数多くの温泉宿が建ち並び、大涌谷や芦ノ湖など自然豊かな景勝地が魅力の観光地「箱根」。そんな箱根でぜひ食べてほしい名物グルメのひとつといえば、蕎麦!
今回は、自然薯(じねんじょ)を使ったとろろ蕎麦や、蕎麦粉やだしにこだわった蕎麦など、おすすめのお蕎麦屋さん、また、なぜ蕎麦が箱根の名物グルメといわれるのかも併せて紹介します。
箱根の蕎麦がおいしいのはなぜ?

多くの蕎麦屋が軒を連ねる箱根ですが、地元で蕎麦の実の栽培がおこなわれているわけではありません。
それなのに、蕎麦が箱根の名物グルメといわれるその理由は“水”!山や川、湖に恵まれた自然豊かな箱根には、いたるところで名水が湧いています。おいしい蕎麦作りにおいて、水のおいしさは多大な影響を及ぼすとされているため、箱根の水を求めて蕎麦屋が集まるようになり、いつしか蕎麦は箱根の名物グルメになったとされています。
作り手によって味が変化する繊細な蕎麦は、どのお店もこだわりがいっぱい。水、自然薯、蕎麦粉、だしなど厳選した素材を使用しているので、店主それぞれの自慢の蕎麦を食べることができます。
ぜひ何度も箱根に訪れて、お気に入りのお蕎麦屋さんを見つけてください♪
【箱根】傳兵衛蕎麦(でんべいそば)
江戸時代にタイムスリップしたかのようなお蕎麦屋さん

江戸時代から変わらず箱根関所前に住居を構え、約60年前からは製麺所を直営している蕎麦処「傳兵衛蕎麦」。外観や板壁、格子戸などを墨色で統一し、江戸時代の風情を感じられる景観になっているのが特徴です。
蕎麦は、北海道の北空知(きたそらち)産を使用した、少し黒っぽい色の田舎そば。つるつると食べやすい食感で、これまで受け継いできた歴史ある製麺機によって二八蕎麦の限界まで細くした蕎麦を打っています。


「傳兵衛蕎麦」でぜひ食べて欲しいメニューは、『月見とろろそば』。お店自慢の二八蕎麦の上からふわふわのとろろと色鮮やかな黄身を乗せた一品。やさしい味わいがお腹も心も満たしてくれるはず。

サクサクの天ぷらとざるそばがセットになった『天ざるそば』もおすすめの一品。箱根関所を訪れた際には、ぜひおすすめの蕎麦と雰囲気を味わってみてください。
0460-83-8777
神奈川県足柄下郡箱根町箱根18
11時~16時
水
【電車】箱根登山鉄道 箱根湯本駅下車、バスにて35分【車】箱根新道 芦ノ湖大観ICより3分
4台
「傳兵衛蕎麦」の詳細はこちら
【湯本】はつ花そば(はつはなそば) 本店
地卵と自然薯を練り込んだ独自の蕎麦が魅力

芦ノ湖から流れる早川のほとりにあり、入母屋(いりもや)の屋根が映える「はつ花そば 本店」。店内もどこか懐かしい昔ながらの素朴な雰囲気が感じられます。
「はつ花そば」で食べられる蕎麦は、『自然薯蕎麦』と呼ばれる、水を一切使わずに蕎麦粉と地卵、そして自然薯だけで打った独自製法の蕎麦。一般的には茹でたてすぐの蕎麦がおいしいとされていますが、粘り気の強い自然薯を使用しているので、時間が経っても蕎麦がのびず、いつまでも蕎麦の豊かな風味を感じながら食べることができます。


もちろん素材にもこだわり、蕎麦粉は国産のものを厳選して季節ごとに使い分け、自然薯は自然農法で育成された上質なものが使われています。
特におすすめしたいメニューは、独自製法の蕎麦の上に、自然薯のとろろと生卵を落とした『山かけそば(温)』。ふわふわ食感の自然薯のとろろは、消化吸収作用に優れているので、胃にやさしく、ボリュームがあってもペロリと食べられます。
箱根七湯のひとつ箱根湯本の温泉街近くにあるので、お風呂あがりに食べるのにもぴったり♪
0460-85-8287
神奈川県足柄下郡箱根町湯本635
10時~19時
不定 ※詳しくは問い合わせ
【電車】箱根登山鉄道 箱根湯本駅より徒歩5分【車】小田原厚木道路 箱根口ICより10分
6台 ※徒歩3分の「はつ花そば新館」にも6台あり
「はつ花そば 本店」の詳細はこちら
【湯本茶屋】箱根暁庵(はこねあかつきあん) 湯本本店
箱根の名水を使用したこだわりの蕎麦

日々、蕎麦と向き合い“最高の状態で提供したい”との思いで、全国各地より厳選した蕎麦の実を低温貯蔵し、毎朝その日の分の蕎麦の実を石臼引きしています。できた蕎麦粉は箱根の名水を使って打ち、いつでも挽きたて・打ちたて・茹でたての蕎麦が楽しめます。
だしに使用する鰹節も、その日使う分だけを削るというこだわり。おいしい蕎麦のために、徹底した管理をおこなっています。


