寒天の弾力と餡の上品な甘さ、蜜のコクが絶妙に絡み合う「あんみつ」。和菓子の中でもファンの多いメニューのひとつです。東京都内では、明治時代から続く老舗をはじめ現代のセンスを取り入れた新しいお店まで、様々な「あんみつ」が楽しめます。今回は、そんな東京の美味しいお店をピックアップ!お土産にもピッタリなテイクアウト情報もあわせて紹介します。
あんみつとはどんな和菓子?歴史やみつ豆との違いは?
あんみつの歴史

「あんみつ」のルーツは、江戸時代末期までさかのぼります。当時は寒天と茹でた赤えんどう豆に蜜をかけた「みつ豆」が屋台で広く販売され、庶民のおやつとして親しまれていたそう。それが明治、大正と徐々に果物を盛り付けるなどしていきます。戦後になって餡をのせた「あんみつ」が誕生したと言われています。
みつ豆やぜんざいとの違いは?

「みつ豆」は角切りにした寒天と塩茹でにした赤えんどう豆に、黒蜜または白蜜をかけたものです。現在ではフルーツやアイスクリームがのっているなどバリエーション豊富ですが、餡が加わると「あんみつ」になります。
「ぜんざい」は、甘く煮た小豆に、餅や白玉などをいれた和スイーツで、温かいまま提供されるのが基本です。ちなみに地方によって異なりますが、小豆の原型が残っているものは「ぜんざい」、原型を残さないものは「おしるこ」と呼ばれることが多いようですね。
次からは、東京都内の美味しいあんみつを紹介します。
【浅草駅より徒歩10分】浅草いづ美
厳選素材のあんみつを昔ながらの製法で提供

「あんみつ」は、小豆や赤えんどう豆など、吟味に吟味を重ねた素材を使って、手間暇惜しまず、丁寧に昔ながらの製法で作られているそう。みかんやパイナップルといった色とりどりの果物や求肥も目に鮮やか。なめらかなこし餡と黒蜜の上品な甘さが、寒天とよく合います。

「あん豆かん」は、寒天が見えないほどたっぷりのせた赤えんどう豆の旨みがしっかり感じられる一品です。蜜に風味豊かな赤ワインを使った「ワインあんみつ(1000円)」など、斬新なアイデアで新しい味覚の「あんみつ」も提供されていますよ。

賑わう浅草の雷門近くにありながら、店内へ足を踏み入れると、まるで竹林の中に佇んでいるような落ち着きある雰囲気。店主が“目で、口の中で、香りで、音で、心和む楽しいひとときを過ごして欲しい”と日本庭園や茶道の文化を学び、細部にまでこだわった空間になっています。
東京都台東区浅草1-8-6
11時30分~18時(LO17時30分)
なし
東京メトロ浅草駅より徒歩10分
なし
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【浅草駅より徒歩4分】浅草梅園 本店
なめらかな餡と食感のいい寒天のバランスがいい

「あんみつ(803円)」は、国産天草から作る食感のよい寒天と、北海道産小豆を使ったなめらかでコクのあるこし餡、職人が毎日蒸かす薄塩味の赤えんどう豆と濃厚な黒蜜がバランスよく仕上がっています。
寒天に黒蜜と餡を絡めれば、濃厚なのに寒天のおかげで後味はすっきり。最後まで飽きずに食べられます。「白玉クリームあんみつ」は紅白の白玉が華やかです。

初代が粟(あわ)で作った元祖「あわぜんざい」が好評で東京名物となり、今も看板メニューのひとつです。現在、粟ではなく風味や色合いのよい餅きびを使っている「あわぜんざい」は、蒸した餅きびと熱々のこし餡を、椀で合わせただけなのに贅沢な味わいです。

浅草寺仲見世通りの脇の浅草梅園は、1856(安政元)年、浅草寺の別院・梅園院の一隅に茶屋を開いたのが始まり。そのゆかりから屋号を梅園にしたそう。老舗ならではの風格ある佇まいです。
東京都台東区浅草1-31-12
【平日】10時〜17時(LO16時30分)【土・日・祝】10時〜18時(LO17時30分)
月2回水※公式HP参照
東京メトロ浅草駅より徒歩4分
なし
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【水天宮前駅より徒歩1分】甘味処 初音
こだわりの黒蜜か、さっぱりの白蜜を選択できる

