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2026.10.13

【温泉のプロがレポート】日本一温泉が少ない「沖縄県」でこそ入るべき湯2選

沖縄旅行の目的といえば、やはり美しい海が真っ先に思い浮かぶ。ビーチで泳いだり、シュノーケリングを楽しんだり、南国リゾートでのんびり過ごしたり……。沖縄料理はもちろん、独自の歴史や文化に触れたり、パワースポットを巡ったりすることを楽しみにしている人も多いだろう。

一方、「温泉に入りたいから沖縄へ行こう」という人は、よほどの温泉マニアでないかぎり少ないはずである。

それも当然かもしれない。環境省の「令和6年度温泉利用状況」によれば、沖縄県の源泉数は22本、温泉地数は15カ所。いずれも47都道府県の中で最も少ない。

では、温泉が少ない沖縄では、温泉を楽しむ価値も小さいのだろうか。

そんなことはない。

沖縄
温泉が少ない沖縄では、温泉を楽しむ価値も小さい?(画像提供:PIXTA)

正直に言うと、筆者自身も沖縄へ出かけたときは、温泉を第一の目的にしていなかった。ところが、現地で湯に浸かってみると、「沖縄の旅と温泉は意外と相性がいい」と考えを改めることになった。

沖縄の旅の主役は海やリゾートでいい。そこに温泉という楽しみをひとつ加えるだけで、旅はもっと深く、充実したものになる。

今回は、全国各地で4000湯以上の温泉を巡ってきた筆者が沖縄で実際に入浴し、とくに印象に残った2つの温泉を紹介しよう。

著者プロフィール
温泉ライター 高橋一喜

温泉ライター 高橋一喜

温泉好きが高じて、会社を辞めて日本一周3016湯をめぐる旅を敢行。入浴した温泉は4000超。ぬる湯とモール泉、ソロ温泉、温泉ワーケーションを好む。著書『日本一周3016湯』『絶景温泉100』(幻冬舎)など。『マツコの知らない世界(紅葉温泉の世界)』などメディア出演多数。2021年に東京から札幌に移住。

【北谷町】期待せずに入ったら本格派!「Terme VILLA ちゅらーゆ」(ザ・ビーチタワー沖縄泊)

夕日に染まる海を望むリゾートホテルへ

画像提供:ザ・ビーチタワー沖縄
サンセットビーチに面した「ザ・ビーチタワー沖縄」(画像提供:ザ・ビーチタワー沖縄)

沖縄本島中部の北谷町にある「Terme VILLA ちゅらーゆ」との出会いは、まったく予想していないものだった。

そのときの旅で宿泊したのは「ザ・ビーチタワー沖縄」。

画像提供:ザ・ビーチタワー沖縄
客室から見たビーチ(画像提供:ザ・ビーチタワー沖縄)

ホテルの目の前には、海水浴も楽しめるサンセットビーチが広がる。昼間は青い海と白い砂浜が南国気分を盛り上げ、夕暮れどきには美しい夕日を眺められる。その名のとおり、サンセットの名所として知られるビーチである。異国情緒あふれる美浜アメリカンビレッジも徒歩圏内にあり、海と街の両方を楽しめる立地も魅力だ。

画像提供:ザ・ビーチタワー沖縄
夕暮れ時には海とビーチがオレンジに染まる(画像提供:ザ・ビーチタワー沖縄)

泊まったのは高層階の客室だった。窓の外にはビーチと青い海が広がり、夕暮れどきには空と海が少しずつ赤く染まっていく。その美しさに見入ったことを今でもよく覚えている。

画像提供:ザ・ビーチタワー沖縄
朝からホテルで沖縄料理を満喫(画像提供:ザ・ビーチタワー沖縄)

朝食のビュッフェも、リゾート滞在の楽しみのひとつだった。沖縄料理をはじめ、多彩なメニューがずらりと並ぶ。何を食べようかと迷う時間さえ、旅先では楽しい。

ところが、このホテルに宿泊した際、思わぬ事実を知った。すぐ隣に天然温泉があったのだ。まさかこんなリゾート地に温泉が湧いているなど、微塵も考えなかった。温泉ライターとしては失格である。

■ザ・ビーチタワー沖縄
沖縄県中頭郡北谷町字美浜8-6
1室2名で1名あたり15400円(税込)~
交通機関:【車】沖縄自動車道沖縄南ICより17分
あり(168台/有料)
「ザ・ビーチタワー沖縄」の詳細はこちら

 

