高い断崖と深い峡谷が美しい景観を作り出す、宮崎県・高千穂峡。『古事記』や『日本書紀』に記された「天孫降臨」の神話が伝わる場所であり、日本を代表する景勝地のひとつです。
この記事ではおすすめの撮影スポットやボートの乗り方など、高千穂峡の楽しみ方を紹介。また、周辺観光や首都圏からのアクセス、駐車場情報もあるので参考にしてくださいね。
高千穂峡の見どころ

宮崎県北部に位置する高千穂峡は、高さ80mから100mもある断崖が約7kmにもわたって続く深い峡谷。阿蘇山から流れ出た火砕流が、五ヶ瀬川によって浸食されることで形作られています。
『古事記』や『日本書紀』に記された「天孫降臨」の舞台がこの一帯ともいわれ、神話にまつわるスポットが多く存在しています。

「柱状節理(ちゅうじょうせつり)」と呼ばれる規則的に並ぶ岩と、エメラルドグリーンの水面が生み出す光景は神秘的。
最大の見どころである「真名井(まない)の滝」は、遊歩道から眺めるほか、貸しボートを利用すれば間近で見ることもできます。
おすすめの時期と時間帯

高千穂峡は、一年を通して楽しめます。おすすめは、4~5月の新緑の季節や、11月の紅葉のころ。10月に入って秋めいてくると、雲海が発生するチャンスも増えてきます。峡谷の“涼”を求めて、夏休みに訪れるのもいいですね。
見ごろとなる分、GW前後や夏休み、秋の連休などはとても混雑します。週末は貸しボートが数日前から予約で完売したり、約1km先の駐車場を利用しなければいけないこともあるとか。
肌寒い時期を狙って訪れるのも一案です。南国といわれる宮崎県ではありますが、冬には雪化粧することもしばしば。四季折々に違った表情を見せてくれます。
高千穂峡は午前中、峡谷に太陽光が差し込むので、撮影をするならその時間帯がおすすめです。人が少なめの時間帯なので混雑回避にもなりますよ。
おすすめ撮影スポット
高千穂峡では「仙人の屏風岩(びょうぶいわ)」や「鬼八(きはち)の力石」など、峡谷沿いに点在する見どころを巡るように、遊歩道が約1km整備されています。

真名井の滝
最大の目玉が「真名井の滝」。展望台からは絶景が目の前に広がっています。周辺は垂直に切り立った岩壁「柱状節理」に囲まれていて、川幅も狭くなっています。
峡谷に太陽が差し込むのは、午前中の短い時間。北北西から南南東に向かって流れているため(地図では左上から右下に向かう角度)、季節により変化しますが、お昼に近い午前中にその時間が訪れます。

暗緑色だった水面が、太陽光を受けて鮮やかなグリーンに変化する様子は幻想的。初夏なら上から、秋冬なら斜めに差し込む光が、季節ごとの光景を生み出します。
ボートからの柱状節理

自由に動けるボートからは、見る位置によって景観が大きく変わります。滝を見上げるアングルや、柱状節理を大きく写した写真が撮れるのはボートならでは。
水面から垂直に立つ柱状の岩は、まるで古代から残る神殿のようです。

「真名井の滝」の反対側には大きなえぐれがあり、下から見上げると岩の模様がよく分かります。
滝に近づきすぎると濡れてしまうので、カメラやスマホの水没に気をつけながら撮影してくださいね。
ボートの乗り方

「第1御塩井(おしおい)駐車場」から階段を降りると、貸しボート乗り場へ到着します。漕ぐこと自体はそれほど難しくないですが、他のボートとの接触には注意しましょう。
貸しボートは3名まで乗船でき、時間は30分です。乗船日2週間前の9時から、2日前の9時までネット予約が可能。当日受付もありますが、予約で完売した場合は販売されません。増水時や安全点検時などは貸出休止になることもあるので、公式ホームページで確認してくださいね。
8時30分~17時(最終受付16時30分)※当日受付の待ち時間が発生した場合は最終受付が繰り上がる場合あり
なし※定期安全点検で臨時休の場合あり
【平日】1艇4100円【金・土・日・祝・指定繁忙期】1艇5100円※詳細は公式ホームページ内カレンダーを要確認
「高千穂峡貸しボート」の詳細はこちら
おすすめの回り方と見どころ
遊歩道は「第3大橋駐車場」を起点にすると、ボート乗り場まで約1km。所要時間は片道30分ほどです。ゆっくり散策しながら楽しめるスポットを紹介します。
槍飛

