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2023.09.22

【山梨県・静岡県】富士山を眺望するJR身延線の見どころ!「特急ふじかわ」も満喫

山梨県の甲府駅から静岡県の富士駅まで、富士山と南アルプスに挟まれた富士川流域を走るJR身延線。車窓からは、長く裾野を引く美しい富士山を望むことができ、列車旅を楽しみながら日本の原風景に浸れます。

沿線に点在する由緒ある寺社仏閣や緑豊かな観光スポットも必見です。

富士山の眺望が美しい「JR身延線」

画像提供:JR東海
画像提供:JR東海

山梨県甲府市の甲府駅から、静岡県富士市の富士駅までの約88kmを結ぶJR身延線(みのぶせん)。山梨県の甲府盆地から、富士山と南アルプスに挟まれた富士川流域を走り、静岡県の駿河湾沿岸へと至る路線です。

沿線には、日蓮宗総本山である身延山久遠寺、富士山の表玄関とされる富士山本宮浅間大社などの名所があり、雄大な富士山や富士川の情景と合わせて楽しめます。

画像提供:フォトライブラリー
山間地帯を走るJR身延線の普通列車 画像提供:フォトライブラリー
画像提供:フォトライブラリー
JR身延線から望む絶景の富士山 画像提供:フォトライブラリー

甲府駅から甲府盆地の市街地を走った列車は、鰍沢口(かじかざわぐち)駅より緑あふれる山間部に入り、身延駅に近づくと日本三大急流の一つである富士川沿いを走ります。そして沼久保(ぬまくぼ)駅からは、いよいよ富士山を間近に望む絶景区間が始まります。

そこからJR身延線の静岡県側の始発駅である富士駅まで、列車の右に左に美しい霊峰が姿を現します。高架になっている西富士宮駅~富士宮駅間から望む富士山は特に見ものです。山頂から長く広がる裾野まで堂々とそびえ立ち、時期や時間帯によって異なる趣を見せてくれます。

特急だけどゆっくり!?車窓を楽しむ「特急ふじかわ号」

画像提供:フォトライブラリー
画像提供:フォトライブラリー

山梨県甲府駅からJR身延線を通り、JR東海道線の静岡駅までを約2時間10分で結ぶ「特急ふじかわ号」。JR身延線初の特急列車として登場し、大きな窓から望む富士山の眺望で話題となりました。

眺めのよい車内からは、富士山の佇まいとともに、列車名の由来となった富士川の流れが一望できます。「特急ふじかわ号」はカーブが多い線路を走るため、特急列車としては速度が遅いことでも知られています。

速度が遅い区間は、富士山や富士川、豊かな山間の緑が望める区間と重なるので、リクライニングシートでゆったりと寛ぐもよし、4名利用のセミコンパートメントで家族や仲間と語り合うもよし、思い思いの過ごし方で楽しみたいですね。

■JR身延線
山梨県甲府市丸の内1(JR甲府駅)~静岡県富士市本町1(JR富士駅)
【運賃】1690円(JR甲府駅~JR富士駅)※特急ふじかわ号は運賃1980円(JR甲府駅~JR清水駅)+特急料金1860円(自由席)
「JR身延線」の詳細はこちら

(画像提供:JR東海)

戦国時代の名将のお膝元「甲府駅」

JR身延線の見どころを、山梨県の甲府駅から順に紹介します。

甲府市は、戦国時代屈指の武将として知られる武田信玄のお膝元として栄えた街。市内には、武田神社をはじめ、信玄公ゆかりのスポットが残っています。また日本産ワイン発祥の地とも伝えられており、駅近くの老舗ワイナリーを訪ねるのもおすすめです。

勝運にご利益があると言われる「武田神社」

(画像提供:武田神社)
武田信虎・信玄・勝頼の居館跡に創建

武田氏3代の居館跡に建つ「武田神社」。1919年に創建された甲斐国の総鎮護です。

武田信玄公をご祭神として祀り、勝運や金運のご利益で知られています。境内には、当時の面影を残す堀や井戸、金運を招くと伝えられる「三葉の松」などの見どころがあります。

