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2023.09.20

【東京・葛飾】柴又帝釈天・題経寺の見どころを紹介!うなぎや草団子など参道グルメも<2023>

映画『男はつらいよ』シリーズの舞台として知られる東京の下町、葛飾区柴又。映画の中にも登場する「柴又帝釈天」の見どころとともに、最寄りの柴又駅から続く参道の名物グルメも紹介します。

※この記事は2023年8月19日時点での情報です。休業日や営業時間、料金など掲載情報は変更の可能性があります。

記事配信:じゃらんニュース

柴又帝釈天とは

江戸時代より信仰を集める、東京下町の“庶民の寺”

柴又帝釈天

  
「柴又帝釈天(しばまたたいしゃくてん)」の通称で親しまれ、映画の舞台としても有名なこちらは、正式名が「経栄山題経寺(きょうえいざんだいきょうじ)」という日蓮宗のお寺です。江戸初期の寛永6(1629)年、開基の一人である日栄上人が柴又を訪れた際に、立派な松の木と、その根方に霊泉が湧くのを見て庵(いおり)を結んだのが寺の始まりといわれています。

「帝釈堂」に祀られるのは、宗祖・日蓮聖人が刻彫したと伝わる「帝釈天の板本尊」。片面には南無妙法蓮華経のお題目が彫られ、もう一方の面には剣を持った帝釈天が彫られています。仏の教えを守れば病難や火難などの災難に遭っても、帝釈天が必ず守護し、悪魔を退散させてくれると、昔から“庶民の寺”として信仰を集めてきました。

一時期、行方知れずになっていた「帝釈天の板本尊」ですが、江戸中期の安永8(1779)年、本堂改修中に発見されたそうです。それが干支(※1)の“庚申(かのえさる)”の日だったことから、「経題寺」では以後、庚申の日を寺の縁日(祭祀の日)と決め、現在に至っています。“庚申(こうしん)信仰”(※2)が盛んだった当時の江戸庶民の間では、「柴又に帝釈天が庚申の日に出現した」と評判になったとか。また、「帝釈堂」では、庚申の日に帝釈天の板本尊が開帳され、誰でも拝観することができます。「題経寺」の公式ホームページにも年ごとに日程が載っていますので、チェックしてみてください。

※1干支(えと)/時間や空間を表す甲・乙・丙などの10要素からなる“十干(じっかん)”と“十二支(じゅうにし)”の組み合わせ。60種類あり、暦の表記などに用いられる。“庚申”は、十干の“庚”と十二支の“申”の組み合わせで干支の57番目にあたる

※2庚申信仰/元は中国の道教に由来。人の体の中には「三尸(さんし)」という三匹の虫がおり、庚申の日の夜、寝ている間に体の外に出て帝釈天にその人の悪行を告げるといわれていた。江戸時代、庚申の日は、帝釈天に参拝して昼夜寝ずに過ごす「宵庚申」がブームだったとか

見どころ1:重層優美な魅力の「二天門」

柴又帝釈天
二天門

門前通りの正面にそびえたつ「二天門」は、名匠・坂田留吉棟梁によって造りあげられた総欅(けやき)造りの豪壮な2階建ての門です。「二天門」は明治29(1896)年に「日光東照宮」の陽明門を模して建てられたといわれ、門に施される重層かつ優美な木彫り彫刻は、下から見上げると迫力たっぷりです。

「二天門」の左右には、「帝釈天」の配下の四天王のうち、「増長天」と「広目天」を安置。ちなみに、ほかの四天王の二天、「多聞天(毘沙門天)」と「持国天」は「帝釈堂」に置かれています。

柴又帝釈天
御神水(手前右)と浄行菩薩

「二天門」の前で合掌して境内に入ったら、まず、左手にある御神水で身を清めましょう。

こちらは映画の中で、主人公“寅さん”が産湯につかったというエピソードがあります。そばにある「浄行菩薩(じょうぎょうぼさつ)」は、法華経の四大菩薩の一人。この世を浄化し、人々の罪やけがれを洗い清めてくれるといわれているので、忘れずにお参りしたいですね。

