きちんとしたお店で和食を食べる機会は意外と少ないもの。だからこそ「和食のマナー」をよく知らないという人も多いでしょう。今回の記事では、和食を食べるときに悩みがちなことや、意外と知らないマナーやNG例について解説します。
≪目次≫
和食の料理を食べるときの基本的なマナー
意外と知らない和食のマナー!やりがちNG集
\この記事もおすすめ/
◆【食事マナー:和食編】お箸の作法やふるまいを知って日本料理を美味しく楽しもう
◆寿司の正しい食べ方まるわかり!大人の品格をあげる寿司屋のマナー
和食の料理を食べるときの基本的なマナー
日本人でもきちんと出来ない人が多い「和食のマナー」を、料理提供の流れに沿って解説していきます。
マナーは「フォーム」はもちろんですが、「なぜそうするのか」を知ることも大事。この記事では、マナーの「背景」について触れている箇所もあるので、そこも一緒に理解していただけると良いですね。
1.おしぼりの正しい使い方

おしぼりマナーの基本は「拭くのは手だけ」ということ。男性に多い「顔や首を拭く」ことはマナー違反になりますので、癖になってしまっている方は気を付けてくださいね。
使い方としての正しいマナーは以下の3つの手順です。
1、『右手で取り上げ左手に持ちかえる』
2、『両手を拭く』
3、『拭いた部分を内側にしてたたんで置く』
小さな二つ折りの和紙「懐紙」を持っておくと、口元の汚れなど…気になる部分にも使えます。その他に受け皿の代わりに手に添えたり、魚の小骨や果物の種を出すときなど、様々な用途で使えるので便利ですね。
2.「お箸」の正しい使い方

お箸マナーの手順は5つです。
1、『右手でお箸の中央を持って持ち上げる』
2、『下から左手を添えるようにして持つ』
3、『右手を右横へ滑らせていき、そのまま右手を返して箸の下へ』
4、『左右ともに箸の上から3分の1あたりを指先で箸を持つ』
5、『左手を外す』
この一連の動作を繋げて流れるように行ってください。姿勢を正すことでより美しい動作になるでしょう。
また、使う時には下は動かさず、上のお箸だけ動かすことが正しい使い方です。和食のマナーは、お箸の使い方で分かるとも言われています。同席者やお店の人に好印象になりますね。
そして、持ち方はもちろん大事ですが、同じくらい大事なのが「箸先を汚さない」ことです。「箸先五分、長くて一寸」という言葉があるように、箸先の汚れは3cm程度に抑えられるように気を付けるのも大切なマナーです。
3.「先付け」の平皿は置いたまま食べる
前菜となる「先付け」。様々な形で出される場合がありますが、平皿などのお皿に直接乗っている物はそのまま食べます。
小鉢やお椀に入っているものは必ず持ち上げて食べてください。
串物はひとつずつお箸でそっと引き抜き、串はお皿の向こう側へ寄せておいてください。(串に刺さっているものをまとめて外すのはNGです)
4.「吸い物」のふたはお椀の「外側」に置く

お吸い物の蓋は目上の人が先にあけるまで待ちましょう。汁物は蓋がついている場合がほとんどなので、とりあえず蓋を取ろうと…つい手がでてしまいがちですが、目上の人が先です。
正しい手順は、以下の通りです。
1、『左手を添えて右手で蓋を持ち上げる』
2、『半月を描くように蓋を開ける』
3、『左手の上に裏返した蓋を置き、お椀が右側にある場合は右奥に、左側にある場合は左奥に置く』
4、『食べ終わったら蓋をかぶせる』
4のとき、蓋を斜めにかぶせないように気をつけましょう。お椀を痛めてしまうのでNGです。
蓋を元の通りに戻す動作は自分のタイミングで大丈夫です。汁物の水滴が外に落ちてしまわないよう意識した作法ですね。煮物や蒸し物なども同じ動作をしてください。
5.「お造り」の正しい食べる順番
別名「向付け」とも言われるお刺身の盛り合わせ・お造りは、盛り付けを崩さないのがポイントになります。
左側から、または淡泊なものから食べていきます。
小皿に醤油を取ってワサビをといて使いたいと思いますが、もともとワサビなどの薬味は毒消しとして用いられたもの。また、風味を活かすためにお刺身にワサビを乗せてから醤油を付ける方が良いでしょう。見た目にも美しい食べ方になります。
6.「焼き魚」のきれいな食べ方