まさか沖縄で源泉かけ流し!うれしい誤算

画像提供:Terme VILLA ちゅらーゆ
ホテルに隣接した「Terme VILLA ちゅらーゆ」(画像提供:Terme VILLA ちゅらーゆ)

「せっかくだから入ってみよう」と隣接する「Terme VILLA ちゅらーゆ」へ足を運んだ。外観も館内も、いわゆる温泉施設の情緒とは無縁だった。南国のレジャー施設といったゆるい雰囲気で、正直なところ、湯そのものにはそれほど期待していなかった。

ところが、湯に浸かると、その印象は一変した。

画像提供:Terme VILLA ちゅらーゆ
女湯の露天風呂は沖縄らしい瓦屋根のついたデザイン(画像提供:Terme VILLA ちゅらーゆ)

源泉は地下1400mから湧出。泉温42.1度、pH8.47の弱アルカリ性で、泉質はナトリウム-炭酸水素塩温泉である。しかも露天風呂では天然温泉を源泉100%かけ流し(加温・加水・循環なし)で楽しめる。

温泉資源が限られる地域では、湯を循環ろ過して利用する施設も珍しくない。それだけに、全国で最も源泉数が少ない沖縄県で、惜しげもなく新鮮な湯をかけ流していることに驚いた。

画像提供:Terme VILLA ちゅらーゆ
わずかに黄色を帯び、硫黄由来のにおいも感じられる源泉(画像提供:Terme VILLA ちゅらーゆ)

湯そのものにも、はっきりとした個性がある。源泉はわずかに黄色を帯び、硫黄由来のにおいも感じられる。肌にぬるりとまとわりつくような入浴感も印象的だ。見た目、香り、肌触りのいずれにも、しっかりとした輪郭を感じる本格派の源泉である。

意外だったのは、それだけではない。

画像提供:Terme VILLA ちゅらーゆ
男湯の露天風呂はビーチリゾートをイメージした光が差し込む造り(画像提供:Terme VILLA ちゅらーゆ)

沖縄県の温泉は、地下深くに閉じ込められた太古の海水(化石海水)などに由来するナトリウム-塩化物泉が主流である。海に囲まれた沖縄だけに、てっきり塩分を含んだ塩辛い湯が待っていると思っていた。ところが、ちゅらーゆは炭酸水素塩泉。ここでも予想を裏切られた。

炭酸水素塩泉は皮膚の角質を軟化させる作用があり、俗に「美人の湯」とも呼ばれる。余分な皮脂や汚れを落としやすくすることから、クレンジングのような作用が期待できると言われている。

考えてみれば、これは沖縄の海とも相性がいい。海で泳いだあとは、海水や砂で肌がベタつく。もちろんシャワーを浴びればさっぱりするが、そのあと温泉にゆっくり浸かれば、爽快感は格段に上がる。

画像提供:Terme VILLA ちゅらーゆ
水着で遊べる浅瀬プールにも温泉水が利用されている(画像提供:Terme VILLA ちゅらーゆ)

ちゅらーゆには、水着で楽しめる温泉プールも併設している。ホテルと温泉、プール、そして目の前のビーチを一緒に楽しめるのだから、沖縄らしいリゾートと温泉が見事に同居している。

ところが温泉好きの筆者は、せっかく目の前にサンセットビーチやプールがあるというのに、源泉かけ流しの湯が気に入って温泉に入り浸ってしまった。

「また温泉?」

同行者にあきれられたのも、今となってはよい思い出である。

温泉を目当てに北谷を訪れたわけではない。それどころか、温泉があることさえ知らなかった。旅の目的ではなかった温泉が、思いがけず心に残る。こんな偶然の出会いも、旅の醍醐味である。

■Terme VILLA ちゅらーゆ
沖縄県中頭郡北谷町字美浜2
【大人(12歳以上)】1800円、【シルバー(65歳以上)】1300円、【小人(4~11歳)】800円、【乳幼児(1~3歳)】300円※その他料金あり、詳細は公式サイト確認
交通機関:【車】沖縄自動車道沖縄南ICより17分
あり(無料)
「Terme VILLA ちゅらーゆ」の口コミ・周辺情報はこちら

【宮古島】「温泉の出番などない」はずだった……「シギラ黄金温泉」(シギラベイサイドスイート アラマンダ泊)

「宮古ブルー」の海を満喫するラグジュアリーリゾートへ

画像提供:シギラベイサイドスイート アラマンダ
シギラベイサイドスイート アラマンダ プールヴィララグーン スイート(画像提供:シギラベイサイドスイート アラマンダ)

