東京にもワイナリーがあることをご存じですか?実は現在、東京23区内に6軒ものワイナリーがあり、それぞれに個性的なワインを醸造しています。レストラン併設のワイナリーなら、市場には出回らない稀少なワインをフードメニューと合わせて、味わうこともできます。
都内にいながらワイナリー巡りで旅気分を楽しんで、お気に入りのワインを見つけたり、お土産にして家呑み時間を充実させるのもいいですね。都内のワイナリー全6軒を創業順にご紹介します。
【練馬区】東京ワイナリー
国内各地や東京産のぶどうで造るワインを地元産の野菜とともに

「東京の農業をもっと元気にしたい!」と、23区で最も農地面積が広く、緑あふれる練馬区大泉学園に2014年設立した東京都内初のワイナリーです。
山形産デラウェア&スチューベン、長野県産MBAペティアン、山形県産デラウェア醸しスパークリング、山形県産デラウェア 白(各720ml2100円)など国内各地から厳選するぶどうのほか、「ねりまワインプロジェクト」として練馬区内の提携農家の畑で育てるぶどうを使うワインも醸造しており、ワイン造り体験などのイベントも実施しています。

店内では、瓶詰めのほか量り売りワインも販売しています。少量生産のため、販売するワインの種類がその日によって変わるので、訪れるたびに新しい味に出逢えるでしょう。

店内では、ワイン醸造の様子を見学することもできます。ぶどうがワインへと変わっていく様子を間近に眺めれば、ワインへの興味・感心がより深まること間違いなしです。

誰もが気軽に訪ねられるようにと土日祝のみランチを営業。日替わりランチや季節の東京野菜を使ったおつまみ400円〜などで東京の野菜との食べ合わせを楽しみつつ、昼呑みの楽しいひとときが過ごせます。
【江東区】清澄白河フジマル醸造所
1階が醸造施設、2階がレストランの都市型ワイナリーの先駆け


大阪のワインショップFUJIMARUが都市型ワイナリーの2店目として2015年にオープン。1階の醸造所では関東各地の契約農家が丹精こめて育てたぶどうを使い、酸化防止剤の添加を最小限にとどめたワインを醸造しています。
「Farmer’s巨峰 菅谷ぶどう園 2021」は、千葉県香取市産の巨峰を使用。フルーティな香りが特徴で、ジューシーで軽やかな味わいのワインです。
デラウェアを皮ごと発酵させて果皮につまった成分をしっかりと抽出して醸す「Tabletop 橙 2021」は、日常の食卓にもぴったりと人気だそう。

レストラン利用、またはワイン購入の方で希望があればワイナリー見学も行っています。
食中酒として日本の食卓に寄り添うような味わいを目指し、丹精込めて醸しているというワインは、じっくり味わえば、ぶどう畑の様子が目に浮かぶようです。

2階のレストランでは、全国各地のこだわりの生産者から取り寄せる旬の食材を使ったイタリアンベースの創作料理を提供しています。カラスミの塩味がワインとの相性バツグンの昆布締め鯛とカラスミのスパゲッティのほか、宮崎県産都萬牛のグリル(3960円)などのメインディッシュにも定評があります。
自社醸造ワインはもちろん、約200種の世界各国のワインや国産スピリッツ、梅酒なども揃え、グラスワインも常時15種と充実。料理やその時の気分にあわせてワインをはじめとしたお酒を選べるのが嬉しいですね。

店内は木目調を活かした温もりある雰囲気。テーブル席のほか、カウンターもあるので、ひとりでも気軽に立ち寄ることができます。
03-3641-7115
東京都江東区三好2-5-3
【ワイン販売】11時30分~22時【ランチ】11時30分~15時【ディナー】17時~23時
月・火(月祝の場合営業、翌火・水休み)
【電車】東京メトロ清澄白河駅より徒歩5分
なし
「清澄白河フジマル醸造所」の詳細はこちら
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【江東区】深川ワイナリー
小規模ワイナリーならではの多彩なワイン造りに挑戦

