世界遺産・宮島のご当地グルメといえば、120年以上の歴史を持つ「あなごめし」。
今回はライターが何日も宮島に通い、すべての店を訪れて自腹で実食。「おすすめできる!」と確信を持てた8店を紹介します。
老舗の名店「うえの」、蒸し穴子が特徴の「まめたぬき」、その他飛び込みで見つけた店など厳選。ぜひ宮島旅行の参考にしてみてください。
宮島の「あなごめし」とは?

宮島の「あなごめし」は、山陽本線が開通した明治30年代、宮島口駅(当時は宮嶋駅)の駅弁として誕生したのが始まりです。
古くから宮島には穴子どんぶりという郷土料理があったようで、江戸時代後期の「芸藩通志(げいはんつうし)」にも、「阿奈吾(あなご)、味佳(か)なり」と、宮島近海の穴子の美味しさが書かれています。
1901(明治34)年、下に紹介する「あなごめし うえの」の創業者である上野他人吉(うえのたにきち)氏が、駅弁販売を開始。穴子のアラで炊き込んだ醤油味のご飯に、穴子をびっしり敷き詰めた駅弁は好評で、宮島全体の名物になっていったとか。
焼き穴子、煮穴子、蒸し穴子など、調理法は店ごとに工夫と個性があり、味わいもさまざま。イートインと弁当の両方を販売しているところが多いのも特徴で、弁当をテイクアウトして外で食べるのも楽しみ方のひとつです。
[参考]
頼杏坪編『芸藩通志』第一巻、図書刊行会、1981年、p223
宮島観光であなごめしを味わうときのコツ
お店によっては観光シーズンだと1時間待ちも珍しくありません。夕方側に行くと売り切れの場合もあるので、開店10分前には訪れるぐらいの気持ちでいるとスムーズです。

弁当をテイクアウトした場合は、宮島には海沿いの石造りのベンチなど、腰掛けられる場所はたくさんあります。ロープウェイ乗り場のある紅葉谷公園などもおすすめスポットです。
ここからは、おすすめのあなごめしの店を宮島口側から紹介します。
あなごめし うえの
宮島のあなごめしを語る上で欠かせない、伝統の味わい

宮島のあなごめしの中では一番の老舗。120年以上守られ続ける味わいです。あなごめしは小・上・特上があり、上が基本サイズ。
継ぎ足しの秘伝ダレを使い、蒸したり煮たりせず、穴子の脂に頼ってじっくり焼き上げています。フタを取った瞬間に香ばしい香りが立ちのぼり、穴子のダシで炊いた醤油味のご飯もこく深い美味しさ。

JR宮島口駅を出て、フェリーで宮島に渡る直前にあるので、早い時間帯に通る場所かもしれませんね。昼どきは待つこと必至なので、開店直後か14~15時ごろを狙うのがコツ。
イートインの場合は左の待合入口から入り、受付を済ませて待つシステムになっています。また、「あなごめし弁当」(小2430円、レギュラー2700円、特上3240円)をテイクアウトするのもおすすめ。弁当は冷めても美味しく、これぞ伝統の味わいです。
広島県廿日市市宮島口1-5-11
【弁当】9時~19時【食事】10時~19時※ともに水曜は18時まで。売り切れ次第終了
なし※臨時休の場合あり
宮島口駅より徒歩2分
「あなごめし うえの」の詳細はこちら
(画像:じゃらん)
穴子と牡蠣 まめたぬき
トロける味わい!“蒸し”のあなごめし

1902(明治35)年創業の老舗旅館、錦水館の中にある食事処です。こちらのあなごめしの特徴は、“蒸し”であること。
秘伝のタレをからめた穴子を敷き詰め、陶器の箱ごと高温で蒸し上げています。穴子は木のスプーンがスッと入るほどフワッフワ!ご飯とともに頬張ると、口の中でトロッととろけます。

宮島名物・牡蠣と一緒に堪能できるセットもあります。せっかくの宮島だから、牡蠣と穴子の共演を楽しむのもおすすめですよ。

老舗旅館内の店だけあって、接客やオペレーションも安心感があります。外国人観光客の方も多く、インターナショナルな賑わい。昼を過ぎても“売り切れ店じまい”がほぼないのもありがたい点です。
店舗入口は旅館フロント(海側)ではなく、人通りの多い表参道商店街(アーケード街側)にあります。発券機があるのでそこで受付してくださいね。
広島県廿日市市宮島町1133
11時~15時、17時~23時(LO各30分前)
不定※詳細は公式ホームページを要確認
宮島口駅よりフェリー利用、宮島桟橋より徒歩10分
「穴子と牡蠣 まめたぬき」の詳細はこちら
(画像提供:錦水館)
汐まち寿司 つるみ
新鮮活け締め穴子にひと手間。寿司職人が作るあなごめし

「汐まち寿司 つるみ」は、築100年を超える古民家を利用した宿「宮島町屋ホテル 汐まち庵」も兼ねていて、1階が寿司料理店のカウンターになっています。
こちらのあなごめしは大将いわく、煮穴子に“特別なひと手間”をかけたもの。ご飯と穴子との間に鰹節が敷かれているのも特徴です。
やさしい甘さの煮切りタレがかかっていて、柔らかな身の旨味と焼き目の香ばしさが口中に広がります。穴子は活け締めされたものだけを使用しているとか。

