富士山のふもとにある「忍野八海」。8つの神秘的な湧水池や、日本の原風景ともいうべき景観が魅力で多くの人が訪れる観光地です。
今回は「忍野八海」にある池の魅力と、周辺のおすすめグルメスポットをご紹介します。ぜひ参考にして、お出かけしてみてくださいね。
「忍野八海」ってどんな場所?
富士山の名水が湧く、神秘の池

「忍野八海」は、富士山の伏流水を水源とする湧水群です。富士山の雪解け水が地下の溶岩の間で歳月をかけてろ過され、湧水となって8つの池を作りました。
また、富士信仰における歴史と伝承の地でもあり、江戸時代には、人々が富士登山をする際に、身を清めるために訪れた巡礼地だと伝わっています。そのような背景から、2013年より「富士山-信仰の対象と芸術の源泉」の構成資産の一部として、世界文化遺産に登録されています。
池であるのに「忍野八海」と「海」の名がついている理由について、はっきりしたことはわかっていません。一説には、それぞれの池には竜神さまが祀られており、池でありながら海に匹敵するほど神聖で尊いことから、8つを総じて「海」と呼んだといわれています。
また、池以外にも、富士山を背景に茅葺屋根の建築や水車小屋など、現代の日本ではなかなか見られない田園風景を楽しめるのが魅力です。
「忍野八海」の8つの池すべてを巡るための所要時間は2時間ほどで、巡る順番も自由です。ただ、近年は国内外の観光客が集まるスポットとなっているため、混雑も想定して、時間に余裕を持って散策しましょう。
それでは、ここから各池の紹介をします。
菖蒲池
病を治す菖蒲の伝説が語り継がれる

八番霊場の「菖蒲池」の周辺には、サトイモ科のショウブや、アヤメ科のキショウブなどが自生しているのが特徴です。
“病を患った夫の体に、妻が菖蒲池に生えていた菖蒲の葉を巻いたところ、病が治った”という伝説が残っています。
【菖蒲池から徒歩1分】鏡池
池に映る「逆さ富士」が美しい


長方形に近い形をした七番霊場「鏡池(かがみいけ)」は、湧水量が少なめの池です。天候の良い日は、池の水面に富士山が映り込む「逆さ富士」が見られることがあります。
この池には“人々の行いの善悪を見分けることができる”という伝説があります。そのため、古くから集落で争いごとがあった際は、当事者がこの池で身を清めると解決すると信じられてきたそうです。
【鏡池から徒歩1分】湧池
透き通るような水と豊かな湧水量を誇る



五番霊場の「湧池」は、その名の通り湧水量が豊富で、揺れ動く水面や透き通った水底の景観が美しいのが特徴。
魚が泳ぐ姿や、水中にたゆたうナガエミクリ(ガマ科)などの水草もくっきりと見られます。周辺には土産店が立ち並び、「忍野八海」で最も賑やかな通りに面していることもあって、「忍野八海」を代表する人気スポットとして知られています。
この池にも伝説が残っていて、“かつて富士山が噴火した際に、日本神話に登場する女神・コノハナサクヤヒメが溶岩の熱に苦しむ人々に声をかけ、地面の間から水が湧き出し池となり人々を救った”と語り継がれています。
【湧池から徒歩1分】濁池
湧水量はわずかだが透き通った美しい池


六番霊場の「濁池(にごりいけ)」は、湧池に隣接し、阿原川と合流している水深50cmほどの小さな池です。
“かつて、行者の「水を飲ませてほしい」という頼みを地主が断ったところ、急に水が濁った”という言い伝えが名前の由来になっています。池の湧水量はわずかですが、井戸水が流入しているため実際に濁りは見られません。
【濁池から徒歩2分】底抜池
とちの木に抱かれるようにひっそり佇む

三番霊場の「底抜池」は、「榛の木(はんのき)林資料館」敷地内の一番奥にある、大きなとちの木をはじめ、木々が立つ場所に佇む静かな池です。見学には「榛の木(はんのき)林資料館」への入場が必要です。
“この池で物を落とすと渦に巻き込まれて消えてしまい、後に「お釜池」に現れる”という言い伝えがあります。
【底抜池から徒歩3分】銚子池
縁結びのご利益があるといわれる池

阿原川近くの草地にある四番霊場の「銚子池」は、池の底の砂地から水が湧いているのがよく見える池です。
“その昔、花嫁がお銚子を持ったまま身投げをした”という伝説が転じて、縁結びのご利益がある池として知られるようになりました。
【銚子池から徒歩2分】お釜池
湧水量が豊富で濃いブルーが魅力


