高知県須崎市の名物「鍋焼きラーメン」。
今回は、アツアツの土鍋で味わうラーメンをご紹介します。須崎市で半世紀前に誕生してから、地元で愛されつづけてきた鍋焼きラーメン。2002年には全国へと売り出すべく、市の有志で「鍋焼きラーメンプロジェクトX」が発足!今では高知県のB級グルメとして知られ、高知市などにも楽しめるお店が広がっています。
鍋焼きラーメンとは?
須崎で半世紀以上愛される路地裏グルメ
高知県須崎市で半世紀近く愛されている鍋焼きラーメン。昭和20年代に須崎の路地裏で営業していた谷口食堂(現在閉店)が考案したことから始まり、以来、地元の暮らしにねづいてきた食文化です。
2002年からは、須崎名物として積極的に全国に売り出そうと「鍋焼きラーメンプロジェクトX」が発足!高知県のB級グルメとして、徐々に全国へと知名度が広がっています。
ちなみに2016年のゆるキャラ(R)グランプリで1位を獲得した「しんじょう君」は、須崎市のマスコットキャラクター。鍋焼きラーメンの帽子をかぶっています。
鍋焼きラーメンの7つの定義
「鍋焼きラーメンプロジェクトX」では「7つの定義」を定めており、これらの条件を満たしたものが鍋焼きラーメンと認められています。
1.スープは、親鳥の鶏がら醤油ベースであること
2.麺は、細麺ストレートで少し硬めに提供されること
3.具は、親鳥の肉・ねぎ・生卵・ちくわ(すまき)などであること
4.器は、土鍋(ホーロー、鉄鍋)であること
5.スープが沸騰した状態で提供されること
6.たくわん(古漬けで酸味のあるものがベスト)が提供されること
7.全てに「おもてなしの心」を込めること
鍋焼きラーメンの美味しい食べ方
グツグツと沸騰した鍋で提供される鍋焼きラーメン。
ふたを開けると、モクモクと湯気が立ちのぼり、鶏がらスープの香りがひろがっていきます。保温効果の高い土鍋により、長い時間アツアツを楽しめるのも特徴です。
うまみの強いスープと細麺、あっさりした具の絶妙なバランス。箸やすめとして添えられた酸味のきいたタクアンもいいアクセントになります。
鍋焼きラーメンの食べ方で重要となるのが「卵」。どの食べ方を選ぶかで味が大きく変わってきます。
まずは共通事項として、なにも足さず、スープの味と麺を楽しみましょう。口いっぱいに広がる、醤油、鶏ガラ、野菜、果物の風味が最高です!
そして、オススメの食べ方は3つ。
1つ目は、「卵最後」。
卵を割らないように慎重に鍋の底に沈めておいて、最後にほどよく半熟になった卵を楽しみます。
2つ目は、「卵くずし」。
最初に卵を崩して、麺やスープとからめる食べ方です。
3つ目は、アツアツが苦手な人におすすめの「すき焼き風」。
卵が固まらないうちに土鍋のふたに黄身を出して溶いておき、すき焼きのように麺をつけて食べるスタイル。黄身を鍋に戻せば、味の変化も楽しめます。
須崎市民は土鍋のフタをうまく使うとか。コショウ、すりおろしニンニク、一味など、フタのうえで足し、少しずつ味の変化を楽しめますよ!
現在は、須崎市内で専門店をはじめ約30店舗で楽しめるほか、高知市でも鍋焼きラーメンを提供するお店が増えています。
7つの定義を守りながらも、提供店舗によって味やメニューは個性ゆたか。高知県に行ったら、ぜひ味わってみてください。
おすすめ!鍋焼きラーメンのおいしい店
橋本食堂
鍋焼きラーメン「7つの定義」を守りぬく地元の名店
須崎の鍋焼きラーメンを代表する名店と言えるのが、昭和50年創業の「橋本食堂」。
町おこしの「鍋焼きラーメンプロジェクトX」が発足する前から鍋焼きラーメンを提供しており、「7つの定義」をしっかり守り抜いている老舗店。地元の方はもちろん県内外からも多くのお客様が訪れ、行列ができるお店です。
「鍋焼きラーメン専門店」とかかげるだけあって、メニューは鍋焼きラーメン(普通580円、大680円、特大800円)、ご飯、ビールのみといういさぎよさ!
