日本中のおいしいものが集まる大都市・東京。今回は中でも和菓子に注目!老舗から新進気鋭の店まで、多くの名店がある中から、年間平均7000種以上のスイーツを食べ歩くフードジャーナリスト里井真由美さんがおすすめの店と、その店のイチオシ和菓子を厳選!日持ちや包装形態なども紹介する ので手土産の参考にしてみてくださいね。
【赤坂見附駅より徒歩7分】とらや
小豆のうまみを凝縮、長年愛されている羊羹


とらやは、室町時代後期に京都で創業。約500年の歴史があり、1869年、東京遷都に伴い、京都の店はそのままに東京にも進出しました。
とらやの煉羊羹は、北海道産の小豆を煮て羊羹専用の餡を作り、その餡に煮溶かした寒天と砂糖を加えてじっくりと煉りあげられた、 濃厚かつなめらかな口溶けが特徴です。熟練した職人の目で確かめながら、小豆を煮る作業から完成まで3日かけているそうです。
様々な種類の羊羹がありますが、代表的な商品が小倉羊羹「夜の梅」です。切り口の小豆を夜の闇に咲く梅に見立てて名付けられた菓銘です。
日持ち・包装
[包装]大形羊羹、竹皮包羊羹、中形羊羹、小形羊羹
東京駅での購入場所
TORAYA TOKYO(東京ステーションホテル2階)、グランスタ東京店(東京駅改札内)

「御代の春」は、日本の代表的な花をかたどった意匠の最中です。菊形の「弥栄」には小倉餡、桜形の「御代の春 紅」には白餡、梅形の「御代の春 白」にはこし餡が詰まっています。
和菓子マニア・里井さんのおすすめポイント
一口食べるとコクがあるのにスッと切れるような甘さで、どこか潔さと粋なおいしさが感じられます。「御代の春」は、お祝いにもピッタリです。
イートイン情報


喫茶メニューのあんみつは、北海道産の小豆を使用したこし餡のほか、天草から作る寒天、琥珀羹や粟羊羹など、様々な味わいが楽しめます。添えられた黒蜜と一緒にぜひ味わってください。
東京都港区赤坂4-9-22
【平日】9時~18時、喫茶:11時~17時30分(LO17時)【土・日・祝】9時30分~18時、喫茶:11時~17時30分(LO17時)
毎月6日(12月を除く)
赤坂見附駅より徒歩7分
あり(無料)
「とらや」の詳細はこちら
「とらや」の周辺情報はこちら
【日本橋駅より徒歩2分】榮太樓總本鋪
キラキラと輝く酸っぱくない梅ぼ志飴



江戸安政年間に、当時まだ白砂糖が高価だった時代に、何とか庶民の口に届くようにと創意工夫から生まれたのが、代表菓子の「梅ぼ志飴」です。
棒状に伸ばした紅い飴を和ばさみで切り、その切り口を指でつまむとしわができます。このしわのよった三角形の形が酸っぱい梅干しに見えたことから「梅ぼ志飴」と名付けられました。香料を使わず、カラメルを主体としており、コクのある、飽きのこない味が愛され続けています。
江戸末期より戦後まもなくまで手づくりしていましたが、戦後より機械を導入。ただし作り方や原料は昔から変わっていません。
日持ち・包装
[包装]缶入り
東京駅での購入場所
なし。榮太樓總本鋪のみ

箔のように薄く伸ばした小麦生地で餡を包んだ「名代金鍔(きんつば)」もおすすめです。江戸時代から変わらぬ製法で、北海道十勝産の小豆「エリモショウズ」を使用しています。
和菓子マニア・里井さんのおすすめポイント
「梅ぼ志飴」は、見た目にも甘さにも透明感があるおいしさで、ずっと舐めていてもくどくなく、カラメルの風味とコクが不思議とどんどん増していきます。途中で噛んでもカリカリっと軽やか。歯にくっつかず、キレが良いのでついつい手が伸びてしまいます。
イートイン情報


喫茶コーナーではメゾンカイザーのパンにカルピスバターを合わせ、つぶし餡を乗せた「日本橋あんバタートースト」が本店の人気メニューです。
【上野駅より徒歩3分】あんみつ みはし 上野本店
丁寧に手づくりした具材が織りなすハーモニー


1948年創業。店名はかつての旧町名「上野三橋町」に由来しています。第二次世界大戦後の甘味が貴重だった時代に開業し、多くの人に親しまれてきました。
看板メニューが「あんみつ」です。十勝産小豆の自家製餡と天草から丁寧に煮出した寒天、さらに沖縄県波照間島の黒糖から作る黒みつ、富良野産の赤えんどう豆など、吟味された素材を使っています。
あんみつ用のこしあんは、銅釜で炊く昔ながらの手作り。赤えんどう豆も煮てから再度蒸かすことで、やわらかくほっくりとした食感に仕上げられて います。時代は変われど、製造工程やレシピは創業当初からほぼ変えずに作り続けられています。
日持ち・包装
[包装]一個売り
東京駅での購入場所
あんみつみはし東京駅一番街店


