北八ヶ岳登山口に位置し、多くの登山客に愛されている奥蓼科温泉郷の宿「渋御殿湯」。標高約1800mに立つ湯宿には、“冷たい温泉”があるのを知っていますか?夏の疲れを癒やす27度と31度の源泉があり、足元湧出の浴槽(男湯)まであるんです!そこで今回は、温泉ライター千谷が、手軽な「白駒の池・苔の森」ハイキングの後に、車で40~50分の所にある憧れの秘湯を訪問しました!魅力やおすすめの入浴方法など、温泉のプロが徹底レポートします♪
今回ガイドしてくれる“温泉のプロ”を紹介
温泉ライターの千谷文子さん
温泉ソムリエとして情報発信を行い、テレビにも出演。『さいたま湯めぐり』を刊行し“ご近所温泉”の魅力も伝える。最近は公衆浴場と健康寿命との関係に興味があるのだとか。今回は“夏疲れの癒やし”をテーマに、実際に「渋御殿湯」の“冷たい温泉”を体験&レポートしてくれます!
はじめに:今おすすめしたいのは、夏の疲れを癒やすクールダウンの旅
「渋御殿湯」の冷たい温泉を主役に1泊2日旅をしてきました
猛暑日・酷暑日も多い昨今。秋になっても残暑が厳しい中で、温泉ソムリエとしておすすめしたいのは“冷たい温泉”です。温かい温泉との交互浴や少し長めのゆったり浴がおすすめ。さらに、避暑地でのハイキングや散策などと組み合わせると暑さを忘れ癒やされる時間に──。ということで、今回は冷たい温泉のある「渋御殿湯」にクールダウンの旅へ出かけました♪
1日目11時30分:苔むす神秘の森「白駒の池・苔の森」を散策
都心との気温差は約10度!晴天の涼しさに感動


8月某日、都心の最高気温は33度でしたが「白駒の池入り口」に掲げられた温度計は22度(午前11時30分頃)。バスを降りた瞬間に涼に包まれて、まさに別天地!
ここから「白駒の池」を1周歩いて戻ってきます。木道の整備が行き届いているので、初心者でも気軽にハイキングを楽しめるコース。歩き出せばすぐに「苔の森」が広がる、神秘の世界でした。



入口から白駒の池までは約20分。さらに池を1周するコースは35~45分ほどと、ガイドによって幅はありますが、苔むす景色をぼんやり眺めたり、しゃがみ込んで写真を撮ったり、東屋で休んだり、自然を堪能していたらあっという間の2時間でした。
事前に知っトクポイント
[楽しみ方]「白駒の池」ほとりの山小屋や、茅野駅近くのアウトドアショップ発の「苔の森」観察ツアーもある
1日目15時:奥蓼科温泉郷の最上部、標高約1800mの湯宿「渋御殿湯」へ!
宿に到着した瞬間、硫黄の香りに包まれた

神秘の森の散策で気分はリフレッシュ、足腰には心地良い疲労感を覚えつつ、スタート地点に戻ってきました。ここから「渋御殿湯」まではバスが運行していないため、1週間前に予約したタクシーで向かいます。

地元の運転手さんが熟知する山道を抜けて、ようやく到着した「湯みち街道」の終着点。車のドアが開くとふわっと硫黄の香りがして、期待が膨らみます。
15時にチェックインした部屋はシンプルな和室で、既にお布団が敷いてありました(夏場でも毛布が!)。この辺りでは、盛夏の日差しが強い場所でも30度いかないぐらいなんだそう。窓を開ければ夏山の深い緑が迫り、川音や虫の声が聞こえてのどかな雰囲気に癒やされます。清掃が行き届いたトイレや洗面所は共同で、昔ながらの湯治場風情が漂っています。
温泉は消費カロリーが高いので、入浴前にお茶菓子・ビタミンCたっぷりの日本茶をいただいて少し体を休めてから浴場に向かうのがおすすめです。
事前に知っトクポイント
[アクセスの注意点]「白駒の池」までバスで訪れた場合はタクシー移動になります。ハイシーズンの当日予約は難しいため、早めに事前予約を。料金は7000円ほど(現金を忘れずに)。「茅野駅」と「渋御殿湯」をダイレクトに繋ぐバスもある(2026年は土日祝日と8月1日~8月30日の運行)
[設備]東館のトイレは昔ながらの和式、西館(新館)のトイレは泡で流す洋式。どちらの客室に泊まってもどちらも利用できる
[アメニティ]浴衣やタオル、歯ブラシがある
1日目15時30分:まずは「西の湯」で体を硫黄泉に馴染ませる
汗を流して「渋御殿湯」にごあいさつ

