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2024.02.19

【八十八夜とは】お茶が美味しい新茶の季節!2024年はいつ?

八十八夜とは、立春から数えて、88日目にあたる日のこと。「夏も近づく八十八夜…」と歌われるように、ちょうど新茶が出回る季節です。

初物(はつもの)のお茶を飲むと、1年間無病息災で過ごせるとの言い伝えもあるそうですよ。この記事では、そんな八十八夜のいろいろや、日本各地のお茶の名産地までご紹介します。

八十八夜とは

(写真提供:写真AC)
(写真提供:写真AC)

八十八夜とは、立春を1日目と数えて、88日目にあたる日のこと。

現代の暦か旧暦かにかかわりなく、毎年ほぼ一定であることがポイントです。

日本では長く、月の満ち欠けをもとにした太陰太陽暦(旧暦)が使われてきました。旧暦は季節とずれやすいため、農業の目安とするには不便な点もあったようです。

そのため、太陽の動きを基準にした「二十四節気」や、日本の気候風土を上手に言い表した「雑節(ざっせつ)」という暦日が使われてきました。入梅(にゅうばい)、土用、二百十日、八十八夜などが雑節です。

雑節は日本人の経験から生まれた、生活の知恵。八十八夜は毎年、5月の初め。春から初夏へと移り変わる季節です。

「八十八夜の別れ霜」といわれ、この日までは遅霜(おそじも)に注意が必要でした。逆に言えば、この日からは農作業本番。種まき、田植えと、農家さんは忙しくなります。

2024年の八十八夜は5月1日(水)

(写真提供:写真AC)
(写真提供:写真AC)

2024年の八十八夜は、5月1日(水)です。八十八夜は立春から数えるので、立春が動けば八十八夜も変動します。

また、うるう年には、途中に1日加わるので、1日早くなります。毎年だいたい2日間の間に収まります(まれにズレるときもあります)。

  • 2022年~2026年の八十八夜

  • 2024年 5月1日(水)

  • 2025年 5月1日(木)

  • 2026年 5月2日(土)

八十八夜は新茶の季節

(写真提供:写真AC)
(写真提供:写真AC)

なぜ八十八夜といえば新茶なのでしょう?

お茶の葉は、1年に3~5回の収穫が可能です。中でも最初に収穫される「新茶」がもっとも美味しいとされています。甘み・旨み成分であるテアニンが、二番茶以降の3倍以上も含まれているとか。

新茶の収穫は、タイミング勝負。お茶は、発芽する前は寒さに強いのですが、発芽後は急に霜に弱くなります。また、伸びれば伸びるほど、テアニンの含有量も減っていきます。
かといって早すぎると、ほとんど収穫できない…という結果に。

農家さんは、成長の具合や、季節の進み具合を見極めて一気に収穫します。八十八夜はまさにそのタイミング。

(写真提供:写真AC)
(写真提供:写真AC)

現代では収穫が早めの鹿児島から、遅めの滋賀・奈良県まで、だいたい4月上旬から5月中旬にかけて新茶を収穫します。

八十八夜のころが新茶収穫のピークであることは、今も昔も変わらないようです。

日本のお茶の名産地

ここからは、生産量が多い順に、日本のお茶の名産地をご紹介します。
※お茶の生産量は、農林水産省令和元年産作物統計における「荒茶の生産量」に基づいています。

静岡県

(写真提供:公益社団法人 静岡県観光協会)
(写真提供:公益社団法人 静岡県観光協会)

お茶生産量第1位は、静岡県。統計の残る昭和30年代からずっとトップです。

静岡茶、川根茶、掛川茶、東山茶…など、さまざまなブランドがあります。煎茶の中でも高級な、2倍の時間をかけて蒸す「深蒸し煎茶」が生産量の多くを占めています。

富士市大淵地区の「大淵笹場」は、電線の入らない茶園越しの富士山が見られる絶景スポット!