■武田神社
山梨県甲府市古府中町2611
[参拝時間]参拝自由 ※宝物殿は9時30分~16時
なし ※宝物殿は水曜
参拝無料 ※宝物殿は入館料300円
JR甲府駅より積翠寺行きバスで10分、武田神社下車徒歩すぐ
「武田神社」の詳細はこちら

(画像提供:武田神社)

100年以上の歴史を誇る「ワイナリー・サドヤ」

(画像提供:ワイナリー・サドヤ)
緑豊かなガーデンに囲まれたワイナリー
(画像提供:ワイナリー・サドヤ)
レストラン レアル・ドールの「プチコースランチ」3630円

1917年創業、約2200坪の敷地に醸造所や貯蔵庫を有する老舗ワイナリー。

自家製ワインが壁一面にずらりと並ぶショップ、山梨の食材を使ったランチコースが楽しめるレストランで、ワインが楽しめます。

(画像提供:ワイナリー・サドヤ)
ワイナリー見学ツアーで訪れることができる樽熟庫

ワインについてもっと知りたい人は、スタッフが案内する約40分の「ワイナリー見学ツアー」がおすすめ。

地下のワインセラーを巡りながら、かつて使われていた発酵タンクや樽詰めのワインが熟成される樽熟庫を見学したり、ワインのテイスティングをしたりと、甲府ワインの歴史や製造方法がより深く学べます。

■ワイナリー・サドヤ
山梨県甲府市北口3-3-24
【平日】10時~17時【土・日・祝】10時~18時 ※ワイナリー見学ツアーの実施スケジュールは公式HPを確認

【ワイナリー見学ツアー】1000円 ※3日前までに要事前予約
JR甲府駅より徒歩5分
「ワイナリー・サドヤ」の詳細はこちら

(画像提供:ワイナリー・サドヤ)

日蓮宗の総本山に守られる「身延駅」

日蓮宗総本山として知られる聖地を前に控える山間の地・身延エリア。身延山のしだれ桜や富士山の眺望の美しさでも知られ、多くの観光客が訪れています。

富士山を望む信仰の聖地「身延山久遠寺」

(画像提供:身延山久遠寺)
本堂内部の龍の天井画は必見!
(画像提供:身延山久遠寺)
境内にある樹齢400年の枝垂れ桜は、3月下旬が見頃

日蓮聖人が1274年に入山し、庵を構えたのが始まりとされる日蓮宗の総本山。287段続く石段を登り切ると、七堂伽藍(しちどうがらん)を配した境内が広がります。

本堂をお参りした際にぜひ観賞したいのが、日本画家の加山又造氏の手による龍の天井画。巨大な龍がこちらに顔を向けるように弧を描いている様子は迫力満点です。

境内には、朱色が鮮やかな五重塔などの見どころがあるほか、9月中旬~10月初旬と3月中旬の早朝は、運がよければ富士山頂に朝日がのぞくダイアモンド富士が見られます。

■身延山久遠寺(みのぶさんくおんじ)
山梨県南巨摩郡身延町身延3567
[参拝時間]5時~17時 ※時期により変動あり
なし、宝物館は木曜(祝日の場合は翌日)
拝観無料(宝物館300円)
JR身延駅より身延山行きバスで15分、身延山より徒歩25分
「身延山久遠寺」の詳細はこちら

(画像提供:身延山久遠寺)

身延山頂まで参拝できる「身延山ロープウェイ」

(画像提供:身延山ロープウェイ)
約7分で山頂へ。足元付近まで広がるガラスを採用したロープウェイ
(画像提供:身延山ロープウェイ)
身延山ロープウェイ名物「みのぶだんご」1串450円

身延山久遠寺の裏手にあり、久遠寺駅と山頂の奥之院駅を結ぶ全長1665mの「身延山ロープウェイ」。関東一の高低差763mを、2021年登場の新型ゴンドラで一気に登ります。

風吹き抜ける山頂には、身延山久遠寺の奥之院思親閣、日蓮聖人立像のほか、3つの展望台があり、そこから360度の展望が開けています。

富士山から駿河湾、南アルプスから甲府盆地と、遠くまで広がる絶景は爽快そのもの。山頂の売店で販売している「みのぶだんご」は、苦死(串)を切って幸せを願うことから別名「苦死切りだんご」と呼ばれる名物グルメです。

