土用といえば「土用の丑の日」が浮かぶ人も多いのでは?実は土用期間は、立春、立夏、立秋、立冬の前の18日間。年に4回、季節ごとにあります。
この記事では、中国の陰陽五行思想が由来である「土用」とは何かを解説!期間中にやってはいけないと言われていること、2023年~2025年の土用期間をまとめた一覧表もご紹介します。
土用とは?

土用とは、年に4回訪れる、立春・立夏・立秋・立冬の直前の約18日間を指します。
4つの土用それぞれ、「春土用」「夏土用」「秋土用」「冬土用」とも呼ばれています。
また、土用は雑節(ざっせつ)と呼ばれる、季節の移り変わりをより的確につかむために設けられた暦日(こよみで定められた日)のひとつです。その他の雑節には「節分」や「彼岸」などが代表的な例としてあげられます。
日本において土用などの雑節は、古くから季節の変化を知らせる大切な役割を担ってきました。
土用の起源は中国の「陰陽五行思想」

土用の起源は、古来中国から伝わる「陰陽五行思想」に由来します。
陰陽五行思想とは「万物は木、火、土、金、水の5つの元素から成り立っている」という考えのこと。
季節においても、「木」は春、「火」は夏、「金」は秋、「水」は冬、というように「土」以外の元素が各季節に割り当てられています。
それでは「土」はというと、それぞれの季節の変わり目である「立春」「立夏」「立秋」「立冬」の直前約18日の期間に割り当てられました。
季節の変わり目であるこの期間は”土の気が旺(さかん)になる”期間といわれており、元々は「土旺用事(どおうようじ)」と呼ばれていたとされています。この「土旺用事」の旺と事が省略され、「土用」となったといわれています。
土用の期間に「やると良い」と言われていること
土用の期間中にはそれぞれその期間内に「やると良い」といわれていることがあります。
4つの季節ごとに見ていきましょう。
春土用(4月下旬~5月上旬)

春の土用は、なんとなくやる気が出ないなど、情緒不安定になることに注意といわれています。
春土用期間中の「戌の日(いぬのひ)」に「い」のつく食べ物や「白い食べ物」を食べると良いとされています。戌の日とは12日に一度巡ってくる十二支の戌に当たる日のことです。
「い」のつく食べ物としては、「いか」や「いわし」、「いちご」などがあげられ、白い食べ物は、「豆腐」や「白いご飯」があげられます。
夏土用(7月下旬~8月上旬)

夏の土用では、夏バテや熱中症に注意といわれています。
一般的に広まっている「丑の日(うしのひ)」に「う」のつくものや、「黒いもの」を食べると良いそうです。
そのため、“土用の丑の日には鰻を食べる習慣”になったとされています。
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また、梅雨明け頃にやってくるこの夏土用では、「土用干し」と呼ばれる習慣があり、主に3種類に分けられます。
1:「虫干し」
衣類や書物を陰干しして風を通すことで、虫やカビがつくことを防ぎます。
2:「梅の土用干し」
梅干しを作る際に3日間ほど日干しにすることを指します。
この土用干しをすることで、殺菌作用が働き、長期保存が可能になります。梅干し作りにおいて欠かせない工程です。
3:「田の土用干し」
田んぼの水を抜いて放置して乾かすことをいいます。
田が乾くと、稲は水を求めて地中深くまで根を伸ばすため、台風にも強くなるとされ、乾いた田に水を入れると稲は水をよく吸収して良い稲穂が実るとされています。
秋土用(10月下旬~11月上旬)

秋の土用は夏の疲れが出る時期ともいわれています。
秋土用は「辰の日(たつのひ)」に「た」のつくものや「青いもの」を食べると良いとされています。
「た」のつく食べ物としては、「玉ねぎ」や「たこ」。「青いもの」なら「さんま」や「鯖」などの青魚が良いでしょう。
冬土用(1月下旬~2月上旬)

冬の土用は風邪に注意といわれています。
冬土用は「未の日(ひつじのひ)」に「ひ」のつく食べ物や「赤いもの」を食べると良いとされています。
「ひ」のつく食べ物は「ヒラメ」、「赤いもの」は「トマト」などがあげられます。
土用期間「やってはいけない」と言われていること