焼き魚には鮎などの小ぶりなお魚と、鯵などの中型~大型のもの2種類があり、それぞれ食べ方が異なるので注意しましょう。
【小ぶりなお魚の場合】
1、『身離れがよくなるようにお箸の側面を使って何か所かに圧をかける』
2、『左手でお魚の頭を持ち、すっと身から骨を引き抜く』
【中型~大型のお魚の場合】
頭を押さえなくても身は剥がれます。通常、頭が左になるように盛り付けられているので、
1、『表面の上半分(奥側)を、左から右にかけて食べる』
2、『表面の下半分(手前側)を、左から右にかけて食べる』、そうすると中骨が出てまりますので、
3、『裏側の身と骨の間にお箸を入れ、骨だけを引き上げて器の左奥へ』
4、『裏側の身も、左奥から食べる』
なお、全てお箸を使わなければいけないという徹底したルールはありませんので、海老の殻や魚の尾頭、貝料理などは手を使っても良しとされています。
身と骨をはがす際や背骨を外す際には、懐紙を使うことで手を汚さずに外しやすくなります。また、取った骨や食べられない部分の皮(基本は皮もいただくものですが、ほっけなど食べられない皮もあるので)などは、懐紙で包んで持ち帰ると…なお良いですね。とても綺麗な食べ方になるでしょう。
7.「煮物・蒸し物」も吸い物と同じように
蓋がある場合、大抵は蓋の裏側に水滴が溜まってしまっています。そのため水滴がお椀の外にこぼれてしまわないように、汁物同様以下の動作を意識してください。
1、『左手を添えて右手で蓋を持ち上げる』
2、『半月を描くように蓋を開ける』
3、『左手の上に裏返した蓋を置き、お椀が右側にある場合は右奥に、左側にある場合は左奥に置く』
4、『食べ終わったら蓋をかぶせる』
また、煮物などの蓋は小皿代わりにも利用できます。水分が多く、口に運ぶまでに汁が滴ってしまいそうなものや大き目の具などは、小皿代わりにした蓋に取っていくと良いでしょう。
8.「天ぷら」は手前のものから食べる
盛り付けを崩さないよう、手前から食べていきます。
天つゆでいただく場合、つゆが垂れ落ちてしまわないよう天つゆの器を手に持って、静かにつゆをつけて口に運んでください。口元に器を近づけ過ぎると返ってみっともなくなりますので要注意です。
9.「ごはん」が出たらお酒はストップ
コースの最中でお酒をいただくことは問題ありません。自分のタイミングで追加注文しても大丈夫ですが…コースの締めとなる「ごはんと汁物」や漬物の「香の物」が出てきたらお酒の追加はそこでストップです。汁物は「止め椀」と呼ばれるように、そろそろコースが終わりますという合図です。
意外と知らない和食のマナー!やりがちNG集

「やりがちだけど、これをやったら恥ずかしいマナー違反」となってしまう事例を紹介していきます。
「お箸」のNGマナー

・「返し箸」(箸を逆さにして持ち手の方で掴むこと)
・「刺し箸」(料理に箸をつきさして食べること)
・「寄せ箸」(食器を箸で手前に寄せること)
・「迷い箸」(どの料理を食べるか迷いながら箸をあちこち動かすこと)
・「移し箸」(火葬場で骨を拾うように同席者と同じ料理を一緒に掴むこと)
・「探り箸」(汁物の中を箸で探ること)
・「渡し箸」(小鉢を箸置き代わりにすること)
・「握り箸」(棒を握るような手つきで箸を持つこと)
・「移り箸」(料理を取りかけてから、他の料理に箸を移すこと)
・「涙箸」(料理の汁を垂らしながら口に運ぶこと)
・「ねぶり箸」(箸先を口に入れてなめること)
・「もぎ箸」(箸についた米粒などを口でもぎとること)
・「諸起こし」(お箸を先に手に取ってから器を持ち上げること)
「焼き魚」を食べるときのNGマナー
魚料理でやってしまいがちなNG作法は「魚をひっくり返すこと」です。
面倒だからと、骨を外さず表の身を食べたらくるっとひっくり返して裏の身を食べたくなってしまう方が多いようです。
手間がかかりますが、マナー違反になりますので、骨を外してからひっくり返すことなく綺麗にいただくことを心掛けてください。
「手皿」は実はNGマナー

何かを食べる時に、お箸を持たない左手を食べるものの下に添えて食べる「手皿」。客観的に見て…どちらかと言えば上品な仕草にも見えるこの行動も…マナー違反に該当します。手皿だと、汁が垂れた際に手が汚れてしまいますよね。拭いたとしても汁で手が汚れるというのは…やはり美しくありません。
「箸先五分」を意識すると自然とお口に運ぶお料理の量はひとくちサイズとなり、手皿を添える必要もなくなります。それでも気になる場合には懐紙を添えると良いでしょう。
箸を先に持った状態で「器」を持つのはNGマナー
ながら…というのはどのジャンルでもマナー違反やルール違反になることが多いですが、和食の場合でも「お箸を持ちながら何かをする」ことはマナー違反とされます。
お箸を持った状態で器を持つとか、飲み物を手にするなど。何か別の器を持つ時には、いったんお箸をおくことが正解です。
面倒かと思いますが、何か手に取ろうとする度に、毎回お箸を置くことを意識できるようにしておきましょう。
ひとつのものに集中して食べるのはNGマナー
同じタイミングで2品以上の器を出されたとき。手に取ったお皿の物をすべて食べきってから次のお皿に…というのは、一見、綺麗な食べ方のようにも見えますが、実はマナー違反なのです。
ごはんと汁物が出てきたときには要注意ですね。ごはんだけ食べてからそのあと汁物へいく流れはNG行為であることを忘れず、上手に交互に箸を進めるよう意識してください。
【監修】
◇美作 静/マナー講師
「紳士淑女とはそうありたいと望み、努力を続ける方々のこと」をモットーに、より多くのみなさまに愉しみながら「なぜ」をしっかり理解していただけるマナー講座を展開。肩肘張らない和やかなレッスンが好評。
https://www.street-academy.com/steachers/56500
\この動画もおすすめ/
記事とあわせてチェックしてみてくださいね♪
\この記事もおすすめ/
■寿司の正しい食べ方まるわかり!大人の品格をあげる寿司屋のマナー
■【和食・洋食マナー講座】食事・テーブルマナー、これだけはおさえよう!
■【フランス料理のテーブルマナー】食事や服装の基本マナーはこれでばっちり!
※この記事は2018年2月時点での情報です
※掲載されている情報や写真については最新の情報とは限りません。必ずご自身で事前にご確認の上、ご利用ください
トリクルマガジン編集部
プロモーションから紙・WEBコンテンツの企画・制作・編集・撮影まで。ただコンテンツを作るだけではなく、課題に対するソリューションを提供できるところが強みです。(http://tricle-llc.co.jp/)