■身延山ロープウェイ
山梨県南巨摩郡身延町身延上の山4226-2
9時~16時(上り最終)※時期により変動あり
なし
往復乗車料大人1600円、小学生800円
JR身延駅よりタクシー15分、または身延山行きバスで15分、身延山より徒歩15分
「身延山ロープウェイ」の詳細はこちら

(画像提供:身延山ロープウェイ)

山梨県最大級の公園が広がる「下部温泉駅」

山梨の三大温泉の一つに数えられる下部(しもべ)温泉。武田信玄公が傷を癒したとされる湯治場で、駅周辺から下部川と常葉川の渓流に沿って多くの温泉宿が立ち並んでいます。

一日遊べる広い公園もあり、園内の花に囲まれたレストランで、地元食材のフレンチを味わうのもおすすめです。

一日中楽しめる大規模公園「山梨県富士川クラフトパーク」

(画像提供:山梨県富士川クラフトパーク)
園内にはピクニック広場やカヌー場もある
(画像提供:山梨県富士川クラフトパーク)
春~秋に楽しめるバラ園

東京ドーム約11個分の広さを持ち、切り絵専門の博物館や道の駅みのぶも併設している大規模公園。園内には、広大な芝生広場をはじめ、子ども向けの大型遊具が設置された広場、森林浴ができる散策路など、子どもから大人まで楽しめる遊び場が盛りだくさんです。

バラ園の前には地元食材を取り入れたカジュアルフレンチのレストランがあり、咲き乱れる花々を眺めつつランチが味わえます。

■山梨県富士川クラフトパーク
山梨県南巨摩郡身延町下山1597
入園自由 ※園内の施設ごとに営業時間・休日あり
なし
入園無料 ※施設により別途利用料金あり
JR下部温泉駅よりタクシーで5分
「山梨県富士川クラフトパーク」の詳細はこちら

(画像提供:山梨県富士川クラフトパーク)

富士山の玄関口!浅間大社の門前町「富士宮駅」

富士山をご神体として祀る富士山本宮浅間大社の門前町、富士宮。浅間神社の総本宮や、富士山の疑似登山できる施設を訪ね、世界文化遺産に登録されている富士山の魅力を体感しましょう。

富士山そのものをご神体として祀る「富士山本宮浅間大社」

(画像提供:静岡県観光協会)
本宮の境内の広さは約1万7千坪
(画像提供:静岡県観光協会)
社殿と楼門は、1604年に徳川家康の寄進により造営された

富士山の大噴火を鎮めるため、紀元前に浅間大神を祀ったことが起源と伝わる富士山本宮浅間(せんげん)大社。全国にある浅間大社の総本宮として称えられ、多くの戦国武将の信仰を集めてきました。

ご神体は富士山、ご祭神として美しい女神「木花之佐久夜毘売命(このはなのさくやひめのみこと)」を祀り、良縁や開運招福などのご利益があると言われています。

(画像提供:静岡県観光協会)
富士山の伏流水が湧き出す「湧玉池」

富士山の雪解け水が何層も重なった溶岩の間を通って湧出する「湧玉池(わくたまいけ)」は、国の特別天然記念物。かつて富士山の登山者は、この霊水でみそぎをしてから登山するという習わしがありました。

■富士山本宮浅間大社
静岡県富士宮市宮町1-1
[参拝時間]5時~20時 ※時期により変動あり
なし
参拝無料
JR富士宮駅より徒歩10分
「富士山本宮浅間大社」の詳細はこちら

(画像提供:静岡県観光協会)

疑似登山を体験!「静岡県富士山世界遺産センター」

(画像提供:静岡県観光協会)
静岡県産の木材を使った木格子の外壁がユニークな建物
(画像提供:静岡県観光協会)
壁面に投影された登山道からの風景などを見ながら富士登山を体感!
(画像提供:静岡県観光協会)
カフェやミュージアムショップを併設

