せまい路地に飲食店がひしめき合う「新宿西口思い出横丁」、電車が走る音と人々の楽しげな声に満ちた「有楽町ガード下」など…。横丁・飲み屋街は、お店に入る前も出た後も、ワイワイと楽しい雰囲気を感じながら歩くことができるのが魅力です。
店内はあまり広くないけれど、おいしいお酒と料理を囲めば、そこに集う人同士、自然と会話に華が咲き、ほっこりした気分になれそうです。
今回は、東京都内の横丁・飲み屋街を10カ所厳選しました。自分好みの場所を探してみてくださいね。
新宿西口思い出横丁
巨大ターミナル・新宿駅のそばで戦後から続く飲食店街。
世界有数の利用者数を誇るターミナル・新宿駅。「新宿西口思い出横丁」は、ビルや百貨店と並んで駅前に続いています。
始まりは戦後間もない頃の闇市。食料品が厳しい統制下に置かれる中、例外だった進駐軍払下げの牛や豚のモツを使った料理を出す店が増えていったのだそう。今でもモツ焼き店が多いのはその名残だとか。
現在はパレットビル(新宿西口会館)と青梅街道との間に約80店舗がひしめき合うように立ち並び、中華、焼き鳥、おでんなどさまざまな料理を楽しめます。常連さんだけでなく、国内外の観光客の姿も多く見られる、訪れやすい横丁です。
TEL/03-3364-3235(新宿西口商店街振興組合)
住所/東京都新宿区西新宿1-2
営業時間/店舗により異なる
定休日/店舗により異なる
アクセス/各線新宿駅からすぐ
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渋谷のんべい横丁
渋谷駅前の喧騒からぽっかりと取り残されたような異空間。
流行の発信地として常に時代の最先端をいく渋谷。多くの人が行き交う街で、まるでそこだけ時間が止まったかのような「渋谷のんべい横丁」。スクランブル交差点から200mほどしか離れていないとは信じられないほど、ひっそりとした通りです。
JRの高架に沿って並ぶ約40軒の飲食店は、焼き鳥やおでん、家庭料理、ビストロ、バー、スナックなどさまざま。いずれも7~8人も入ればいっぱいになってしまうため、とてもアットホームな雰囲気です。
横丁の始まりは1951年。道玄坂近辺にあった闇市の撤去にともない、公的に用意された現在の場所に約40軒が移転しました。今は地下を流れている渋谷川が、当時はまだ地上を流れていて、横丁のある場所は川の土手だったのだそう。
TEL/店舗により異なる
住所/東京都渋谷区渋谷1-25-9~10
営業時間/店舗により異なる
定休日/店舗により異なる
アクセス/各線渋谷駅からすぐ
「渋谷のんべい横丁」の詳細はこちら
アメ横商店街(アメ横)
上野駅~御徒町駅の高架沿いにのびる約500mの商店街。
海産物やスパイス、菓子といった食料品を扱う店のほか、衣料品店、スポーツ用品店、貴金属店など約400もの店舗が、上野駅~御徒町駅を走るJRの高架下に軒を連ねる「アメ横商店街(アメ横)」。
多くの横丁と同じく、戦後の闇市に起源をもち、“飴屋”が多かったことや、アメリカからの舶来品が多く出回っていたことなどが、その名の由来と言われています。
大胆なたたき売りや年末の正月商戦など、“買い物する場所”という印象の強いアメ横ですが、最近は商店とともに立ち並ぶ飲食店も人気。モツ焼き、海鮮、多国籍料理など、さまざまなジャンルの店が日中から営業しているので、買い物帰りに一杯楽しむのもおすすめです。
TEL/03-3832-5053(アメ横商店街連合会)
住所/東京都台東区上野6-10-7
営業時間/店舗により異なる
定休日/店舗により異なる
アクセス/各線上野駅からすぐ
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亀戸横丁