柴又帝釈天
瑞龍の松と、帝釈堂

また注目したいのが、「帝釈堂」の手前、寺の縁起でもある大きな松の木。「瑞龍(ずいりゅう)の松」と呼ばれ、東京都の天然記念物にも指定されています。まっすぐ伸びる大きな幹から枝が分かれ、西の枝は石畳に沿うように、そして南北の枝は「帝釈堂」を守護するかのように伸びています。その姿は頭を空に向け、尾を西に伸ばして天に昇る龍のよう。力強さにパワーをもらえそうです。

見どころ2:「帝釈堂」と「彫刻ギャラリー」

「帝釈天の板本尊」を安置する「帝釈堂」の建物は、「二天門」と同じく、坂田留吉棟梁が仕上げた総欅(けやき)造り。内殿外側の壁には、仏教経典「法華経」の説話を表現した10枚の「法華経説話彫刻」がぐるりと張りめぐらされています。現在は彫刻作品の保存のため、堂内の鑑賞用通路を歩きながら眺められる「彫刻ギャラリー」として公開。「帝釈堂」の前でお参りした後は、靴を脱いでお堂に上がり、「彫刻ギャラリー」へ向かいましょう。

※入場チケットは、日本庭園「邃渓園」鑑賞とセット

柴又帝釈天
彫刻ギャラリーの法華経説話彫刻

10枚の「法華経説話彫刻」は、大正11(1922)年から昭和9(1934)年にわたり、十数年かけて完成された作品で、1枚の大きさは縦4尺2寸(約1.27m)、横7尺5寸(約2.27m)、厚さ20cm。関東の名のある10人の彫刻師たちが1枚ずつ担当し、背景まで細かく彫り込まれた作品は圧巻!法華経説話のどの場面なのか、説明書きも付いていますよ。ほかにも、回廊の下まで龍や亀など躍動感のある彫刻が施されているので、ゆっくりと見て回りたいですね。

見どころ3:日本庭園「邃渓園」

「帝釈堂」の裏手にあり、「彫刻ギャラリー」とあわせて見物できるのが、「大客殿」と「邃渓園(すいけいえん)」です。

柴又帝釈天
大客殿

「大客殿」はすべての材木に厳選された檜(ひのき)だけを使うという貴重な木造建築で、日本庭園「邃渓園」とともに東京都の指定名勝に選定されています。広縁の中央には物見台が設けられ、「邃渓園」を眺めることができます。

柴又帝釈天
邃渓園

「邃渓園」は、向島の名庭師・永井楽山翁の最後の名作といわれ、昭和47(1972)年に完成。庭園の滝の風情が幽邃(ゆうすい)で、もの静かであることから命名されました。大きな池を囲むように草木が配置された回遊式の庭園は、都心とは思えないような癒やしの空気が流れています。中に直接入ることはできませんが、屋根付きの回廊を散策しながら優雅な時間を楽しめますよ。

お守り・ご朱印

ご朱印は「帝釈天王」「毘沙門天」「南無妙法蓮華経」の3種類をいただけ、「帝釈堂」で受け付けてもらえます。

柴又帝釈天
一粒符

珍しいのが、“飲むお守り(御符)”といわれる、「一粒符(いちりゅうふ)」。江戸時代の天明年間に疫病が流行った際にそれを退けたと伝わり、今も昔と変わらず授与されています。中に包まれた粒状のお守りを飲むことでご利益を授かれるといわれています。

また、受付期間や授与日が限定されている特別なお守り、「除疫守」にも注目。一般には“風封じ“と呼ばれ、こちらも昔から伝承されるお守りです。受付期間中に「帝釈堂」で申し込み、祈祷してもらったものを授与期間中にいただけます。