もうひとつ紹介したいのは、沖縄本島から南西へ約300km離れた宮古島にある「シギラ黄金温泉」である。

宮古島を訪れて、まず驚かされたのは海の美しさだった。「宮古ブルー」と称される海は息をのむほど鮮やかで、白砂とのコントラストも美しい。有名なビーチはもちろん、ふらりと立ち寄った小さな浜辺でさえ絵になる。

画像提供:シギラベイサイドスイート アラマンダ
贅沢なプライベートプールを備えた客室も(画像提供:シギラベイサイドスイート アラマンダ)

宿泊したのは、島の南岸に広がる「シギラセブンマイルズリゾート」にある「シギラベイサイドスイート アラマンダ」。南国の自然に囲まれたラグジュアリーリゾートで、日常を忘れさせてくれる開放感があった。

客室にはプライベートプールが付いていた。部屋にいながら水着に着替えてプールへ飛び込めるのだから、いやでもリゾート気分は盛り上がる。

画像提供:シギラベイサイドスイート アラマンダ
シギラビーチ(リゾート内)ではサンゴの海を泳ぐ熱帯魚も(画像提供:シギラベイサイドスイート アラマンダ)

昼間は海へ繰り出し、シュノーケリングや海水浴を楽しんだ。澄みきった海に潜ると、色鮮やかな熱帯魚が目の前を泳いでいく。その美しさに見とれ、時間を忘れて海の中をのぞき込んでいた。

広大なリゾート内をカートで移動したことも印象に残っている。当時はセグウェイ体験も楽しんだ。温泉旅館に泊まって浴衣で温泉街を歩くのとは、まったく趣の異なる旅である。

画像提供:シギラベイサイドスイート アラマンダ
天気が良い日はテラスで朝食が楽しめる(画像提供:シギラベイサイドスイート アラマンダ)

朝食のビュッフェにも南国リゾートらしい楽しみがあった。ゴーヤチャンプルーなど定番の沖縄料理に加え、マンゴーやドラゴンフルーツなど南国らしい果物も並び、朝から目移りしてしまう。南の島で迎える朝ならではの贅沢である。

海があり、プールがあり、南国の食があり、リゾートで遊ぶ楽しみもある。これだけ南国リゾートを満喫できれば、温泉の出番などない――はずだった。

ところが、ここにも本格的な天然温泉があった。

■シギラベイサイドスイート アラマンダ
沖縄県宮古島市上野新里926-25
1室2名で1名あたり17930円(税サ込)~
交通機関:【車】宮古空港より15分、下地島空港から50分
あり(無料)、空港からの送迎あり(条件あり)
「シギラベイサイドスイート アラマンダ」の詳細はこちら

 

海を望む展望風呂が圧巻!滞在中に通いつめた黄金湯

画像提供:シギラ黄金温泉
緑と花の先に海を望むシギラ黄金温泉の絶景展望露天風呂(画像提供:シギラ黄金温泉)

ホテルと同じ敷地内にある「シギラ黄金温泉」は、日本最南端・最西端の日帰り天然温泉をうたう施設である。源泉温度は約50℃、湧出量は日量800トン。南の島の地下から、これほど豊富な温泉が湧いていることに驚かされる。

泉質はナトリウム-塩化物泉。塩化物泉は塩分が肌の表面を覆うことで汗の蒸発を抑え、湯冷めしにくい。その保温性の高さから「熱の湯」とも呼ばれる泉質である。

湯船を満たすのは黄色を帯びた透明湯。「黄金温泉」の名のとおり、南国の日差しを受けて水面がキラキラと輝いていた。

画像提供:シギラ黄金温泉
南国の花々に囲まれた露天風呂(画像提供:シギラ黄金温泉)

アラマンダやブーゲンビリアなど、南国の花々に囲まれた露天風呂も気分がいい。温泉地の山や渓流を眺めながら入る露天風呂とはまったく違う趣で、「南の島で温泉に入っている」という不思議な感覚になる。

なかでも印象に残ったのが、高台にある展望風呂だ。視界の先には宮古ブルーの海が広がるが、魅力は景色だけではない。塩化物泉らしく塩分の存在をしっかり感じる一方で、肌にまとわりつくようなとろみもある。温泉そのものの個性を楽しめる、いい湯である。

湯船に体を沈めると海が見えにくくなってしまうのは少々残念だったが、顔に当たる海風がなんとも心地よかった。

画像提供:シギラ黄金温泉
水着で入る南国感あふれるジャングルプール(画像提供:シギラ黄金温泉)

