平安時代に紫式部によって書かれたと言われる『源氏物語』。京都府宇治市には、この『源氏物語』の世界が体感できるミュージアムがあるのを知っていますか?詳しい解説だけじゃなく、オリジナル映画の上映や、五感を使った体験展示など見どころが盛りだくさんな施設です。
また、京都府内には平安時代の文化や雰囲気が感じられるスポットも多数。2024年のNHK大河ドラマは、源氏物語の作者・紫式部が主人公の『光る君へ』が放送されるので、平安時代に注目があつまりそうです。
『源氏物語』とはどんな物語?
世界中で愛される、世界最古の「長編物語」
『源氏物語』は、平安時代中期に紫式部によって書かれた、世界最古の長編物語として知られています。
主人公の光源氏と数多くの女性たちとの恋が描かれ、当時の貴族社会で生きる人々の悩みや葛藤が鮮やかに映し出されています。日本だけでなく諸外国でも翻訳され、海外でも高い評価を得ている古典作品です。
宇治市源氏物語ミュージアムはどんな施設?
源氏物語の世界や平安時代の文化を体感できる
源氏物語の世界感にどっぷり浸れる施設が、京都府宇治市にある「宇治市源氏物語ミュージアム」です。
全54帖(じょう)にわたる源氏物語のうち、宇治を主な舞台にした「宇治十帖」にちなみ、1998年に開館しました。さまざまな展示や映像で物語の世界観を紹介しているほか、テーマごとに分かれた展示ゾーンで、平安時代の暮らしや文化に触れることができます。
宇治市源氏物語ミュージアムへのアクセス
電車の場合
最寄り駅は京阪電鉄 宇治駅で、施設までは徒歩8分。またJR奈良線 宇治駅からは徒歩15分です。
車の場合
京滋バイパス 宇治東ICから4分です。駐車場も15台あり30分100円で利用できます。
平安時代や『源氏物語』の世界を体感できる展示がたくさん
平安時代の貴族の暮らしが分かる
館内は有料の展示ゾーンと無料の情報ゾーンに分かれています。展示ゾーンでは光源氏や宇治十帖を紹介するほか、平安時代の暮らしが再現された展示や映像、体験コーナーなどが充実しています。また、情報ゾーンでは図書室や源氏物語に親しむコーナーもあります。
有料の展示ゾーンで最初に見ることができるのが「平安の間」です。
平安京と光源氏がテーマになっていて、華やかな貴族の暮らしが再現された展示が目を引きます。入口すぐにある原寸大の牛車は想像以上の大きさ!
ほかにも源氏物語のあらすじを紹介したハイビジョン映像や、六条院を再現した模型もあり、平安時代の空気が感じられます。
平安時代の恋愛観が分かる
「平安の間」では、当時の恋愛事情がうかがえる「垣間見(かいまみ)」の体験も。
4帖「夕顔」のシーンでも描かれているように、顔を見せることが無かった貴族の女性の顔を、物のすきまから覗きみるのが垣間見。穴の中にある御簾(みす)越しに対面の顔だしパネルを覗いて、平安貴族のもどかしい恋心を味わってみて。
『源氏物語』の世界観が分かる
平安京から宇治へと向かう道のりが描かれた架け橋を渡ると、宇治十帖をテーマにした「宇治の間」へ。
「宇治の間」は部屋全体がシアターになっていて、紗幕(しゃまく)や実物大のセットで名場面を再現しています。そこから続く「物語の間」には、源氏物語のあらすじや、物語の中で登場する宇治についてその紹介もあります。音声、映像、パネルなどで総合的に源氏物語の世界観に触れることができますよ。
シアターのオリジナルアニメも必見
映像展示ではオリジナルアニメーション「GENJI FANTASY ネコが光源氏に恋をした」のほか、人形劇や実写劇の映像作品を鑑賞できます。上映時間は20分ほどなので、時間がある人はぜひチェックしてみてください。
頭や体を使って楽しもう!
体を動かしてストーリーを進めよう
「物語の間」には、五感を使って物語の世界を楽しむ体験もあります。
体の動きに反応するセンサー技術を使った体験コーナーでは、手や体の動きで画面を操作し、源氏物語のストーリーを読み進めていきます。表示されるポーズをうまくとるこができればOK!ちょっと難易度の高いヨガのポーズ(?)もあるので、フィットネスやゲーム感覚で楽しんで。
「源氏香(げんじこう)」を体験
「源氏香(げんじこう)」は、5種類の香りを嗅ぎ分けて、異同を判じるという香道の組香の一つ。
52通りある組み合わせには、源氏物語の各帖名が充てられています。明らかに違う香りもあれば、差の分かりにくい香りもあって、友達や家族と盛り上がりそうな体験です。
図書室や体験コーナーに注目!
