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2022.04.16

感動の絶景「上高地」の楽しみ方。アクセスや観光スポットを紹介!<2022・長野>

国内有数の山岳リゾートとして毎年たくさんの人が訪れる「上高地」。雄大な山々、透き通る清流、静寂に包まれた湿原など、圧倒的な自然美が訪れる人の心を癒してくれます。

今回は「上高地」を初めて訪れる人に向けて、現地の歩き方や絶景ポイント、おすすめの立ち寄りスポットを紹介。服装やマイカー規制など、事前に押さえておきたい情報もまとめました!

「上高地」ってどんな場所? 

(画像提供:Adobe Stock)
水の透明度といったら…!「上高地」を流れる梓川(あずさがわ)は北アルプスの槍ヶ岳が源流(画像提供:Adobe Stock)

長野県西部、北アルプスの谷間にある「上高地」は年間130万人が訪れる景勝地。梓川に沿った約10kmの谷間にトレッキングコースが整備され、まさに“絶景”と呼ぶのにふさわしい光景が広がっています。

谷間といえど、標高は約1500m。冬季は雪に閉ざされてしまうため、4月下旬から11月中旬までしか入山することができません。4月下旬の開山以降、5月下旬~6月上旬は新緑、7月~8月は可憐な花々、10月上旬~下旬は紅葉と、豊かな表情を見せてくれます。

(画像提供:Adobe Stock)
砂利道や木道など足元は場所によりさまざま(画像提供:Adobe Stock)
(画像提供:Adobe Stock)
ニホンザルなどたくさんの野生動物も生息しています。見かけてもエサをあげてはいけません!(画像提供:Adobe Stock)

こんなにも美しい上高地ですが、一般の観光客が多く訪れるようになったのは昭和に入ってからのこと。イギリス人宣教師で登山家のW・ウェストンが1896(明治29)年に著書の中で上高地の魅力を世界に向けて紹介したことをきっかけに、明治末期~大正、そして昭和と、「上高地」は山岳リゾートとして少しずつ発展してきました。

現在は山小屋のみならず、リゾートホテルや温泉旅館、土産店も充実しています。

(画像提供:Adobe Stock)
「河童橋」から徒歩20分の場所にあるウェストン碑。毎年6月の第1日曜には「ウェストン祭」を開催(画像提供:Adobe Stock)

おすすめの絶景スポット

河童橋(かっぱばし)

(画像提供:Adobe Stock)
上流に3000m級の穂高連峰を望む絶好のビューポイント!(画像提供:Adobe Stock)

梓川に架かる木製の吊り橋で、上高地のシンボル的存在。周辺には土産店やレストランなどが並び、多くの観光客で賑わいます。

芥川龍之介が昭和2年に発表した小説『河童』の中に描かれていたことで、その名が広く知られるようになったそう。現在の橋は5代目で、上高地ビジターセンターには2代前の「河童橋」の欄干が設置されています。

田代橋

(画像提供:Adobe Stock)
「河童橋」ほどの知名度はないものの、訪れた人の満足度が高いといわれるスポット(画像提供:Adobe Stock)

上流に穂高連峰、下流に焼岳を望む絶好の撮影ポイント。重層的で奥行きのある景色が広がり、この一帯はかつて上高地を描いた多くの画家にも愛されたそう。すぐ隣には「穂高橋」が架かり、双子のようなふたつの橋を渡った先には西穂高岳登山口があります。

(画像提供:Adobe Stock)
田代橋から見える景色。透き通った川の水に心が洗われるよう…!(画像提供:Adobe Stock)

田代池

(画像提供:Adobe Stock)
原生林の中にぽっかり空いた池。別世界のようにピュアで穏やかな光景が広がっています(画像提供:Adobe Stock)

1915(大正4)年に起きた焼岳の噴火でできた池。周辺の木々の美しさはもとより、夏には水中に根を張るイチョウバイカモや周辺のニッコウキスゲ、10月には黄葉も楽しめます。

