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2022.12.06

【岐阜】長良川鉄道の観光列車「ながら」から眺める絶景と歴史ある町を紹介

岐阜県が誇る名水の一級河川である長良川。その流域を縫うようにして走る長良川鉄道は、清らかな流れや豊かな自然が織りなす風景と、歴史ある町をつなぐローカル線です。沿線を観光がてら乗車するなら、食事付きのプランもある観光列車「ながら」がおすすめ。沿線の雪景色や春に咲き誇る桜、夏の郡上おどり、美濃市や郡上八幡の町並みなどの見どころがあり、いつ訪れても楽しめます。

長良川鉄道の魅力とは

長良川の流れに沿って走る、自然豊かな路線

(画像提供:フォトライブラリー)
沿線一帯が自然に包まれている(画像提供:フォトライブラリー)

「長良川鉄道」は中山道太田宿として栄えた「美濃太田駅」を起点に、奥美濃へと北上し、終点の「北濃駅」まで全長72.1Kmを結ぶ路線です。そのうち長良川に沿う区間はなんと約50km!ほぼ全線にわたって流域を走り、清流と緑豊かな山並みを車窓に映しつつ、美濃市や郡上八幡など昔ながらの伝統を今に伝える特色ある町を結びます。

長良川鉄道沿線には世界三大刃物生産地であり、鵜飼でも知られる関市、「うだつの上がる町並み」でも知られる美濃和紙の産地・美濃市、城下町の風情が残る名水の里がある郡上八幡などの見どころがあります。

四季折々の情景が美しく、列車内からお花見ができる

(画像提供:長良川鉄道)
桜と長良川と長良川鉄道
(画像提供:長良川鉄道)
沿線の春は桜尽くし
(画像提供:長良川鉄道)
飛騨に近い奥美濃の雪景色も美しい(画像提供:フォトライブラリー)

沿線の至るところに植えられている桜が3月下旬~4月中旬頃に咲き誇る情景は、「長良川鉄道」の代名詞と言えるほど。見頃の時期には、車窓から満開の桜を眺める列車旅ができます。桜ばかりでなく新緑や紅葉、雪化粧に包まれる沿線風景も見ごたえがあります。のどかな里山風景が広がる郡上八幡駅~北濃駅の区間は、黄金色に輝く秋の田園風景、真っ白な雪景色もきれいです。

■長良川鉄道
岐阜県美濃加茂市太田町(長良川鉄道美濃太田駅)~岐阜県郡上市白鳥町歩岐島(長良川鉄道北濃駅)
運賃1720円(美濃太田駅~北濃駅)
「長良川鉄道」の詳細はこちら

(画像提供:長良川鉄道)

観光列車「ながら」で沿線レストランの味も堪能!

(画像提供:長良川鉄道)
観光列車「ながら」の外観

長良川鉄道沿線の風景と食事を一度に楽しみたいなら、観光列車「ながら」がおすすめ。「ななつ星in九州」など、数々の列車を手掛けた工業デザイナー・水戸岡鋭治氏によるデザインで、レトロかつ上品なロイヤルレッドの車体が沿線の自然によく映えます。「鮎号」・「森号」・「川風号」と3つの車両があり、どの車両にも木材や美濃和紙など地元の素材がふんだんに使われていて、ナチュラルな温もりが感じられる空間が広がっています。

(画像提供:長良川鉄道)
観光列車「ながら」の「鮎号」

2人掛けの対面席、長良川の車窓を真正面に眺めるカウンター席を配置した「鮎号」。後にご紹介する食事付プランで乗車できます。

(画像提供:岐阜県観光連盟)
観光列車「ながら」の「森号」(画像提供:岐阜県観光連盟)

4人掛けの対面席やソファ席を配置した「森号」は、食事なしで乗車するビュープランで利用できます。

列車内では、長良川流域の食の恵みに浸れる食事付プラン、スイーツ付きのプランのほか、地酒が楽しめるプランなど様々なプランが用意されています。岐阜県の食材を知り尽くした地元のシェフが監修した料理を味わいつつ、沿線の風景に浸る贅沢な時間が過ごせます。

