赤や紫、黄色などカラフルなレースカーテンのように大空を覆うオーロラ。その神秘的な光景を一度はこの目で見てみたいと思う人も多いことでしょう。オーロラとは太陽からの風が大気圏にある物質と衝突する際に起こる発光現象です。北極圏などで見られることで有名ですが、実は日本でも北海道で観測されたことがあるんです!
そもそもオーロラの発生のメカニズムは?北海道ではどんなオーロラが観測されたの?など、自然が生み出す神秘の絶景・オーロラについてご紹介します!
オーロラとはどんな現象?
オーロラが見られるのは北極と南極のような極地

オーロラを起こすのは「太陽風」です。これは太陽の表面で爆発が起こる際、太陽から飛び出してくる電子や陽子が風のように地球に吹いてくるものです。太陽風により、北極や南極上空の酸素や窒素などの原子が刺激されて発光するのがオーロラです。
地球には北極にS極、南極にN極のとても強い磁場があります。地球の表面で方位磁石が北を指すのはこのためで、地球はいわば大きな磁石と同じです。太陽から飛んできた電子や陽子は、地球の磁場にとらえられ、磁力線に沿って北極と南極に飛んでいき、オーロラが出現します。オーロラが北極や南極の高緯度でしか見ることができないのはこのためです。
昔は日本各地でもオーロラが観測されていた!?
1400年以上前に、日本でもオーロラを観測

実は近年のオーロラ研究で解明されてきた「扇形オーロラ」と言われるものが、日本書紀(620年)に書かれている「赤気」と同じであることが明らかになりました。
当時、京都や江戸などで北の空が赤く光る現象が報告されており、この現象(=オーロラ)を見た日本人が、その姿を扇形に広げる雉(きじ)の尾羽で表現したのではないかと言われています。
また、現代でも、北海道などで北の空が赤くなり、山火事と間違えられて消防車が出動することもあったそうです。
2000年代に入ってからは北海道で19回も観測されている!
高感度測光機器の登場で複数回のオーロラを観測

昔だけでなく、30年ほど前から最近に至るまでもオーロラは観測されています。名古屋大学太陽地球環境研究所(現:名古屋大学宇宙地球環境研究所)が1989年から北海道の母子里・陸別観測所でオーロラを観測してきました。1998年からは高感度測光機器で観測を行うことで、微弱な光も測定できるようになり、低緯度にある日本でもオーロラを観測することに成功しています。
これは「低緯度オーロラ」と呼ばれています。2000年以降では19回観測されており、直近では2015年12月に現れています。ただ、「低緯度オーロラ」は、高感度測光機器による観測結果で、実際には目に見えない明るさのレベルのものが多いようです。
低緯度オーロラとは?
赤色だけ見えるのは日本の緯度が低いから

なぜ日本で低緯度オーロラが見られるのでしょうか?太陽風によって、たまたま大きな磁場の乱れが起こった時に、通常よりも大規模なオーロラが発生。その結果、日本のような低緯度からも観測できると考えられています。
また、オーロラは高度に応じて色が変わります。高度が80kmでは紫やピンク、100kmでは緑、そして200km以上は赤色になります。北海道から北の空を見ると、低い位置で光る紫や緑のオーロラは地平線の下に隠れて見えなくなってしまい、高い位置で光る赤色部分だけが見えるというわけです。
次に見られるチャンスは?
10年に一度!?誰にもわからない神秘のオーロラとの出会い
低緯度オーロラの光はとても淡く、写真では赤く写っていますが、目で見られる明るさで出現することはまれです。
実際に「りくべつ宇宙地球科学館」では過去11回観測撮影した中で、微かに目で確認できたのは2003年10月に大出現した時だけでした。肉眼でわかるようなオーロラは、10年に一度ぐらい見えるかもしれないレベルだと言われています。
「北海道で見られる低緯度オーロラは、北の低い空に出現します。北の方角で街灯りのない開けた場所で見える確率が高くなりますよ」と、りくべつ宇宙地球科学館の佐藤さんは教えてくれました。次の奇跡の出会いはいつになるのか。それもまたオーロラの神秘さかもしれませんね!
オーロラの町「陸別町」でオーロラを身近に感じたい
かつてオーロラが観測された北海道東部のほぼ中央に位置する陸別町は、環境省より1987年に「星空の街」に選定され、1997年には「星空にやさしい街10選」に認定されました。オーロラをはじめ、惑星や月、星など様々な天体と出会える施設があるのでご紹介します。
りくべつ宇宙地球科学館(銀河の森天文台)



115cm大型望遠鏡をはじめ、小型望遠鏡、大型双眼鏡、4連太陽望遠鏡などを備える公開天文台です。ここでは115cmの大型望遠鏡で、季節ごとの惑星や月、星雲や銀河などさまざまな天文を観察する星空観望会を随時開催。スタッフが丁寧に説明してくれるので、天文の知識がなくても楽しめます。
また施設内には人工オーロラ発生装置もあり、太陽風が地球の大気に衝突する仕組みを再現しています。他にも1階の展示室には銀河の森やオーロラ、宇宙の美しいパネルを展示。宇宙探検コンピューターや70インチの大型モニターによる宇宙の体験学習もできます。
0156-27-8100
北海道足寄郡陸別町宇遠別
【4月~9月】14時~22時30分【10月~3月】13時~21時30分
毎週月・火 (5月3日~5日、8月14日~16日は月・火も開館)5月第3月~第4金、12月28日~翌年1月3日
【昼間】 高校生以上300円、小・中学生200円【夜間】 高校生以上500円、小・中学生300円、小学生未満無料 ※【4月~9月】 14時~18時【10月~3月】 13時~17時※夜間は4月~9月18時以降、10月~3月17時以降
道東道 足寄ICより車で約30分
50台
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(画像提供:りくべつ宇宙地球科学館)
※この記事は2023年1月7日時点での情報です。休業日や営業時間など掲載情報は変更の可能性があります。
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真下智子
温泉好き、旅好きの二児の母。夫の仕事の関係で、青森から鹿児島、シンガポールと、様々な土地で生活する。温泉ソムリエ、温泉入浴指導員、温泉観光実践士の資格をもつ。無類のあんこ好きで、一日一餡を公言している。