大正時代には水深5mあったこの池も、枯れた水草などの堆積物や、大雨で流れ込む土砂により、現在は湿原化が進んでいます。

大正池

(画像提供:Adobe Stock)
水面に映り込む穂高連峰。上高地に宿泊すれば、朝もやのかかる早朝の景色にもであえます(画像提供:Adobe Stock)

こちらも焼岳の噴火により、梓川が堰き止められてできた湖。周辺には水没で立ち枯れした木が点々と立ち、「上高地」を象徴する景観のひとつになっています。

誕生から100年以上経ち、「田代池」同様、土砂や堆積物によって池の面積は半分ほどに。自然のままにしておけば数年で池が埋まってしまうことが懸念されるため、美しい景観を守り繋いでいこうと、毎年シーズンの終盤には土砂を取り除く浚渫(しゅんせつ)という作業が行われています。

明神池

(画像提供:Adobe Stock)
しん、とした神聖な空気が漂う桟橋。目の前にそびえるのが明神岳(画像提供:Adobe Stock)

一の池とニの池からなる大小2つの池。一帯は明神岳を御神体とした「穂髙神社」奥宮の神域にあたり、パワースポットとしても知られています。明神岳の湧水が溜まってできた池で、常に伏流水が湧き出ているため水面は鏡のように穏やか。周辺には野鳥も生息しているので耳を澄ましてみて。

日帰りでも行ける!おすすめの回り方

宿泊施設でリゾート滞在を楽しんだり、本格的な登山に挑んだりと、さまざまなスタイルで自然を楽しめる「上高地」。まずは基本ともいえる“上高地の歩き方”を所要時間別に3つのコースで紹介します。

約1時間のウォーキングコース(バスターミナル~河童橋~ウェストン碑~田代橋~バスターミナル)

約1時間のウォーキングコース

~絶景ポイントをホッピング~

バスターミナルを出発したら、最も有名な「河童橋」へ。川岸を歩き、橋が見えてくるにつれ気持ちが高まります。「河童橋」を渡って対岸に出たら、ウェストン碑を経由して「田代橋」まで南下。ゴールのバスターミナルへと戻ります。

約2時間のウォーキングコース(バスターミナル~河童橋~明神池~バスターミナル)

約2時間のウォーキングコース

~神秘の池「明神池」を目指す~

「河童橋」を過ぎたら林間のコースを約50分。さまざまな樹木や可憐な花、緑まぶしい苔などを鑑賞しながら、緩やかな高低差のある道を進みます。帰路は対岸の道を歩くと違った景色が楽しめます。

約2時間30分のウォーキングコース(バスターミナル~河童橋~ウェストン碑~田代橋~田代池~大正池~バスターミナル)

約2時間30分のウォーキングコース

~エメラルドの水を湛えた「大正池」を目指す~
「河童橋」とウェストン碑を見学したら「田代橋」へ。そこから先は、梓川の流れに沿って歩く「梓川コース」と、森林浴が楽しめる「林間コース」があり、「田代湿原」で再び合流します。「大正池」で折り返したら、バスターミナルまで戻りましょう。バスターミナルを朝出発すれば、昼頃には戻って来られます。

おすすめの立ち寄りスポット

上高地帝国ホテル

上高地帝国ホテル
「信州産地卵のオムライスとハッシュドビーフ」3300円
上高地帝国ホテル
クラシックなテイストの「アルペンローゼ」

山岳リゾートホテルとして1933(昭和8)年に開業。館内のカジュアルレストラン「アルペンローゼ」やロビーのカフェはランチのみ宿泊者以外でも利用でき、信州産の食材を使ったメニューや上高地の湧水で淹れたコーヒーを楽しめます。

「アルペンローゼ」のランチは「信州産地卵のオムライスとハッシュドビーフ」(上写真)や、「帝国ホテル伝統のビーフカレー」3000円が定番人気。ほかに「ビーフ照り焼きステーキと山菜ピラフ」3700円も用意しています。