約4500冊の関連書籍がある図書室
有料の展示ゾーン以外にも、無料の情報ゾーンが充実しています。
源氏物語に関する資料を4500冊以上も所有している図書室では、展示されている本を自由に閲覧できます。貸出は実施していませんが、源氏物語について詳しく知りたい人には最適なスポットです。
無料の体験コーナーを楽しもう
体験コーナーでは、ルーレットで出てきた源氏絵を探す「源氏絵大集合!」や、六条院にまつわる登場人物の解説を読む「六条院引き出し」など、体験を通じて源氏物語の世界に親しむことができます。
オシャレな日本茶カフェでひとやすみ
スイーツが楽しめる日本茶カフェ
展示を楽しんだあとは、緑が美しい庭園をのぞむカフェ「雲上茶寮(うんじょうさりょう)」で休憩するのもいいですね。
宇治茶発祥の地で、物語に想いを馳せながら味わうお茶や抹茶スイーツは格別のあじわいです。ふくよかなお茶の旨味を感じながら、ゆったりとくつろいで。
0774-39-9300
京都府宇治市宇治東内45-26
9時~17時(入館は16時30分まで)
月(祝日の場合はその翌日)、年末年始
高校生以上600円、小中学生300円
【電車】京阪 宇治駅より徒歩8分、JR 宇治駅より徒歩15分【車】京治バイパス 宇治東ICより4分
15台(30分100円)
「宇治源氏物語ミュージアム」の詳細はこちら
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京都市内にもある!平安文化が楽しめるスポット
NPO法人 衣紋道 雅ゆき【堀川三条バス停より徒歩5分】
平安時代の貴族が着ていた宮廷装束「十二単」。色鮮やかで雅な衣装を、一度は着てみたいと思った人も多いのでは。
袴姿の衣紋者(スタッフ)が、1枚1枚丁寧に着付けをしてくれます。十二単についての詳しい解説を聞くことができ、また豊富な衣装から選べるのもおすすめのポイントです。
十二単に着替えたあとは、10分間自由に撮影が可能です。
部屋には御簾(みす)、壁代(かべしろ)、几帳(きちょう)などがあり、源氏物語の世界が再現されているので、タイムスリップしたような素敵な写真が撮れます。
また、別途料金でプロカメラマンの撮影や平安メイク、ヘアスタイリングなども可能なので、より本格的な変身体験もできます。
0120-877-990
京都府京都市中京区釜座通三条上ル突抜町807
10時~18時
年末年始
【京都でかぐや姫体験】1人1万6500円【京都で紫式部体験】1人3万8500円
【電車・バス】京都市バス堀川三条より徒歩5分、京都市営地下鉄 烏丸御池駅より徒歩5分
なし
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京都御所【今出川駅より徒歩5分】
明治時代の始めまで天皇の居住地であった「京都御所」は、光源氏が日々を過ごす様子が描かれていた御所の内裏(だいり)の姿を今に伝えてくれる場所です。
現在の御所は、1331年に光厳(こうげん)天皇が即位されて以降、1869年に明治天皇が東京に移られるまでの約500年間、天皇の住まいとして使用されました。長い歴史の中で火災と再建を繰りかえしており、現存する建物の多くは1855年に再建されたものです。
京都御所の建物の中で最も格式の高い正殿である紫宸殿(ししんでん)は、伝統的な儀式を行うために平安時代の建築様式で建てられています。また、敷地内には木々や花々などを愛でながら季節の移り変わりを楽しめる庭園も備わっていて、一年を通じて観覧を楽しむことができます。
075-211-1215(宮内庁京都事務所参観係)
京都府京都市上京区京都御苑
9時~15時20分(最終退出16時) ※10月~2月(時期により変動。公開詳細は宮内庁HP参照)
月
無料
京都市営地下鉄 今出川駅より徒歩5分
なし
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古典の日記念 京都市平安京創生館【丸太町七本松バス停より徒歩すぐ】
平安京の姿をさまざまな形で体感できる展示施設。平安遷都1200年を記念して1994年に制作された平安京復元模型は、1000分の1スケール(10m×11m)で、朱雀大路を中心とした平安京の姿が望めます。