雨が降っても安心!出前もできる屋内型の“ネオ横丁”。
2008年、亀戸駅北口に誕生した「亀戸横丁」。以前は全国チェーンの居酒屋が入っていたビルの1階が、カウンター席を中心とした小さな飲食店が15店舗並ぶ屋内型の横丁として生まれ変わりました。
広いワンフロアには、居酒屋やシャンパンスタンド、メキシコ料理店やネパール料理店、煮干中華蕎麦店などがところ狭しと並び、にぎやかな雰囲気。各店舗とも壁で仕切られていないため開放的で、ハシゴ酒がしやすいのも魅力です。
“出前“制度もあり、横丁内の店舗であれば、他の店舗の料理を注文して自分がいる店まで届けてもらうことも可能。ゆったりと腰を落ち着かせたい派も、さまざまな料理を楽しめます。
TEL/店舗により異なる
住所/東京都江東区亀戸5-13-2 スクエア三報ビル1階
営業時間/店舗により異なる
定休日/店舗により異なる
アクセス/JR亀戸駅から徒歩3分
「亀戸横丁」の詳細はこちら
有楽町ガード下
有楽町のガード下で電車の音をBGMに一杯。
オフィス街であり、ショッピングスポットも多い有楽町は、平日・土日祝を問わず多くの人が行き交います。新橋駅~有楽町駅のガード下には、昭和の雰囲気が漂う大衆酒場やおしゃれなイタリアンレストランなど、さまざまな飲食店がひしめき合っています。観光客も多いため、ガード下初心者でも入りやすい雰囲気です。
JR有楽町駅は1910年開業。高架下に店舗を構えられるように設計され、1920年には日本初のガード下飲食店とされる「お食事処 いわさき」がオープンしました。現在では、焼き鳥店が並ぶ焼き鳥ストリート、レトロな雰囲気が楽しい有楽コンコースなど、個性あふれる店が集まっています。
ガタンゴトンと響く電車の走行音に耳を傾けながら、ガード下ならではの独特な雰囲気を楽しみましょう。
TEL/店舗により異なる
住所/東京都千代田区有楽町2-1
営業時間/店舗により異なる
定休日/店舗により異なる
アクセ/JR・東京メトロ有楽町駅からすぐ
高円寺駅西商店会
買い物&仕事帰りに一杯!高架下の独特な雰囲気を楽しもう。
北口・南口ともに商店街が多く、スーパーの激戦区といわれる高円寺。都内でも有数の物価の安さを誇り、地元の人はもちろん、他県からも激安商品を求めて訪れる人が後をたちません。
JR高円寺駅の高架下を阿佐ヶ谷方面に伸びる商店街「高円寺駅西商店会」は、夜営業の飲食店の割合が高いこともあり、昼間はシャッターが閉まっている店が多くひっそり。夕方ともなれば一転、地元の人や仕事終わりの人、買い物客が集まり、あちらこちらから「乾杯」という声が聞こえてきます。
飲食店のほかには、アジア雑貨店や古書店などが点在。1~3、5~7番街に分かれおり、2番街の地下にはラーメン横丁やチカヨッテ横丁などもあります。
昼間はスーパーや古着店めぐり、夜は飲み屋めぐりと、1日高円寺で過ごすのも楽しそうです。
TEL/03-3330-2342
住所/東京都杉並区高円寺南3
営業時間/店舗により異なる
定休日/店舗により異なる
アクセス/JR高円寺駅からすぐ
阿佐谷北口駅前スターロード商店会
さまざまな文化が集まる街・阿佐ヶ谷で芸術とお酒を満喫。
与謝野晶子や太宰治など多くの文化人が住んでいた街・阿佐ヶ谷。近年は「阿佐谷ジャズストリート」といったイベントが行われ、ジャズの街としても親しまれています。
JR阿佐ヶ谷駅の北口から、西に向かって線路沿いに細長く伸びる「阿佐谷北口駅前スターロード商店会」は、戦後は闇市や飲み屋が並んでいたエリア。当時の面影を残しつつ、時の流れとともに発展してきました。
