兵庫県北部に位置する中世の山城跡「竹田城跡」。雲海の中に浮かぶ姿から、“天空の城”や“日本のマチュピチュ”とも呼ばれています。
この記事では、訪れるのにおすすめの時期や時間帯から、撮影スポット、注意したいポイントまで徹底ガイド。絶景に出会うためのノウハウをお伝えします。
竹田城跡の見どころ

「竹田城跡」は、兵庫県朝来市(あさごし)にある戦国時代以前の山城。標高353.7mの古城山(こじょうざん)の山頂にあります。
天守などの建物は残っていませんが、堅牢な石垣や縄張(城の敷地)はほぼ当時の形をとどめている貴重な存在。現存する総石垣の遺構は、最後の城主・赤松広秀のころに完成したと考えられています。
城がある山は円山川(まるやまがわ)が流れる谷沿いの盆地で、9月~12月にはしばしば濃い雲海が発生します。雲海に浮かんでいるような姿から“天空の城”“日本のマチュピチュ”とも呼ばれ、遠くから見ることも、雲海の中の城に登ることもできます。
おすすめの時期・時間帯

山頂まで登城するには、徒歩20~40分の山登りが必要です。自分の体力に合わせて、暑すぎず寒すぎもしない季節を選ぶといいでしょう。
石垣や縄張を観察するなら、訪れやすい昼間の時間帯がおすすめ。山々と石垣のコントラストもきれいで、まるでペルーの世界遺産・マチュピチュのような雰囲気が楽しめます。

城内は一方通行の観覧ルートがあり、見学時間は30分~1時間程度。弁当を持っていくなど、城内で飲食をする場合は、北の広場「北千畳」で食べるようにしましょう。

雲海を見ることが目的の場合は、しっかりした計画が必要。だいたい9月から12月、特に10・11月に発生する日が多いと言われています。
以下の条件がそろったときが狙い目なので、天気予報アプリで、天気・気温・風速をマメにチェックしてみてくださいね。
・前日の夜から明け方にかけて、よく晴れて冷え込み、当日の日中に急に暖かくなる日
・天気予報でその温度差が10度以上
・当日の朝、風がない
・前日~数日前に一度雨が降り、湿度が高い

また、雲海は午前4時ごろには発生していますが、10~11月の兵庫県近辺の日の出は6時~6時30分ぐらいで真っ暗。山中なので街灯は一切ありません。
夜明け前から登山する必要があるので、ヘッドランプや懐中電灯、防寒具などの装備を忘れず、しっかり準備してくださいね。雲海シーズン(9月中旬~12月初旬)の登城は5時オープンとなっています。

とはいえ、濃い雲海が発生して、なおかつ風がない日なら、雲海は8時から9時ごろまで残っていることもあります。
日が昇って気温が上がると、雲海は薄くはなるものの上昇する傾向があり、城が霧をまとうような姿が見られることもあります。
おすすめ撮影スポット
「竹田城跡」の撮影スポットは大きく分けて2つ。城そのものに登って撮るか、ふもとを挟んで遠方から撮るかです。
竹田城天守台

一番高い場所に位置する「天守台」から、南に張り出した「南千畳(みなみせんじょう)」方向を撮ったアングルがこちら。遺構もよく見え、撮影されることが多いスポットです。

少し低い位置になりますが、「二の丸」「三の丸」からの眺めもきれいです。城跡から撮る場合は、“横から朝日を受けながら撮る”という状態になるのが特徴。
立入禁止区域に注意しつつ、自分だけのフォトジェニックな「竹田城跡」を見つけてくださいね。
兵庫県朝来市和田山町竹田古城山169
【3月1日~5月末】8時~18時(最終登城17時30分)【6月1日~9月中旬】6時~18時(最終登城17時30分)【9月中旬~12月初旬】5時~17時(最終登城16時30分)【12月初旬~1月3日】10時~15時(最終登城14時30分)※詳細は公式ホームページを要確認
1月4日~2月末※冬季閉山につき入城不可
【高校生以上】500円【中学生以下】無料
竹田駅より天空バスで約20分、竹田城跡バス停より徒歩約20分/北近畿豊岡道・播但連絡道和田山ICより約10分、駐車場「山城の郷」より徒歩約40分
なし
「竹田城跡」の詳細はこちら
「竹田城跡」の口コミ・周辺情報はこちら
立雲峡