創業2016年。生産者が大切に育てたぶどうの個性を生かし、発酵が進むのをじっくり待ち、常に観察し、自然発酵を促す……といった小さなワイナリーならではのきめ細かい作業を大切にしているワイナリーです。
通常の透明なろ過のワインのほか、にごった無ろ過のワイン、酸化防止剤不使用ワイン、瓶内二次発酵のスパークリングワイン、オレンジワイン、黒葡萄からつくる白ワイン、とさまざまなワイン作りに挑戦し、次々と個性的なワインを誕生させています。

白ワイン用の甲州ぶどうを赤ワイン同様に果肉と皮を漬け込んで仕込んだオレンジワイン。口に含むと和柑橘のような旨みと酸味が優しく広がり、酸化防止剤を一切加えていないストレスフリーでのびのびとした余韻が印象的とか。

口に含むと瓶内2次発酵のジュワッとした泡とともに、果皮ごと醸すナイアガラぶどうの味わいがしっかりと広がるオレンジワイン。ほのかな苦味が心地よく口に広がります。

ワイン醸造人の上野さんは、山梨大学工学部醸造学科を卒業後、滋賀で17年半、新潟で5ヶ月、ワインの醸造に携わってきました。
2018年からは、門前仲町のビルの屋上でのぶどう栽培や東京海洋大学との共同研究で「江戸前ワイン! 海中熟成ワインの味わいの変化を検証プロジェクト」にも取り組んでいます。

併設レストランは現在休業中ですが、ショップで自家醸造ワインを販売しています。山梨や長野の生産者を訪ねる「収獲ツアー&ワイン醸造体験」や「ワインエキスパート・ソムリエ資格取得講座」などのイベントも実施しています。
03-5809-8058
東京都江東区古石場1-4-10 高畠ビル1階
12時~18時、工場見学は日祝の14時~、16時~(※各回要予約)
なし
【電車】JR越中島駅より徒歩5分、東京メトロ門前仲町駅より徒歩7分
なし
「深川ワイナリー東京」の詳細はこちら
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【台東区】BookRoad ~葡蔵人~
2年連続で「日本ワイナリーアワード」を獲得

ワインをより身近に感じてもらい、ワインが繋ぐ縁を大切にしたいとの想いから、2017年にワイン造りをスタート。東京の下町・台東区にある、わずか10坪のワイナリーですが、優れた品質のワインを生み出すワイナリーを表彰する「日本ワイナリーアワード」で、2020年、2021年と2年連続で受賞しています。

ワイン造りには、長野県、山梨県の契約農家と茨城県の圃場で栽培された国産ぶどうのみを使用。未経験から山梨での修業を経て醸造人になった須合さんが丁寧に醸すワインは、定番のメルローなど3種に加えて、毎年新しいワインにも挑戦しています。
2022年から八王子で葡萄栽培プロジェクトも始動。5年後には、東京産のワインが完成予定というのも楽しみですね。
2021年産の「メルロー」は、長野県安曇野市産、山梨県南アルプス市産のメルローを使った、ちょっぴり甘さを残した仕立ての無濾過ワインです。ラベルには、そのワインにあう食材をイラストに使っており、これはアーモンドと相性がいいとか。

しっかりしたタンニンが感じられ、ちょっと苦味のある食材……菜の花や山菜、出汁の味が感じられる和食と相性のいいオレンジワイン「醸し甲州」。ラベルのイカが目印です。

月末には月一バルを開催し、ワイナリーで販売しているワインが一杯300円で立ち飲みできるイベントを開催。土日には予約制でワイナリー見学も実施しています。
また、6月からは店頭で量り売りもスタートする予定とか。イベントなどの詳細はインスタグラムをチェックしてくださいね。
03-5846-8660
東京都台東区台東3-40-2
【平日】12時~15時【土・日】12時~17時
水
【電車】東京メトロ仲御徒町駅より徒歩1分、JR御徒町駅より徒歩3分
なし
「BookRoad ~葡蔵人~」の詳細はこちら
【渋谷区】渋谷ワイナリー東京
渋谷の真ん中で出来たてワインが楽しめる!