もっとも上流側にある「槍飛(やりとび)」。高千穂峡の中で一番川幅の狭い場所で、戦国時代、落城した武士たちが、槍を地面について飛び越えたという言い伝えが残っています。
仙人の屏風岩

遊歩道の対岸にそびえる「仙人の屏風岩」。阿蘇山の噴火によって流れ込んだ火砕流が、冷えるときに縮んで、規則正しく割れ目が入った柱状節理です。高さ50~100mもの断崖になっています。
鬼八の力石

強い魔力を持ち、高千穂一帯で悪行を働いていた鬼八(きはち)が、力自慢に投げ飛ばしたという伝説が残る「鬼八の力石」。凝灰岩の巨石で、約200tあるそうです。
高千穂峡近くの観光スポット
高千穂峡から少し足を伸ばして、ぜひ見に行きたいおすすめスポットをご紹介します。
高千穂神社

1900年前の創建と伝わる「高千穂神社」は、農産業、厄払い、縁結びに御利益があるとして信仰を集めるおごそかな神社。
高千穂峡から1.1kmほどですが、上り坂なので、車やタクシーなどで移動するのがおすすめです。

ぜひお参りしたいのが2本の杉の巨木が根元でつながっている「夫婦杉」。周りを大切な人と手をつないで3回まわると、縁結び、家内安全、子孫繁栄の願いがかなうとか。

境内の神楽殿では、毎晩20時から約1時間、「高千穂神楽」が行われています。高千穂町内の15の集落に伝わる神楽の舞手が交代で奉納していて、迫力があります。
拝観料1000円(小学生以下無料)で、高千穂町観光協会のホームページより事前予約が可能です。
宮崎県西臼杵郡高千穂町三田井1037
参拝自由【高千穂神楽】20時~21時
年末年始、11月22日・23日※公式ホームページを要確認
拝観料1000円
高千穂バスセンターより徒歩15分
あり(無料)
「高千穂神社」の詳細はこちら
「高千穂神楽」の詳細はこちら
国見ヶ丘


標高513mの「国見ヶ丘」は、高千穂峡の位置する高千穂盆地を見渡せる絶景スポット。高千穂峡周辺から北西に約5km、車で10分ほどの距離にあり、阿蘇の五岳や祖母連山などのパノラマも楽しめます。

また雲海の名所でもあり、9月下旬から12月上旬にかけて、よく晴れて冷え込んだ日の早朝にはしばしば見ることができます。霧に包まれた盆地は、まさに神話の里にふさわしい絶景ですね。
高千穂峡へのアクセス方法
首都圏から行く場合は宮崎ブーゲンビリア空港ではなく、阿蘇くまもと空港の方が近いので、そちらを利用しましょう。
阿蘇くまもと空港からは高速バスで約2時間10分。高千穂バスセンターに到着し、「真名井の滝」など高千穂峡までは約2km。坂道が多いので、徒歩よりもタクシーが便利です。
運転に不安がなければ、空港からレンタカーが便利。駐車場の台数は限りがあるため、比較的人の少ない午前中メインで回れるようスケジュールを組むとスムーズです。
貸しボート店に近い「第1御塩井(おしおい)駐車場」(500円)や、遊歩道上流側の「第2あららぎ駐車場」(300円)に停められればベスト。「第3大橋駐車場」「第4押方駐車場」は1~2km離れていますが、無料です。
駐車場の混雑状況は、公式ホームページで確認できます。
「高千穂峡」へのアクセス詳細はこちら
※この記事は2024年7月5日時点での情報です。休業日や営業時間など掲載情報は変更の可能性があります。
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ミキティ山田
旬な話題を求めて、いろいろな場所を取材・撮影する調査員。分厚い牛乳瓶メガネに隠したキュートな眼差しでネタをゲッチュー。得意技は自転車をかついで階段を登ること。ただしメガネのせいでよく転びます。