「立雲峡(りつうんきょう)」はふもとの町をはさんで、南東側の山腹にある自然公園。桜の名所でもあり、駐車場も整備されています。
駐車場から山道を登っていくと、下から第三、第二、第一の順番で展望台があり、林を切り開いた広場に階段状のひな壇が設けられていて、撮影がしやすいよう工夫されています。
太陽を背にして、順光で撮れるのが立雲峡の良いところ。また、「竹田城跡」が冬季閉鎖される時期も「立雲峡」は入場禁止にはならないのもメリット(積雪で入山そのものが難しい場合はあります)。
第三展望台までは徒歩約5分、第二展望台までは約10分。この2カ所から竹田城跡までの距離感は、35ミリ版カメラでいえば100mm程度の中望遠レンズで撮ることができます。
一番奥の第一展望台まで行くと標高400mを超え、城跡を高い位置から見下ろす角度になり、城の背後にも雲海が広がります。ただし、第二展望台からさらに徒歩約25分かかり、山道の勾配もきつめ。135~180mm程度の望遠レンズが必要で、三脚もあった方がいいですね。
兵庫県朝来市和田山町竹田
散策自由
無休
【高校生以上】300円【中学生以下】無料
竹田駅よりタクシーで約10分/北近畿豊岡道・播但連絡道和田山ICより約10分※駐車場より展望台まで徒歩5~35分要
あり(無料)
「立雲峡」の詳細はこちら
竹田城跡までのアクセス

<公共交通機関の場合>
SPOT.01 |
JR竹田駅 循環バス「天空バス」約20分 |
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SPOT.02 |
「竹田城跡」停留所 徒歩約20分 |
SPOT.03 | 竹田城跡 |
「竹田城跡」へ向かうには大きく2パターンあります。
(1)JR京都駅から城崎温泉行きの特急「はしだて」や「きのさき」でJR和田山駅へ
(2)JR姫路駅から播但線の特急「はまかぜ」で、JR竹田駅またはJR和田山駅へ
JR竹田駅からは循環バス「天空バス」の利用が便利。一般車両の入れない「竹田城跡」停留所まで行き、そこから城跡までは徒歩約20分です。(行きは約20分、260円)
<車の場合>
SPOT.01 |
JR竹田駅周辺の「まちなか駐車場」 徒歩約40分 |
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SPOT.02 | 竹田城跡 |
レンタカー・マイカーなら、北西のふもとにある観光施設「山城の郷」か、JR竹田駅周辺の「まちなか駐車場」などに停めることになります。そこから徒歩で登ると片道約40分。車を停めて、JR竹田駅から天空バスを利用するのもおすすめです。
<徒歩の場合>


SPOT.01 |
JR竹田駅 「駅裏登山道」などで徒歩約40分 |
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SPOT.02 | 竹田城跡 |
普段から体を動かしている人なら、JR竹田駅から「駅裏登山道」などのルートを通り、すべて徒歩で登ることも可能です。急勾配の山道で、約40分の道のり。ちなみに駅からの標高差は約250mです。
「天空バス」は日中のみの運行なので、雲海狙いの場合は必然的にすべて徒歩で登ることになります。
また、首都圏から行く際は1泊2日がおすすめ。竹田城跡の最寄り駅はJR竹田駅で宿もいくつかありますが、宿泊施設が比較的多いのはJR和田山駅周辺です。事前にしっかり計画を立てておきましょう。
観光前に知っておきたい注意ポイント
トイレ

気を付けたいのがトイレ。「竹田城跡」では料金所、「立雲峡」では駐車場が最後のトイレになるので事前に立ち寄っておきましょう。
服装・雨具
晩秋は気温が2~3度になるので、夏以外は防寒対策も必要です。また雲海を見る場合、濃霧のなかを歩いて雲の上に出るケースや、撮影場所に陣取ってからも雲海が上昇してくることがあります。いったん霧に包まれると、服もカバンもしっとりと濡れてしまうため、防水素材のレインウエアは必須です。
※この記事は2024年9月13日時点での情報です。休業日や営業時間など掲載情報は変更の可能性があります。
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※掲載されている情報や写真については最新の情報とは限りません。必ずご自身で事前にご確認の上、ご利用ください。
ミキティ山田
旬な話題を求めて、いろいろな場所を取材・撮影する調査員。分厚い牛乳瓶メガネに隠したキュートな眼差しでネタをゲッチュー。得意技は自転車をかついで階段を登ること。ただしメガネのせいでよく転びます。