東京から電車でも車でも1時間ほどで行ける鎌倉は歴史を刻んだ街並みに、自然とグルメスポットも揃った観光地です。その中で、SNS映えすると話題なのが孟宗竹の竹林が美しい「報国寺」。天岸慧広が開山したといわれ、竹の庭を眺めながら抹茶がいただける「休耕庵」や枯山水の庭もあって、ゆったり散策するのにぴったりです。
「報国寺」の見どころや、一緒に巡りたいスポット、おすすめのカフェを紹介します!
報国寺とは
鎌倉にある竹の庭で知られる寺院

報国寺は1334(建武元)年、鎌倉時代後期の高僧・天岸慧広(てんがん えこう)が開山した禅寺です。室町幕府を樹立した足利尊氏の祖父・家時を開基とし、室町時代に勢力を持った上杉重兼も創建に関わったとされ、足利氏と上杉氏ゆかりの寺として栄えてきました。近年では川端康成、林房雄などの著名人も寺領内に住み、豊かな自然環境を愛でていたといいます。
境内の庭は、2000本もの孟宗竹があることで知られ、“竹寺”とも呼ばれていますが、竹林以外にも抹茶が味わえる「休耕庵」、鎌倉市指定文化財の釈迦如来坐像がまつられている本堂、茅葺きの鐘楼、足利一族の墓など見どころがいっぱいです。
JR鎌倉駅からバスで10分ほど、歩いても鶴岡八幡宮前を経由して約30分ほどなので、散策にもおすすめです。
見どころ1.竹の庭


孟宗竹2000本が林立する竹の庭は、庭師がその一本一本の状況を把握し、精魂込めて手入れをしています。一年を通して青々と伸びる竹の凜とした力強さと美しさは、眺めるだけで心が洗われるようです。
柔らかな木漏れ日が差し込む散策路を歩けば、お地蔵様や石塔が巧みに配置されており、苔むした姿に積み重ねてきた歴史を感じられます。また、サヤサヤと風に揺れる竹の葉の笹鳴りや時折、竹がぶつかるカーンという音にも癒やされるでしょう。
見どころ2. 抹茶処「休耕庵」


竹の庭にある「休耕庵」の席は、目の前に広がる竹林を眺められる特等席。庭を流れる水、笹鳴り、鳥のさえずりなど自然の音をBGMに、ゆっくり抹茶が楽しめます。
日常の喧噪を離れ、自然に包まれて飲む抹茶の味わいは格別。身も心もすっとリセットされるようです。竹が描かれた干菓子の敷紙は、記念に持ち帰ると思い出になりますね。
「休耕庵」を利用するなら、入口で拝観料を支払う時に抹茶券を購入しましょう。
見どころ3. 境内の建造物
山門や鐘楼

山門の「薬医門」は2007(平成19)年に再建されたもので、この門を額縁にして参道をのぞむ景色も圧巻です。
手入れの行き届いた庭が続く参道の先には、趣ある茅葺き屋根のかねつき堂・鐘楼があります。鐘楼を見下ろすように立つ大イチョウは樹齢300年以上。秋には見事な黄金色に染まります。
鎌倉市内から移された100基を超える五輪塔群もあり、苔むした姿に時の流れが感じられます。
鐘楼を過ぎると正面に堂々たる本堂があります。参拝を済ませてから竹の庭に進みましょう。
足利一族の墓と伝わる横穴式墳基

竹の庭の奥に位置するのは、“やぐら”と呼ばれる岩肌をくりぬいた横穴式墳基(ふんぼ)です。やぐらは、鎌倉地域特有のもので、報国寺のものは足利家時ほか四代鎌倉公方足利持氏の子・義久の墓と伝わっています。
永享の乱で敗北し、報国寺境内でわずか10代ながら自害割腹したと伝わる足利義久。報国寺はこのような激動の歴史を持つ地でもあるのです。
雄々しい岩肌の中に佇む墓は、神秘的な雰囲気。中に入ることは出来ませんが、散策路から眺めるだけで厳かな気持ちになれます。
枯山水の庭園

報国寺には庭師が常駐し、日常の清掃や木々の剪定・植栽を行っています。そのため参道や本堂の裏にある玉砂利と植栽で山と川を表現した枯山水の庭園は、いつ訪れても心安らぐ美しさ。春にはサンシュユやレンギョウ、初夏にはミヤコワスレやオオデマリ、秋には紅葉、冬にはツバキと四季折々の花や景色が彩りを添えます。
報国寺のおまもり・御朱印

御朱印所は受付の隣。御朱印代は300円で、竹の庭の散策前に預けておくと、帰るまでに記入してもらえます。竹の絵がデザインされたオリジナルの御朱印帳は3種あり、好きな色やデザインを選ぶことができますよ。
0467-22-0762
神奈川県鎌倉市浄明寺2-7-4
[参拝時間]9時~16時
竹の庭拝観は12月29日~1月3日
拝観料 中学生以上300円、抹茶(干菓子付き)600円
【電車】JR鎌倉駅よりハイランド循環または金沢八景、鎌倉霊園正面前太刀洗行きバス10分、浄明寺より徒歩4分【車】横浜横須賀道路朝比奈ICより8分
あり(5台)
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(画像提供:報国寺)
報国寺周辺のおすすめスポット
一条恵観山荘【報国寺より徒歩4分】
季節の花の花手水が点在する庭園を散策



