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「天の川」の正体は銀河系!英語名や七夕伝説や観測におすすめの時期・時間も解説

2021.06.11

夜空に淡く輝く雲状の光の帯、天の川。夏の宵、天頂付近から南に流れる天の川は太陽系を含む星の大集団であり、天文学的には「銀河系」または「天の川銀河」と呼ばれています。

この記事では、英語ではなんて言うの?何万光年離れているの?銀河系(天の川銀河)ってなに?など、天の川のアレコレを紹介します。天の川の正体については、天文学者であり星景写真家としても活躍する大西浩次先生に解説していただきました!

※この記事は2021年5月31日時点での情報です。休業日や営業時間など掲載情報は変更の可能性があります。日々状況が変化しておりますので、事前に各施設・店舗へ最新の情報をお問い合わせください。
記事配信:じゃらんニュース

天の川とは?英語ではなんと呼ぶ?

(画像提供:大西浩次)
(画像提供:大西浩次)

天の川とは、夏の宵の夜空を見上げると雲の光の帯の様に見える様子を表す言葉です。

雲のよう見えますが、双眼鏡や望遠鏡などで眺めてみると、無数の星の集まりであることが分かります。これは、私たち太陽系を含む円盤状の星の大集団をその中から見上げた様子なのです。

この星の大集団を「銀河系(the Galaxy)」、あるいは「天の川銀河(Milky Way Galaxy)」とよび、遠くにある同様の星の大集団である「銀河(galaxy)」とは区別しています。

英語では天の川を「ミルキーウェイ(Milky Way)」と言います。日本語に訳すると「ミルクの道」ですが、実はフランス語の「ヴォワ・ラクテ(Voie lactee)」、ドイツ語の「ミルヒ・シュトラーセ(MilchstraBe」」も、同じ「ミルクの道」という意味です。
その理由はギリシャ神話に由来しているので、次項で説明しますね。

天の川にまつわる世界の伝説

(画像提供:大西浩次)
(画像提供:大西浩次)

七夕伝説の織姫の父は天帝という神様であり、織姫は神様の娘。働き者の人間、牽牛(彦星)と恋仲になり結婚しますが、二人の時間が楽しすぎて働かなくなってしまいました。怒った天帝は二人を天の川の両端に引き離しましたが、二人が嘆き悲しむ姿を見かねて7月7日だけ会うことを許したのです。

この7月7日は、旧暦の7月7日。旧暦というのは月の満ち欠けで月日を数え、新月の日を1日としています。

7日は、ちょうど上弦の月の直前。7月頃には上弦に近い月が7日前後の数日で天の川を横切って動いていくように見えるのです。上弦の月が深夜沈む前に「お舟」の形で天の川を渡る姿が、七夕伝説につながったといわれています。

(画像提供:ピクスタ)
(画像提供:ピクスタ)

世界各地にも天の川にまつわる伝説や神話が存在しています。
中国とフィンランドの伝説は日本と同じように男女の恋愛の物語ですが、ギリシャには天の川がなぜできたかにまつわる神話があり、各国の名前の由来になっています。

全能の神ゼウスが浮気相手との間に出来た赤ん坊に、妻である女神ヘラの母乳を飲ませたくて、ヘラが寝ている間に赤ん坊に母乳を飲ませていたところ、ヘラが目覚めて赤ん坊を払いのけてしまい、こぼれ落ち宙に舞った母乳が「Milky Way(ミルクの道)」になったとされています。

銀河を意味する「ギャラクシー(galaxy)」も、ギリシャ語で「ミルキー、ミルク状の」を意味する「galaxias」が語源となっています。

天の川の正体は「銀河系」!

(画像提供:大西浩次)
(画像提供:大西浩次)

天の川の正体を明らかにしたのは、科学者のガリレオ・ガリレイ。1610年、自作の望遠鏡を天の川に向けて無数の星の集まりであることを発見しました。

この天の川が、私たちの住んでいる太陽系を含む銀河系の中から見た姿だと気づいたのはイギリスの天文学者ウィリアム・ハーシェル。彼は天の川のいろんな場所の星の数を測定して、銀河系が凸レンズ形だと明らかにしました。

20世紀に入ると星までの距離を決める方法が発見され、アメリカの天文学者エドウィン・ハッブルが、アンドロメダ大星雲と呼ばれていた渦巻星雲が銀河系より遥か遠くの天体であることを発見。これは、銀河系のような星の大集団が宇宙の中にたくさんあるという事を意味し、私たちが住む銀河系が宇宙の中の多くの銀河の1つに過ぎないという事を意味する大発見でした。

