蘇山荘(そざんそう)【愛知】

名古屋市東区の閑静な住宅街の一角。尾張徳川家の邸宅跡にある池泉回遊式の日本庭園「徳川園」。こちらの園内にあるのが「蘇山荘」です。


1937年に地元、名古屋市で開かれた汎太平洋博覧会(はんたいへいようはくらんかい)の迎賓館を移築した歴史的建造物で、2014年10月には国の登録有形文化財に指定されています。

和の格調ある空間にソファーがゆったり並んでいます。座って庭を眺めていると時間が経つのを忘れそう。


現状は、お昼のみ営業しています。気になるカフェのメニューは地元、愛知県産の牛肉を使用したハヤシライスから、季節のクレームブリュレまで。品格ある和風建築や庭園をゆっくりと愛でながら味わいたいですね。
[TEL]052-932-7882
[住所]愛知県名古屋市東区徳川町1001
[営業時間]10時~17時(L.O.16時30分)
[休み]月※祝日の場合翌日※土日祝は貸切の場合あり
[アクセス]【電車】JR 大曽根駅南口より徒歩10分、または地下鉄 名城線大曽根駅3番出口より徒歩15分 【車】名古屋第二環状道引山出口より20分
[駐車場]徳川園公共駐車場などを利用
「蘇山荘」の詳細はこちら
六華苑(ろっかえん)【三重】

鹿鳴館を手がけたイギリス人建築家・ジョサイア・コンドル氏によるレトロな洋館と、池泉回遊式庭園を有する和館からなる「六華苑」。1911年~1913年にかけ、地元の山林王として高名な実業家・二代 諸戸清六氏の新居として建てられました。



広報の石崎さんによると、コンドル設計の洋館の特徴として、1階の中心にホールを設け、その周りに部屋を配置するスタイルが多く見られるのだそう。「一見シンプルな印象ですが、よく見ると階段の手摺りにハートモチーフの装飾があしらわれていたり、見所は多いです」。


洋館に続いてぜひ見学したいのが和館。「当時はこれほど大きな和館と洋館がひと続きの造りになっている例は稀少で、洋館に合わせているため、和館の天井が高くなっているのが特徴です」と石崎さん。建築美はもちろん、欄間の一枚板や、菊と桐をあしらった釘隠しなど和館も見所満載。
明治・大正時代の建築で、ほぼ創建当時のまま。1997年に洋館と和館が国の重要文化財に、2001年にはその他6棟が三重県の有形文化財に指定。そして庭園も国の名勝に指定されています。
近年はNHK大河ドラマをはじめ、ドラマや映画のロケ地としても引っ張りだこです。


重要文化財をひと通り見物した後はカフェでいっぷく。お抹茶とお菓子のセット(写真)のほか、諸戸家で実際に使われていた器で味わうオリジナルコーヒーとミニクッキーのセットもあります。和菓子は地元の老舗「花乃舎」謹製のお菓子です。
写真提供/桑名市 観光課
[TEL]0594-24-4466
[住所]三重県桑名市大字桑名663-5
[営業時間]9時~17時(入苑は16時)、カフェは~16時
[休み]月 ※祝日の場合翌日、12/29~1/3
[入苑料]高校生以上460円、他
[アクセス]【電車】JR・近鉄・養老鉄道 桑名駅東口・バスターミナル2出口より三重交通バス・長島温泉行き利用、田町停より徒歩10分 【車】東名阪道桑名東ICより10分
[駐車場]2カ所79台
「六華苑」の詳細はこちら
デザートカフェ長楽館【京都】

京都東山、八坂神社近く。「長楽館」は1909年、「煙草王」と呼ばれた実業家・村井吉兵衛氏により、国内外の賓客をもてなすための迎賓館として建てられました。

洋館の1階、2階の部屋は現在カフェとして利用できます。


館の中央に位置する喫煙室は「煙草王」の迎賓館ならでは(現在は全館禁煙です)。
部屋ごとに意匠が異なるため、マントルピースや鏡、天井や壁の漆喰細工など各部屋、見所がいっぱい。アンティークの家具や調度品もその多くが当時のものだそう。目に映るものすべてにワクワク。