宿の建物は、目の前の渋川に沿って東西に広がっています。東館に「東の湯」、新館の西館に「西の湯」があり、宿泊客はいずれも利用可能。日帰りの場合は「西の湯」のみ利用できます(部屋利用の場合は両方入浴可能)。
「西の湯」には温冷2つの浴槽があり、ひとつは、加温や加水、循環なしの源泉100%、約27度の「渋御殿湯」。もうひとつは、天然水を約42度に加温・循環・殺菌した沸かし湯。男湯と女湯で浴室のレイアウトは異なりますが、同じ湯浴みを楽しめます。

ちなみに、「東の湯」では石けんを使えず、浴槽から温泉を汲み取ることもできないため、まずは「西の湯」で体を洗って汗を流しましょう。湯浴みは、天然水を約42度に加温した浴槽から。長湯はのぼせてしまうので「3分入ったら3分~5分休む×3回」の分割浴でじっくり体を温めるのがおすすめです。
次に冷たい温泉「渋御殿湯」へ。約27度の温泉を冷たく感じたら、無理せずに浴槽の脇にかがんで、手のひらや肘まで入れて慣らすか、浴槽に座って膝下だけを湯船に浸すだけでも十分です。刺激のある酸性の温泉なので、少しずつ“ごあいさつ”するイメージで、硫黄泉を体に馴染ませていきましょう。「西の湯」で整ったら、いよいよお目当ての「渋長寿湯」がある「東の湯」へ!
事前に知っトクポイント
[利用時間]宿泊客の利用は6時~22時
1日目16時:「東の湯」の名物「渋長寿湯」で31度の源泉にまどろむ
贅沢!温泉で温冷交互浴をして疲れを癒やす

「東の湯」では3つの温泉浴槽を楽しむことができます。「渋御殿湯」を引いた浴槽は2種あり、ひとつは約27度の温泉で、加温や加水なしの源泉100%。もうひとつは加温した約42度のあつ湯です。そして3つめはお目当ての「渋長寿湯」。単純酸性硫黄泉(硫化水素型)の源泉100%で、約31度のぬる湯。温泉好きにはたまらないラインナップです!

ちなみに、男湯と女湯では1点だけ違いが。男湯の「渋長寿湯」は足元からポコポコ温泉が湧く足元湧出の湯!温泉が空気に触れずに浴槽に満たされて鮮度抜群です。



さて、入浴方法ですがハイキングによる足腰の疲れを早く取りたい人は、温冷交互浴がおすすめ。約42度の「渋御殿湯」に3分→約27度の「渋御殿湯」に1分を3セットほど繰り返すイメージです。「西の湯」同様に冷たすぎると感じたら、手や足を浸すだけでもOK。仕上げは体をしっかり温めましょう。
いやいや、湯船でゆったりリラックスしたいという人は、名物の「渋長寿湯」へ。約31度と冷たすぎず長湯ができます。まさに夏の暑い時期にもってこいの温泉でした。女湯では、約27度の「渋御殿湯」には手足だけをつけて、「渋長寿湯」でのんびりする方が多かったです。ただし温度は低くても刺激の強い硫黄泉なので、最初は5分浸かるぐらいから始め、のぼせないうちに上がりましょう。早くも部屋に戻る足取りは軽くなっていました♪
もし肌への刺激が心配なら、上がり湯に「西の湯」の天然水を加温した浴槽に入るのもおすすめです。
事前に知っトクポイント
東の湯で堪能できる3種の湯は以下の通り!
[温泉2.渋長寿湯]源泉100%(加温・加水なし、放流式)、約31度※男湯のみ足元湧出
[温泉3.渋御殿湯]源泉使用(加温あり)、約42度
[利用時間]宿泊客の利用は6時~22時
1日目17時:初日をしめくくる食事&ゴロゴロ時間
温泉に心ゆくまで浸った後は、山の幸で栄養補給