北海道十勝産の特選小豆を使う餡から、沖縄の離島産黒糖で作る黒蜜、富良野産赤えんどう豆の塩茹でまで手造りにこだわっています。伊豆諸島の天草を使った寒天は、専門業者に固さや大きさを指定して作ってもらう少し小粒のサイズ。餡や蜜との絡みも、食感も秀逸です。
大きな特徴は、注文時に黒蜜か白蜜かを選べること。コクのある黒蜜が人気ですが、さっぱり食べられる白蜜にも根強いファンがいるそうです。お客さんの要望に応え、2種用意するおもてなしの心が嬉しいですね。

もう一つの看板メニューはお汁粉。毎朝、職人の手で作るなめらかな餅が、少しの塩を隠し味にしたお汁粉と相性抜群。こし餡の「御膳しるこ(800円)」か、つぶ餡の「小倉しるこ(850円)」を選べます。

創業は1837(天保8)年。水天宮近くの店舗は、昭和のまま時が止まったような店構えです。レトロな店内では、茶釜で湧かしたお湯で淹れるお茶をいただくことができます。
東京都中央区日本橋人形町1-15-6
11時30分〜18時(LO17時30分)
12月31日、1月1日
水天宮前駅より徒歩1分
なし
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【上野駅より徒歩3分】あんみつ みはし 上野本店
餡、蜜、寒天、赤えんどう豆のシンフォニーが絶妙

みはしの看板メニューとなるのが「あんみつ(620円)」です。北海道十勝地方の小豆だけを使う餡と、沖縄波照間島の黒砂糖で黒蜜と白蜜の中間を目指したさっぱりとした蜜が特徴。伊豆諸島や静岡の天草で作る寒天、さらに2日間かけて仕込む赤えんどう豆、絶妙な堅さの求肥やみかんとともに美味しさのシンフォニーを奏でます。
「クリームあんみつ」や季節の果実を使う「フルーツクリームあんみつ(980円)」など、季節限定も含めて常時10種以上のあんみつが味わえるのも魅力です。

みはしは、1948(昭和23)年、上野公園前に創業。以来、素材を吟味し、手間を惜しまないあんみつ作りを追求し続けています。本店の店内は、落ち着いた和の雰囲気で、上野公園や上野動物園に行った時のひと休みに最適です。
本店のほか、イートイン併設はアトレ上野店、東京駅一番街店、東武池袋店、東武船橋店、パルコヤ上野店、ルミネ北千住店、松坂屋上野店の全8店、売店は玉川高島屋S・C店があります。
東京都台東区上野4-9-7
10時30分〜21時(LO20時30分)
不定※公式HPで確認
上野駅より徒歩3分
なし
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【成城学園前駅より徒歩1分】あんや
天草から手造りする寒天の美味しさに感激!

あんみつに使う寒天は、乾物になった寒天を戻して固めるのではなく、伊豆から取り寄せた天草を煮出して固めています。独自の方法で磯臭さを取り除いており、なめらかで通常より弾力を感じる歯ごたえが自慢だそう。
鹿児島種子島産黒糖と水だけで作る黒蜜も、餡をはじめとしたトッピングも、フルーツ以外すべて併設の和菓子店の厨房で作った自家製です。白玉は注文の都度茹でるので多少時間がかかるものの、出来たてのもちもち食感が楽しめます。

あんやは、1918(大正7)年創業。和洋菓子の老舗「成城風月堂」の和菓子専門店として2004年にオープン。釜の湯が静かに湯気を立てている静かな茶房で、手造りにこだわる生菓子や甘味を味わうことができます。
東京都世田谷区成城6-5-27
9時30分〜19時【茶房】11時〜18時30分(LO18時)
1月1日、年2日程度のメンテナンス休
成城学園前駅より徒歩1分
なし
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【中野駅より徒歩3分】梅家
柔らかいのにコシのある寒天が特徴

