花まつり・灌仏会(かんぶつえ)とは、華やかな花御堂に安置された誕生仏に甘茶をそそぐことで仏を供養し、子供達の健康を祈る仏教行事のこと。一般的に、お釈迦様生誕の日とされる4月8日に行われます。
起源やお祭りで行われる伝統行事の意味、京都や和歌山のお寺など、日本仏教会がおすすめする見応えのある花まつりイベント情報も♪
※この記事は2021年1月18日時点での情報です。休業日や営業時間など掲載情報は変更の可能性があります。日々状況が変化しておりますので、事前に各施設・店舗へ最新の情報をお問い合わせください。
花まつり・灌仏会(かんぶつえ)とは
花まつり・灌仏会とは、お釈迦様の誕生を祝う仏教行事のこと。
キリスト教でイエス・キリストの誕生を祝うのがクリスマスであるのと同じで、仏教ではお釈迦様の誕生を祝うのが花まつり、ということになります。
「花まつり」として知られるお祭りの正式名称は、「灌仏会(かんぶつえ)」。
“仏に灌(そそ)ぐ”ことから「灌仏会」と名付けられ、降誕会(ごうたんえ)、仏生会(ぶっしょうえ)、浴仏会(よくぶつえ)、竜華会(りゅうげえ)、花会式(はなえしき)ともいわれます。
「承和七(840)年四月八日に、清涼殿にしてはじめて御灌仏の事を行はしめ給ふ」との記録が残っており、その起源は平安時代までさかのぼるといわれています。また、花まつりの名称は明治時代に浄土宗が採用したものと推定されています。
花まつり・灌仏会はいつ?
お釈迦様生誕が4月8日とされているため、花まつり・灌仏会はこの日に開催されるのが一般的。
ただし、旧暦の4月8日や月遅れの5月8日に開催するお寺もあり、地域によって異なります。主に関東地方では4月8日、関西地方では5月8日に開催される事が多いといえるでしょう。
また、4月第1週末開催の東京都・池上本門寺、5月開催の福井県・永平寺など、地域の方々が参加しやすい日に設けているお寺もあります。
“お釈迦様の誕生日をお祝いする仏教行事”と聞くと身構えてしまいそうですが、厳格な作法はありません。
日本各地や地域で開催されているので、日程を調べて参加してみましょう!桜の時期であるため、見頃と重なるとより一層お祭りが盛り上がりますよ♪
花まつり・灌仏会ではお寺でどんなことをするの?
お寺で開催される花まつり・灌仏会では、さまざまな伝統的行事が行われます。
参拝者がどんなことをするのか、その意味や由来をご紹介します。
「花御堂(はなみどう)」に誕生仏を安置する
この日のために作られた小さな御堂(※仏像を安置した堂のこと)である花御堂に、右手で天を指し左手で大地を指した誕生時のお釈迦様をかたどった彫像・誕生仏(たんじょうぶつ)を安置します。
これは華やかな色や香りを持つ花によって仏を供養するという意味があり、花御堂は色とりどり華麗に飾られます。
仏が歩く道に花をまく散華(さんげ)と呼ばれる行いになぞらえたものです。
参拝者が誕生仏に「甘茶(あまちゃ)」をかける
花御堂に安置された誕生仏に、参拝者が甘茶をかけます。
こうすることで、体を洗い清め、子どもの身体健全や諸願の成就を願います。甘茶をかけることは、昔虫よけやまじないにも使われたそう。
花まつり中、お寺によっては甘茶を振舞ってくれることもありますが、そもそも甘茶って何?と思う方も多いでしょう。甘茶とはアマチャの木から作られた、独特な甘さのあるお茶のこと。
“ストレートの紅茶に砂糖を加えたような上品な味わい”と表現する方もいるとか♪ぜひ味わってみてくださいね。
「稚児行列(ちごぎょうれつ)」を行うお寺も
稚児行列とは、平安装束モチーフの衣装を着た子供達が行列を作り、街を練り歩く行事のこと。お寺によっては、花まつりに稚児行列が開催されるところもあります。
生きとし生けるものである衆生(しゅじょう)に教えを授けて下さったお釈迦様の生誕に対する感謝や、そのご利益をいただくことで、子供達の発育の祈願をします。
稚児行列は、花まつり・灌仏会以外のお寺の行事で行われることもあります。参加したい方は、事前に申し込みをしましょう♪
行列などで見られる「白い象」の意味は?