その後、電波による分子雲の観測などから、銀河系が想像図のような渦巻銀河の一つであることが分かってきました。

2021年現在、銀河系の大きさは直径が約10万光年であるに対して、太陽系付近の銀河面の厚みは約1千光年。真横から見ると真ん中付近が膨らんだ凸レンズのような円盤の形、真上から見ると渦を巻いているような形をしているとされています。
(光年とは、光の速さで1年間に進める距離の単位。1光年は約9.5兆km)

下の図は銀河系を真上から見た予想図。薄い円盤状の銀河面の中に太陽系があると考えられています。(図の赤い点が太陽系の位置。NASA/JPL-Caltech/ESO/R.Hurt提供の図に、文字や線を加筆)

(画像提供:大西浩次)
(画像提供:大西浩次)

また、太陽系は銀河系の中心から約3万光年も外れた位置にあることが分かり、さらには銀河系の中心には巨大なブラックホールがあることも分かりました。

この銀河系中心超大質量ブラックホールの存在を観測的に実証した研究者たちは、2020年のノーベル物理学賞を受賞しています。
(下の写真の×の位置が銀河系中心方向。この位置の向こうに超大質量ブラックホールがある)

(画像提供:大西浩次)
(画像提供:大西浩次)

銀河系には約2千億個の恒星があるといわれているので、太陽系の位置から銀河面に沿って見ると、遠くの星までたくさん重なり、肉眼では白い帯のように見えるのです。

すなわち、銀河系の中から見上げる姿が天の川として見えているということになります。
なお、銀河系の中心方向のいて座付近は多くの星が密集しているので、濃くて広い天の川として見ることができます。

天の川はいつ・どこで見られるの?

天の川は非常に淡く輝いているので、街の灯によって明るい都心ではほとんど見ることができません。また、月の明かりや雲、霞の状態などでも見やすさが変わります。

ここでは、天の川が見える場所、見える時間、見やすい季節などをご紹介します。

天の川観測におすすめの場所

(画像提供:大西浩次)
(画像提供:大西浩次)

都心部から離れた、街灯がなく空が広い場所は天の川を大きく見ることができます。

キャンプ場や高原、天文台を探して行くとよいでしょう。特に天文台は星空観察に最適な厳選された場所にあるので、その周辺付近では比較的簡単にキレイな天の川が見えます。

標高2,000m以上の山頂に宿泊施設がある、乗鞍岳やアルペンルートもおすすめ。標高が高く空気も澄んでいるので、満天の星空が体験できます。

また、国際ダークスカイ協会が、光の影響を受けず、暗い空に星が輝き美しく見える場所をダークスカイプレイス(星空保護区)と認定する制度もあります。

日本では沖縄県の西表石垣国立公園、東京都の神津島の2カ所がダークスカイ・パーク(星空保護区のカテゴリーの一つ)に認定されているので、ぜひ一度は行ってみたい星空観察スポットです。

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天の川観測におすすめの時期・時間帯

(画像提供:大西浩次)
(画像提供:大西浩次)

日本では、時間帯をうまく選べば四季を通じて天の川を見ることができます。しかし、見頃はやはり天の川が最も濃く広く見える、いて座・さそり座付近の「夏の天の川」でしょう。

夏の天の川が南の空に見えるのは、6月初めは深夜から明け方、7月初めは夜更けから深夜、8月初めは宵の時間帯。ちょうど、上の写真の様に見えます。

この時、天頂付近の天の川の真ん中には、はくちょう座が、その左右にこと座のベガ(織り姫星)とわし座のアルタイル(彦星)という、七夕伝説の星たちが見つかります。

ちなみに、秋の天の川は地味ですが、穏やかな輝きで癒しを感じさせます。また、冬の天の川は淡くて薄いのですが、その周りに明るい一等星がたくさん輝いているので派手な感じで見ることができます。

天の川の見つけ方!観測のコツは?

(画像提供:大西浩次)
(画像提供:大西浩次)

天の川銀河はまず南の空から天頂付近を探します。南から天頂にかけての広範囲にアーチ状に流れており、たて座やいて座の南の空に星が密集しています。

上の写真では右下の明るい部分が南、左下が北になります。

「夏の大三角」の中心を天の川が流れているので、「夏の大三角」から見つける方法もあります。
星座や方角がポイントになるので、星座早見表や方位磁石などがあると探しやすいですね。

【記事監修】大西浩次
長野工業高等専門学校教授 博士(理学)。系外惑星を探す研究を行うなど天文学者として活躍しながら、星景写真家として日々美しい写真を発信し、天文教育の普及活動にも注力している。
twitter:https://twitter.com/koujiohnishi

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宮城なほ子  宮城なほ子

沖縄出身、沖縄育ち。ながーい東京生活を経て、ふたたび沖縄暮らし。現在はフリーランスで広告・コピーに関わるお仕事と、「好き」と「興味」から発展した美容関係のお仕事を自分のペースで楽しんでいます。

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