一条恵観山荘は、江戸時代初期、後陽成天皇の第九皇子であった一条恵観により営まれていた京都の茶屋を鎌倉に移築したもので、国の重要文化財です。
鎌倉では珍しい京都風の手入れの行き届いた庭園と、鎌倉の原風景が楽しめる庭園が融合。50種以上の山紫陽花や桔梗など四季折々の花、紅葉と点在する花手水(はなちょうず)と、800坪の敷地はどこをとっても絶好のフォトスポット。入口で「水占い(200円)」を引き、庭園内の「江月庵(こうげつあん)」のつくばい(手水鉢)に浸すと運勢が浮かび上がる占いができるのも楽しいですね。
併設する建物に「かふぇ楊梅亭(やまももてい)」もあります。
かふぇ楊梅亭【報国寺より徒歩4分】
美しい自然を眺めつつ和スイーツを楽しむ


鎌倉の岩山と滑川の原風景をのぞみながらスイーツや珈琲などが味わえるので、散策の中のひと休みにもぴったり。落ち着いた和の雰囲気に癒やされます。
「白玉あんみつ」は、絹のような食感の白玉とフルーツに、やまももの実を添えています。小皿には越前の保存食「はまな味噌」があり、箸休めに最適です。
二十四節気・季節ごとに合わせた上生菓子が味わえる「抹茶と季節の主菓子(1100円)」も、四季折々の自然が感じられおすすめです。
0467-53-7900
神奈川県鎌倉市浄明寺5-1-10
拝観時間、カフェ営業10時~16時(最終入園・LO15時30分)
不定※季節により異なる。HP参照
拝観料500円(未就学児入園不可)
【電車】JR鎌倉駅よりハイランド循環または金沢八景行きバス10分、浄明寺より徒歩2分【車】横浜横須賀道路朝比奈ICより8分
なし
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(画像提供:一条恵観山荘)
浄妙寺【報国寺より徒歩5分】
枯山水の庭園など見どころの多い足利氏ゆかりの禅寺


源頼朝の忠臣・足利義兼が1188(文治4)年に創建した古刹です。どっしりとした屋根が風格を感じさせる本堂には、鎌倉時代に造られた釈迦如来像があり、鎌倉市の重要文化財に指定されています。
山門をくぐると、四季の花が咲く庭園があります。境内の「喜泉庵」では、美しい枯山水の庭園を眺めながら抹茶を楽しむことができます。
寺の東の山にあるのは“鎌足稲荷”と呼ばれる古い祠です。これは大化の改新の立役者である藤原鎌足が鹿島神宮に参詣に向かう途中、夢のお告げに従って、鎌槍を埋めた場所と伝わっています。
0467-22-2818
神奈川県鎌倉市浄明寺3-8-31
[参拝時間]9時~16時30分、喜泉庵10時~LO16時15分
なし、喜泉庵は年末年始
拝観料【中学生以上】100円、【小学生】50円、抹茶と干菓子660円、抹茶と生菓子1100円
【電車】JR鎌倉駅よりハイランド循環または金沢八景行きバス10分、浄明寺より徒歩2分【車】横浜横須賀道路朝比奈ICより8分
あり(20台/1時間500円)
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(画像提供:鎌倉市観光協会)
石窯ガーデンテラス【報国寺より徒歩6分】
浄妙寺境内の洋館を改装したカフェ&レストラン



浄妙寺の境内の坂道を上ると現れるおしゃれな洋館。これは1922(大正11)年にドイツ人建築家により貴族院議員邸として建てられたもので、現在はカフェ&レストランとなっています。テラス側に広がる庭はスコットランド人のガーデナーが手がけており、四季折々の花が目を楽しませてくれます。
「アフタヌーンティーセット」は、自家製のスコーンやスイーツ、フィンガーサンド、季節のケーキなどをシルバースタンドに盛り付けた英国式の伝統的なスタイル。オリジナルブレンドの紅茶とともに至福の時を演出してくれます。
「ガーデンプレート」は、シェフ特製のキッシュ、ももハム、ソーセージ、チーズ、スモークサーモン&ポテトサラダなどを少しずつひと皿に盛り合わせています。レストラン裏にある石窯焼きのパン工房で焼くパンとともに味わうことができます。
0467-22-8851
神奈川県鎌倉市浄明寺3-8-50(浄妙寺境内)
9時~17時(食事LO15時、カフェLO16時)
月(祝日の場合翌日)、夏季冬季休業あり
浄妙寺拝観料【中学生以上】100円、【小学生】50円
【電車】JR鎌倉駅よりハイランド循環または金沢八景行きバス10分、浄明寺より徒歩5分【車】横浜横須賀道路朝比奈ICより8分
あり(20台/2000円以上の食事で3時間まで無料)
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(画像提供:石窯ガーデンテラス)
和喫茶 金魚の栖【報国寺より徒歩6分】
金魚と庭を眺めつつ優雅な時が過ごせる