一番のおすすめメニューは、蕎麦の香り・味・色と、厳選した蕎麦汁が堪能できる『ざる蕎麦』。暁庵の原点ともいえる一品は、香り・味・色ともに、まさに最高の状態で味わうことができます。
箱根の自然に囲まれた「箱根暁庵 箱根本店」で、ぜひ五感で楽しめる蕎麦を食べてみてください。
0460-85-6763
神奈川県足柄下郡箱根町湯本茶屋182-4
【平日】11時30分~16時(LO15時30分)【土日祝】11時~16時(LO15時30分)
水(祝日の場合は営業)
【電車】箱根登山鉄道 箱根湯本駅より徒歩20分【車】小田原厚木道路 小田原西ICより10分
15台
「箱根暁庵 湯本本店」の詳細はこちら
【湯本茶屋】じねん蕎麦 すくも
温泉水を利用して作られた蕎麦本来の味が楽しめる


須雲川(すくもがわ)沿いに広がる、湯治を目的とした天山湯治郷内に「じねん蕎麦 すくも」はあります。店内はテーブル席の他に、川のせせらぎを楽しめるテラス席もあり、自然に身を任せながら静かな空間でゆっくりと蕎麦を味わうことができます。

毎朝、蕎麦の実(常陸秋蕎麦)を自家製粉し、蕎麦打ちとだしには飲泉利用許可のある温泉水(pH9.3の超軟水)を使用。それにより、蕎麦が切れることなく極細に仕上がり、豊かな香りを残しただしが完成します。
純粋に蕎麦とだしの香りを楽しめるおすすめメニューが、『ざるそば』。蕎麦本来のおいしさを存分に堪能できる一品です。
日帰り温泉施設「天山湯治郷」に併設されているため、温泉を利用した際はもちろん、蕎麦目当てで訪れてもじゅうぶん価値アリのおすすめお蕎麦屋です。
0460-86-4126(「天山湯治郷」代表番号)
神奈川県足柄下郡箱根町湯本茶屋208
11時30分~17時(LO16時30分)
木・金
【電車】箱根登山鉄道 箱根湯本駅下車、バスにて30分【車】西湘バイパス 山崎ICより10分
140台 ※感染症拡大予防につき3割減数しています。
「じねん蕎麦 すくも」の詳細はこちら
【元箱根】竹やぶ 箱根店
遊び心満載の店内で蕎麦本来の香りを楽しむ

2003年に箱根でオープンした「竹やぶ 箱根店」。本店は千葉県柏市にあります。モザイク模様が目を引く看板の先にある石畳を進むと、重厚感のある外観の建物が見えてきます。

店内に入ると、自然豊かな庭や温かみのあるインテリア、ビー玉や割れたお皿を埋め込んだオブジェなど、先代店主のこだわりが詰まった遊び心満載の空間が非日常感を演出します。ゆっくりとした時間が流れ、開放感のあるテラス席では、箱根の自然を感じながら蕎麦を楽しむことができます。

「竹やぶ」の蕎麦は、長野県・黒姫高原でとれた蕎麦の実をメインに使用。標高700mに位置し、昼夜の寒暖差が激しい黒姫高原で育った実は、味や香りに深みが出るといわれています。
おすすめは、蕎麦本来の味わいが感じられる『せいろそば』。蕎麦粉を丁寧に手挽きしているため、香りをしっかりと残した、のどごしの良い蕎麦が特徴です。
モダンな店内で日ごろの喧騒を忘れ、家族や恋人、友人同士でゆっくりと本格的な蕎麦が味わえます。
0460-84-7500
神奈川県足柄下郡箱根町元箱根160-80
11時~ ※売り切れ次第終了
水
【電車】箱根ロープウェイ 姥子駅より徒歩13分【車】東名高速道路 御殿場ICより40分、箱根ロープウェイ 桃源台駅より5分
9台
「竹やぶ 箱根店」の詳細はこちら
【元箱根】そば処 みよし
芦ノ湖のほとりで食べられる細切りの二八蕎麦

箱根ロープウェイの桃源台駅から歩いて5分、芦ノ湖のほとりに「そば処 みよし」があります。周辺には芦ノ湖遊覧船乗り場もあり、観光スポットの起点として、連日多くの観光客が行き交う抜群の立地です。
こちらの特徴は、北海道産の蕎麦粉を使った細切りの二八蕎麦。だしには鰹と鯖を使用し無添加、無化調で仕上げています。