1986年には建物や家具調度品を含め、京都市有形文化財に指定されています。
ちなみに「長楽館」という名前は伊藤博文氏による命名で、1909年に宿泊した際、名付けられたそう。同館が刻んできた華麗なる歴史を感じます。

アフタヌーンティー専用の「迎賓の間」と、フレンチレストラン「LE CHENE」内の見学はそれぞれの利用者に限定。3階は通常非公開のため見学できませんが、それ以外のカフェスペースは同館のカフェやレストランを利用すると自由に見学できます。

写真は「デザートカフェ長楽館」の看板スイーツ、ミルフォイユ。ナイフが要らないほどのサクサクのパイ生地で有精卵の濃厚カスタードクリームをサンド。お口直しにビターなキャラメルアイスが添えられています。
もう一つのおすすめが「迎賓の間」で味わえるアフタヌーンティーセット。3段スタンドに上から季節のスイーツ&フルーツ、スコーン、軽食が並びます。初めにアペリティフ(食前酒)が付き、紅茶やコーヒーはお代わりも茶葉の変更も可能です。2名から利用できます(中学生以上に限ります)。
なお、2020年9月1日(火)~12月13日(日)の「第56回京都非公開文化財特別公開」期間中は、通常非公開の3階「御成の間」と「茶室長楽庵」が特別公開されます。
[TEL]075-561-0001
[住所]京都府京都市東山区八坂鳥居前東入丸山町604
[営業時間]11時~18時30分(L.O.18時)※アフタヌーンティーは12時~18時(2部制)
[定休日]不定
[アクセス]【電車】JR 京都駅より市バス206または100番利用、「祇園」停下車、徒歩5分【車】名神京都東ICより20分
「デザートカフェ長楽館」の詳細はこちら」
夢二カフェ 五龍閣(ゆめじカフェ ごりゅうかく)【京都】

京都市東区、清水寺へ向かう途中、路地を奥に進むと現れる洋館。清水焼窯元を洋食器・ガイシ・陶歯の製造へと事業を発展させた明治の企業家・松風嘉定氏の邸宅・迎賓館です。
1921年建築。設計にあたったのは京都帝国大学建築学科創設者・武田五一氏で、今なお京都を代表する住宅遺構として受け継がれています。


1999年に国の登録有形文化財に指定されました。現在は湯どうふで有名な「順正」のカフェレストラン「五龍閣」として活用されていて、京ランチやスイーツを味わいながら貴重な建築物に触れることができます。


メニューは京野菜を採り入れたカレーやパスタなどのフードから、できたての豆腐や絞りたての豆乳、おぼろ豆腐や抹茶、きなこなど和の素材を生かしたヘルシーなスイーツまで揃います。
残念ながら現在、「五龍閣」は休業中で、一部のカフェメニューは隣接する系列店「清水順正おかべ家」にて提供中(14時30分~17時※LO16時)です。営業再開に関する情報は公式ホームページをチェックしてみてください。
[TEL]075-514-7111
[住所]京都府京都市東山区清水寺門前清水2-239
[営業時間]11時~15時(L.O. 14時)
[定休日]不定
[アクセス]【電車】JR 京都駅より市バス206系統または100系統利用、五条坂停下車、徒歩10分 【車】名神京都東ICより20分
[駐車場]周辺の有料駐車場利用
「夢二カフェ 五龍閣」の詳細はこちら
「清水順正おかべ家」の詳細はこちら←
tearoom Liz(ティールーム リズ)【山口】

下関市唐戸地区のランドマークの一つ、赤レンガ造りの外観が美しい旧下関英国領事館。
日本に現存する最古の領事館建築で、1901年、当時の駐日英国公使、アーネスト・サトウ氏の本国・イギリスへの意見具申により、西日本における外交・経済・交通の拠点、下関に設置されました。現在の建物は1906年、領事業務拡大に伴い新たに建設されたものだそう。
1999年5月には国の重要文化財に指定されています。