■除疫守の受付・授与期間
[受付期間]毎年10月1日~12月20日
[授与期間]毎年1月15日~3月

柴又帝釈天
左から、厄除御守、身守、金運御守
柴又帝釈天
七福神守、身代り守

ほかに、厄除けから金運、健康、学業など多彩な種類のお守りが揃います。

■柴又帝釈天(経栄山題経寺)
[TEL]03-3657-2886
[住所]東京都葛飾区柴又7-10-3
[参拝時間]【御祈願受付】9時~15時30分【開門時間】5時~20時(大晦日は終日)【閉堂時間】平日:17時迄、土・日・祝:18時迄、元旦~1月3日:19時迄【彫刻ギャラリー・邃渓園】9時~17時(最終受付16時)【授与品受付】9時~16時
[定休日]なし【邃渓園】12月28日~1月3日
[料金]参拝無料【彫刻ギャラリー・邃渓園】入場料400円
[アクセス]【電車】京成電鉄柴又駅より徒歩3分【車】首都高速中央環状線四つ木橋出口より5分
[駐車場]帝釈天付属幼稚園駐車場を利用(行事がある場合などは利用不可)※【利用時間】月~土:9時~16時、日・祝:9時~17時※入庫待ちは不可
「柴又帝釈天(経栄山題経寺)」の詳細はこちら

柴又帝釈天とあわせて訪れたい参道グルメ

京成電鉄柴又駅から「柴又帝釈天」へと続く約200mの参道には、土産店や食事処が軒を連ねています。下町風情の薫るレトロな参道での食べ歩きも、帝釈天詣でのお楽しみの1つです。ここからは、おすすめの参道グルメを紹介していきます。

高木屋老舗

柴又帝釈天参道

映画『男はつらいよ』で描かれる“寅さんの実家”のモデルとして知られる、明治時代創業の「高木屋老舗(たかぎやろうほ)」。参道を挟んで両側に喫茶店と土産店の2店舗を構えています。瓦葺きの建物は明治と大正時代に建てられたもので、今も創業当時の風情を感じます。店内には撮影当時の写真や出演者・監督ゆかりの品々が多数。貴重な展示物もあるので映画ファンの人は必見ですね!

喫茶で味わえる名物の「草だんご」(2串500円)は、生上新粉を使った、もっちりとした食感が特徴。筑波山麓のよもぎの新芽だけを練り込むため、風味の良さも魅力です。喫茶ではそのほかに、「くず餅」や「茶めし」などで一息つけます。

柴又帝釈天参道
草だんご(折詰12粒800円~ ※写真はイメージ)

土産店でも、「草だんご」(折詰)は定番。加えて、「塩せんべい」や「瓦せんべい」など、食べ歩きにちょうどいいおやつも並びます。

■高木屋老舗 (たかぎやろうほ)
[TEL]03-3657-3136
[住所]東京都葛飾区柴又7-7-4
[営業時間]【喫茶店】10時~LO16時30分【土産店】9時~17時
[定休日]なし
[駐車場]なし
「高木屋老舗」の詳細はこちら

吉野家

柴又帝釈天参道

柴又で3代続く、「草だんご」専門のテイクアウトの店。長野県産の乾燥よもぎを生地に練り込んで提供しています。

団子の色が緑を通り超して“深緑色”という見た目の通り、よもぎがふんだんに使われており、とにかく味と香りが濃いと評判です。ほろ苦い「草だんご」のトッピングは甘さ控えめの手作りあんこか、きな粉&黒みつを選べます。

柴又帝釈天参道
草だんご1粒(食べ歩き用)70円
柴又帝釈天参道
パック入り4個280円~、折詰11個800円~

当日分が売り切れ次第閉店なので、確実に手に入れるなら午前中に立ち寄ることをおすすめします。土産にはもちろん、1粒から購入可能で、食べ歩きにもぴったりです。

■吉野家
[TEL]03-3673-0898
[住所]東京都葛飾区柴又7-6-18
[営業時間]9時~15時頃 ※土・日・祝、庚申の日のみ営業
[定休日]月~金
[駐車場]なし

