「クラフトサケ」と聞いてピンと来た人はお酒ツウ!
もろみを搾らなかったり、発酵時にフルーツやハーブなどの副原料を入れたりと、日本酒とは違う工程で作られる、新しいお酒のカテゴリです。
そこで今回は、「稲とアガベ」や「LIBROM Craft Sake Brewery」など、今大注目の醸造所をご紹介!
どこも直売所や飲食店を併設しているので、ぜひ、訪れてその新しい味を体感してみて。
造り手の個性が光る「クラフトサケ」に注目。
現地に足を運んで、造り手の熱い思いを感じて。
近年、特に注目されているのが、従来の日本酒の枠を飛び越えた「クラフトサケ」。日本酒(清酒)とは簡単に言うと、米と米麹と水を発酵させたもろみをこしたもの。他に使える原料は醸造アルコールや糖類など限りがある。クラフトサケブリュワリー協会の定義によると、クラフトサケはこの日本酒の醸造技術を土台にしつつ、従来の清酒では認められなかった多彩な副原料を加えて造るお酒である。
そんなクラフトサケ、まだ飲んだことがない人も多いはず。どんな魅力があるのだろう?
「米と麹以外にも原料を加えるため、味わいが幅広いのが面白い点」と話すのは、同協会会長・岡住さん。「たとえば発酵の工程でぶどうを加えるとワインのような風味になる。お酒に後から風味を付けるのではなく“米と一緒に発酵させてお酒を造る”のがポイントで、米と麹だけとは違う複雑な発酵が起き、従来なかった味が表現できるのです」。そして加える副原料に制限はなくクラフトサケの可能性は無限大、と言うわけだ。

一方で、原料に制限がなかったり複雑な発酵工程がある点は、造り手には難しくもありそう。そんな問いかけに、「造り手たちは修業して日本酒造りの基礎がありますし、発酵マニアでもあってみんな研究熱心。探究心が強く、難しいからこそやりがいも感じています」と岡住さん。
「だからどの造り手のお酒もどんどんおいしくなっているし、この先もっと面白い酒文化になるんじゃないかとワクワクしています」。
小規模なクラフトサケの酒造所は直売所や飲食店を併設したスタイルのところも多いので、「現地に足を運んで、造り手の熱い思いを感じてほしい」と話してくれた。
クラフトサケブリュワリー協会
会長 岡住修兵さん

「クラフトサケ」の認知拡大、豊かな酒文化の確立に向けて2022年設立した同協会の会長。自らも「稲とアガベ」代表として酒造りに励む。
【秋田県】稲とアガベ
酒造りを通じて新たな文化の創出を目指す気鋭の蔵元。

2021年11月設立/秋田県
ビールやワイン、お茶など他の文化をリスペクトしたうえで日本酒と融合させていくクロスカルチャーを意識。秋田県産の無肥料無農薬米と日本酒の技術をベースにした、「クラフトサケのスタンダード」を造る醸造所を目指す。酒造りを通じた街づくりにも注力し、2024年内には男鹿市内にホテルやジン蒸留所の開業を予定している。
「交酒 花風」2310円/720mL

「DOBUROKU」2500円/500mL

ショップ情報:稲とアガベ ショップ「土と風」






お酒は地域に人を惹きつけるメディアであるととらえ、過疎化が進む男鹿の街に賑わいを生むべく醸造所のショップをはじめ食品加工所やラーメン店もオープン。いずれも徒歩圏内にあるので、醸造所と合わせて訪ねてみては。
【福島県】haccoba -Craft Sake Brewery-
既成概念にとらわれず自由に、酒造りを楽しむ。



2021年2月設立/福島県
東北伝統のどぶろく製法とビールの技法を用いた代表作「はなうたホップス」の他、新作をほぼ毎月リリース。かつて各家庭で親しまれたどぶろくのように、自由な発想で材料や製法を選ぶ「ジャンルを超えた酒造り」が特徴だ。東日本大震災で一時は無人となった街を創業地に選び、街と同様にゼロから新たなサケの世界を開拓している。
「はなうたホップス」2420円/500mL

ショップ情報:haccoba 小高駅舎醸造所&PUBLIC MARKET





小高醸造所、浪江醸造所に続いて2024年2月に誕生した3カ所目の醸造所はなんと、駅ナカにある。小高駅の駅舎に醸造所とマーケットが併設され、自社醸造酒やオリジナルグッズに加えて地域自慢の品々も取り揃えている。
なし
福島県南相馬市小高区東町1-140-1
12時~19時
月
JR小高駅構内
「haccoba 小高駅舎醸造所&PUBLIC MARKET」の詳細はこちら
【東京都】木花之醸造所
今春、シンガポール初となる醸造所も誕生した注目株。