伊豆七島産の天草から作った寒天は、こだわりが感じられる絶妙な舌触り。黒蜜は沖縄産の黒糖を使った滋味深い蜜で、寒天との相性が抜群です。
定番の「あんみつ(620円)」、「みつ豆(620円)」のほか、クリーム、白玉、あんずなどをトッピングしたものもあり、その日の気分で選ぶのもいいですね。

もう一つの看板メニューは「いなりずし」です。油揚げは、長年取引する豆腐店に作ってもらう特注のもの。それを丁寧にじっくり煮込んで優しい味わいに仕上げているのが特徴で、噛むと口の中にジュワッと甘さが広がります。

中野駅前の商店街「中野サンモール」沿いで、創業以来変わらない味が自慢の店です。レトロな雰囲気を残した落ち着ける店内で、昭和へのタイムスリップ気分に浸れますよ。
【門前仲町駅より徒歩2分】甘味処 いり江
元製造業ならではの寒天が絶品

寒天製造業を営んでいたこの店で作る寒天は、東京神津島産と大島産の天草を7対3の割合で合わせ、差し水をしながら1時間程煮込み、一晩冷まして作るため、喉ごしが良くプリプリです。
北海道十勝産の小豆を使用し、8時間かけて作る餡は、キメ細かな舌触りで少し甘めの昔ながらの味。餡をすくうディッシャーを使わずにヘラで半月形にたっぷり盛り付けたあんみつは、北海道富良野産の赤えんどう豆の塩味がアクセントになって、最後の一口まで美味しく味わえます。

赤えんどう豆が好きな人には「豆かん」も人気です。片時も釜のそばを離れずに炊き上げていく豆は、中まで柔らかくほっくりとしており、寒天が見えないほどたっぷり盛り付けられています。

昭和初期創業の店が、1970(昭和45)年に「甘味処 いり江」をオープン。屋号は“沖に出た船が戻ってきた時にホッと一息つける、そんなお店にしたい”という意味を込めているのだとか。下町情緒溢れる門前仲町で、落ち着いた時が過ごせます。
東京都江東区門前仲町2-6-6
11時〜18時30分(LO18時)
水※1日、15日、28日と祝日の場合は営業
門前仲町駅より徒歩2分
なし
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【赤坂見附駅より徒歩7分】虎屋菓寮 赤坂店
色とりどりの琥珀羹、粟羊羹も美味

天草から作る寒天に、水羊羹、粟羊羹、求肥、黒豆にえんどう豆、中央には、どっしりとしたこし餡。それをまとめるのは濃厚な黒蜜です。
北海道産小豆を使う餡はしっかり甘いけれど、キレがあるので程よい余韻であと味はすっきり。彩り豊かな味わいを餡とともに盛り付けるのは、羊羹の老舗店ならではですね。

小豆の風味を存分に堪能できるお汁粉は、店内で調理。つぶ餡の「小倉汁粉」のほか、なめらかなこし餡の「御膳汁粉」、希少な白小豆を使う「白小倉汁粉」があり、夏は冷やしで味わえます。

室町時代後期の京都で創業し、5世紀にわたって和菓子を作り続ける「とらや」。1869(明治2)年の東京遷都の際、京都の店はそのままに、東京にも進出し、現在に至ります。
赤坂店は2018年にリニューアル。虎屋菓寮のほかショップ、ギャラリー(不定期開催)もあり、多彩に和菓子を楽しめます。
東京都港区赤坂4-9-22
11時〜17時30分(LO17時)
毎月6日※12月を除く
赤坂見附駅より徒歩7分
9台(無料)
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【亀戸駅より徒歩10分】船橋屋 亀戸天神前本店
くず餅トッピングは「元祖 くず餅」の店ならでは

伊豆七島産を中心に全国から吟味した天草をじっくり煮出し、固めた寒天は磯の香りが強く、コリッとした食感。職人が手間ひまかけてつくる餡と、北海道上富良野産の赤えんどう豆、そして元祖くず餅などの具材に沖縄産黒糖を使う秘伝の黒蜜をかければ、船橋屋ならではの「あんみつ」の完成です。
「クリーム白玉あんみつ」は、上品な黒蜜の甘さとバニラアイス、もちもちの白玉の組み合わせで人気商品となっています。