(画像提供:長良川鉄道)
「1号ランチプラン」の料理

「1号ランチプラン(下り列車)」では、郡上八幡にあるイタリアンの名店「リストランテ 雀の庵」の料理がいただけます。どの世代にも食べやすく仕上げた料理とともに、別料金でオーダーできるワインや日本酒を合わせるのもよいでしょう。

「森号」では、運賃に510円の整理券をプラスして乗ることができる、自由席のビュープランも実施。美濃太田駅から長良川鉄道終点の北濃駅まで乗車できます。ビュープランは、途中駅での乗り降り自由なので、気軽に観光列車「ながら」の旅を体験したいときにおすすめです。

(画像提供:長良川鉄道)
「2号スイーツプラン」ではスイーツ各種を重箱で提供

「2号スイーツプラン(上り列車)」では、ランチプランと同じく、郡上八幡の名店「リストランテ 雀の庵」が手掛けるスイーツを味わえます。タルトやティラミスなど6点を重箱に詰め合わせたセットが、コーヒーなどのドリンクとともに楽しめ、優雅な午後のひとときを過ごせます。こちらでも、「森号」で北濃駅発のビュープランを実施しています。

(画像提供:長良川鉄道)
「川風号ほろ酔いプラン」では2本の地酒が選べる

車窓の眺めを地酒とともにゆったりと楽しみたいなら、地元食材のおつまみ&地酒を提供する、「川風号ほろ酔いプラン(上り列車)」をどうぞ。郡上八幡川合地区の農家お母さん組合「土里夢(どりーむ)」が心を込めて作った奥美濃の幸を肴に、地酒の杯を傾けて過ごすことができます。

そのほか、2つのコースを組み合わせたお得なセットプランや気軽なお弁当付きのプランもあります。旅のスケジュールや気分に合わせて選んでみてください。

<観光列車「ながら」>
[運行区間]1号ランチプラン:美濃太田駅→郡上八幡駅、1号ビュープラン:美濃太田駅→北濃駅
2号スイーツプラン:郡上八幡駅→美濃太田駅、2号ビュープラン:北濃駅→美濃太田駅
川風号ほろ酔いプラン:郡上八幡駅→美濃太田駅
[運行日時]金・土、休日、夏休みなどを中心に年間150日 ※プランにより異なる。詳細・予約方法は公式HPより確認を

■観光列車「ながら」
1号ランチプラン:大人1万2500円、子ども1万1120円 ※2日間フリー乗車券付き
2号スイーツプラン:大人5800円、子ども4800円 ※1日間フリー乗車券付き
川風号ほろ酔いプラン:大人6300円、子ども5300円 ※1日間フリー乗車券付き
※1号ビュープラン、2号ビュープランは乗車区間運賃+乗車整理券510円
「観光列車「ながら」」の詳細はこちら

(画像提供:長良川鉄道)

歴史ある町をつなぐ長良川鉄道の見どころ

刃物のまちで匠の技に触れる「関駅」

世界三大刃物産地の一つに数えられ、“刃物のまち”として知られる関市の駅「関駅」。駅周辺には、刃物にまつわるスポットが点在しています。

関鍛冶伝承館

(画像提供:岐阜県観光連盟)
日時限定で公開している「関鍛冶伝承館」の古式日本刀鍛錬の実演

ぜひ訪れてほしいのが、鎌倉時代から受け継がれる関鍛冶の技を今に伝える「関鍛冶伝承館」。関を代表する日本刀の数々を実物で展示するほか、関鍛冶の歴史にまつわる貴重な資料が公開されています。現代のナイフ作家の作品やカスタムナイフのコレクションも見ごたえがあります。

■関鍛冶伝承館
岐阜県関市南春日町9-1
9時~16時30分(最終入館16時)
火・祝日の翌日(いずれも休日を除く)※年末年始は休館。休館日の詳細は公式HPを確認
入館料 大人300円、高校生150円、小中学生100円 ※入館料は特別展開催などにより変更になる場合あり ※鍛錬見学料別途大人300円、高校生200円、小中学生100円。実施日など詳細は公式HPを確認
長良川鉄道せきてらす前駅より徒歩5分
あり
「関鍛冶伝承館」の詳細はこちら

(画像提供:岐阜県観光連盟)

