麺や 七彩 【八丁堀】
未だ、追随者なし。厨房内での麺づくりは必見の価値あり
2015年の七夕の日に八丁堀の地にオープン。
厨房の中で、注文を受けてから麺を打つスタイルを頑なに貫く同店は、やはり、都内のラーメンシーンにおいて特筆に値する存在だ。
注文の都度、かん水・水・塩が入ったボウルに小麦を投入。丹念に手でこねて作った麺生地を棒で引き延ばし、麺切り包丁で切り分ける。その後、更に全身全霊を込めて手揉みを施すのだから、その手間ひまの掛け方たるや、並大抵のものではない。
このような過程を経て完成した麺は、木綿のような食感が、味覚とともに食べ手の触覚を根底から揺さぶる、究極のハンドメイド。この麺と合わせるスープもまた、文句の付けようのない高水準。
東京駅近傍という立地の便も加味すれば、足を運ばないという選択肢はない。
東京都中央区八丁堀2-13-2
【月曜~金曜】11時~15時30分、17時30分~22時30分【土曜・日曜・祝日】11時~21時
毎月第3火曜日
上野・葛飾・江戸川・江東・墨田エリア
自家製麺中華そば 多繋 【上野】
下町・上野でクラシカルな「中華そば」を啜る粋
ロケーションは、上野駅から徒歩約3分。至便な立地が嬉しい『多繁』は、2018年4月にオープン。
醤油ベースの「醤油そば」、塩ベースの「海老薫る白だしそば」等があるが、初訪時には、まず「醤油そば」を頼みたい。
着丼した瞬間から濃褐色のスープから立ち上る節系魚介の芳香に、食べ手は思わず忘我の境地に。
食べ口も実に良好。節の枯れた和風味を余すところなく表現したスープは、動物系出汁の堅固な支えもあり、一気に食べさせるだけの牽引力を有する。
麺も、口内でパツンと弾けるような食感が印象的なストレート。出で立ちはオーソドックスでありながら、随所に作り手の趣向が凝らされた良杯だ。
東京都台東区東上野3-22-2 クレアツィオーネ上野 1F
【月曜~金曜】11時~16時、18時~20時頃【土曜・祝日】11時~15時
日曜
手打式超多加水麺 ののくら 【亀有】
舌を巻くほど丁寧に創られた、亀有のニューホープ
店主は、都内の実力店『九段斑鳩』の出身。
オープン当初は、「中華そば(醤油)」と「中華そば(塩)」のみの提供だったが、現在は、「油そば」が新たにメニューに加わり、ラインナップの充実が図られた。
中でも、特にオススメなのが「中華そば(醤油)」。スープは、4種の煮干し・鰹の削り節・うるめ節・昆布等から採った魚介出汁と、老鶏の丸鶏・鶏ガラから採った出汁をブレンド。タレは、生揚げ醤油に本味醂の甘みを寄り添わせ、力強く仕上げる。
スープに合わせる麺は自家製。強力粉を駆使し、55%の加水率を誇る超多加水麺を実現。
麺・スープともに一切の妥協なし。経験豊富なマニアさえ舌を巻くほどのこだわりようだ。
東京都葛飾区亀有3-11-11マーベラス大協ビル1F
【昼】11時30分~14時【夜】18時30分~21時※売切れ終了の場合あり
日曜、月曜
ひよこプリン 【平井】
豆乳と香味野菜が織りなす風味と舌触りは、極上の極み
10年以上の長きにわたり、東京東部エリアのラーメンシーンを牽引し続けてきた名店『めんやもも』。『ひよこプリン』は、そんな実力店の店主が、『もも』の閉店から4年の歳月を経て立ち上げた実力店だ。
いずれのメニューも優秀だが、オススメは「豆乳」を用いた「白らーめん」。スープは、鶏&香味野菜の持ち味を活かした出汁と、薄口醤油を巧みに織り込んだカエシとを、縦横無尽に掛け合わせたもの。香味野菜は、出汁のみならず、トッピングにもふんだんに添えられ、自然味豊かなうま味を演出する。
しっかりと風味の土台を築く豆乳の働きも躍如。啜れば啜るほど、身体中の細胞に活力がみなぎってゆく。
東京都江戸川区平井3-16-11-103
11時~14時30分、17時~21時
毎週火曜、第1・3水曜
亀戸煮干中華蕎麦 つきひ 【亀戸】
城東エリアのニボラーシーンに革命を引き起こした、超人気店
店主は、都内の有名店で腕を磨いた後、現在もなお、煮干しラーメンを手掛ける数多の名店主と切磋琢磨し合う実力派。
レギュラーメニューの「中華蕎麦」&「濃厚蕎麦」をはじめ、煮干しを駆使したメニュー群を引っ提げ、日々行列と対峙する。どちらのメニューの完成度も高いが、特に「濃厚蕎麦」は絶品中の絶品。
10kgの丸鶏と大量の背脂を2日間かけて徹底的に炊き込んだ動物系出汁に、ウルメ、セグロ、イリコ等の煮干しの滋養味のみを正確無比に切り出した魚介出汁をブレンド。芳醇な煮干しと濃密な鶏の風味とが、衝突せずに魅力を引き立たせ合う会心の構成だ。
パツンと歯切れが良い中細ストレート麺を配し、スタイリッシュな食べ口を演出するなど、センスの良さもキラリ。
東京都江東区亀戸5-13-2亀戸横丁内1階
【日祝】11時30分~スープ切れ終了(大体16時前くらい)【火~土】昼の部11時30分~14時30分(水金は13時50分前後迄) 夜の部18時~21時(スープ切れ終了)
月曜(祝日でも休み)
支那そば しんば 【門前仲町】
