“京の台所”として知られる錦市場。国内外から訪れる人で、いつも活気があふれています。市場の魅力はなんといっても、生麩の田楽やだし巻など京都らしいメニューの数々。そこで今回は、錦市場を訪れたら味わってほしいグルメを、テイクアウトを中心に紹介します。マップ付きなので気になる店をチェックしてみてくださいね。
「食べ歩き」はしても「歩き食べ」はNG
まずは店を紹介する前に、ひとつだけ注意点があります。錦市場にはたくさんの観光客がいるため、中には歩きながらものを食べる「歩き食べ」をする人がいます。これは他の観光客や店への迷惑行為となってしまうので、絶対にしないようにしましょう!
「食べ歩き」とは、色々な店に行って、さまざまなグルメを楽しむことです。マナーを守って、イートインスペースや買った店の前などで食べるようにしてくださいね。
錦市場とはどんな場所?京都駅からのアクセスや駐車場は?
京都ならではの食材が集まる、歴史ある市場

錦市場の歴史は平安時代にまでさかのぼるといわれていますが、江戸時代初期に幕府から許可を受け、本格的な魚市場として始まりました。今も魚などの生鮮食品を扱う店が多く、京料理の食材が豊富なのも特徴です。食べ歩きをするのであれば10時~16時頃がおすすめ。特に年末はおせち料理の材料を求める人で大いに賑わいます。
最寄り駅は四条駅
地下鉄烏丸線に乗り、京都駅から約3分の四条駅で下車し、16番出口から地上へ出ます。徒歩2分ほどで錦市場のアーケードが見えてきます。
公式駐車場はなし
錦市場としての公式駐車場はありません。近隣には駐車場も多く、市場の西側には大規模なコインパーキングもあります。
次から、おすすめの食べ歩きグルメを紹介します。
花よりキヨエの「湯葉クリームコロッケ」
オリーブオイルで揚げたサクサクのコロッケ


完熟したオリーブの実を絞り、自然分離させたオリーブオイル「キヨエ」が看板商品のカフェです。どのメニューも揚げ油に「キヨエ」を使用している他、店頭でオリーブオイルをはじめとした調味料も購入できます。
名物は「湯葉クリームコロッケ」。オリーブオイルがさっぱりとした湯葉と豆乳の素材の味を引き立て、サクサク食感が楽しめるベストセラー商品です。「キヨエ鶏抹茶コロッケ」は抹茶を練り込んだジャガイモ生地で鶏ミンチを包んだもので、観光客にも好評です。

店内を錦市場のイートインスペースとして無償開放しており、他店で購入したものを持ち込んで食べられるので、ぜひ活用してみてください。
京都府京都市中京区御幸町通蛸薬師下ル船屋町399 さしあのビル1階
10時~18時(LO17時30分、イートインスペースの利用は17時まで)
不定
京都河原町駅より徒歩2分
なし
「花よりキヨエ」の詳細はこちら
京のお肉処 弘 錦店の「牛トロ炙り寿司」
厳選されたジューシーな牛肉を思う存分味わえる


競りで牛を一頭買いし、さまざまな部位の牛肉を提供している精肉店です。新鮮かつ、他ではなかなか出回らない希少部位も確保しているのだそう。さらにおいしく食べるため、肉のカット方法を追求し、タレも自社で手作りしています。
また、自慢の肉を使った惣菜や弁当もイートイン・テイクアウトが可能。錦店限定の「牛トロ炙り寿司」は、注文を受けてから鉄板で焼き上げる一番の人気商品です。その他、テールスープ付きの「ステーキ重」などのご飯ものや、「弘特製コロッケ」、「弘特製プレミアムミンチカツ」といった軽食も充実しています。

ゆったり味わうなら、1階のバル風スペースや2階のテーブル席で食べるのがおすすめです。
京都府京都市中京区錦小路通麩屋町東入鍛治屋町217
【平日】11時~19時(LO18時30分)【土・日・祝】10時~19時(LO18時30分)
なし
京都河原町駅より徒歩5分
なし
「京のお肉処 弘 錦店」の詳細はこちら
錦市場 櫂KAIの「たこたまご」
佃煮・塩辛などの珍味・ふりかけが盛りだくさん

ごまふりかけや焼しじみなどのおつまみ、珍味がびっしりと並ぶ店頭で、試食しながら好みの商品を注文するスタイルの店です。
「たこたまご」は一口大のイイダコの頭の中にウズラ卵を詰めた、見た目もユニークな一品。甘めの醤油で煮込んでおり、柔らかい食感です。たこの頭を下にして足から食べ始め、最後に頭を一口でパクッと食べるとおいしくきれいに完食できます。