歴史学や建築学の研究成果が反映された精緻な模型は、眺めているだけで平安の世界にトリップできそう。
ほかにも、タッチパネルで操作するバーチャル平安京や、平安時代の文化を楽しめる体験コーナーが常設されています。袿(うちき)や狩衣(かりぎぬ)といった貴族の装束の試着や、貝合わせや囲碁・双六などの平安時代の遊びが楽しめます。
075-812-7222
京都府京都市中京区聚楽廻松下町9-2(京都市中京区丸太町通七本松西入)
10時~17時(最終入場は16時50分)
火(祝日の場合は翌平日)、年末年始
無料
【電車】JR・近鉄 京都駅より市バス千本丸太町バス停下車徒歩すぐ【車】公共交通機関推奨
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嵯峨嵐山文華館【嵐山駅より徒歩5分】
鎌倉時代、藤原定家が編纂した「小倉百人一首」。その選定の場所となった嵯峨嵐山で、百人一首の歴史や日本文化の魅力を伝える展示があるのが「嵯峨嵐山文華館」です。
1階の常設展示では100体の歌仙人形(フィギュア)と、100首の和歌が英訳と共に展示されています。
施設の目の前には嵐山や大堰川(おおいがわ)があり、2階展示室からも四季折々の美しい景色を楽しめます。周辺には『源氏物語』ゆかりのスポットも多いので見学後は散策するのもおすすめです。
また、2024年1月18日(木)~4月7日(日)の期間には、企画展「よきかな源氏物語」を開催予定。千年の時を超え愛され続ける『源氏物語』を題材にした日本画が、各場面の解説や登場人物の相関図とともに紹介されます。
075-882-1111
京都府京都市右京区嵯峨天龍寺芒ノ馬場町11
10時~17時(入館16時30分まで)
展示替え期間(不定)、年末年始
一般・大学生1000円、高校生600円、小・中学生400円
JR 嵯峨嵐山駅より徒歩14分、阪急 嵐山駅より徒歩13分、京福電鉄 嵐山駅より徒歩5分
なし
「嵯峨嵐山文華館」の詳細はこちら
平安神宮【東山駅より徒歩10分】
「平安神宮」は平安遷都1100年を記念して1895年に創建されました。
社殿は、桓武(かんむ)天皇が開かれた当時の平安京の正庁、朝堂院を8分の5の規模で再現。朱塗りの社殿は荘厳で平安京の雅な雰囲気に包まれています。
京都の歴史が始まった場所で、当時の人々の気持ちをイメージしてみるのもいいですね。
また、社殿の周囲は約1万坪(3万3000平方メートル)という広大な日本庭園が広がっています。明治時代の代表的な庭師・七代目小川治兵衛の作庭によるもので、春の紅枝垂れ桜、初夏の杜若(かきつばた)、秋の紅葉、冬の雪景色と、四季折々に風光明媚な景色を楽しむことができます。
075-761-0221
京都府京都市左京区岡崎西天王町97
[参拝時間]【3月15日~9月30日】6時~18時【10月・2月15日~3月14日】6時~17時30分【11月1日~2月14日】6時~17時
なし
【参拝】無料 【神苑拝観料】高校生以上600円、小・中学生300円
【電車】地下鉄 東山駅より徒歩10分、京阪電鉄 神宮丸太町駅より徒歩15分【車】名神 京都東ICより約20分
なし ※近隣に市営岡崎公園地下駐車場あり(500台・1時間500円)
「平安神宮」の詳細はこちら
「平安神宮」のクチコミ・周辺情報はこちら
まとめ
紫式部が源氏物語で描き、光源氏をはじめとした数々の登場人物たちが生き生きと活躍した平安京。その名残は、京都の町のいたるところに息づいています。1200年の歴史に想いを馳せながら、ゆったりと町を巡ってみてください。
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※この記事は2023年11月29日時点での情報です。休業日や営業時間など掲載情報は変更の可能性があります。
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ミョウガヤ ノブヒサ
全国各地で豊富な取材経験をもつ旅ライター&広告ディレクター。現在は三重県尾鷲市で地域おこし協力隊と二足のわらじで奮闘中。趣味は合気道(三段)と日本酒(唎酒師)。