目立たぬ場所に潜む、淡麗ラーメンの佳店

由緒正しい寺社が鎮座する門前仲町の地に佇む、押しも押されもせぬ人気店。
「支那そば(醤油らーめん)」と「白だしそば」。2種類の醤油ラーメンを用意し客の訪れを待つ。
魚介系と動物系のスープを提供直前に掛け合わせる、Wスープ方式。もちろん、メニューに応じてそれぞれのスープの比率を変えるなど、押さえどころはしっかりと押さえている。
味の要となるカエシにも、妥協はない。全国各地の醤油を徹底的に吟味し、「支那そば」と「白だしそば」とで、用いる醤油を巧みに使い分け。
食べ始めは、カミソリのようなキレ味。食べ進めるにつれ、スープ中の各素材が結合を開始し、ふくよかさとコクが一気に増幅。
造り込まれた味わいの起・承・転・結を前に、食べ手は丼を空にするほか術がない。
東京都江東区富岡1-22-26 杉田ビル 1F
11時~22時
無休
こうかいぼう 【門前仲町】
未だ色褪せない、動物&魚介ラーメンの名作
創業は2001年10月と、約20年前にまで遡るが、現在も行列店として繁盛し続けている名店。
提供するメニューは「らーめん」と「つけめん」の2種類のみ。闇雲に手を広げず頑なにメニューを絞り込む姿勢に好感が持てる。
数多くのラーメン店で実食を重ね、「毎日食べられるラーメン」を目指した店主が手掛ける1杯は、口に含んだ瞬間、身体中の細胞に栄養分が行き渡るかのようなフルボディの味わいが印象的。
豚ゲンコツ・鶏ガラに、煮干し・鰹節・サバ節を絶妙な塩梅で合わせ、じっくりと丁寧に炊き上げたスープは、滋味豊かな香味野菜の後押しも相まって、意識することなく飲み干せてしまう絶品。
21世紀初頭に誕生したとは思えない程の完成度の高さだ。
東京都江東区深川2-13-10 ニックハイム深川 1F
【月曜・火曜・木曜・金曜】11時~15時、17時~18時30分【土曜・祝日】11時~15時※売切れ次第終了
水曜・日曜※祝日でも休み
中華そば 満鶏軒 【錦糸町】
鴨と水だけで紡いだスープが切り拓く、淡麗ラーメンの新時代
東京のラーメンシーンを代表する「鮮魚ラーメン」の実力店『麺魚』のセカンドブランドが、こちらの『中華そば 満鶏軒』。
和食の世界で腕を磨いた経験を活かし、「鴨」と「水」のみでスープを紡ぎ出す。
「鴨が持ち合わせる豊かな魅力を、ありのままの形で表現したい」と、同店を始動させるに当たり、スープを作るための工場を開設するほどのこだわりよう。
熟練の職人が1羽1羽手作業で鴨を捌き、6時間かけて弱火でじっくりと炊き込んだスープは、鴨の滋養味を余すところなくフィーチャーした絶品。仕上げにフォアグラ油を数滴垂らし、鴨の風味を一層増幅させるなど、ギミックも冴えわたる。
東京都墨田区江東橋2-5-3
11時~21時
無休
池袋・文京・板橋・赤羽・北エリア
カネキッチンヌードル 【東長崎】
圧倒的な技量を引っ提げ、目指すは都内を代表する淡麗ラーメンづくり

店舗の場所は、西武池袋線東長崎駅から徒歩2分もあればアクセス可能な好立地。
看板メニューは「醤油らぁめん」。
錚々たる名門醸造所の醤油をブレンドしたタレは、豊潤な香りと奥深いコクをキープしながらも、小気味良い食べ口を実現すべく鋭い切れ味を演出。
「コク」と「切れ味」を仲睦まじく並び立たせる技量は、これまで店主が積み重ねてきた研鑽のたまものだ。
名古屋コーチンの丸鶏と阿波鶏の胴ガラを惜しげもなく使用し、昆布・香味野菜のうま味を折り重ねたスープも、舌先に触れる度に鶏の羽ばたきが聞こえるような気がするほど、豊満なボディラインを誇る。
東京都豊島区南長崎5-26-15 マチテラス南長崎 2F
【金曜~火曜】11時30分~15時、18時~21時※木曜日 ニボキッチンヌードルとして煮干しらぁめんのみの営業
水曜
中華蕎麦 にし乃 【本郷三丁目】
大人の街・本郷に相応しい、地に足が付いた味わい
和食の世界で研鑽を重ねた店主が満を持して世に送る、上北沢の人気店『らぁめん小池』の2ndブランド。
大人の街・本郷のイメージに合わせ、小手先の技術に頼らない、長きにわたって愛され続けるラーメンを提供。価格を抑えるため、ブランド素材や銘柄素材ではなく、身近な素材だけで味を構築している。
スープは、白醤油・薄口醤油をブレンドしたタレと、大量のカタクチイワシ・昆布に椎茸の足を加えた出汁、アサリ出汁、鶏・豚から採った出汁とを、提供する直前に合わせたもの。
雑味を徹底的に排除することで、ひと口啜っただけで目が醒めるような、明瞭かつ上質なうま味を実現。随所に店主ならではの創意工夫が光る名品だ。
東京都文京区本郷3-30-7熊野ビルB棟101
【月曜~金曜】11時30分~15時、18時~21時【土曜・日曜・祝日】11時00~15時、18時~21時
無休
田中 一明(たなか かずあき)
通称「ラーメン官僚」。ラーメン食べ歩き歴20年以上、実食杯数は11,000杯以上に及ぶ。直近の数年間は、毎年700杯~800杯のラーメンをコンスタントに実食。2016年現在、日本でラーメンシーンの「今」を最もよく知る人物。