土用期間中に「やってはいけない」とされることがあるのはご存知でしょうか?
今では時期を気にせずに行っているようなことも、昔は縁起を担いで「土用期間中は禁止」とする風習があったのです。
もちろん、これらは古代からの思想によるものなので、現代において「絶対にしてはいけない」わけではありません。
どんなものが禁止といわれているかをみてみましょう。
1:土を動かすこと
土用期間中は土を司る神様が支配する期間のため、土用期間中は土を動かしてはいけないとされています。
具体的には、草むしりのように土をいじることや、井戸を掘ること、家を建てたりすることなどを「土動かし」と言い、土用期間には禁止とする風習がありました。
2:新しいこと・場所を移動すること
土用はそれぞれ季節の変わり目に当たるため、体調を崩しやすい時期でもあります。
そのため、土用期間には転職や就職、結婚や新居購入、旅行など「新しいこと・場所を移動すること」は避けたほうがいいとされていたようです。
土用期間中には「間日」がある

年に4回もある土用期間中に家の建築や新しいことなどができないとなると、困ってしまうこともありそうですね。
実は、土用期間中には「間日(かんじつ)」と呼ばれる“土を動かしても大丈夫な日” があります。
この間日であれば土を司る神様が天上に行く日で土を離れるため、土動かしをしても良いとされています。
4つの季節の土用それぞれの間日は下記となります。
春土用:巳の日、丑の日、酉の日
夏土用:卯の日、辰の日、申の日
秋土用:未の日、酉の日、亥の日
冬土用:寅の日、卯の日、巳の日
例えば、「春土用」の期間中の間日にあたる、巳の日、丑の日、酉の日であれば、禁止とされている「土動かし」などをしても良い日、ということになります。

2023年~2025年の土用期間/土用の間日
最後に、2023年から2025年の土用期間と間日をまとめました!
験を担いで土用期間の引っ越しは「間日」を選ぶなど、昔からの風習を取り入れてみてもいいかもしれませんね♪
【2023年】
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春土用
-
土用の期間/4月17日~5月5日
土用の間日/4月17日、4月18日、4月21日、4月29日、4月30日、5月3日 -
夏土用
-
土用の期間/7月20日~8月7日
土用の間日/7月20日、7月21日、7月25日、8月1日、8月2日、8月6日 -
秋土用
-
土用の期間/10月21日~11月7日
土用の間日/10月28日、10月30日、11月1日 -
冬土用
-
土用の期間/1月17日~2月3日
土用の間日/1月20日、1月21日、1月23日、2月1日、2月2日
【2024年】
-
春土用
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土用の期間/4月16日~5月4日
土用の間日/4月23日、4月24日、4月27日 -
夏土用
-
土用の期間/7月19日~8月6日
土用の間日/7月19日、7月26日、7月27日、7月31日 -
秋土用
-
土用の期間/10月20日~11月6日
土用の間日/10月22日、10月24日、10月26日、11月3日、11月5日 -
冬土用
-
土用の期間/1月18日~2月3日
土用の間日/1月18日、1月27日、1月28日、1月30日
【2025年】
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春土用
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土用の期間/4月17日~5月4日
土用の間日/4月18日、4月19日、4月22日、4月30日、5月1日、5月4日 -
夏土用
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土用の期間/7月19日~8月6日
土用の間日/7月21日、7月22日、7月26日、8月2日、8月3日 -
秋土用
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土用の期間/10月20日~11月6日
土用の間日/10月21日、10月29日、10月31日、11月2日 -
冬土用
-
土用の期間/1月17日~2月2日
土用の間日/1月21日、1月22日、1月24日、2月2日
【参考文献】
日本文化いろは辞典
http://iroha-japan.net/iroha/A05_zassetsu/02_doyou.html
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※この記事は2023年9月7日時点での情報です。休業日や営業時間など掲載情報は変更の可能性があります。日々状況が変化しておりますので、事前に各施設・店舗へ最新の情報をお問い合わせください。
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