JR富士駅から「曽比奈・曽比奈上」行バスに乗り、曽比奈下バス停で降りて、徒歩20分(約1.2km)で行くことが可能。観光用の駐車場もあります。

鹿児島県

(写真提供:公益社団法人 鹿児島県観光連盟)
(写真提供:公益社団法人 鹿児島県観光連盟)

1位の静岡県に迫る勢いの生産地が鹿児島県。でも栽培面積は半分程度。鹿児島県のお茶生産には特徴があります。

写真のように、山の斜面でなく、広々とした平地一面に茶畑が広がります。赤いテントのようなものは、人が乗り込んで一気にお茶を刈る「乗用型茶摘採機」。自動化が進んでいるのですね。

県西南部の薩摩半島が一大産地。茶畑の向こうには、「薩摩富士」と呼ばれる開聞岳(かいもんだけ)が眺められます。

南九州市にある「大野岳展望台」からは、一面に広がる茶畑と、美しい開聞岳を同時に望むことが可能。指宿スカイライン「頴娃(えい)IC」から15分で行くことができます。

三重県

(写真提供:四日市市)
(写真提供:四日市市)

お茶生産量全国3位の三重県。その中でも、「かぶせ茶」の生産量に関しては1位です。

かぶせ茶とは、収穫前の1週間、ワラなどでお茶の木を覆い、日光をさえぎって育てた高級品。渋み成分のカテキンが減り、旨み成分のテアニンが増えるのです。

四日市市や鈴鹿市の茶畑に行くと、背の高い「扇風機」を見ることができます。これは一番茶の時期、霜の害をふせぐためのもの。まさに新茶のクオリティのためだけの設備です。

そんな「伊勢茶」は高品質でありながら、製品前の段階でブレンドされ、他の産地名で売られることが多いのだとか。日本のおいしいお茶を陰で支える、縁の下の力持ちです。

宮崎県

(写真提供:公益財団法人 宮崎県観光協会)
(写真提供:公益財団法人 宮崎県観光協会)

全国4位の生産量で、「釜炒り茶」の生産量に関しては1位なのが宮崎県です。

釜炒り茶とは、収穫した生葉を熱処理するとき、蒸さずに、回転するドラムで炒ったお茶のこと。釜香(かまか)という香ばしい香りが生まれるのが特徴です。

県中部にある川南町は、海のそばまで茶畑が一面に広がるエリア。顔を上げると日向灘が見える絶景スポットです。

川南町には「川南茶畑古墳群」があり、茶畑のあちらこちらで小高く盛り上がった4~6世紀の古墳を見ることができます。

京都府

(写真提供:写真AC)
(写真提供:写真AC)

「玉露」および「てん茶」の生産量において、全国1位なのが京都府です。

玉露とは、新芽が開くとすぐ茶園全体をワラやヨシズでおおい、3週間も日光をさえぎって育てる最高級品。旨みが濃く、海苔のような覆い香(おおいか)が生まれるのが特徴です。

てん茶とは、抹茶を石臼などで細かく挽いて作る直前の状態のお茶。抹茶はもちろん茶道のお点前用です。玉露もてん茶も京都らしいですね。

京都府産のお茶の9割が、南部の山城地域で生産されています。宇治田原町(うじたわらちょう)、和束町(わづかちょう)などでは、山あいに美しく整えられた茶畑を見ることができます。

季節によっては、茶畑が黒く覆われているのも見ることができます。

【記事出典・参考】
農林水産省令和元年産作物統計

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※この記事は2024年2月21日時点での情報です。休業日や営業時間など掲載情報は変更の可能性があります。
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ミキティ山田  ミキティ山田

旬な話題を求めて、いろいろな場所を取材・撮影する調査員。分厚い牛乳瓶メガネに隠したキュートな眼差しでネタをゲッチュー。得意技は自転車をかついで階段を登ること。ただしメガネのせいでよく転びます。

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