神社やお寺を参拝した証としていただける御朱印。近年、この御朱印集めの人気が高まっています。
そこで今回は、神社やお寺、御朱印についてお詳しい、旅作家・編集者の大浦春堂さんにお話をお聞きし、御朱印初心者の人から疑問の多かった費用・料金や相場、いただく際のマナーなどを解説。初心者の方の御朱印デビューなど、参考にしてみてくださいね。
※この記事は2021年9月8日時点での情報です。
御朱印の金額(費用)について

御朱印とは
神社やお寺でいただくことのできる御朱印は、参拝の証としていただける「神仏とのご縁の記録」です。多くの場合、印章・印影と、神社やお寺の名称、参拝した日付などが墨書きされています。
御朱印は、専用の御朱印帳にいただくのが一般的。オリジナルの御朱印帳を用意している社寺もありますよ。社寺によっては、書き置きの御朱印を授与されることもあります。
御朱印の起源については諸説ありますが、巡礼者がお寺へ写経を納めた際の証として授与されていた「納経印」だとする説があります。それがいつしか、社寺への参拝の証の風習として残り、昭和初期には「御朱印」という名前とともに定着したとされています。
御朱印の「相場」は?
御朱印をいただくには、お代をお渡しする必要があります。
ここでは初心者の方向けに「費用」「相場」といった言葉も使っていますが、本来、御朱印をいただく際にそういった言葉は使いません。お店などで販売している商品やサービスとは根本的に異なり、ものを買ったりする時の「値段」や「代金」などとは意味合いが異なりますのでご注意を。
神社では、御朱印やお守りなどの授与品のお代のことを「初穂料」といいます。これは、神様にお供えするお金のことで、「その年に初めて穫れたお米に代えて」という意味があるそう。古くから稲作を中心とした文化を築いてきた日本において、お米を御神前にお供えして恵みに感謝の意を捧げ、また翌年の収穫を祈念してきました。貨幣を使うようになった現代でも、その名残で「初穂料」を用いているそうです。
お寺では「納経料」「志納金」「志納料」「お志(こころざし)」などといいます。「納経料」は正確にはお経とともに納めるお金のことで、「志納金」「志納料」「お志」はお寺や住職に対する感謝の気持ちとしてお渡しするお金のことです。
そして御朱印の金額については、300円や500円のものが全国的に多いそう。このところ増えてきている見開きの御朱印や切り絵などデザイン性のあるものは、1000円やそれ以上をお納めする場合もあります。
金額が「お気持ち」の場合はどうする?
社寺によっては、金額が定めておらず「お気持ち」とされている場合があります。
大浦さんによると、「お気持ち」という言葉の通り、自分が無理なく支払える金額を納めるのがよい、とのこと。ここは全国的に多い額面である300円や500円を目安にするとよいかもしれません。
また、見開きや切り絵などのデザイン性の高いものは、具体的な額面を掲示してあることがほとんどだそうですよ。
御朱印をいただくときのマナーについて

金額を聞いてもOK?
参拝者が多く訪れるような社寺では、分かりやすく金額が明記してある場合がほとんどです。ですが掲示や記載が見つけられない場合、社寺の方に直接お尋ねするのは失礼なのでしょうか?
大浦さんにお聞きしたところ、失礼ではないので大丈夫、とのこと。「御朱印代はいくら納めたらよいですか」とお尋ねすればOKだそうです。
せっかくの機会なので、祀られている神様や仏様のこと、境内の建造物のこと、歴史のことなど質問してコミュニケーションをとられてはいかがでしょう、と大浦さん。授与いただく御札やお守りの取り扱い方などについて伺ってみるのもよさそうです。
ただし、多くの参拝者で混雑している場合や、行事の前後でご多忙の場合もあります。そうした際には、他の参拝者へのご対応や業務の妨げにならないよう、御朱印代など用件だけを伺って場を離れましょう。
金額などは事前に確認しておくべき?
公式ホームページに御朱印代が明記してある場合もありますが、事前に調べても分からない場合や、変更になっている場合もあります。
大浦さんによると、御朱印代は概ね300円~1000円程度なので、事前に確認することよりも小銭を用意しておくことのほうが大事、だそうですよ。
おつりが出てしまっても大丈夫?