定番の他、「杏あんみつ」や、瓶詰めタイプで持ち歩きやすい「あんバター」もお土産品として人気があります。
和菓子マニア・里井さんのおすすめポイント
これぞあんみつ!王道のおいしさです。こし餡はなめらか。寒天はプリっとみずみずしく 、赤えんどう豆はほくほく、みつはサラッと。各具材の大きさや量などトータルバランスが良いのも魅力的です。出来立てフレッシュなおいしさを、ぜひ店内で味わってくださいね。
イートイン情報

喫茶メニューでは、「白玉クリームあんみつ」のほか、季節の生フルーツがたっぷりのった「フルーツクリームあんみつ」980円や昔ながらの製法で作った小倉アイスがのった「小倉あんみつ」760円など常時10種類ほどのあんみつを提供しています。
【六本木駅より徒歩3分】青野総本舗
求肥、きなこ、餡が口の中で一つになる妙味


1856年創業の青野総本舗。4代目、青野平九郎の兄が役者で、“楽屋でも汚さず食べられる菓子を”ということで考案したのが「鶯もち」です。
笹舟に眠る夫婦鶯(めおとうぐいす)をイメージして名付けられました。北海道産小豆の餡を、国内産羽二重粉の求肥で包み、北海道産の特製きなこをまぶした餅を2個竹皮で包装。一口サイズにしたのは、顔に塗ったどうらんが乱れぬようにとの配慮からです。
2022年よりパッケージが変更され、個別脱酸素包装で、香りも風味も日持ちもよくなりました。基本的なレシピは変えることなく、時代の変化にも柔軟に対応することで、従来からのリピーターだけでなく、新たなファンづくりにも力を注いでいます。
日持ち・包装
[包装]個包装(2個入り)
東京駅での購入場所
東京駅構内で土曜日にばら売りを販売中



日本古来よりある5色の色づかいが鮮やかな「五彩饅頭」や、こしあんに大納言甘納豆、上からすり蜜をかけた一口サイズの「沖の石」、栗やナッツ、バターの香りと風味を生かした「まろん」など、趣の異なる和菓子も数多く揃います。
和菓子マニア・里井さんのおすすめポイント
鶯もちは、餡も求肥もなめらかで、とろけるようなおいしさです。高級な羽二重餅粉を使い、風味の良いきなことの相性も抜群!大都会六本木にありながら、店内は長い歴史が醸し出す風格を感じます。
【麻布十番駅より徒歩3分】浪花家総本店
あんこ好きにはたまらない。餡が尻尾までギッシリ!


1909年の創業当初から、たい焼きを焼き続けています。毎日150kgの餡を8時間かけてじっくりと炊き上げ、小豆の皮を極限まで柔らかくしていることが大きな特徴。
1匹ずつ専用の焼き型で丁寧に焼き上げる「一丁焼き」製法を採用し、餡が尻尾の先までぎっしりと詰まっていることが、創業以来のこだわりです。
外の皮はパリパリで、中のしっとりとした餡との絶妙なバランスが良いと、連日行列ができるほど。予約も可能なので、持ち帰りの場合は、事前に電話の予約がおすすめです。
日持ち・包装
[包装]バラ 、箱入り(6個、10個)
東京駅での購入場所
なし。店舗で焼きたてを味わってください
また、たい焼き型の最中の皮と缶入りのつぶあんがセットになった「たい焼き最中」は、自分で詰める楽しみもあります。その他、和三盆を利用したロールケーキ「浪花家ロール和三盆」もお土産に最適。あんこが別添えされており、好みに合わせてロールケーキに添えて楽しむことができます。2階のカフェでは、香ばしいお餅が入ったお汁粉がおすすめです。
和菓子マニア・里井さんのおすすめポイント
尻尾までパリッ!中はあんこがたっぷり。ぜひ店頭で焼きたてを頬張ってください。食感、香り、温度感、すべてのバランスが良いのが浪花家総本店のたい焼きです。
【浅草駅より徒歩3分】舟和 浅草本店
さつまいも以上に“さつまいも感”のあるおやつ


1902年、浅草で創業した舟和。明治に入り、高級品だった煉羊羹に代わり、舟和はさつまいもを主原料にした「芋ようかん」を生み出しました。
添加物を使わずに砂糖と少量の食塩のみの素朴な味が人気を博し、看板商品となりました。第二次世界大戦後も、東京の復興とともに舟和を再建。「素材の味を活かす」という創業以来のこだわりを守りつつ、時代に合った和菓子作りに励み、浅草の老舗名物店として、国内外の観光客に愛され続けています。
日持ち・包装
[包装]1箱(5本入り~)
東京駅での購入場所
東京大丸1階、東京駅構内HANAGATAYA(グランスタ東京中央通路店など)