その分、徹底して鍋焼きラーメンにこだわっており、スープは鶏ガラベースに地元の蔵の醤油を加えて、表面には鶏油がたっぷり。シンプルながら深い味わいです。
橋本食堂オリジナルの麺は、細麺ながらコシが強く、最後までのびにくいと評判です。やや濃いめの味付けが、ご飯にもよく合うことから、最後に雑炊にして食べるお客様が多いとか。
お昼時や土曜は混み合うので、平日の開店直後の午前11時頃がねらい目。ぜひ王道の鍋焼きラーメンからはじめてみませんか。
[住所]高知県須崎市横町4-19
[営業時間]11時~15時
[定休日]日曜日、祝日
[アクセス]【電車】JR土讃線土佐新荘駅より徒歩10分【車】高知道須崎中央IC下車3分
[駐車場]あり
すさき駅前食堂
須崎駅徒歩30秒!ちりめん丼など地元食材を使ったメニューも豊富
名前のとおり須崎駅から徒歩30秒とアクセス抜群。レトロな雰囲気の外観が特徴です。
実はこのお店、「駅前通りを元気に!須崎の鍋焼きラーメンを全国に!」という想いから、2010年よりNPO法人まちづくり須崎が運営をスタート!
手作りの「鍋焼きラーメンの食べ方ガイド」が置かれているので、初めての方でも自分の好みにあった食べ方を楽しめます。
生粋の須崎っ子であるメンバーが相談して決定したスープの味は、濃厚鶏ガラ醤油ベース。さらに数種類の野菜とくだものを5~6時間かけてじっくりと煮込んでつくり上げるスープは、あっさりとした中にもコクのあると地元でも評判です。
こだわりの地元食材を使ったメニューも多く取り揃えており、一つの目玉となっているのが、食堂近くの須崎港に水あげされる新鮮な魚を使ったちりめん丼。
スタッフの家族が、須崎魚市場前で釜あげちりめん業を営んでいることから、最高の質のものを仕入れているとのこと。
柚子を使った自家製ポン酢のちりめん丼と醤油ベースの鍋焼きラーメンは相性が抜群!
鍋焼きラーメン並は660円、ちりめん丼もついた鍋焼きセットは1100円です。
[住所]高知県須崎市原町1丁目5番20号
[営業時間]10時~16時
[定休日]水曜日
[アクセス]【電車】JR土讃線須崎駅より徒歩1分【車】高知自動車道須崎中央IC下車5分
[駐車場]あり(無料)
「すさき駅前食堂」の詳細はこちら
まゆみの店
しっかりとした鶏ガラだしが特徴。発祥の店の味を再現した鍋焼きラーメン専門店
鍋焼きラーメン発祥の店「谷口食堂」(現在閉店)の味を追求したお店。
須崎で長年愛された味を再現しようと10年以上かけて試行錯誤を重ねてついに完成したのが、「鍋焼きラーメン7か条」を守り、しっかりとした鶏ガラしょうゆのスープに硬めの細麺というまさに王道の鍋焼きラーメンです。
店主のまゆみさんが大切にこだわってきたのは、子どもからお年寄りまでみんなが食べやすいものにすること。
肉は皮を取るなど丁寧に下ごしらえしたスープは、とにかくコクがあって美味しいと評判!注文の際にスープの濃さや麺の硬さなど、お客さんの要望を聞いてくれるのも特徴です。
お店は店主の人柄が伝わるような温かくて家族的な雰囲気。有名人のお客さんが多く通うことでも知られており、店内にはこれまでに来店した有名人のサイン色紙や写真がたくさん飾られています。待ち時間に眺めるのも楽しいですよね。
メニューは、定番の「鍋焼きラーメン(並650円)」のほか、「キムチ鍋焼きラーメン(並850円)」、「カレー鍋焼きラーメン(並950円)」など味のバリエーションが豊か。
最初からラーメンとご飯が一緒に入っている、「先入れ雑炊鍋焼きラーメン(並800円)」というオリジナルメニューもあります。
[住所]高知県須崎市栄町10-14
[営業時間]【平日】11時~16時 【土日祝】11時~21時 ※売り切れ次第閉店
[定休日]水曜日
[アクセス]【電車】JR土讃線 土佐新荘駅より徒歩8分【車】高知自動車道 須崎中央IC 下車5分
[駐車場]あり
鍋焼きラーメンのがろ~
親鳥×魚介系のWスープが魅力!須崎市と高知市の2店舗を展開
須崎駅から徒歩5分、ジャズが流れる落ち着いた空間で食事が楽しめると評判の「鍋焼きラーメンのがろ~」須崎本店。
創業43年の歴史を持ちつつ、2018年にリニューアルしたばかりのお洒落で清潔感のある店舗が魅力。ちなみに店舗名「がろ~」の由来は「画廊」で、開店当初はアマチュア画家のお客様が多く、店内には絵が所せましと飾られていたことから。
2019年秋には、ついに高知市内にも進出。高知の「食」を発信する拠点として誕生した複合型施設「とさのさとアグリコレット」内に、2号店の高知店をオープン!