もちろん、おつりが出てしまうこと自体は問題ありません。ただ前述のように、なるべくおつりが出ないように小銭を準備しておくのがベターです。
というのも、明治神宮や浅草寺のような大きな社寺ではおつりの用意がありますが、地方の小さな社寺では用意のない場合もあります。例えばお財布に1万円札しか入っていないのであれば、お詣りに行く前に崩しておくなどしましょう。
大浦さんからのアドバイスとしては、日頃から小銭が出たら100円玉だけ別の小銭入れやコインケースなどに保管しておき、御朱印袋などに入れて持ち歩くのがおすすめ、とのこと。コインケースは100円ショップなどでも購入できますよ。
御朱印をもらうタイミングは?
最初に書いた通り、あくまで御朱印は参拝した証として授与しているもの。神社でもお寺でも、先にお詣りをしてから授与所で御朱印をいただくのが基本的なマナーです。
ただし、一部の社寺では御朱印待ちの混雑を緩和するため、先に帳面を預けるよう案内をしているところもあるそう。お詣りをしている間に預けた帳面に御朱印を書いてくださるので、このような場合は案内に従って先に預けてOKだそうですよ。
神社とお寺、御朱印帳を分けるべき?

神社とお寺の御朱印を同じ御朱印帳にいただいても問題ありません、と大浦さん。
ごくまれに一部の社寺で、分けていない場合は記帳を断られることもあるそうですが、ほとんどの場合は大丈夫とのこと。ただ、分けておくと後で見返す時に管理しやすいんだそうですよ。
また、日蓮宗はほかの宗教と同じ帳面に記帳する際、「妙法」とだけ書かれることが多いそう。日蓮宗独特のひげ文字でお題目(日蓮宗でいう御朱印のこと)を書いて欲しい場合には、帳面を分けて用意しましょう。
画像提供:写真AC
まとめ
大浦春堂さんに分かりやすく教えていただきました。
誰でもいただくことのできる御朱印ですが、スタンプラリーのような感覚で捉えないことも基本的なマナーのひとつです。神様や仏様への崇敬の気持ちや、対応してくださる社寺の方への感謝の気持ちを大切に、心静かにお詣りしてみてくださいね。
取材協力:大浦春堂さん(旅作家・編集者)
神社仏閣の参拝旅をはじめとする、旅を中心にしたコンテンツの企画や編集、コラム記事を寄稿している。おもな著書に『御朱印と御朱印帳で旅する全国の神社・お寺』(マイナビ出版)、『神様が宿る御神酒』(神宮館)、『神社とお寺 おいしいお詣りスイーツ』(講談社)など。
▼公式HP
https://syundoohura.com/
▼御朱印集めのマナーをもっと詳しく知りたい方はこちらをチェック
御朱印とは?御朱印集めのマナーや全国の御朱印帳をご紹介
※新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、各自治体により自粛要請等が行われている可能性があります。ご利用の際には、あらかじめ最新の情報をご確認ください。また、感染拡大の防止に充分ご配慮いただくようお願いいたします。
※お出かけの際は、お住まいやお出かけされる都道府県の要請をご確認の上、マスクの着用、手洗いの徹底、ソーシャルディスタンスの徹底などにご協力ください。
じゃらん編集部
こんにちは、じゃらん編集部です。 旅のプロである私たちが「ど~しても教えたい旅行ネタ」を みなさんにお届けします。「あっ!」と驚く地元ネタから、 現地で動けるお役立ちネタまで、幅広く紹介しますよ。