船橋屋といえば「くず餅」の老舗店。くず餅は厳選した小麦粉の澱粉質を乳酸菌で15カ月かけて発酵させる発酵食品です。タンパク質豊富な大豆を強めに焙煎した風味の良いきな粉、サトウキビのしぼり汁を煮詰めたミネラルたっぷりの黒蜜に絡めれば、美味しくて身体に優しいスイーツの出来上がりです。

亀戸天神のすぐ側にある「船橋屋」の創業は1805(文化2)年。初代の出身地が小麦栽培の盛んな下総国(現在の千葉県北部)だったことからくず餅を考案し、それが評判となって江戸名物の一つに数えられるほどになったそうです。
戦後に建てられた本店は和風の建物で、喫茶スペースには小説家・吉川英治氏が書いた大看板が掲げられているのも見もの。落ち着いた雰囲気の中で甘味が楽しめます。
東京都江東区亀戸3-2-14
11時〜17時(LO)、テイクアウト9時〜18時
なし
亀戸駅より徒歩10分
なし
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【浅草駅より徒歩5分】舟和本店 喫茶室
つぶ餡かこし餡を選べるあんみつ

「あんみつ」の大きな特徴は寒天。糸寒天を使うため口溶けが良く、小さめにカットすることで、まろやかな黒蜜によく絡むようになっています。
塩味のきいた赤えんどう豆と、好みでこし餡かつぶ餡かを選べる甘さ控えめの餡も抜群の相性。寒天、餡、蜜に抹茶を使用した抹茶尽くしの「抹茶あんみつ(1000円)」も人気だそうです。

1903(明治36)年、「舟和」は当時、寒天と赤えんどう豆だけだったみつ豆に、華やかなフルーツを盛り付けた今のスタイルを考案。さらに店内で味わえる「みつ豆ホール」を開設し、みつ豆を初めて喫茶店で提供したそうです。

舟和本店は、浅草の新仲見世通りとオレンジ通りの角に建つレトロモダンな建物。喫茶室はその2・3階にあり、ステンドグラスや重厚な調度に囲まれたオシャレな空間で、のんびり過ごすことができますよ。
東京都台東区浅草1-22-10
10時30分〜19時(LO18時30分)
なし
東京メトロ浅草駅より徒歩5分
なし
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【湯島駅より徒歩2分】みつばち
小豆の美味しい甘味処。あんみつも絶品

小倉アイスで知られる店の「あんみつ」は、北海道産大納言小豆が練り込まれた乳脂肪分0のさっぱりした小倉アイスが主役です。なめらかな自家製のこし餡、静岡県伊豆産天草の寒天とアイスが一体となって、珠玉の味わいになっています。
沖縄産の黒糖を使う黒蜜は、急須のようなポットに入っていて、好きなだけかけられるのも、甘党にはたまりません。

もう一つのおすすめメニューは「小倉白玉」。ふっくらした北海道産大納言小豆の自家製餡にプリプリの白玉をのせたシンプルな一品ですが、注文を受けてから茹でる白玉のみずみずしさがクセになります。

1909(明治42)年、氷業からスタートした「みつばち」。大正時代に余ったかき氷用の小豆をアイスクリーム作りの桶に保存したことから誕生した「小倉アイス」が評判となり、遠くからも人を呼ぶ店になりました。小倉アイスやあんみつのほか、季節ごとの果実を使ったアイスも好評です。
東京都あんみつマップ
まとめ
スイーツですが食物繊維が豊富な寒天や、ミネラル豊富な餡が主役で、カロリーが低めなのが嬉しい「あんみつ」。餡、寒天、赤えんどう豆に蜜という基本素材は一緒でも、それぞれの店が製法や味付けにこだわって、独自の味が楽しめるのも魅力です。各店の「あんみつ」を食べ比べて好みの味わいを見つけてくださいね。
※この記事は2024年11月1日時点での情報です。休業日や営業時間など掲載情報は変更の可能性があります。
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中林 貴美子
旅のライター歴=じゃらんライター歴20余年。2人の子どもを育てつつ、西へ東へ取材行脚の日々。観光地と観光地のはざまにあるのどかな里山風景やそこで暮らす地元の人との触れあいが好き。食いしん坊が幸いしてご当地グルメや道の駅グルメ関連も多数。