温泉に浸かったあとは、意外に体力を消費しているので30分~1時間は部屋で横になって休みましょう。夕食は17時~18時と早めだから、15時にはチェックインして湯浴み→休憩→夕食の流れがいいですね。
夕食後はお腹もいっぱいだし、温泉も堪能しているし、あとは何もすることがないという贅沢な夜──。8月だというのに涼しくて、毛布にくるまってぬくぬく。駅前で購入した本をパラパラめくってはウトウト。満天の星空が美しいスポットなので星座の本まで買ったのに、22時に寝落ちしてしまいました。
2日目6時:早朝起床、「渋御殿湯」の朝風呂でウォーミングアップ
「御射鹿池」「おしどり隠しの滝」散策もおすすめ
翌朝、鳥より早く起きて部屋でのんびり。何だか夏の蓄積された疲れから解放された感覚。温冷交互浴やのんびり冷温泉浴のお陰でしょうか。「渋御殿湯」も「渋長寿湯」も硫化水素型の硫黄泉で、適応症に「末梢循環障害」とあります。きっと体の隅々までよくほぐれたのでしょう。
6時になったら一番風呂を目指して「東の湯」へ。温かい「渋御殿湯」に浸って体をほぐし、ウォーキング前の準備運動としましょう。足浴だけでも筋肉痛防止になるそうですよ。

7時には食堂で朝食を。山菜、生卵、のりなどシンプルなおかずでご飯が進み、ついつい3杯!「ご馳走様でした」

チェックアウトはプランにより9時~9時30分。宿泊費は現金精算なので、忘れずに現金を持ってきましょう!私は最後に近隣を散策してバスに乗り込みました♪
ちなみに……今回は行けなかったのですが、宿から歩いて約1時間の場所に、絵画のモチーフとしても知られる「御射鹿池(みしゃかいけ)」があるので、立ち寄るのもおすすめです。


約4kmの道のりで朝のウォーキングにちょうどよさそう。湯みち街道を進んでいくと、通り沿いに水辺の景色が広がります。さらに10分ほど歩くと渋川の最上流に「おしどり隠しの滝」も。チャツボゴケの群生に水が流れ落ちる涼しい絶景をぜひ堪能してください。
事前に知っトクポイント
2日目11時45分:バスに揺られて茅野駅に到着
期間限定の“寒ざらししたそば”で旅を締めくくる
帰りは「御射鹿池」から徒歩10分ほど戻った所にある「明治温泉入口」で、JR茅野駅行のバスに乗車。「10時58分発」を逃すと次は15時台!時刻表は変わる可能性もあるので、必ず事前にチェックしましょう。
バスに乗り込み、車窓の景色は緑の山並みからだんだんと市街地へ。渋滞による遅延もあって、お昼前に茅野駅に到着しました。ちょうど、冬に寒ざらししたそばを夏期限定でいただける時期だったので、そば店に立ち寄ってから帰路へ。避暑地の絶景、温泉、山の食が、夏の疲れた心身を爽やかにクールダウンしてくれる旅となりました。
通な温泉宿「渋御殿湯」へのアクセス
ハイシーズンはバス利用もおすすめ
登山家に愛される温泉とあってアクセスも少々複雑。今回調べた情報も記載してみたのでぜひ参考にしてください。
[ハイシーズン]8月や10~11月の紅葉の時期は、「白駒の池入り口有料駐車場」は満車になり駐車待ちの列ができる日も。ハイシーズンはバス利用がスムーズな場合もありますが、季節限定運行(2026年は7月18日~10月25日)で1日の本数も少ないので必ず事前にチェックしましょう。
[冬期]冬期間11月~4月はスタッドレス装着が必須です。4WD車以外はチェーンの携行をお忘れなく。
※この記事は2026年9月21日時点での情報です。休業日や営業時間など掲載情報は変更の可能性があります。
※掲載されている情報や写真については最新の情報とは限りません。必ずご自身で事前にご確認の上、ご利用ください。
※掲載の価格は全て税込価格です。
※宿泊する場合、各自治体が独自に実施している宿泊税や入湯税が別途かかることがあります。詳細は各宿泊施設にお問合せください。
※大浴場など、施設の許可を得た上で撮影を行っております。
じゃらん編集部
こんにちは、じゃらん編集部です。 旅のプロである私たちが「ど~しても教えたい旅行ネタ」を みなさんにお届けします。「あっ!」と驚く地元ネタから、 現地で動けるお役立ちネタまで、幅広く紹介しますよ。

チェックインした客室の様子











