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400超の温泉を訪れたマニアが考える“いい温泉”の定義

2020.07.12

ひとり旅はもちろん、ひとりカラオケ・ひとり焼肉など最近では「おひとりさま」も楽しめることが増えてきていますね。でも「ひとり〇〇を経験してみたいけど、どう楽しんだらいいかわからない」そんな方もいると思います。

そこで温泉オタクの永井千晴さん(@onsen_nagachi)に“ひとり温泉旅行”の楽しみ方を教えていただきました!永井さんは、ひとり温泉旅行に関する書籍も進行中とのこと(詳細は発売が見えてきたら告知します!)。

毎月、連載で少しずつ“ひとり温泉”を楽しむヒントをお伝えしていけたらと思います。

\過去の記事はこちら/
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ひとり温泉旅の“むりしない”1泊2日旅行計画

記事配信:じゃらんニュース

温泉旅行に行くとき、どうやって「浸かる温泉」を選んでいますか?

露天風呂からの景色がきれいみたいだから。雑誌で風情ある浴場の写真を見かけたから。お肌がつるつるになったというクチコミが書かれていたから……。さまざまな理由がありますが、中でも温泉ファン(私)はひとつの “視点”を大事にしています。

もちろん、その視点はあくまで私の思想によるもので、正しいわけではありません。でも、たくさんの温泉を浸かったことがある温泉ファンであれば共感してくれるはずの内容です。

新型コロナウイルスの状況がもうちょっと落ち着いて、気軽にお出かけできるようになったら、温泉ファンの一意見として参考にしてみてください。

温泉にとって、一番大事なのは鮮度だと思っています

私にとって“いい温泉”は、「個性のわかる温泉」です。

例えば、肌触り。この世には、ぬるぬる、とろとろ、ペトペト、さらさら、パリパリ、キチキチといったさまざまな浴感の温泉があります。そして、くんくん嗅いでみると、鉄のにおいやダシのにおい、土のにおい、草のにおい、硫黄のにおいなどなど、刺激的なにおいがする温泉もあって。濁った色をしていたり、ぷくぷくと温泉が湧く音が聞こえたりと、五感で個性がわかる状態の温泉を“いい”と考えています。

マニアが考える“いい温泉”の定義
私にとってぶっちぎりの“いい温泉”(青森県・古遠部温泉)
マニアが考える“いい温泉”の定義
めちゃシンプルな湯船だけど、実はすごい石油くさい温泉(新潟県・新津温泉)

そして、個性がわかるかどうか、一番大事になるのが「鮮度」。温泉の鮮度ってなんじゃそりゃ、と思われるかもしれません。でも、世の温泉ファンはよくよく言うのです、「温泉はナマモノ」と。湧いた瞬間から酸化して、色やにおいが変わり、次第に個性がわかりにくい状態へ向かっていきます(例外もあります)。だから、「湧きたて」が一番良いぞ、と私も考えています。

鮮度のいい温泉の見分け方

超かいつまんで鮮度のいい温泉の特徴をあげると、
1:自然に湧いている温泉で、
2:施設のすぐ近くで湧いていて、
3:自家源泉で、
4:たくさん温泉が湯船に注がれていて、
5:湯船は大きすぎず、
6:源泉かけ流しの状態

が、サイコーです。

ちょっと専門的な話になりますが…、

1は、人工的にボーリング(掘削)していない状態のこと。

2は、温泉が湧いている場所が施設から遠いと、パイプでつないで「引湯」をする必要があるため、近いほうがいいと考えています。引湯の距離が短ければ短いほど、運ぶ時間も短くなり、酸化を防げる可能性が高いからです。

3の自家源泉は、施設が源泉を所有していること。旅行組合や自治体が源泉を管理していると、湧いた温泉をタンクに貯めて、各施設に「分湯」するシステムをとっている場合があります。