い志い

柴又帝釈天参道

江戸時代に「以志ゐ呉服店」として創業。常連さんへのおもてなしとして出していた茶菓子や漬物が評判になり、戦後から「い志い(いしい)」の名で茶店を始めたそうです。

代々守り継ぐ木造店舗は、帝釈天参道で最古という築200年ほどの建物。重厚な佇まい、前土間、揚戸の出入り口などは、“出桁造り(だしけたづくり)”と呼ばれ、江戸の商家建築を今に伝えています。

柴又帝釈天参道
フーテンの寅゛(どら)焼き1個240円

定番商品は、銅板で1枚ずつ生地を手焼きする「寅゛(どら)焼き」。中のあんこは、すっきりとした甘さが柴又流。桜、栗など季節限定の味や、生クリーム入り、アイスクリームサンドなど種類も豊富に揃います。1日に数回、店頭で実演販売しているので、焼きたての「寅゛(どら)焼き」を味わえることもありますよ。

■い志い(いしい)
[TEL]03-3657-1749
[住所]東京都葛飾区柴又7-6-20
[営業時間]9時~17時
[定休日]不定
「い志い」の詳細はこちら

川千家

柴又帝釈天参道
うな重(梅)4000円(肝吸い付き)
柴又帝釈天参道
ひつまぶし6300円(肝吸い付き)

創業250年以上、江戸時代から変わらぬ味を守り続ける川魚料理の「川千家(かわちや)」。名物のうなぎ料理は、その日に一番良い状態のうなぎを専門店から仕入れ、備長炭で焼き上げています。

料理によって、うなぎの焼き方を変えており、「うな重」に使う蒲焼きは、うなぎの白焼きをさらに蒸すことで柔らかな食感が楽しめます。「ひつまぶし」には、蒸さずにじっくりと焼く香ばしい蒲焼きを使うそうです。

柴又帝釈天参道

店内には参道が見える席のほか、中庭を眺めながら寛げる座敷席もあります。「柴又帝釈天」を参拝した後、ちょっと贅沢に老舗の味を満喫するのもいいですね。

■川千家(かわちや)
[TEL]03-3657-4151
[住所]東京都葛飾区柴又7-6-16
[営業時間]11時~19時
[定休日]なし
[駐車場]あり(20台)※お店を予約利用の場合を優先
「川千家」の詳細はこちら

ゑびす家 参道店

柴又帝釈天参道
川魚御膳3000円
柴又帝釈天参道

映画『男はつらいよ』の支度部屋(したくべや)にも使われたという有名店「ゑびす家」は、江戸時代、天明年間の創業。大正初期に建てた、築100年越えの木造建築で老舗の川魚料理を味わえます。レトロな雰囲気の店内には、テーブル席のほか、落ち着ける小上がり席もあります。

柴又のいろいろな名物を少しずつ食べてみたいという人には、「川魚御膳」がいちおし!うなぎの蒲焼きが載ったご飯をはじめ、鯉の洗い、鯉こく、草だんごまでがセットになり、柴又の味覚を一度に楽しめます。

王道なら、ふんわりと柔らかいうなぎの蒲焼きが主役の「うな重」や「うなぎ定食」(肝吸い付き・各3960円~)。ほか、「天丼」や「さしみ定食」などメニューが豊富で嬉しいですね。

■ゑびす家 参道店
[TEL]03-3657-2525
[住所]東京都葛飾区柴又7-3-7
[営業時間]11時~19時(LO18時30分)
[定休日]不定(月4回)
「ゑびす家 参道店」の詳細はこちら

まとめ

映画の舞台でも有名なお寺にお参りして、下町情緒たっぷりな参道の食べ歩きを!のんびりとした1日をぜひ楽しんでみてください。

※掲載されている情報や写真については最新の情報とは限りません。必ずご自身で事前にご確認の上、ご利用ください。
※掲載の価格は全て税込価格です。

CLIP(土井真由美、小林佐知子)  CLIP(土井真由美、小林佐知子)

「旅」を中心に、グルメ、温泉、カルチャーなどの情報を発信するライター集団。食いしん坊が揃い、特にグルメネタが得意!

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