訪れた温泉は約500、『女ひとり温泉をサイコーにする53の方法』という書籍も出版されている温泉オタクの永井千晴(ながち)さん。
この記事では永井さんがこれまでに訪れた温泉の中から、様々なおすすめスポットを紹介してもらいます。毎月、エリアや泉質などの切り口で温泉情報をお伝えしますので、いつか行きたいスポットとしてぜひチェックしてみてください。
※この記事は2022年10月22日時点での情報です。休業日や営業時間など掲載情報は変更の可能性があります。
日本酒でしっぽり行きたい季節には、酒どころの温泉地へ
日本酒のおいしい季節がやってきました。冬の冷えた体を温めてくれる燗酒と、きゅっと身が引き締まった旬の海産物との相性はバッチリ。個人的には、暖房のよく効いた場所でいただく冷酒もたまらなく好きです。
日本酒は、家で飲むと瓶に入っている量が多すぎるために、飲みきれないこともしばしば。お出かけ先で楽しむという方も多いのではないでしょうか。私(筆者)もそのひとりで、旅こそ日本酒を飲むタイミングだと考えています。
今回ご紹介したいのは、日本酒×ご当地グルメが楽しめる4つの温泉地。せっかく寒い時期にお出かけするのだから、地酒と地元ならではのごはんで体と心を満足させたいもの。さらに温泉もあれば、百点満点の旅行がかなっちゃいます。
銀山温泉で味わう、そばと地酒の大人なひととき(山形)
山形県尾花沢市にある銀山温泉は、その美しい景観から、「フォトジェニック」「インスタ映え」な温泉地として知られています。何度もSNSでバズっており、この街並みを見たことがある方もいるはず。
銀山の湯は塩分たっぷりで保温効果が見込めるため、冬にぴったりな泉質です。温泉で体を十分に温めたあとは、地酒とそばをいただくのがおすすめ。

山形県内には53の酒蔵があり、雪国ならではの良質な水と米によってやわらかい日本酒が造られています。銀山温泉街にある酒店や土産店には、県内の種類豊富な地酒がずらり。
そして尾花沢市は、そばが名産。質・生産量ともに県内随一で、「尾花沢そば」の名でいくつものそば屋が市内に並んでいます。銀山温泉にも「そば処 瀧見亭」や「伊豆の華」などのお店で、地産のそば粉を使ったそばがいただけちゃいます。
美しい温泉街を散策しつつ、日本酒とそばで地元の“おいしい”を大満喫。冬の銀山は、この過ごし方で決まりです。
米どころならではの地酒とおつまみで乾杯する月岡温泉(新潟)
新潟県新発田市の月岡温泉は、国内随一の成分含有量を誇る硫黄泉が特徴。町中にはふわふわとたまご臭が漂い、温泉気分を高めてくれます。そしてもちろん新潟といえば、米どころ。日本酒の製造もさかんで、酒蔵数は都道府県で1位を誇ります。

温泉街にある「新潟地酒 蔵」では、新潟県内にある全酒造の日本酒から88もの銘柄が選ばれ、どどんと大きな瓶が並んでいます。その場で気になるものを見つけたら、600円で3銘柄分試飲ができるのも嬉しいポイント。「淡麗辛口」と評されるすっきりとした新潟の地酒を、思う存分味わえちゃいます。
さらに、オリジナルのせんべいを焼く体験や、あつあつのごはんで干物や発酵食を試食できるなど、おいしくて嬉しい姉妹店が9店舗も。あっちこっちと行ったり来たりしているうちに、新潟の美食にどっぷりハマってしまうこと間違いなしです。
硫黄泉でつるつる美肌を手に入れながら、米どころならではの地酒とおつまみでお腹いっぱいに。月岡温泉では、そんな幸せな旅行が待っています。
冬はやっぱり北陸の日本海グルメ!山代温泉の地酒とカニに舌鼓(石川)
石川県の加賀温泉郷のひとつ、山代温泉。与謝野晶子や魯山人に愛された文人墨客にゆかりのある古湯で、開湯1300年の歴史を誇ります。「あらや滔々庵」「べにや無何有」などを代表とする高級旅館も多く、北陸地方にある“あこがれ温泉地”のひとつと言えます。

石川の冬の味覚といえば、カニ。県産オスのズワイガニは2006年に「加能ガニ」と名付けられ、身がぎっしり詰まったボリューム感が人気です。加賀の「加」、能登の「能」をとったその名前には、県内の漁港・漁師の想いとプライドが込められているそう。
この時期の宿泊プランは少し背伸びをした金額にはなりますが、冬は加能ガニを振る舞う旅館も多いため、ぜひこの季節に食べに行きたいところ。
石川の日本酒には白山の雪解け水が使われていて名酒が多く、知名度の高い銘柄も多くあります。「天狗舞」「宗玄」「菊姫」「手取川」など、居酒屋で見かける方も多いはず。
山代温泉の地酒は、地名の通り「やましろ」。山代温泉で栽培した「五百万石」という酒米と、総湯のとなりにある霊方山薬王院温泉寺の井戸水を使用した純米酒です。山代温泉地内の酒屋5店舗で販売されているため、訪れた際はぜひ探してみてください。加能ガニと一緒にいただきたいですね…!
食べ歩きが楽しい道後温泉。鯛めしやじゃこ天で一杯いただく(愛媛)
日本三古湯のひとつ、愛媛県の道後温泉。四国随一の歓楽街・松山の隣に位置しており、アクセス良好なだけでなく、温泉街もコンパクトながら散策が楽しいのも魅力です。旅館やホテルでゆっくり1泊するのもいいけれど、道後は食べ歩きもおすすめ。

道後グルメには、ゆかりの夏目漱石にちなんだ「坊っちゃん団子」や銘菓「一六タルト」などもありますが、日本酒好きは「じゃこ天」「じゃこカツ」などのご当地おつまみをぜひ。がっつり「鯛めし」を食べちゃうのも◎。
日本酒は、地元の酒蔵である「水口酒造」へ。仁喜多津 「道後湯玉」や「道後蔵酒」など、道後ゆかりのデザインを用いたおしゃれな日本酒を開発されています。温泉街にある直営店にはバーや試飲ができるショップがあるので、湯上がりに立ち寄るのもよさそうです。
温泉×日本酒、飲み過ぎにはご注意を
おいしい日本酒を飲んだ後に温泉に浸かったり、湯上がりにくいっと一杯飲んだり。温泉旅行と日本酒は切っても切り離せない関係ですが、言わずもがな飲み過ぎには注意が必要です。
お酒を飲んだあとの入浴は、血圧低下や貧血、不整脈などを引き起こす可能性があり、できれば少し酔いが醒めてから浸かるのが安心です。足を滑らせて怪我をしてしまうのを防ぐため、深酔いは厳禁。
また湯上がりの一杯も用心を。入浴は血流がよくなるため、湯上がり後すぐに飲酒をすると、普段より酔いやすくなってしまう可能性があります。ある程度時間を置きましょう。
温泉はその成分の強さによって、普段の入浴以上に効果が出る可能性があるもの。ゆえにお酒の影響も出やすくなるかもしれません。せっかくの旅行で体調を崩さないよう、タイミングと量を適切に守って楽しく飲みたいですね。
※掲載されている情報や写真については最新の情報とは限りません。必ずご自身で事前にご確認の上、ご利用ください。
\宿・ホテル検索はこちら/
永井千晴(ながち)
温泉オタクな会社員。訪れた温泉は約500。元じゃらん編集部員。 Twitterアカウント @onsen_nagachi