二番霊場の「お釜池(おかまいけ)」は忍野八海の中で最も小さな池ですが、湧水量は豊富で、濃い青色の水が美しく、神秘的な雰囲気が魅力です。また、バイカモなどの藻が揺れ動く様子を見るのも風情があります。
この池には、“美しい娘が大きなガマガエルに池に引きずり込まれてしまった”という悲しい伝説が残っており、別名“大蟇(おおがま)池”とも呼ばれています。
【お釜池から徒歩13分】出口池
忍野の自然を感じられる、「禊」の池


忍野八海の中でひとつだけ離れた場所にあるのは、最も面積が広い一番霊場の「出口池」。
後方には山がそびえ、池を見下ろす林の中に出口稲荷大明神の神社が佇んでいます。富士山を信仰する人々が、登山前にこの池で禊を行い、身を清めていたことから“精進池”とも呼ばれています。
0555-84-4222(忍野村観光協会)
山梨県南都留郡忍野村忍草239-3
なし
見学自由【底抜池】9時~17時
なし 【底抜池】不定(榛の木林資料館の営業日に準ずる)
入場無料 【底抜池】中学生以上300円、小学生150円、1歳~未就学児100円
【電車】富士山麓電気鉄 富士山駅よりタクシーで15分、富士山麓電気鉄 河口湖駅よりバスで30分 【車】東富士五湖道路 山中湖ICより約6分、中央自動車道 河口湖ICより約20分
[駐車場]あり(300円)
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八海巡りで食べたいおすすめグルメ3選
浅野食品 八海とうふの「豆乳ソフト」


「浅野食品 八海とうふ」は大正時代に創業し、代々豆腐づくりを続けている老舗の豆腐専門店。豆腐は水分を多く含む食品なので、原料に使う水でおいしさが左右されるといわれています。忍野の名水を生かして作る「八海とうふ」は、国産大豆100%とにがりのみを使用するこだわりの豆腐です。

その場で食べられる人気メニューの「豆乳ソフト」は、大豆の濃厚なコクとあっさりとしたほどよい甘さ、そして滑らかな舌触りがくせになる逸品です。甘いソフトクリームが苦手な人にもおすすめです!

お土産にぴったりなのは、富士山の形をしたその名も「富士山豆腐」です。絹豆腐と黒ごま豆腐を重ね合わせており、容器から出してお皿に載せると、ぷるぷるとした可愛らしい富士山が食卓を飾ります。
旅のひと休みや、お土産探しにぴったりのお店ですよ。
はんのき食堂の「甲州郷土料理 ほうとう」

「底抜池」の敷地内にある「榛の木林資料館」に併設している「はんのき食堂」では、山梨の郷土料理や忍野村の名物が楽しめます。
看板メニューは、山梨名物の「甲州郷土料理 ほうとう」です。独特の幅の広い麺と、かぼちゃや白菜、ネギなどたっぷりの野菜を一緒に煮込んだ身も心もあたたまる逸品。ボリュームもたっぷりで大満足!

忍野の名物である蕎麦に、煮込んだ豚肉がたっぷり載った「肉そば」も人気メニューです。名水で作られた蕎麦にこだわりのつゆ、ジューシーな豚肉がマッチした、こちらもボリューム満点の一杯。


屋内席の他にもテラス席があるので、暖かい季節や天気の良い日は、のどかな風景を眺めながらゆっくりランチを楽しめそうですね。
0555-84-2587
山梨県南都留郡忍野村忍草265
11時~15時
木
富士五湖道路 山中湖ICより車で10分
20台
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渡辺食品の「草餅」

忍野八海の散策にぴったりのテイクアウトグルメなら「草餅」。漬物や乾物など、忍野の特産品を販売している「渡辺食品」の看板メニューで、店頭では焼きたてが食べられます。
手摘みのよもぎを練り込んだ生地の中には、つぶし餡がぎっしり。よもぎのさわやかな風味と、ほどよい甘みの餡が絶妙です。

自家製の味噌だれをつけて焼き上げた、もっちり食感がたまらない「みそだれ串だんご」や、「草餅」の生地を串だんごにした「よもぎ串」(100円)も手軽に食べられておすすめです。
人通りの多い「涌池」近くにあり、香ばしい香りに誘われて、次々と観光客が立ち寄っています。素朴で味わい深い忍野八海の名物スイーツをぜひ食べてみてくださいね。
0555-84-4106
山梨県南都留郡忍野村忍草241
【4月~11月】8時~17時30分【12月~3月】8時30分~16時
不定
富士五湖道路山中湖ICより車で6分
なし
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まとめ
富士山の眺望や、伏流水をたたえる8つの池など、魅力満載の「忍野八海」。それぞれの池についての伝説や特徴を知ってから出かけると、「忍野八海」巡りがさらに味わい深いものになるはず。ぜひ散策を楽しんでくださいね。
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※この記事は2023年4月13日時点での情報です。休業日や営業時間など掲載情報は変更の可能性があります。
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じゃらん編集部
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