4は、温泉の投入量が多ければ多いほど、湯船に貯まっている温泉が新鮮だということ。

5は、湯船が小さいほど温泉の回転率(古い温泉が流れる率)が高いこと。

6は、温泉が湧いた状態からほとんど加水・加温・濾過など加工がなされていないこと。

これらの視点で、温泉ファンは鮮度を測っています。

でも、すべての項目をクリアするとなると、ほとんどの温泉は“脱落”します。先に書いたような「分湯」は、温泉が枯れないようにする保護の視点から言えばすばらしい取り組みですし、掘削して今まで存在しなかった温泉に浸かれるようになったのも本当に良いことです。温泉の湧出量が少ないがゆえに源泉かけ流しにできない施設もたくさんあります。そういったさまざまな妥協と苦労も考慮しながら、どんな温泉も楽しめるのが一番だとも考えています。

マニアが考える“いい温泉”の定義
白く濁ったさっぱり酸性泉が心地よい(福島県・岳温泉)

例えば、山腹に湧く源泉を8km離れた温泉街までパイプで引く、福島県の岳温泉。山で湧いた熱い温泉をゆっくり冷ましながら運んでいるから、加水することなく適温で浸かれます。運ばれる最中に湯もみされ、濃厚な湯もやわらかくなっているのだとか。引湯にはこんな効果もあるので、一概に「源泉が近いから良い、遠いからだめ」とは言えないのです。

源泉かけ流しはサイコーだけど、それ以外がだめなわけじゃない

源泉かけ流し、とよく言いますが、その解釈はさまざま。一般的には「加水」「加温」「循環ろ過」「消毒」などといった、温泉への加工がなされていないものをかけ流しと称します。ですが識者によっては、一部加工がされていても“源泉かけ流しと称してOK”とする場合もありと、境界線があいまいなものなのです。

加工がされていない分、鮮度がよく、個性のよくわかる状態になっているので、私もすごく源泉かけ流しが好きです。というか基本的には、源泉かけ流しだけを目指して温泉旅行をします。やっぱり、ナマの状態を五感で味わいたいですから。

でも、源泉かけ流し以外がだめとは思いません。特に、成分が濃すぎるために希釈をする加水や、源泉を適温にするための加温は、私にとっては「源泉かけ流し」の範囲です。

循環ろ過・消毒している温泉だって、
・温度をいつも適温に保てる
・湯が清潔である
・大きな湯船に常に湯を満たせられる
などのメリットもあります。塩素のにおいをさせないためにさまざまな工夫を凝らしている施設も少なくありません。そういった面を無視して、「循環だから一律だめ!」と考えるのは、ややもったいないように思います。源泉かけ流しにも、循環にも、それぞれによさがあるのです。

マニアが考える“いい温泉”の定義
熱すぎるときは水で薄めますしね(北海道・川湯温泉)

「白くて濁った湯」以外も愛そう

白く濁った温泉は、見た目もにおいも「温泉っぽさ」がピカイチで、とっても人気です。でも、濁っていなくてもいい温泉はたくさんありますし、色は一概に「効果」や「成分の濃さ」を測るものではありません。

温泉ファンとしては、白濁以外もぜひ候補に入れてもらいたいです。茶褐色、深緑色、灰色、黒色などなど、温泉の色はバラエティ豊か。もちろん、無色透明でもこんなに個性的なのか!と驚く温泉もたくさんあります。

温泉に求める見た目や個性の幅を広げると、ぐっと選ぶ楽しさが広がります。大切なのは、自分にとっての「いい温泉」を見つけて、深めていくこと。そして、「いい」から外れてしまった温泉の良い面も知ること。博愛の精神で温泉旅行に出かけていただけると、とっても嬉しいです。




■プロフィール

永井千晴(ながち)

永井千晴(ながち)
温泉オタクな会社員。訪れた温泉は400超。普段はCHOCOLATE Inc.でプロデュース業をしています。元じゃらん編集部員。
Twitterアカウント @onsen_nagachi

※この記事は2020年7月時点での情報です。休業日や営業時間など掲載情報は変更の可能性がありますので、事前に公式ホームページなどで最新の情報をご確認ください。
※お出かけの際は、お住まいやお出かけされる都道府県の要請をご確認の上、マスクの着用、手洗いの徹底、ソーシャルディスタンスの徹底などにご協力ください。

じゃらん編集部  じゃらん編集部

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