現在は、イタリアン、焼き鳥、おでん、串焼き、バー、バルなど、飲食店を中心に約150の店舗が軒を連ねています。ジャズバーや名曲喫茶、ライブハウスやミニシアター、劇場などもあります。
TEL/店舗により異なる
住所/東京都杉並区阿佐ヶ谷北2
営業時間/店舗により異なる
定休日/店舗により異なる
アクセス/JR阿佐ヶ谷駅からすぐ
「阿佐谷北口駅前スターロード商店会」の詳細はこちら
中野レンガ坂商店会
一人飲みも女子会もデートも楽しい!おしゃれなバルストリート。
中野ブロードウェイや中野サンプラザなどがあり、サブカルタウンとして知られる中野。最近は、南口から歩いてすぐのバル通り「レンガ坂」を目当てに訪れる人も多く見られます。
飲食店は40軒ほどで、スペインバルをはじめ、焼肉、日本酒など個性的なバルがずらり。チェーン店や大型店はなく、比較的こぢんまりとした店が多いのが特徴です。グループやカップルはもちろん、一人飲みする人が多いのも頷けます。
バラエティ豊かな飲食店のほか、毎夜点灯するイルミネーションも見どころの一つ。通りの雰囲気を楽しみながら、美酒を堪能しよう。
TEL/店舗により異なる
住所/東京都中野区中野3
営業時間/店舗により異なる
定休日/店舗により異なる
アクセス/JR・東京メトロ中野駅からすぐ
「中野レンガ坂商店会」の詳細はこちら
大井町東小路飲食店街
昼間から飲める。立ち飲み・角打ちでせんべろ体験!
百貨店や商業施設などが立ち並ぶ大井町駅前。東口からすぐの路地裏をのぞくと雰囲気は一転し、昭和の香りが漂う「東小路(あずまこうじ)飲食店街」が現れます。
昭和50年代半ば、駅周辺にはこぢんまりとした飲み屋が密集し、闇市の面影が色濃く残っていました。一帯は再開発により大幅に整備されましたが、「東小路飲食店街」では当時の名残を感じることができます。
狭い路地には、約60の飲食店が軒を連ねています。昼過ぎから開いている居酒屋もあり、明るいうちから飲んでいる人の姿もちらほら。中華料理、寿司、肉料理などの立ち飲み店や角打ちなど、1000円ほどでサクッと飲んでサクッと酔える、いわゆる“せんべろ”向きの店も多く、一人で入りやすいのも魅力です。
TEL/店舗により異なる
住所/東京都品川区東大井
営業時間/店舗により異なる
定休日/店舗により異なる
アクセス/JR・東急・りんかい線大井町駅からすぐ
飲み屋横丁(ときわ通り)
これぞ “下町のオアシス”。昔ながらの路地に新旧の店が混在。
JRのほか、東京メトロやつくばエクスプレス、東武スカイツリーラインが乗り入れる北千住。駅前には近代的な街並みが広がっていますが、その目と鼻の先には、風情ある昔ながらの路地が数多く残っています。
なかでも“飲みスポット”として人気なのが、北千住駅西口からすぐのところにあるときわ通り、通称「飲み屋横丁」。老舗の居酒屋や串カツ店のほか、ワインが豊富なイタリアン、多彩なビールとともに手作りハンバーガーを楽しめる店など、年齢を問わず入りやすい店も多くあります。
北千住に行ったことがない人はもちろん、乗り換えでしか北千住駅を利用したことがない人も、下町の雰囲気ただよう横丁を散策してみては。
TEL/店舗により異なる
住所/東京都足立区千住2ほか
営業時間/店舗により異なる
定休日/店舗により異なる
アクセス/各線北千住駅西口からすぐ
まとめ
おいしいお酒と料理はもちろん、そこに集う人々との交流もまた横丁・飲み屋街の魅力。さっそく今夜、ふらりと訪れて、ほっこりした気分に酔いしれませんか。
※この記事は2018年10月時点での情報です
編集プロダクション ムーブ
国内旅行やレジャーに関する情報誌の取材・執筆のほか、さまざまなジャンルのムックや書籍などを編集している。