「鍋焼きラーメンのがろ~」のこだわりは、大量の親鳥のガラを丁寧に下処理し、数種の野菜と一緒に長時間じっくりと煮込み、さらに魚系の出汁と自家製の醤油ダレを加える天然の出汁。
親鳥×魚介系のWスープで、奥深い味に仕上げています。須崎市内では唯一、具にキャベツが入っているのも特徴です。
鍋焼きラーメンは定番の「親どり(880円)」、ホルモンときざみニラ、すりおろしニンニクが入ったスタミナ系「ニンニクホルモン(1045円)」、辛さ・ニンニクの有無・メイン具材を選べる「赤辛鍋焼きラーメン(具材により900円~1150円)」の3種類あります。
また、須崎本店では、鍋焼きラーメン以外にも「がろ~特製ラーメン(780円)」や「あんかけちゃんぽん麺(930円)」など豊富なレパートリーを揃えています。
[住所]【須崎本店】高知県須崎市鍛治町7-15【高知店】高知市北御座10-10とさのさとアグリコレット内
[営業時間]【須崎本店】11時~16時【高知店】10時~21時
[定休日]【須崎本店】日曜・金曜【高知店】なし
[アクセス]【須崎本店】高知自動車道須崎ICすぐ【高知店】高知自動車道高知ICすぐ
[駐車場]【須崎本店】7台【高知店】大規模駐車場
「鍋焼きラーメンのがろ~」の詳細はこちら
鍋焼きラーメン専門店あきちゃん
高知市内の観光地からも近い鍋焼きラーメン専門店
高知市内で鍋焼きラーメンを食べたい!という方におすすめのお店。観光名所である高知城やひろめ市場からも徒歩3~5分と便利な立地です。
こだわりは、「子供でも安心して食べられるラーメンを提供したい」という想いで、試行錯誤の末に完成させた健康的なスープ。高知県大川村の「土佐はきちん地鶏」と野菜のみを使用。くさみがなく、油分も少なめであっさりしながらコクが深い味わいで、最後まで飲み干したくなるほど。
鍋焼きラーメン1杯あたりのカロリーは、なんと315kcal!塩分も2.9gとヘルシーなので、健康に気を遣っている方にもおすすめです。
麺や具のちくわには卵を使用しておらず、生卵を入れなければ、卵アレルギーの方も食べられます。
定番の鍋焼きラーメン(650円)のほか、個性的なオリジナル鍋焼きラーメンも豊富!「土佐のかつお鍋焼きラーメン(750円)」「馬路村ゆずこしょう鍋焼きラーメン(750円)」など高知県の特産品を使ったメニューや、「ミラノリゾット鍋焼きラーメン(750円)」「旨辛四川風 鍋焼きラーメン(780円)」「Wガーリック 激アツ!! 鍋焼きラーメン(750円)」といった変わり種も。
11時~14時半の昼のみの営業。官公庁街のため12~13時は行列ができることもあるので、少し時間をずらして行くのがおすすめ!
[住所]高知県高知市升形1-22
[営業時間]11時~14時(LO 13時45分)
[定休日]日曜、祝日
[アクセス]【電車】土佐電気鉄道グランド通り駅より徒歩2分【車】高知自動車道高知IC下車15分
[駐車場]なし(近隣に複数コインパーキング有り)
※この記事は2020年1月時点での情報です
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Akiko
美味しいものを求めて、国内外を旅するライター。最近は山登りも始めるも、何よりの楽しみは下山後のビールと温泉。