世界文化遺産に認定された富士山の歴史や文化について学べる拠点施設。5階建ての展示棟内には全長193mのらせんスロープがあり、スロープを上りながら富士登山を疑似体験できます。

最上階展望ホールや屋外テラスからは、何にも遮られない富士山が見晴らせます。水盤に面したアトリウムのカフェでは、富士山の湧水を使用した挽きたてコーヒー、ソフトクリームのほか軽食も味わえます。

■静岡県富士山世界遺産センター
静岡県富士宮市宮町5-12
【9月~6月】9時~17時【7・8月】9時~18時
毎月第3火曜、年末 ※ほか施設点検日も休館
常設展入館料【一般】300円【大学生以下、70歳以上、障がい者など】無料(要証明)※企画展は展示ごとに料金設定あり
JR富士宮駅より徒歩8分
「静岡県富士山世界遺産センター」の詳細はこちら

(画像提供:静岡県観光協会)

これぞ王道の味!が楽しめる「富士宮やきそばアンテナショップ」

(画像提供:静岡県観光協会)
お宮横丁の入口にあり、観光がてら立ち寄りやすい
(画像提供:静岡県観光協会)
富士宮やきそば(並)550円(大)750円

戦後間もない頃から富士宮市で食べられていたご当地焼きそばはコシのある麺と肉かすの具、仕上げの鰯の削り粉が特徴。2000年に「富士宮やきそば」と命名され、ご当地グルメブームの火付け役となりました。

「富士山本宮浅間大社」の参拝者が行き交うお宮横丁入口にある「富士宮やきそばアンテナショップ」では、スタンダードな富士宮やきそばを提供しています。もちもちの蒸し麺に、旨味たっぷりの肉かすとキャベツ、ネギを合わせ、鰯の削り粉が香るシンプルな焼きそばで、富士宮やきそばの王道の味わいを楽しみましょう。

■富士宮やきそばアンテナショップ
静岡県富士宮市宮町4-23 お宮横丁内
10時~17時(LO16時30分)
なし
JR富士宮駅より徒歩8分
「富士宮やきそばアンテナショップ」の詳細はこちら

(画像提供:静岡県観光協会)

静岡の茶畑を象徴する絶景「大淵笹場」

(画像提供:静岡県観光協会)
農家や地域の人の生活の場であるお茶の産地。茶畑に入るのは厳禁

JR身延線の静岡県側の始発駅である富士駅からタクシーで25分と、少し遠いですが、JR身延線の旅の締めくくりに向かいたいのが「大淵笹場(おおぶちささば)」。

こちらは、一面に広がる緑の茶畑とその向こうにそびえる富士山の絶景で知られるお茶の生産地。森に囲まれた、電線の入らない茶畑越しの富士山の絶景は、昔ながらの日本の原風景そのもの。思わず深呼吸したくなるほどの清々しさに満ちています。

観光スポットではないので、茶畑の風景を眺めつつ歩けるだけの場所ですが、広大な茶畑を渡る風に吹かれれば、日頃の疲れが癒されること間違いなしです。

■大淵笹場
静岡県富士市大淵1516付近
JR富士駅よりタクシーで25分
「大淵笹場」の詳細はこちら

(画像提供:静岡県観光協会)

まとめ

富士山の絶景やのどかな自然に恵まれたJR身延線は、首都圏から日帰りでも訪れることができる路線です。裾野を引く富士山や富士川の流れを眺め、緑あふれる観光スポットを訪れれば、心もすっきりとリフレッシュ!気分爽快な列車旅が楽しめます。

※この記事は2023年9月11日時点での情報です。休業日や営業時間など掲載情報は変更の可能性があります。
※掲載されている情報や写真については最新の情報とは限りません。必ずご自身で事前にご確認の上、ご利用ください。
※掲載の価格は全て税込価格です。

梶本 愛貴  梶本 愛貴

長野県出身。おもに旅や鉄道、書籍などの記事を書いています。 旅はぼーっとするのが好き、列車は乗るのが好き、温泉は万座や草津など強めの湯が好きです。大人になって改めて感じた旅や列車の面白さをお伝えしていきます。

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