うだつは必見!美濃和紙の産地「美濃市駅」

(画像提供:美濃市観光協会)
うだつの上がる町並み(画像提供:美濃市観光協会)
(画像提供:岐阜県観光連盟)
それぞれの商家により意匠が異なる「うだつ」(画像提供:岐阜県観光連盟)

江戸~明治時代にかけて造られた古い商家や町家が織りなす“うだつの上がる町並み”は、「美濃市駅」ならではの見どころです。“うだつ”とは、屋根の両端に作られた防火壁で、江戸時代の豪商たちはその富の象徴として、競い合うようにそれぞれ立派な“うだつ”を設けました。400年以上の歴史を経た町には、今も古い佇まいが残っています。

(画像提供:美濃市観光協会)
“うだつの上がる町並み”で、例年10月に行われる「美濃和紙あかりアート展」(画像提供:美濃市観光協会)

和紙の原料となる良質の楮(こうぞ)を多く栽培し、長良川の清らかな水に恵まれた「美濃市」は、約1300年の歴史を誇る美濃和紙の町でもあります。明治・大正時代の最盛期には、約4000戸あまりの家が手すき和紙に従事していたと言われ、今も美濃和紙や美濃和紙を使った調度類の店が点在しています。

美濃和紙あかりアート館

(画像提供:美濃市美濃和紙推進課)
「美濃和紙あかりアート館」1階のショップ

美濃和紙を通した柔らかく、温かな灯りを鑑賞するなら「美濃和紙あかりアート館」へ。こちらでは、例年秋に開催される「美濃和紙あかりアート展」の入賞作品を展示しています。1階では美濃和紙を使用した製品を販売、2階は美濃和紙あかりアート展を再現したミュージアムとなっていて、夜のうだつの町並みに迷い込んだような雰囲気を味わうことができます。

■美濃和紙あかりアート館
岐阜県美濃市本住町1901-3
【10月~3月】9時~16時(最終入館15時45分)【4月~9月】9時~16時30分(最終入館16時15分)
火(祝日の場合は翌日)、祝日の翌日 ※12月29日~1月3日は休館
入館料 大人200円、中学生以下無料
長良川鉄道美濃市駅より徒歩15分
あり
「美濃和紙あかりアート館」の詳細はこちら

(画像提供:美濃市美濃和紙推進課)

(画像提供:岐阜県観光連盟)
雪景色や紅葉も美しい「川湊灯台」(画像提供:岐阜県観光連盟)

「美濃市駅」から長良川沿いまで足を延ばせば、川岸に佇む灯台「川湊灯台」や「美濃橋」といった見どころがあります。「川湊灯台」は、江戸時代の水運の玄関口に建てられた高さ9mの灯台です。自然に囲まれた昔のままの姿は、四季折々の姿を見せて風情たっぷり。灯りがともる夜の情景も素敵です。

(画像提供:美濃市観光協会)
国指定重要文化財に指定されている「美濃橋」。桜の見頃は3月下旬~4月上旬(画像提供:美濃市観光協会)

赤い欄干と長良川の清流とのコントラストが美しい「美濃橋」は、1916年に完成した現存する日本最古の近代吊り橋です。歩行者と自転車専用なので、川沿いの風景をゆったりと楽しむことができます。

食品サンプルづくりが体験できる、名水の城下町「郡上八幡駅」

(画像提供:郡上八幡観光協会)
旅情を誘う外観の「郡上八幡駅」(画像提供:郡上八幡観光協会)

ホームで郡上おどりのお囃子(おはやし)が流れる「郡上八幡駅」。長良川の支流である吉田川(よしだがわ)に沿って広がり、町中に水路が巡る郡上八幡は、城下町の風情と水路の音が心地よく、のんびりと散策するにはうってつけの町です。

(画像提供:郡上八幡観光協会)
夏に行われる「郡上おどり」(画像提供:郡上八幡観光協会)

郡上八幡で最も有名な「郡上おどり」は、江戸時代から400年以上続く盆踊り。国の重要無形民俗文化財に指定されています。郡上八幡の夏は「郡上おどり」に始まり「郡上おどり」に終わると言われ、7月中旬~9月上旬までの開催期間中、例年のべ約30万人もの観光客が訪れます。徹夜おどりは例年8月13日~16日に連日行われ、一晩で5万人以上の人々が浴衣姿で盆踊りを繰り広げます。