渋谷で初めてのワイン醸造施設として2020年、「MIYASHITA PARK」にオープン。ワイナリーでは年間を通してさまざまな地域のぶどうからワインを造っています。
例えば秋には長野や山梨までトラックを運転してぶどうの収穫に出かけ日本ワインを、春にはニュージーランドやオーストラリアなど南半球から届いたぶどうからワインを。併設のビストロでいつでも出来たてのワインが味わえるほか、ボトルや量り売りで購入することもできます。

小さいからこそ、毎日しっかりワインの状態をチェックし、丁寧な醸造ができるという村上さん。さまざまな産地や品種のぶどうから、それぞれの特徴を生かしたワインを造っています。

都市型のワイナリーはアクセスの良さが最大の利点。駅近なので誰でも気軽に立ち寄ることができます。
ビストロでは、オリジナルワインを常時7種類以上提供するほか、世界各国からのワインを100種以上揃えているので、自分の好みに合うワインを見つけられそうですね。

お酒にもピッタリのお食事は、フレンチやパリのビストロで研鑽を積んだシェフが、ワインにあう料理を提供しています。
特に肉料理には定評があり、牛ほほ肉を柔らかく煮込んだ渋谷ワイナリー特製煮込み(1980円)は赤ワインとのマリアージュが絶品です。
03-6712-5778
東京都渋谷区神宮前6-20-10 MIYASHITA PARK North 3階
11時~23時
不定※MIYASHITA PARKに準ずる
【電車】JR渋谷駅より徒歩5分
あり(MIYASHITA PARKの駐車場利用/提携なし)
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「渋谷ワイナリー東京」の口コミ・周辺情報はこちら
【港区】 WINEMAN FACTORY
イタリア料理のシェフがワイナリーをスタート

2021年に創業したばかりのワイナリー。目黒にあった人気のイタリアンレストラン「Antica Braceria Bell’italia(アンティカブラチェリアベッリターリア)」とワインショップ「ワインマン ストア」のオーナー・井上裕一さんがワイン造りのために古民家をリノベーションし、オープンしました。1階がレストランとワイナリー、2階がワインショップ&ダイニングになっています。

ワインを仕込むステンレスタンクは600L用と200L用の2種類で、ここで年間4800Lのワインがつくられる予定とか。
現在、山形産のデラウェアをつかったワインを2種類、山形産と青森産のスチューベンをつかったワイン、りんごをつかったワインの4種類を醸造しています。

「自分たちが飲んで美味しいと思ったものしか置かない」というショップには、約500本のワインが壁一杯にズラリ。冷蔵ケースにも無添加ワインやスパークリングが多彩に揃っています。
ダイニングでは1階レストランで作るパスタなどのランチ、ディナーのアラカルト、スモークメカジキのタリオリーニ(2200円)といった一品料理のほか、グラスワインの角打ち(800円)も楽しめます。

「Antica Braceria Bell’italia」のランチコースは2750円~、ディナーはスペシャリテの炭火焼やパスタなどのアラカルトで、おすすめのワインとともに味わうことができます。
※2021年の自家醸造ワインは終売。次回は2022年秋頃発売の予定
03-6412-8251
東京都港区芝5-2-22 1階-b
【火~土】11時30分~14時、18時~20時【日祝】11時30分~18時
月
【電車】JR田町駅より徒歩4分、都営地下鉄三田駅より徒歩2分
なし
「WINEMAN FACTORY」の詳細はこちら
まとめ
東京都23区内に続々と登場しているワイナリーでは、ワイン造りが身近に感じられるのが最大の魅力です。それぞれにアクセスの良さを活かして、関東近郊はもとより、世界から取り寄せる上質なぶどうを使って、こだわりのワインを醸造しています。
都内のワイナリー巡りで、ワイン造りを知り、自分にぴったりのワインを探してみませんか。
※この記事は2022年6月1日時点での情報です。休業日や営業時間など掲載情報は変更の可能性があります。日々状況が変化しておりますので、事前に各施設・店舗へ最新の情報をお問い合わせください。
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中林 貴美子
旅のライター歴=じゃらんライター歴20余年。2人の子どもを育てつつ、西へ東へ取材行脚の日々。観光地と観光地のはざまにあるのどかな里山風景やそこで暮らす地元の人との触れあいが好き。食いしん坊が幸いしてご当地グルメや道の駅グルメ関連も多数。