さらに、水着で入る「ジャングルプール」もある。日量800トンという豊富な源泉を利用した温泉プールなので、家族やカップル、仲間同士で一緒に温泉を楽しめる。専用の源泉100%かけ流し(加温・加水・循環なし)露天風呂を備えたプライベートルームまで用意されている。

温泉の出番などない――そんな思い込みは、すっかり覆された。

画像提供:シギラ黄金温泉
専用露天風呂があるオーシャンプライベートルーム(別料金)(画像提供:シギラ黄金温泉)

「南の島まで来たのだから、温泉より海水浴のほうが気持ちいいだろう」。宮古島へ行く前は、そう思っていたのだ。

訪れたのは10月だった。日中は海水浴やプールを十分楽しめたが、水から上がれば体が少し冷える。そんな状態で温かい湯に体を沈めると、全身から力が抜けていくようだった。

海水浴と温泉は、一見すると正反対のレジャーに思える。だが、実際には相性がいい。

海で遊んだあとは、海水や砂をきれいに洗い流せる。水に入って冷えた体も温められる。しかもシギラ黄金温泉は、「熱の湯」と呼ばれる塩化物泉である。とくに真夏を過ぎた沖縄では、温泉のありがたみが増す。

結局、3日間の滞在中、毎日シギラ黄金温泉に通ってしまった。

宮古島の海を楽しみに出かけたはずが、帰るころには温泉も旅の大切な思い出になっていたのである。

画像提供:シギラ黄金温泉
入浴後はパラソルの下で整いモードに(画像提供:シギラ黄金温泉)
■シギラ黄金温泉
沖縄県宮古島市上野新里1405-223
【大人(12歳以上)】2000円、【小人(4~11歳)】1000円※その他料金あり、詳細は公式サイト確認
交通機関:【車】宮古空港より15分
あり(無料)
「シギラ黄金温泉」の詳細はこちら

沖縄旅行に「温泉」をひとつ加えてみる

温泉を目当てに沖縄まで出かけることをすすめるつもりはない。沖縄には美しい海があり、南国ならではの自然があり、独自の食文化がある。それらを存分に楽しむのが沖縄旅行の醍醐味だろう。いつもは温泉に入る旅ばかりしている筆者でさえ、そう思う。

温泉街の情緒を楽しんだり、宿にこもって何度も湯に浸かったりする旅なら、ほかに適した場所はいくらでもある。

だが、だからといって沖縄旅行に温泉が不要というわけではない。むしろ海やリゾートを楽しむ旅だからこそ、温泉があるとうれしい。

画像提供:PIXTA
海やリゾートを楽しむ沖縄旅こそ温泉を(画像提供:PIXTA)

沖縄の旅は、思っている以上に体力を使う。海やプールで遊び、強い日差しの中で観光スポットを巡り、アクティビティを楽しめば、一日の終わりには体もぐったりする。

そんなとき、温泉が待っているのはありがたい。

海水や汗を洗い流してさっぱりし、海やプールで冷えた体を温める。そして大きな湯船に手足を伸ばせば、一日の疲れもほぐれていくように感じる。沖縄で温泉に入る意味は、泉質のよさだけではないのだと思う。

そして、もうひとつ。なんだかんだいって、旅先に温泉があるとホッとする日本人は多いのではないだろうか。もちろん、筆者もそのひとりである。

たとえ南国の沖縄であっても、一日の最後に湯船に体を沈めれば、「やっぱり温泉はいいな」と思ってしまう。

画像提供:PIXTA
旅先の宿やホテルに温泉があるよろこび(画像提供:PIXTA)

温泉の魅力は、源泉数や温泉地としての知名度だけで決まるものではない。草津や別府のように、温泉そのものを目的に旅をするのも楽しい。一方で、沖縄のように海や自然、食、リゾートを楽しむ旅の中に温泉を組み込む楽しみ方もある。

沖縄の温泉は、旅の「主役」ではなく、旅をより充実させてくれる「名脇役」。そう考えると、温泉旅の選択肢はもっと広がる。

沖縄の旅の主役は、海でいい。でも、次に沖縄へ出かけるときは、旅程のどこかに「温泉に入る時間」を加えてみてはいかがだろう。

きっと、いつもの沖縄旅行とはひと味違った楽しみが待っているはずである。

※この記事は2026年9月28日時点での情報です。休業日や営業時間など掲載情報は変更の可能性があります。
※掲載されている情報や写真については最新の情報とは限りません。必ずご自身で事前にご確認の上、ご利用ください。
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じゃらん編集部

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