華道(生け花)とは、四季折々の樹々や草花などの花材を、花器に美しく生ける伝統芸術です。憧れはありつつも、難しくて敷居が高いイメージを持っている人も多いのではないでしょうか?
そこで今回は、華道家・宮本理城(みやもとりじょう)さん監修のもと、初心者向けの基礎知識を解説。華道の主な道具や生け方の基本に加え、代表的な流派や体験教室の選び方も紹介します!
華道とは?

華道とは、花を生ける日本伝統芸能のひとつ。草花の美しさや命の尊さを表現しています。フラワーアレンジメントが花で空間を埋めるように作られるのに対し、華道は花材がない部分(空間)にも美しさを見出し、植物の線の美しさを表現することに重きを置いている点が特徴です。
また、一言で華道といっても、伝統的な「立花(りっか)」「生花(せいか、しょうか)」、現代的な「盛花(もりばな)」「投入れ(なげいれ)」「自由花(じゆうか)」などさまざまなスタイルがあります。
華道の成立は約550年前、室町時代といわれているそうです。江戸時代の華道は男性のたしなみとされていましたが、次第に女性の教養の一環として挙げられるようになり、昭和の時代には花嫁修行として一般的となったそうです。
そして現代では、TVをはじめさまざまなメディアで取り上げられることも増え、老若男女多くの人々に親しまれるようになったのです。
主な華道の道具
華道に必須となる、3つの道具を紹介します。見たことはあるものの、意外と正式名称を知らない人も多いのではないでしょうか。
花器

その名の通り、花を生けるための器である花器(かき)。皿のように広口の浅い「水盤」や、脚付きの「コンポート」、筒状の「投入れ花器」、大型の「壺」などさまざまな素材・形・種類に分けられます。
花鋏

華道で用いられる材料である花材を切りそろえる際に使用する花鋏(はなばさみ)。「つる手」「わらび手」の2種類があります。持ちやすく使いやすい方をセレクトしましょう。
花留め

花材を留めるのに使う花留め(はなどめ)。ダイヤマークのような形状が見られる「七宝(しっぽう)」、針状の突起が並ぶ「剣山(けんざん)」などがあり、花器・花材によって大きさや形を使い分けます。
基本的な生け方
写真とともに基本的な生け方を解説。華道では、「主材」→「配材」→「あしらい」→「根締め(ねじめ)」という順に生けるのが一般的です。
STEP1:主材の生け方

主材とは、生け花の骨格を作る花材を指します。3本の枝をベースとして、美しいラインを作っていきましょう。
STEP2:配材の生け方

配材とは、メインの花のこと。花は2本を基本として挿し、華やかさを出します。
STEP3:あしらいの生け方

あしらいは、主材や配材のすき間を埋める花や草木を指します。配材と異なる色味を選ぶことで、鮮やかさを加えられます。
STEP4:根締めの生け方

根締めは、足元の前後に緑を足すことで生け花全体を引き締める葉のこと。剣山などの花留めを隠す役割があり、カールさせたりすることで葉の面をうまく見せるように調整するのがポイントです。
代表的な流派

華道には、さまざまな流派があります。ここでは代表的な流派の特徴を簡単に紹介します。自分がイメージする表現に合った流派を見つけることで、より華道が身近になるはず。
池坊(いけのぼう)
室町時代後期に確立された流派です。自然の風景を表現する「立花(りっか)」、草木の生きる姿を描く「生花(しょうか)」、型にとらわれない「自由花(じゆうか)」の3つのスタイルがあります。
草月流(そうげつりゅう)
1927年に創流され、個性を尊重した自由な表現を求めたことから始まった流派。型にとらわれることなく、花を生ける人の個性を自由に映し出すことが信条です。
小原流(おはらりゅう)
1895年に始まり、「盛花(もりばな)」という面的な広がりを強調するスタイルを生み出し、近代いけばなの先駆けてとなった流派。その後も、時代の変化に合わせて新たな表現を発表し続けています。
古流東洋会 水墨花点前(こりゅうとうようかい すいぼくかてまえ)
1960年に創流。古流の伝統スタイルである「生花(しょうか)」の他、「水墨花点前(すいぼくかてまえ)」という和歌の朗詠と組み合わせたデモンストレーションスタイルの生け花が特徴です。
体験教室の選び方

華道体験ができる教室は数多くあるので、実際に体験してみるのもおすすめです。基本から丁寧に教えてくれるので、初心者でも気軽に参加できるはず。
体験教室はどのように選ぶのが良いのでしょうか?この記事を監修した華道家の宮本理城さんによると、流派や先生によってスタイルに違いがあるため、自分の好みに合った生け花のスタイルを見つけるのが先決なのだとか。「好き」と思えるかどうかを大事に選ぶのがポイントです。
まずは一度、各流派の作品を見てみるのもいいかもしれませんね。また、稽古として定期的に通う場合は、家から近いかどうかなど、通いやすさも重視して選ぶようにしましょう。
【監修・画像提供】
宮本 理城(みやもと りじょう)/華道家 古流東洋会 水墨花点前 家元
2歳より古流東洋会の創流者(祖母)、二世家元(母)より華道の手ほどきをうける。チュニジア・サウジアラビア・ロシア等での生け花デモンストレーションなど、海外での活動多数。全日本いけばなコンクール審査員特別賞受賞など。いけばな芸術協会正会員等。
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※この記事は2025年4月3日時点での情報です。休業日や営業時間など掲載情報は変更の可能性があります。
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