プリップリの食感と、堂々たる風格。刺身や姿焼きなど、食べ方によってさまざまな味わいを楽しめる伊勢海老は、日本を代表する海の高級食材。
旬はいつ?どこで食べられるの?伊勢海老の基本情報から、食べに行きたい代表的なエリアまで、とことんご紹介します!
※この記事は2022年7月14日時点での情報です。休業日や営業時間など掲載情報は変更の可能性があります。
鎧のような殻をまとい、海底に生息。名前の由来は江戸時代に遡る!
海底に生息する大型エビ。

一般的な伊勢海老の体長は約20~30cm。日本近海に生息するエビの中でも大型の部類に入ります。トゲのある大きな殻が具足(鎧)のように見えることから、その昔は「具足海老」とも呼ばれることもあったそう。
海底の岩場などをすみかとして、日中は岩陰でじっとしています。寿命は概ね10年で、中には30年以上生きる個体も!
「伊勢海老」の名前の由来

江戸時代に刊行された古書『大和本草』に、「この海老、伊勢より多く来る故、伊勢海老と号す」という記述があります。当時は伊勢から京都に運ばれた海産物が多く、これが「伊勢海老」という名前の由来になったという説が有力。
また、「威勢のよい海老」や「磯の近くにいる海老、磯えび」がなまって「伊勢海老」になったという説もあります。
伊勢海老は結婚式やお正月などお祝いの席に欠かせない食材としても定着していますよね。これは、伊勢海老の「長いひげ」と「腰が曲がった姿」を老人に見立て、長寿の願いが込められているからなんです。
人気の秘密は豊富な甘み成分!

何百回もの脱皮を繰り返し、食べられる大きさになるまで4年ほどかかるといわれている伊勢海老。うま味成分であるグルタミン酸や、甘み成分のグリシンなどアミノ酸を豊富に含んでいるため、濃厚なおいしさが楽しめます。
身の大きさ、濃厚で上品な甘さ、味わい方のバリエーション。そのどれをとっても、スーパーで見かける海老とは別格なのです。
旬はいつ?禁漁期間があるって本当?
一般的な旬は秋~冬

伊勢海老の旬は地域差があるものの、概ね海水温が下がる秋~冬。身が引き締まり、プリッとした食感が楽しめますよ!
紅葉や温泉など秋冬のお楽しみと合わせ、伊勢海老の産地を旅の目的地にするのもおすすめです。
エリアによっては禁漁期間がある


伊勢海老を守り、安定的な漁獲量を確保するため、産卵期にあたる初夏~夏は一部の産地で禁漁期間が定められています。
期間は場所によって異なり、国内随一の産地である三重県では毎年5月~9月の5カ月間を禁漁期間とするなど特に厳しい規制を設けています。
有名な産地は?漁獲量ベスト3と各地の解禁期間
漁獲量1位:全国屈指の水揚げ量を誇る三重県

伊勢海老が「県の魚」にもなっている三重県は、漁が解禁されると初物を伊勢神宮に献納する地域もあるなど、伊勢海老との縁が深い地域。
伊勢、鳥羽、志摩、離島などの観光地に漁港が多く、それぞれの場所で新鮮な伊勢海老を味わうことができます。
禁漁期間は5月1日~9月30日と全国の産地の中でも最も長く、漁期であっても頭から胴までの甲羅の長さが4.2cm以下の伊勢海老は海に放流するなど、他県より厳しい規制を設けています。
ちなみに、「伊勢えびの町」を掲げる志摩市浜島では、大漁を願い、また将来にわたって海の恵みを育んでいく思いを新たにするため、例年6月の第1土曜に「伊勢えび祭」が行われています(2022年は10月15日に開催予定)。
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漁獲量2位:関東圏を代表する漁場、千葉県
三重県と並び、国内有数の伊勢海老の産地として知られる千葉県。房総半島の沿岸部は伊勢海老のエサが豊富なため、ほとんどの漁港で伊勢海老が水揚げされています。外房から内房までいたるところでそのおいしさを堪能できますよ!
禁漁期間は6月1日~7月31日です。
漁獲量3位:沿岸全域で水揚げされる和歌山県
三重県から繋がる太平洋側の熊野灘、県南部の紀南地方、淡路島沖と接する紀淡海峡など、沿岸部全域にわたって広く伊勢海老が水揚げされています。
禁漁期間は5月1日~9月15日です。
伊勢海老のおいしい調理法は?
濃厚な甘みを堪能するなら新鮮な「お刺身」


伊勢海老は可食部が少なく、刺身にできるのは腰の筋肉のあたりだけ。上品な甘みと旨みが舌の上でまったりと広がり、余韻さえも極上。
ピンとした活きの良さや、寒流で引き締まった身のぷりぷりの弾力をしっかりと感じられます。
しっかりとした食感が楽しめる「姿焼き」

水分が飛んで旨みが凝縮される「姿焼き」も人気のメニュー。半身で焼く場合もありますが、中には豪快に丸ごと焼いてくれる場合も!さらに身が締まりしっかりとした食感が堪能できます。
頭部に詰まった味噌も格別なので、身と一緒に食べるのもおすすめです。
シンプルにおいしい「蒸し伊勢海老」

蒸した伊勢海老も代表的なメニュー。
プリッとした食感はそのままに、クセの取れた丸みのある甘みが口いっぱいに広がります。そのままで味わうのはもちろん、塩やマヨネーズなど、好みの調味料で味の変化を楽しめるのも「蒸し」ならでは。
産地の直売所などでは、蒸した伊勢海老を冷凍販売している場合もあり、お土産にぴったりです。
天然の出汁が香るワンランク上の「味噌汁」

伊勢海老の水揚げが盛んな地域の旅館では、朝ごはんに伊勢海老の味噌汁が出てくることもしばしば。濃厚な出汁が香り、いつもの味噌汁とは別格の味わいです。
もともとは漁師料理であり、浜の家庭料理としても親しまれてきた、いわば日本のふるさとの味。上品でありつつも、ホッとする一品です。
まとめ
今回紹介した三重、千葉、和歌山以外にも、静岡の伊豆半島や徳島の宍喰(ししくい)も伊勢海老の楽しめる代表的な観光地。
産地では多くの旅館や飲食店で伊勢海老を提供していますので、ぜひ旅の目的にしてみてはいかがでしょうか?
潮の薫る空気の中で新鮮な伊勢海老を味わうのも極上のひとときですよ!
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※漁獲高出典:「令和2年漁業・養殖業生産統計」(農林水産省)
※三重県、千葉県、和歌山県の禁漁期間は2022年7月時点のものです。
※掲載されている情報や写真については最新の情報とは限りません。必ずご自身で事前にご確認の上、ご利用ください。
小林 亜紗子
岐阜県生まれ。旅行情報誌『東海じゃらん』編集部を経てフリーに。コーヒー、温泉、音楽好き。民芸や郷土食、地域の慣習など、無名の人々に継承されてきたものに惹かれます。二人の子どもたちを各地の温泉に連れ回し中。