「そば処 みよし」でぜひ食べて欲しいのが、箱根山で育ったブランド豚・山麓豚を使用した『山麓そば』。山麓豚の甘みが溶け込んだ温かい汁に冷たい蕎麦をつけて食べます。のど越しの良い蕎麦と山麓豚の甘みがうまく合わさった一品です。
0460-84-9140
神奈川県足柄下郡箱根町湖尻桃源台160-90
11時~14時30分 ※売り切れ次第終了
不定
【電車】箱根ロープウェイ 桃源台駅より徒歩5分【車】東名高速道路 御殿場ICより40分
13台
「そば処 みよし」の詳細はこちら
【元箱根】深生そば(しんしょうそば)
芦ノ湖が見える座敷席でのんびり

箱根海賊船で知られている観光船の乗降船場所・元箱根港からすぐの「深生そば」。北海道・十勝鹿追町の蕎麦粉を使用したこだわりの手打ち蕎麦は、子どもからお年寄りまで幅広い年齢層に好まれ、多くの人が訪れています。


おすすめのメニューは、温かいそばの『鴨南ばん』。鴨の旨みが染み込んだ濃いめの出汁と自慢の手打ち蕎麦がよく合う一品です。細く切った長ねぎの食感と三つ葉の香りが、より一層おいしさを引き立てています。
また、夏の『桜おろしそば』(1480円)や冬の『箱根産自然薯そば』(1480円)といった期間限定メニュー、毎年10月1日に網漁解禁日を迎える芦ノ湖名物・ワカサギのフライなど、季節ごとの味が楽しめるのも魅力のひとつ。旬の味を求めて、何度も足を運びたくなるお蕎麦屋です。
0460-83-6618
神奈川県足柄下郡箱根町元箱根6-17
11時~16時 ※季節、曜日によって変動あり
水
【電車】箱根登山鉄道 箱根湯本駅下車、バスにて35分【車】西湘バイパス 箱根口ICより25分
15台
「深生そば」の詳細はこちら
【仙石原】じねんじょ蕎麦 箱根 九十九(つくも)
エーゲ海風のおしゃれな雰囲気のなか食べられる本格蕎麦


美術館やおしゃれなカフェも多い仙石原にある、真っ白な外観が印象的な「じねんじょ蕎麦 箱根 九十九」。店内に入ると、エーゲ海をイメージしたおしゃれな空間が広がります。
お蕎麦屋とは思えない雰囲気ですが、出てくる蕎麦は老舗仕込みの本格派。厳選された国産の蕎麦粉を使用し、温度や湿度に合わせてその日一番の蕎麦を提供しています。だしにもこだわり、2種類の上質な鰹節を使用。手間暇かけて一番だしをとり、じっくり熟成させた「かえし」と合わせて、鰹の風味豊かなつけ汁に仕上げています。

欠かせない食材の自然薯は、自社生産したこだわりの味を追究。しっかりとした粘り気がありながら、つるりとした食感も楽しめます。
蕎麦とだし、自然薯にこだわった「じねんじょ蕎麦 箱根 九十九(つくも)」の人気メニューが、とろろ蕎麦と自然薯むぎとろご飯を一度に楽しめる『じねんじょとろろ蕎麦御膳』。自然薯を存分に楽しめるメニューで、とろろ蕎麦をはじめ、自然薯むぎとろご飯、選べるそば前が3点も付くボリューム満点の蕎麦御膳です。

さらに、多彩なメニューの中でもおすすめしたいのが、仙石原の雪景色をモチーフにした見た目も華やかな『自然薯ムースの白いカレー蕎麦』。すりおろした自然薯にメレンゲを合わせてムース状にしたとろろが、スパイシーなカレー蕎麦の上にたっぷりとのっています。カレーの辛さと自然薯のやさしい風味がよく合い、お箸が進むこと間違いなしの一品です。
0460-84-0899
神奈川県足柄下郡箱根町仙石原917-11
9時~19時30分(LO19時)
なし
【電車】箱根登山鉄道 箱根湯本駅よりバスで30分【車】東名高速道路 御殿場ICより20分
34台
「じねんじょ蕎麦 箱根 九十九」の詳細はこちら
まとめ
気になるお蕎麦屋は見つかりましたか?
箱根といえば、温泉街や自然豊かな観光スポットが思い浮かびますが、実はグルメも魅力的なものばかり。その中でも、きれいな箱根の水を利用した蕎麦は、絶対に食べて欲しいおすすめグルメです。
ぜひ、本記事で紹介したお蕎麦屋を参考に、おいしい箱根蕎麦を味わってください。
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※この記事は2022年9月12日時点での情報です。休業日や営業時間など掲載情報は変更の可能性があります。
※掲載されている情報や写真については最新の情報とは限りません。必ずご自身で事前にご確認の上、ご利用ください。
※掲載の価格は全て税込価格です。
吉本さとる
大阪在住。旅行、グルメ、求人、転職、企業情報を中心に、取材・執筆活動をおこなう旅好きフリーライター。学生時代の富士山登頂がきっかけで、まだ見ぬ世界を旅したいと思うように。以降、日本各地を旅したり、マレーシアで生活したりと、一期一会を求めて国内外を飛び回っている。モットーは『足踏みしてても、靴の底は減るぜ』。https://note.com/sy2519