※メニューはすべてサービス料15%別

上高地帝国ホテル
残雪のアルプスと丸太小屋風の建物がスイスを思わせます
■上高地帝国ホテル
0263-95-2001
長野県松本市安曇上高地
カジュアルレストラン アルペンローゼ:11時~14時30分(LO14時)※ディナーは宿泊者のみ
上高地バスターミナルより徒歩10分
無休 ※営業は4月下旬~11月中旬
「上高地帝国ホテル」の詳細はこちら

上高地ホテル白樺荘

上高地ホテル白樺荘
代表的なメニューのひとつ「名物ジャンボ・モンブラン」1850円
上高地ホテル白樺荘
穂高連峰を望む「ラ・ベルフォーレ テラス」。新鮮な空気の中で贅沢なひととき

絶景スポット「河童橋」のすぐ近くに立つホテル。2018年にレストラン「ラ・ベルフォーレ」をリニューアルし、大きな窓から穂高連峰を一望できるように。さらにオープンエアで本格的な料理やスイーツが楽しめる「ラ・ベルフォーレ テラス」も新設されました。

雄大な穂高連峰をイメージして作った「名物ジャンボ・モンブラン」(上写真)や「アップルパイ」600円などパティシエメイドの本格スイーツのほか、ランチタイムには「信州牛ビーフカレー」3000円や「信州牛ボロネーゼ」2500円、BBQメニューも用意しています。

■上高地ホテル白樺荘
0263-95-2131
長野県松本市安曇上高地
ラ・ベルフォーレ テラス:10時~17時(ランチタイム11時~14時)
上高地バスターミナルより徒歩5分
無休 ※営業は4月下旬~11月中旬
「上高地ホテル白樺荘」の詳細はこちら

嘉門次小屋

嘉門次小屋
店内のほか屋外のテーブル席も充実。宿泊施設も併設しています

「明神池」のほとり、穂髙神社・奥宮の参道脇にある山小屋兼食堂。いろりでじっくりと焼き上げる岩魚の塩焼きが名物で、そばやおでん、おしるこなどホッとするラインナップを揃えています。

この風情を求めてここまで足を運ぶ人も少なくありません。

創業は1880(明治13)年。小屋を建てた上條嘉門次は上高地を熟知し、前述のW・ウェストンの山の案内役を務めたことでも知られています。創業時の面影を残すいろりの間には、W・ウェストンが贈ったピッケルも飾られているので、ぜひチェックしてみて。

(画像提供:pixta)
いろりで焼く「岩魚の塩焼き」1本1100円。岩魚は小屋の前で囲いをした清流から、焼く直前に取り出します(画像提供:pixta)
嘉門次小屋
「山かけそば」800円
■嘉門次小屋(かもんじごや)
0263-95-2418(4月20日~11月15日※上高地開山期間中のみ)
長野県松本市安曇上高地
8時30分~16時30分
上高地バスターミナルより徒歩50分
無休 ※営業は4月下旬~11月中旬
「嘉門次小屋」の詳細はこちら

服装や持ち物をチェック!

服装はトレッキングスタイルがベスト。月ごとにガラッと変わる天候にも注意

散策路が整備されているとはいえ、砂利道や木道、場合によってはぬかるんだ場所もあります。足元や天候がどんな状況に見舞われても安心して「上高地」を楽しめるよう、できればトレッキングシューズを準備しましょう。

(画像提供:Adobe Stock)
気温の変化に対応できる服装と、トレッキングシューズが基本 ※イメージ(画像提供:Adobe Stock)

●4月[平均気温:12.4℃]
開山すぐ、4月の「上高地」はまだまだ冬の寒さ。フリースやダウンジャケット、部分的な防寒具も必要です。

●5月[平均気温:17.6℃]
木々が芽吹く新緑の季節。朝昼夕の気温差に対応できるよう、長袖シャツやウィンドブレーカーで重ね着を。

●6月[平均気温:19.4℃]
梅雨とはいえ意外に晴れの日が多い「上高地」。折りたたみ傘やレインウェアを持参して突然の雨に備えましょう。

●7月・8月[7月平均気温:22.8℃][8月平均気温:23.3℃]
朝夕は涼しいものの、日中は少し歩けば汗ばむ暑さ。半袖でOKですが、標高が高く紫外線が強いため日除け対策を。