外観正面のステップゲーブルや、建物裏手で見られる2階ベランダの3連アーチなど、クイーン・アン様式の特徴が伺えます。

本館1階とティールームを含む2階、および本館北にある附属屋ギャラリーは見学可能。iPadやタッチモニターを取り入れた案内のほか、施設スタッフのホスピタリティーあふれるガイド付き見学(無料)も好評です。

ひと通り見学した後は2階のカフェへ。おすすめはイギリス伝統のアフタヌーンティーセット。スコーンとスイーツが付いた2段セットと、ベーグルのサンドイッチが加わる3段セット2200円(お一人様の場合は特別スタンドによる2段)から選べます。
セットの紅茶もポットで出されるのでたっぷり楽しめます。


イギリスゆかりの歴史的建造物内のカフェで味わうアフタヌーンティーはきっと格別…。
1階・玄関ホール左手には同館公式キャラクター・ピーターラビット(TM)グッズを扱うショップもあるのでぜひ覗いてみましょう。
[TEL]083-242-2017
[住所]山口県下関市唐戸町4-11 旧下関英国領事館2階
[営業時間]10時~18時(L.O.17時30分)※アフタヌーンティーは~17時
[休み]火※祝日の場合は翌日・年末年始
[アクセス]【電車】JR 下関駅より長府・小月方面へサンデン交通バス利用、唐戸停下車、徒歩すぐ【車】中国道下関ICより5分
[駐車場]1台(身障者用)。他、周辺の有料駐車場利用
「tearoom Liz」の詳細はこちら
アートスペース&カフェ大蔵 清水湯(おおぐらしみずゆ)【大分】

温泉と名水の城下町、竹田市の中心地。小路と水路が巡る八幡川横丁の一角にユニークなカフェがあります。
歴史は古く、江戸時代は米蔵として使われていた建物で、昭和の時代に入り「清水湯」という名で銭湯を開業。1978年まで実際に銭湯として営業していたそうです。2000年には母屋とともに、国の登録有形文化財に指定されています。
銭湯を廃業後、物置になっていたのをオーナーの服部さんが改装。1階にカフェ、2階にギャラリースペースを作り現在に至ります。

銭湯の頃の名残で、店内は今でも元男湯、元女湯にわかれています。特に元男湯のほうは浴槽や蛇口、味のある看板などが当時のまま残っており、昭和30年代にタイムスリップしたような気分が味わえます。

おすすめは季節の小鉢セット。旬菜を取り入れた煮付けをはじめ、手作りの味が詰まった小鉢が並びます。
メインは自家製手打ちうどん。「竹田の名水と沖縄産の島マースを使い製麺しています。添加物不使用の手打ちうどんを1週間ほど寝かせてお出ししています」と服部さん。

温泉と名水の町、竹田市のレトロ喫茶で名水仕込みの手打ちうどんランチ。〆のお抹茶と季節の甘味までじっくり楽しめます。
[TEL]0974-63-3321(志保屋 ※運営元)
[住所]大分県竹田市竹田町507
[営業時間]11時30分~16時
[定休日]不定
[アクセス]【電車】JR 豊後竹田駅より徒歩5分 【車】中九州横断道路竹田ICより5分
[駐車場]2台
まとめ
歴史を感じる意匠や美術品のようなアンティークの家具に囲まれて過ごす、贅沢なティータイム。
非日常感を味わえる文化財のカフェを訪れてみてください。
※新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、各自治体により自粛要請等が行われている可能性があります。
※お出かけの際は、お住まいやお出かけされる都道府県の要請をご確認の上、マスクの着用、手洗いの徹底、ソーシャルディスタンスの徹底などにご協力ください。
児島あさこ
編集者・ライター。旅先での楽しみは日頃おせわになっている人へのおみやげ選び。道の駅、美術館、セレクトショップ、うつわ屋さん…など贈る人の好みに合わせて物色している時間が幸せです。好きな町は金沢。