自然、動物、お菓子作りが好き。最近の楽しみは近場の山を散策すること。読みやすさ、わかりやすさ、心に焼きつくような文章を心がけています。