お寺によって、白い象の置物が登場することがあります。大きさはさまざまで、大きな象の背中の上に花御堂を乗せていることも♪
白い象が神聖な動物として扱われている理由は、お釈迦様の母である摩耶夫人が“夢の中で六本の牙を持つ白い象を見た”ことでお釈迦様を懐妊したといわれていることから。
白い象がお釈迦様を運んできた、と信じられていることに由来しています。
また、白い象は雨を表し、五穀豊穣を意味するともいわれています。
日本各地の花まつり
東本願寺「真宗会館」【東京都】
例年4月第1土曜日・日曜日に開催される、東本願寺「真宗会館」の花まつり。
2021年は、4月3日(土)10時~15時30分、4月4日(日)10時~12時の開催を予定しています。
4月3日は“ホンモノをホンキで遊ぶ”をテーマに、表現型体験ワークショップや各種ワークショップを開催予定!(新型コロナウイルス感染症の影響により、事前申し込み制です)
仏様にお供えされたお菓子「お寺おやつ」のプレゼント、写真を撮影して投稿する「みんなのヨリドコロプロジェクト-Instagramフォトコンテスト」の開催も予定されているとのこと♪
4月4日は、オンラインでも参加できる「仏さまのお話」を聞き、人と生まれたことの意味を考える法要も開催予定です。
詳細は「みんなのヨリドコロプロジェクト特設ページ」をご確認ください。
※例年開催している「お寺de親子ライブ」は、2021年は実施しません
※新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、開催に関しては公式HPで順次更新予定です
日蓮宗大本山池上本門寺【東京都】
例年、4月第1土曜日・日曜日の両日に日蓮宗大本山池上本門寺で開催される春まつり。
本門寺を中心に、池上の街が一体となって春の訪れを慶ぶイベントです。
重要文化財である五重塔は年に一度の特別開帳が行われ、甘茶の振る舞いや、子供達による花まつりパレードも実施されます。桜の開花時期と重なれば、より春の訪れを感じられそうですよ♪
※新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、2021年は開催未定です。開催に関しては公式HPで順次更新予定です
龍谷山 本願寺(西本願寺)【京都府】
例年4月7日、8日の10時~16時に開催されている浄土真宗本願寺派の本山 本願寺の花まつり。
花御堂や白い象が設置される他、お釈迦様の顔出しパネルやトリックアートの撮影コーナーも登場します。(御影堂門前にて行います)
また、甘茶や花まつりドロップ、花まつり絵ハガキの配布もお楽しみに♪(数に限りがあります)
※新型コロナウイルス感染症の影響で、2021年は内容が変更になる可能性があります。開催に関しては公式HPで順次更新予定です
総本山智積院【京都府】
例年、「仏生会」という名称で4月8日10時より開催される総本山智積院の花まつり。この行事では誕生仏に甘茶をそそぎ、お釈迦様の誕生をお祝いします。
また、例年4月第1日曜日または第2日曜日には、子供達の健やかな成長をお祈りする「智積院こども花まつり」も開催しています。
若手僧侶によるスクリーン紙芝居を観賞したり、腕輪念珠を作成したりすることもできますよ♪
※新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、2021年は一般の方の参拝中止または規模縮小での開催、開催中止の可能性があります。開催に関しては公式HPで順次更新予定です
高野山真言宗 総本山金剛峯寺【和歌山県】
例年4月8日9時より金剛峯寺大広間で開催される、仏生会。
式師と呼ばれる方が、お釈迦様の誕生から涅槃(ねはん)までを独特な節に乗せながら奉読する「仏生会講式」が行われます。
また、法会の締めくくりには、山内住職の方々が灌沐(かんぼく)という作法でお釈迦様に甘茶をそそぎ、供養をするのが恒例。
当日は高野山寺族婦人会の方から、参拝者の方々に甘茶が振る舞われます。
※新型コロナウイルス感染症の影響で、2021年は一部内容変更の可能性があります。開催に関しては公式HPで順次更新予定です
【監修/全日本仏教会】
日本が誇る仏教文化を広く知ってもらうため、さまざまな事業や活動に取り組む団体。各国の諸宗教とも協力して、世界平和に貢献中。
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