着物と金魚、珈琲好きなご夫婦が土日祝のみ開いている隠れ家のようなカフェです。水槽で優雅に泳ぐデメキンやランチュウなどの多彩な金魚と、小さいながら手入れの行き届いた庭を眺めながらハンドドリップの美味しいコーヒーと手作り甘味、ケーキや「ピーマンと塩昆布のチーズサンド(780円)」などの軽食を味わうことができます。
「自家製大納言あんこと白玉クリーム」は、じっくり炊いた大粒の大納言小豆が自然な甘さで、もっちりとした白玉と相性抜群。大きめなお茶碗サイズの土鍋をあけると可愛い金魚の形のゼリーが現れる「土鍋のプリン」も好評です。
0467-37-6823
神奈川県鎌倉市浄明寺2-1-27
【土・日・祝】10時30分~17時
月~金
【電車】JR鎌倉駅よりハイランド循環または金沢八景行きバス10分、杉本観音より徒歩4分【車】横浜横須賀道路朝比奈ICより8分
なし
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(画像提供:和喫茶 金魚の栖)
cafe kaeru【報国寺より徒歩8分】
四季を映す美しい庭をのぞむガーデンカフェ



オーナー夫妻が自宅をリノベーションしてオープンしたカフェです。大きな窓から春は桜や藤、梅雨は紫陽花や沙羅双樹、夏はミントやセージなどのハーブ、秋は紅葉と美しく彩られる庭を眺めながらゆったりとした時間が過ごせます。旬の野菜をたっぷり使った自家製づくしのメニューと、北鎌倉の名店「石かわ珈琲」の焙煎豆を使ったコーヒーが好評です。
「季節野菜のどんぶり」は鎌倉野菜をメインに、その時期に出る旬の野菜をオリーブオイルでソテーした野菜をごはんにのせ、自家製の特製タレをかけて味わいます。地鶏の照り焼きと、ささがきゴボウのきんぴらをのせた「小判弁当」は曲げわっぱの器も絵になるおすすめの一品です。
0467-23-1485
神奈川県鎌倉市二階堂936
11時~17時(LO16時30分)
水・木(ほか不定)
【電車】JR鎌倉駅より大塔宮行きバス10分、天神前より徒歩3分【車】横浜横須賀道路朝比奈ICより10分
あり(2台)
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(画像提供:cafe kaeru)
sawvi【報国寺より徒歩12分】
糀を使ったメニューのほか糀のワークショップも開催




“糀文化を装備する”をテーマに、古き良き糀の文化を伝えるべく、静かな奥鎌倉にオープンしたカフェです。福井県のオーナーの実家農園で作られる特別栽培米コシヒカリから作る糀を使った料理やドリンク、スイーツを味わうことができるほか、糀について学んだり、味噌づくりをするワークショップも開催しています。
「大豆コロッケ定食」のご飯は、自家農園である「丹生寺坂農園」にて農薬や化学肥料を使わずに栽培された特別栽培米のコシヒカリ。甘糀ドリンク、甘糀ドレッシング、 甘糀ピクルスと糀の様々な味わいが楽しめるのもいいですね。
1日10食限定の「季節のパフェ」にはいちごやシャインマスカットなど季節のフルーツを使用。甘糀を使ったオリジナルの甘糀ジェラート、蒸し大豆「里のほほえみ」から作る塩気のある大豆あんも味わいのアクセントになっています。
0467-37-5188
神奈川県鎌倉市浄明寺5-6-1
11時~18時(LO17時)
月・火
【電車】JR鎌倉駅よりハイランド循環または金沢八景行きバス13分、泉水橋より徒歩4分【車】横浜横須賀道路朝比奈ICより6分
なし
「sawvi」の詳細はこちら
(画像提供:sawvi)
まとめ
賑わう鎌倉駅周辺からちょっと足を伸ばすと、凜とした竹林、静寂の庭園があり、そこは自分を見つめ直すには最適の空間です。ゆったり散策しながら、自然と対話。歩き疲れたらこだわりのカフェでひと休み。報国寺周辺ではそんな豊かな時が過ごせますよ。
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※この記事は2022年12月9日時点での情報です。
※掲載されている情報や写真については最新の情報とは限りません。必ずご自身で事前にご確認の上、ご利用ください
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中林 貴美子
旅のライター歴=じゃらんライター歴20余年。2人の子どもを育てつつ、西へ東へ取材行脚の日々。観光地と観光地のはざまにあるのどかな里山風景やそこで暮らす地元の人との触れあいが好き。食いしん坊が幸いしてご当地グルメや道の駅グルメ関連も多数。