こしあんを一口サイズに丸め、寒天で包んだ「あんこ玉」も人気があります。小豆、いんげん、抹茶、いちご、みかん、珈琲の6種類の餡と、季節ごとの限定餡もおすすめです。
和菓子マニア・里井さんのおすすめポイント
「芋ようかん」はさつまいもの自然の甘さがいい。余分なものが入っていないので、よりさつまいものおいしさが強調されます。食べればほっこりと心が落ち着き、おやつにも小腹が空いた時にもピッタリ。緑茶はもちろん、紅茶やコーヒー、豆乳にも合う万能なおやつです。
イートイン情報


喫茶コーナーでは、焼いた芋ようかんに有塩バターを添え、抹茶、最中、アイスクリームをセットにした「焼芋 ようかんセット」がおすすめです。
【浅草駅より徒歩2分】浅草 亀十
奇をてらわないから何度でも食べたくなるどら焼き

大正末期創業。独特の焼き目模様があり、軽くてふわふわの生地が特徴の亀十のどら焼き。
手ごねの生地を職人が一枚一枚手焼きした皮は、口の中でふわっと溶けるような不思議な感覚。中身は北海道十勝産の小豆あんと、北海道産白あんの2種類があります。週末は行列必至で、開店してからお昼過ぎ頃には売り切れることが多いので、開店前から並ぶことをおすすめします。
日持ち・包装
[包装]バラ売り ・1箱(5個入り〜)
東京駅での購入場所
なし。浅草本店のみ


黒糖をふんだんに使った風味豊かな「黒糖銘菓 松風(まつかぜ)」や、看板商品の餡がたっぷり入った「亀十最中」も人気 。
和菓子マニア・里井さんのおすすめポイント
「あ~これこれ!」と思わず笑顔になってしまうのが、亀十のどら焼き。定期的に無性に食べたくなるんです。見た目は素朴ですが、食べると生地がふわっむちっ。餡はつぶが際立ち、皮との食感の違いもいいんです。
【駒込駅より徒歩1分】御菓子司 中里
パリッではなくサクッ!さりげない塩気がクセになる


軽やかでサクサクとした歯応えが特徴的な「揚最中(あげもなか)」。上質なごま油でカラッと揚げた皮の中に、北海道十勝産小豆の固めの粒餡をたっぷり挟んでいます。
味を引き締めるのは、伊豆大島産の雪塩。ごま油の香ばしい風味と、舌触りがなめらかな粒あんとのハーモニーが絶妙で、つい2個目、3個目と手が伸びてしまいます。
店の創業は1873年。現在5代目がのれんを家族4人で守っています。
日持ち・包装
[包装]バラ
東京駅での購入場所
大丸東京店地下1階

中里の通年商品は、揚最中と南蛮焼の2種類のみ。南蛮焼は、小麦粉と黒蜜と膨張剤だけで作るどら焼きの皮に、北海道産小豆の自家製の粒あんを挟んでいます。餡の甘さを控えめにすることで、黒糖のコクが引き立っています。
和菓子マニア・里井さんのおすすめポイント
「もなかを揚げているの?」とよく驚かれますが、これが実においしい!もなかの皮は3mm程度と薄く、食べるとごま油の香りが口に広がります。そこに小豆の甘さと、最後に塩をパラパラと。この塩加減が絶妙で、つい手が進んで無限ループにはまってしまうこと間違いなしです。
まとめ
老舗の看板和菓子は、長年愛されているだけあり、どれも素朴ながらも何度でも食べたくなるものばかりです。時代が変わっても、かたくなに守り続けているものがあるからこそ、時代を超えて愛されているのでしょう。店頭で出来たてを食べるもよし、大切な人を思ってお持たせにするのもよいですね。
今回「おすすめの栗菓子」を紹介してくれたのは
\和菓子マニアの里井真由美さん/

食・食文化の専門家としてテレビ、雑誌、ラジオ、webなどメディアを中心に活動中。グルメスイーツの年間食べ歩きは1000店以上。スイーツは年間平均7000種以上を食し、Instagramでは栗・モンブランやスイーツを中心に掲載中。多数のメディアに出演、スイーツの達人としての活動も広い。
里井真由美さんInstagram
※この記事は2025年3月28日時点での情報です。休業日や営業時間など掲載情報は変更の可能性があります。
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※掲載の価格は全て税込価格です。
真下智子
温泉好き、旅好きの二児の母。夫の仕事の関係で、青森から鹿児島、シンガポールと、様々な土地で生活する。温泉ソムリエ、温泉入浴指導員、温泉観光実践士の資格をもつ。無類のあんこ好きで、一日一餡を公言している。