「つぶ貝旨煮」は北海道産アヤボラ貝の旨味を引き出した薄味がポイント。噛むほどに口の中に貝の旨味と磯の香りが広がり、貝好きにはたまらない一品です。
イートインスペースはないので、購入商品は店頭で立ち止まって味わうようにしてくださいね。
麩房老舗の「生麩田楽」
京都の生麩専門店で出会う伝統の味

創業は天保年間と、江戸時代後期からこの場所で営んでいる京生麩専門店。京生麩の製造と卸も手掛けています。
ヘルシーで消化吸収の良い生麩は、小麦粉からデンプンを取り除き、残ったタンパク質に餅粉を合わせて茹でたり、蒸したりしたもの。京料理には欠かせない素材で、味噌を付けて田楽にしたり、煮物や鍋物に入れ、だしの旨味をたっぷり吸わせたりして味わいます。
ロングセラー商品「生麩田楽」は、白・粟・ヨモギの3種の生麩を高温の油で素揚げし、8時間じっくり炊き上げた自家製田楽味噌が塗られています。口に入れると、生麩のモチモチ感と、コクのある味噌がジュワッと一体になります。

購入した商品は、店頭で立ち止まって食べるようにしてくださいね。
(画像提供:らくたび)
錦一葉の「あんバターたい焼き」
賞味期限1分!あんことバターのハーモニー


気軽に食べられておすすめなのは賞味期限1分という「あんバターたい焼き」。京都・嵐山のたい焼きカフェ「まめものとたい焼き」とのコラボ商品で、まん丸い形が特徴です。老舗「イマムラ製餡」の粒感たっぷりで甘さ控えめの特製あんこと、軽やかな食感の生地のバランスが絶妙です。あんこや生地に染み出すバターのミルキーな味わいもたまりません。
購入した商品は、店内で食べるようにしてくださいね。
※2025年5月中旬~8月まで改装のため休業予定
海鮮処 桒藤の「ホタテバター醤油焼き」
熱々ジューシーな海の幸を満喫


1901(明治34)年創業で、鮮魚店の頃から数えると120年以上続く店。8年ほど前から、今の串焼き・串揚げ店にリニューアルしました。鮮魚店の経験をもとに新鮮な海の食材を仕入れ、店頭でジューシーに調理するため、香ばしい匂いが漂ってきます。
「ホタテバター醤油焼き」は、店の一番人気。大粒のホタテにかかっているバターと醤油の焦げた香りが食欲をそそります。「とろ~りチーズ包み揚げ」は、3種のチーズを白身魚で包み軽くパン粉をまとわせた串揚げで、揚げたてが味わえます。


店舗奥のイートインスペースで、ビールや京都の地酒、ソフトドリンクも飲めます。フードやドリンクが一品500円前後と手頃な値段なのも嬉しいポイントです。
京都府京都市中京区錦小路通御幸町西入鍛冶屋町205
10時~18時30分(イートインスペースの利用は18時まで) ※季節により変更の場合あり
不定(水曜が多い)
京都河原町駅より徒歩5分
なし
「海鮮処 桒藤」の詳細はこちら
三木鶏卵の「だし巻」
味の決め手は錦の水でとった香り高いだし

1928(昭和3)年創業のだし巻専門店。だし巻には、利尻昆布、うるめ節、宗田鰹、さば節の旨味を錦市場の地下水で引き出した秘伝のだしが使われています。また、銅製の鍋を強火で熱し、卵を手前から奥へと「京巻き」で巻くことで、だしの多い卵液を上手く焼き上げることができるそう。


店頭には、シュークリームや玉子サンドなどの軽食も並びます。シュークリームの生地は、卵黄をたっぷり使い、ザラメをのせて香ばしく焼き上げた自家製。中は卵たっぷりのカスタードクリームと純生クリームとのダブルクリームです。小さいので、ついつい手が伸びます。
購入した商品は、店の前か持ち帰って食べるようにしてくださいね。
(画像提供:三木鶏卵)
錦 魚力の「鱧のてんぷら」
串料理で気軽に高級魚「鱧」を味わう

1919(大正8)年から続く焼き魚の専門店で、瀬戸内海などで獲れた新鮮な鱧や鯛、鰻をはじめとする数種類の焼き魚を扱っています。
なかでもおすすめは、買ってすぐ店内で味わえる「鱧のてんぷら」。衣のサクサクとハモのムチムチした食感がたまりません。高級食材の鱧を串料理で気軽に味わえるのは嬉しいですね。他に、焼き鱧や鱧カツ、ホタテ、イカの串焼きもあります。