●9月[平均気温:18.1℃]
さわやかな秋の陽気。下旬は最低気温が10℃を下回ることもあるので、フリースやパーカーで防寒を。

●10月[平均気温:13.3℃]
黄葉が進み、朝晩は気温が氷点下になる日も。フリースや厚手のダウンジャケットが必要。

●11月[平均気温:8.6℃]
穂高連峰は雪化粧し、「河童橋」に雪が舞うことも。ダウンジャケットや保温性・防風性の高いウェアや小物がマスト。

参考:上高地観光旅館組合
https://www.kamikochi.or.jp/learn/season/5

上高地へのアクセス

車で行く場合

(画像提供:Adobe Stock)
「上高地バスターミナル」にずらりと並んだシャトルバス。上高地へ乗り入れる車両台数を制限し、総排気量を減らすことで環境負荷を軽減しています(画像提供:Adobe Stock)

美しい景観を後世に残すため、「上高地」では交通量を制限するマイカー規制を行っています。マイカー規制とは自家用車で「上高地」まで直接アクセスできないことを意味します。

長野県側からアクセスする場合は松本市の「沢渡(さわんど)駐車場」に、岐阜県側からアクセスする場合は奥飛騨温泉郷の「あかんだな駐車場」に車を停めて、そこから先は専用のバスに乗って「上高地」へ向かいましょう。

長野県側から行く際の駐車場・シャトルバス料金

●沢渡駐車場
台数:2000台
普通車駐車料金:1日700円

●シャトルバス料金
沢渡駐車場→上高地バスターミナル(約30分)  
中学生以上:往復2400円/片道1300円
小学生:往復1200円/片道650円
未就学児:無料

岐阜県側から行く際の駐車場・シャトルバス料金

●あかんだな駐車場
台数:850台
普通車駐車料金:1日600円

●シャトルバス料金
あかんだな駐車場→上高地バスターミナル(約35分)
中学生以上:往復2090円/片道1180円
小学生:往復1050円/片道590円
未就学児:無料

公共交通機関・直通バスで行く場合

東名阪の主要ターミナル駅と長野県の松本駅からは直行バスも運行しています。乗り換えがいらず便利ですよ。

【電車+路線バス】
JR松本駅→(路線バス)→上高地バスターミナル
JR高山駅→(路線バス)→平湯バスターミナル→(シャトルバス)→上高地バスターミナル

【直通バス】
●東京発:新宿バスターミナル、東京駅八重洲南口、渋谷駅、新宿駅 ほか
●名古屋発:名鉄バスセンター
●大阪・京都発:大阪駅(阪急三番街)、新大阪駅、京都駅八条口 ほか

※公共交通機関・直通バスの情報は2022年4月時点のものです。最新の運行状況等は「上高地」公式HPでご確認ください

まとめ

圧倒的な絶景にであえる「上高地」。開山中は過ごしやすいシーズンとはいえ、気温や天候の変化が街中とはまったく違うことを忘れずに、服装やスケジュールはきちんと計画・準備することをおすすめします。

また「上高地」では「植物や昆虫を採らない」「野生動物にエサを与えない」「ゴミを捨てない」「ペットや外来種を持ち込まない」「歩道を外れて歩かない」「自転車を歩道に乗り入れない」「ドローンを飛ばさない」という7つのルールを定めています。

奇跡のような光景をこの先もずっと残していくために、ちょっとした心掛けを大切にしたいですね。

※この記事は2022年4月12日時点での情報です。休業日や営業時間など掲載情報は変更の可能性があります。日々状況が変化しておりますので、事前に各施設・店舗へ最新の情報をお問い合わせください。
※掲載の価格はすべて税込価格です。
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小林 亜紗子  小林 亜紗子

岐阜県生まれ。旅行情報誌『東海じゃらん』編集部を経てフリーに。コーヒー、温泉、音楽好き。民芸や郷土食、地域の慣習など、無名の人々に継承されてきたものに惹かれます。二人の子どもたちを各地の温泉に連れ回し中。

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