2020年6月設立/東京都
「クラフトサケ」黎明期から、「各地に個性豊かな酒蔵ができるように」と独立を志す蔵人の修業の場としても機能。ここで腕を磨いた人が、独立開業を果たしている。代表銘柄は自前の麹室で造った麹仕込みの「ハナグモリ」で、他にもビール酵母とホップ使用「HAZY SAKE」など新作が続々。2024年4月にはシンガポール初SAKE醸造所を始動!
「ハナグモリ」2178円/500mL

ショップ情報:ALL WRIGHT -sake place-



ガラス張りの醸造所奥に広がるバルでは、ここで造られた自家醸造のお酒をはじめ各地の日本酒やクラフトビールを提供。酒粕や塩麹を使った料理と共に、「飲み比べセット」3種1100円などを頼んでいろんな味わいを試したい。
03-5811-1905
東京都台東区駒形2-5-5 小宮ビルB1
17時~22時(土日祝は15時~)
不定
都営浅草線浅草駅より徒歩5分
【長崎県】でじま芳扇堂
九州初のどぶろく醸造所で地元農産物を活かし、酒造り。

2023年3月設立/長崎県
出島にて夫婦2人が営む、九州初のどぶろく醸造所。米をはじめ地元の生産者こだわりの農産物を無駄なく活かすべく、定番「芳扇」に加え形くずれや傷がある規格外の果物や野菜を用いた季節限定どぶろく「たすき」シリーズも醸す。伝統的な日本酒造りの製法を用いながらも、現代のテーブルシーンに相応しい味わいを追求している。
「芳扇-友-」2750円/720mL

蔵元ショップ情報:でじま芳扇堂



カウンター6席のバーと酒器のギャラリーを醸造所に併設。バーには自社のどぶろくをはじめ、全国からセレクトした日本酒も多数。酒肴はおまかせで3500円〜。お土産には「たすき」シリーズなどのどぶろくや一点物の酒器を。
【福岡県】LIBROM Craft Sake Brewery
フルーツやハーブが香る、するすると飲みやすい一杯。
2021年6月設立/福岡県
福岡県産のフルーツやハーブ、スパイスといった副原料を加え、従来の日本酒にはない香りが楽しめる定番品と毎月2種類の新作をリリース。日本酒文化の入口となるお酒を目指し、低アルコールで副原料の香りをしっかり引き出した「圧倒的な飲みやすさ」を重視している。設立時の目標を叶え、2024年4月よりイタリアでの日本酒醸造に進出した。
「Strawberry」2700円/500mL

「Verbena」2600円/500mL

ショップ情報:LIBROM Craft Sake Brewery


街ナカ醸造所に併設のパブでは在庫があるLIBROMのお酒全種類を45mL
450円で味わうことができ、3種飲み比べも1300円で提供。自家製の酒粕や醤油麴を使用した料理も楽しみながら、自分好みの一杯を見つけよう。
092-753-9298
福岡県福岡市中央区高砂1-21-27 ボンフル高砂103
15時~23時(土は13時~)
月、12月30日~1月5日
福岡市地下鉄七隈線薬院駅より徒歩5分
「LIBROM Craft Sake Brewery」の詳細はこちら
【大阪府】足立農醸
日本初!“団地酒蔵”が放つ飯米のお酒は優しい飲み口。

2021年1月設立/大阪府
耕作放棄地を復田して自ら栽培した、コシヒカリ米を用いた日本酒の委託醸造からスタート。2023年10月にいよいよ自らの醸造所を構えた場所は、マンモス団地の一角。コンパクトな醸造室でクラフトサケ造りに取り組んでいる。第1弾のお酒は飯米の高槻市産ヒノヒカリとキヌヒカリを使用し、ふくよかな香りと優しい口あたりを目指して醸造。
「MIYOI -ORIGIN-」3960円/720mL

蔵元ショップ情報:ADACHI NOJO Craft Sake Brewery



カウンター席のみのカフェバーが、醸造室に隣接。自家醸造酒やつまみになる一品料理のみならず、季節の果物を使ったノンアルコールの麹甘酒や麹スムージーも用意されている。お酒を飲まない人と訪れても楽しく過ごせるはず。
090-9531-3304
大阪府高槻市牧田町7 富田団地55-109
11時~15時(土日祝は〜20時)
火・水
JR高槻駅3番乗り場より市営バス18富田団地行きで21分、富田団地中央より徒歩2分 ※タクシーの場合はJR高槻駅より15分
「ADACHI NOJO Craft Sake Brewery」の詳細はこちら
※この記事は2024年5月24日時点での情報です。休業日や営業時間など掲載情報は変更の可能性があります。
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じゃらん編集部
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