訪れた温泉は約500という温泉オタクの永井千晴(ながち)さん。最近では『女ひとり温泉をサイコーにする53の方法』という書籍も出版されました。
この記事では永井さんがこれまでに訪れた温泉の中から、“穴場でおすすめ”というスポットを紹介してもらいます。
毎月、穴場温泉の情報をお伝えしますので、いつか行きたいスポットとしてぜひチェックしてみてください。
※この記事は2021年3月5日時点での情報です。休業日や営業時間など掲載情報は変更の可能性があります。日々状況が変化しておりますので、事前に各施設・店舗へ最新の情報をお問い合わせください。
青森県は名湯・秘湯の宝庫です。酸ヶ湯温泉、黄金崎不老ふ死温泉、蔦温泉、古遠部温泉…などなど、温泉に興味のある方なら聞いたことのある場所も多いのではないでしょうか。
私も青森の温泉が大好きで、取材でもプライベートでも何度も足を運んでいます。海沿いや山奥、町中などそこここに湧く湯のすばらしさ、食事のおいしさはもう抜群。大好きな土地です。
青森の名湯は、さきほど挙げたような有名どころだけではありません。温泉よりもカフェや町並みめぐりに注目が集まりがちな弘前エリアにも、ものすごい温泉が湧いているのです。本記事では、青森県内の温泉をめぐったときに出会った、弘前市内のすばらしい個性派穴場温泉をご紹介していきます。
畑の真ん中にある「新岡温泉」は、ヌルヌルアワアワの絶品温泉

弘前市街地から車で15分ほどの距離に位置する、民家のような外観をした「新岡温泉」。地元のお客さんでにぎわう“普段使い”の日帰り入浴施設です。ここの温泉が絶品すぎて、マニアも他のお客さんにまぎれて湯浴みをしにくるそう。


入浴料を支払ってから脱衣所までは、なんだかひっそりとしていて、ビギナーはちょっとドキドキする雰囲気です。脱衣所の床がとってもレトロでかわいい。思わず足元だけで写真を撮りたくなるほどです。

湯場はもうもうと湯気が立ち込めていて、湯船もうまく映りません。46℃の源泉を地下水で加水してザバザバと注ぎ込んでいるとのこと。湯船からはダバダバ~っと温泉があふれていてド迫力!新鮮そのものです。
どことなく草っぽさのあるダシ感で、浴感はヌルヌルアワアワ。ほんのり硫黄の香りもして、ちょっと浸かるだけでびっちりお肌に泡がくっつく新鮮さです。普段使いの素朴な温泉なのに、マニアが県外から足を運ぶほどの“絶品”と評されるのもうなずけます。他のお客さんは、思い思いに温泉の出る蛇口で頭を洗ったり、体を流したり。日常的なお風呂のワンシーンに名湯がゆうゆうと注がれていて、なんとも贅沢なひとときを味わえるはずです。
[TEL]0172-82-4521
[住所]青森県弘前市新岡萩流161-12
温泉成分でトロトロに変色・変形した床がたまらない「百沢温泉」

弘前市街地から車で20分ほど。岩木山周辺に湧く「百沢温泉」は、小さな日帰り入浴施設です。新鮮でなめらかな美肌湯が湧いていました。
赤い壁が印象的な玄関どころ。このあたりは泉質の異なる温泉がぼこぼこと湧いていて、浸かり比べをしにくるマニアが多いようです。

大きい湯船にドドドと注がれる、濁った黄緑色の炭酸水素塩泉。美肌の湯としられる泉質で、新鮮さや成分の濃さによってはこのように床を変色・変形させてしまいます。マニアはこういう、変色・変形した湯船や床が大好きですよね……。温泉そのもののパワーというものを、まざまざと感じさせられます。

しっかり濃厚めではあるのですが、不思議と浴感は重すぎません。湯船はたゆたゆで、見ての通りオーバーフロー。加水なしの46℃の源泉をかけ流しなので、タイミングによってはアツアツかも。しばらく浸かっているとアワがお肌についてきます。なめらかな浴感がくせになる、すばらしい温泉でした。
[TEL]0172-83-2226
[住所]青森県弘前市百沢寺沢290-9
硫黄の香る温泉とマタギ飯で優勝する「嶽温泉」

百沢温泉のもう少し奥にある「嶽温泉」は、江戸時代につくられた温泉番付で“東の前頭三枚目”に選ばれている歴史深い温泉地。よく温まる白濁の温泉に浸かれます。
訪れたのは「嶽温泉 山のホテル」。日帰り入浴だけではなく、せっかくだから「名物のマタギ飯」も食べてもらいたいです。まずは温泉をいただきましょう。

青森ヒバ製の湯船に注がれる温泉からは、硫黄の香りがふんわり。少しだけ白く濁っていて、肌をパリッと弾くような酸性の浴感も特徴的です。そして塩も濃いめなので、よく温まる。さまざまな成分を含んでいて、心身にしっかりと染み入りそうな強い温泉でした。白い湯の花がふわふわ舞っているのも印象的。

うわさのマタギ飯は、舞茸やたけのこがびっしりと敷き詰められたジューシーな釜飯。こういった山菜入りの混ぜご飯は、マタギ(狩人)が実際に好んで食べていたものだそう。青森は新鮮な海鮮もいいけれど、こういう山の幸も抜群においしいのが最高ですね。
[TEL]0172-83-2329
[住所]青森県弘前市常盤野湯の沢19
夜は温泉宿で一泊しても、弘前の町で飲み歩いても

私が訪れたときは、町中のホテルで一泊して、夜は弘前の町で飲み歩いていました。まずはカウンターの居酒屋で地酒と海鮮、そして弘前が誇るオーセンティックなバーでフルーツカクテル。おいしくて楽しくて気持ちよくて、すばらしいところだったなあと思い出します。また行きたいな。名湯めぐりと一緒にぜひ、いかがですか。
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“ひとり温泉”を楽しむ特集一覧
■プロフィール

永井千晴(ながち)
温泉オタクな会社員。訪れた温泉は約500。普段はCHOCOLATE Inc.でプロデュース業をしています。元じゃらん編集部員。
Twitterアカウント @onsen_nagachi
『女ひとり温泉をサイコーにする53の方法』

2020年11月26日発売。訪れた温泉は約500湯。ヒマさえあれば女ひとりで温泉を巡りまくっている「温泉オタク会社員」による温泉偏愛エッセイ!つぶやくと同時に6.8万RTされた「東京・大阪から1泊2日で行けるお勧め温泉チャート」付き
書籍の情報はこちら
https://www.gentosha.co.jp/book/b13386.html
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永井千晴(ながち)
温泉オタクな会社員。訪れた温泉は約500。元じゃらん編集部員。 Twitterアカウント @onsen_nagachi