提灯でデコレーションされた、にぎやかな店舗の脇にあるイートインスペースが利用できます。香ばしい魚の香りが漂う店内で、美味しい串焼きや串てんぷらに舌鼓を打つのもおすすめです。
丸常蒲鉾店の「じゃがバター」
おやつやおつまみにもなる創作揚げ物

1947(昭和22)年創業の練り物や本格蒲鉾の専門店。イトヨリダイ、スケトウダラ、鱧などを石臼で挽いたすり身で作る、おでん種やさつま揚げ、昔ながらの練り物から、創作揚げ物までが揃います。
創作メニューの代表格でもある「じゃがバター天」は、バターを混ぜ込んだすり身に、薄くスライスしたメイクイーンを入れて油で揚げたもの。プリプリした魚のすり身と、ホクホクしたじゃがいもの食感の組み合わせが食べ応えある一品です。

他に「玉ねぎベーコン天」、「ゆり根湯葉天」、「枝豆天」、「牛蒡ピリ辛天」など種類がどんどん増加中。揚げ物は何もつけなくてもおいしく味わえます。
店内にイートイン用のカウンターが備えられているので、そこで食べてくださいね。
鮮魚 木村の「トロサーモンのカルパッチョ」
料亭に卸す鮮魚を気軽に味わえる魚串

創業は江戸中期という錦市場で最も古い店のひとつで、魚市場として始まった錦市場の歴史を体感できます。
おすすめの「トロサーモンのカルパッチョ」は好みでレモンを絞ってくれ、一口食べると脂ののりが良くとろけるよう。魚串はトロサーモン、鰻、たこたまごの3種があります。

店頭に並んだ新鮮な魚から好きなものを選び、調理して刺身や焼き魚にしてもらうこともできます。殻付きホタテのバター醤油焼や蛤の酒蒸しが人気だそう。
京都の料理人からの信頼も厚く、料亭やレストランに卸しているのと同じ魚が手軽に、そしてリーズナブルに味わえるのは、錦市場ならではです。
魚串や注文した料理は、イートインコーナーで食べてくださいね。ドリンクも注文できます。
(画像提供:鮮魚 木村)
打田漬物 錦小路店の「しば漬カレーパン」と「すぐきピロシキ」
京漬物のおいしさを揚げパンで堪能


1940(昭和15)年に京都市内で創業し、その7年後に錦市場に出店した京漬物の専門店。
京都の老舗ベーカリー進々堂とコラボした「しば漬カレーパン」の具材には、カレーパン専用のしば漬を使用。パリッとしたしば漬とサクサクした衣の食感がよく、漬物の酸味がカレーの旨味を引き立てています。
「すぐきピロシキ」は、京野菜のすぐきのシャキシャキした食感と独特の酸味が豚肉や春雨とよく合う一品です。

店内には常時50種類以上の京漬物が並びます。イートインスペースでは、パンや胡瓜の1本漬「PARI & PORI」400円が飲食可能です。パンは持ち帰ってオーブントースターで温めてもおいしく味わえますよ。
京都府京都市中京区錦小路通柳馬場西入
9時30分~18時
なし
四条駅・烏丸駅より徒歩8分
なし
「打田漬物 錦小路店」の詳細はこちら
「打田漬物 錦小路店」のクチコミ・周辺情報はこちら
(画像提供:打田漬物 錦小路店)
雲ノ茶KUMONOCHA錦市場店の「わらび餅」
老舗和菓子店の本格わらび餅

抹茶ムースが話題の雲ノ茶がプロデュースするカフェに併設されたショップ。和菓子の笹屋昌園が手がけるわらび餅は、国産の高品質な本わらび粉から作られる本格的なもので、きな粉や抹茶きな粉をかけていただきます。

他に、「大福」などのコラボスイーツもあります。テイクアウトメニューは、店の前か店内で食べるようにしてくださいね。お菓子と抹茶ドリンクなどのセットメニューがあるカフェでほっと一息つくのもおすすめです。
「錦市場」食べ歩きMAP
まとめ
生麩田楽やだし巻といったオーソドックスなものから、京漬物のカレーパンやスイーツまで幅広いグルメが盛りだくさんの錦市場。京都を訪れたら、ぜひ立ち寄ってみてくださいね。
※この記事は2025年4月16日時点での情報です。休業日や営業時間など掲載情報は変更の可能性があります。
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らくたび
京都の古い町家を拠点に、テレビやラジオ、ツアーや京都本の制作を通して、京都の魅力を発信しています。社寺の歴史やご利益めぐりから、カフェさんぽ、旬の話題まで、京都のことならお任せを。https://rakutabi.com/