(画像提供:郡上八幡観光協会)
そぞろ歩きが楽しい「やなか水のこみち」(画像提供:郡上八幡観光協会)

風に揺れる柳が旅情を演出する「やなか水のこみち」は、郡上八幡のメイン通りにあります。地元の川で採取された約8万個もの玉石を敷き詰めた小道と、その脇を流れる水路は、郡上八幡を代表する景観です。

(画像提供:郡上八幡観光協会)
透明度が高く、川底までくっきりと見える吉田川(画像提供:郡上八幡観光協会)

郡上八幡城

(画像提供:郡上八幡観光協会)
雪景色によく映る郡上八幡城(画像提供:郡上八幡観光協会)
(画像提供:郡上八幡観光協会)
例年11月に郡上八幡城もみじまつりを開催(画像提供:郡上八幡観光協会)

透きとおった流れを持つ吉田川の向こうには、白くそびえる「郡上八幡城」が望めます。再建から約90年、日本最古の木造再建城である「郡上八幡城」の天守は、郡上八幡のシンボルにもなっています。標高354mの八幡山山頂に立つ天守は、4層5階。凛とした風格で、吉田川や城下町を望む絶景ポイントです。例年11月の紅葉ピーク期に合わせて、「郡上八幡城もみじまつり」が開催され、幻想的な紅葉ライトアップに浸れます。

■郡上八幡城
岐阜県郡上市八幡町柳町
9時~17時(時期により異なる)
なし ※詳細は公式HPを確認 ※2022年11月21日~2023年3月末(予定)まで改修工事のため閉城
入場料 高校生以上320円、小・中学生150円、未就学児無料
長良川鉄道郡上八幡駅よりまめバスで14分、城下町プラザより徒歩15分
あり
「郡上八幡城」の詳細はこちら

(画像提供:郡上八幡観光協会)

食品サンプル創作館 さんぷる工房

(画像提供:食品サンプル創作館 さんぷる工房)
お手軽スイーツタルト作り体験1名1650円
(画像提供:食品サンプル創作館 さんぷる工房)
天ぷら3品&レタス作り体験1名2200円

郡上八幡は食品サンプルの製造が盛んで、その生産量はなんと日本一!街歩きと合わせて体験してほしいのが、食品サンプル作りです。「食品サンプル創作館 さんぷる工房」では、蝋をお湯に注いで作る本物そっくりの天ぷらをはじめ、未就学児でも挑戦できるスイーツタルト作りなどを実施しています。美味しそうなキーホルダーをはじめ、見ているだけでわくわくするお土産品も充実しています。

■食品サンプル創作館 さんぷる工房
岐阜県郡上市八幡町橋本町956
10時~17時(郡上おどり開催日には延長の場合あり)
水、年末年始
お手軽スイーツタルト作り体験1名1650円、天ぷら3品&レタス作り体験1名2200円、こぼしたアイスのスマホスタンド1100円
長良川鉄道郡上八幡駅よりまめバスで7分、新町より徒歩1分
なし
「食品サンプル創作館 さんぷる工房」の詳細はこちら

(画像提供:食品サンプル創作館 さんぷる工房)

「長良川鉄道」に乗って、四季折々の清流の風景を楽しんだり、歴史ある城下町や古い町並みを巡って散策したり。気になる町で途中下車しながら、ゆったりと沿線を巡れば、きっと様々な発見がありますよ。

※この記事は2022年11月21日時点での情報です。休業日や営業時間など掲載情報は変更の可能性があります。
※掲載されている情報や写真については最新の情報とは限りません。必ずご自身で事前にご確認の上、ご利用ください。
※掲載の価格は全て税込価格です。

梶本 愛貴  梶本 愛貴

長野県出身。おもに旅や鉄道、書籍などの記事を書いています。 旅はぼーっとするのが好き、列車は乗るのが好き、温泉は万座や草津など強めの湯が好きです。大人になって改めて感じた旅や列車の面白さをお伝えしていきます。

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