厳島神社参拝出口を出てすぐ、大願寺(だいがんじ)門前に広がる「西町」エリアに店があります。お寿司ランチのコースや、海鮮漬け丼なども味わえますよ。
広島県廿日市市宮島町73-2
11時30分~14時30分(LO13時30分)、17時~21時(LO19時)
火、水※水曜が祝日の場合は木
宮島口駅よりフェリー利用、宮島桟橋より徒歩20分
「汐まち寿司 つるみ」の詳細はこちら
(画像:じゃらん)
ふじたや
地物の天然穴子にこだわる老舗

創業1910(明治43)年創業の老舗です。メニューは、お酒やおつまみを除くとあなごめしのみ。
席に着いて待つことしばし、運ばれてきた丼は手で持てないほどに熱々!分厚い木のフタがかぶせられていて、フタを取ると香ばしい香りがフワッと漂います。
もっちりした炊き具合のご飯が、ふっくら焼き上げられた穴子とよく合い、最後の一口まで冷めることなく味わえます。

店頭で名前を書いて左の待合所で待つシステムで、開店前には人が集まり始めます。順番待ち必至ですが、待ってでも食べたくなる店です。
(画像:じゃらん)
瀬戸内グリル じぱんぐ
リーズナブルな値段にひかれて飛び込んだら味も妥協なし!

厳島神社参拝出口から、山側の「藤の棚公園」へ向かう静かな坂道には、あなごめしが食べられる店がいくつか並んでいます。「瀬戸内グリル じぱんぐ」はそんな坂にある、こぢんまりとした店。
穴子丼は、運ばれてきた瞬間に熱々の焼き目から香ばしい匂いが立ちのぼります。ぱらりと炊かれたご飯には旨味の濃いタレが絡み、敷き詰められた海苔も一味添えて、絶妙のハーモニー。

国産の天然穴子を毎朝仕入れて焼き上げているとか。並は穴子約1.5匹・ご飯茶碗約2杯分ですが、穴子約1匹・ご飯1.5杯分と軽めの小1600円、カキと穴子の天ぷら定食1750円などもあります。
広島県廿日市市宮島町中江町306-1
11時~15時※変動の場合あり
不定
宮島口駅よりフェリー利用、宮島桟橋より徒歩20分
(画像:じゃらん)
御茶処 沖みつ
坂の途中の穴場的一軒家。甘味セットもおすすめ

「御茶処 沖みつ」は藤の棚公園へ向かう静かな坂道の途中にある、築100年以上の古民家を活用した店です。店内はどこかタイムスリップしたような、落ち着いた雰囲気。
穴子は柔らかく煮上げた後、焼いて仕上げています。旨味がたっぷりと煮含められていて、口の中でトロッと溶けていく美味しさ!熱々のご飯にも濃厚なタレが絡み、思わずかき込みたくなる味わいです。

甘味や喫茶メニューも多く、参拝の後に立ち寄るのにぴったりの立地。あなごめし単品2200円や、あなごめしハーフとわらびもちのセット1700円などもあります。手作りのわらびもちもとろけるようなおいしさですよ。
広島県廿日市市宮島町319-4
10時~15時30分※売り切れ閉店の場合あり
火※臨時変更の場合あり。詳細は公式ホームページを要確認
宮島口駅よりフェリー利用、宮島桟橋より徒歩15分
「御茶処 沖みつ」の詳細はこちら
(画像:じゃらん)
大和屋
希少な宮島産ハチミツを使った秘伝ダレ

「大和屋」はあなごめしのタレに、宮島で採れる希少なハチミツを使っている店です。
お重によそわれたご飯は軽めで、穴子とご飯をすくうと、ちょうどバランス良く一口分。頬張ると、焼き締められた穴子とタレの旨味がギュッと濃厚な美味しさ!海苔の香りもよいアクセントになっています。
軽めのご飯は「揚げもみじ」や「焼きガキ」など、いろいろなものを食べ歩きたい宮島観光ではありがたいですね。

厳島神社参拝出口を抜けると、勝海舟と木戸孝允の会見の場となった古刹・大願寺の前に出ますが、「大和屋」は大願寺の奥、海に近い静かな通りにあります。「みやじマリン 宮島水族館」にも近く、立ち寄りやすい立地。伝統の“宮島箪笥”など、店内に飾られた貴重な調度品も印象的な店です。
(画像:じゃらん)
大たに
じんわりと滋味深い穴子が味わえる

「大たに」は厳島神社西側に広がる、西松原(にしのまつばら)近辺の海沿いの店。穴子料理のほか、牡蠣料理や麺類なども多く、入りやすい雰囲気です。
あなご丼は穴子の身が適度に引き締まり、あっさり目の淡麗な味わい。ご飯はどっしりと量があり、軽めのタレがしっかり絡んで食べ応えがあります。

観光スポットの「みやじマリン 宮島水族館」にも近い立地。比較的リーズナブルで、メニューも豊富なので、家族連れやグループなどで寄るのにもぴったりですね。
(画像:じゃらん)
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※この記事は2024年9月30日時点での情報です。休業日や営業時間など掲載情報は変更の可能性があります。
※実食は2024年7月21日~8月26日に実施しました。
※掲載の価格は全て税込価格です。
※掲載されている情報や写真については最新の情報とは限りません。必ずご自身で事前にご確認の上、ご利用ください。
ミキティ山田
旬な話題を求めて、いろいろな場所を取材・撮影する調査員。分厚い牛乳瓶メガネに隠したキュートな眼差しでネタをゲッチュー。得意技は自転車をかついで階段を登ること。ただしメガネのせいでよく転びます。