長崎を代表する観光地、グラバー園。広い園内には、旧グラバー住宅、旧リンガー住宅、旧オルト住宅の3つの重要文化財の洋館と、6つの歴史的な建築物が集まっています。
この記事では、グラバー園の基本情報から見どころ、長崎港や稲佐山を一望できる絶景スポット、おすすめの巡り方など、観光に役立つ情報をお伝えします。
※この記事は2021年8月時点での情報です。休業日や営業時間など掲載情報は変更の可能性があります。日々状況が変化しておりますので、事前に各施設・店舗へ最新の情報をお問い合わせください。
記事配信:じゃらんニュース
グラバー園ってどんなところ?

グラバー園は、元々このエリアにあった旧グラバー住宅をはじめとする3つの洋館のほか、明治時代に長崎市内に点在していた6つの歴史的な建築物を移築復元した、長崎を代表する観光名所です。
古くから国際貿易港として発展してきた長崎。鎖国時代の終わりと共に長崎は港を開き、幕府より正式に外国人の居住が認められて、長崎外国人居留地が誕生しました。この時代に建築された、150年以上前の貴重な建物である旧グラバー住宅、旧リンガー住宅、旧オルト住宅は、国指定重要文化財に指定され、中でも旧グラバー住宅は、世界文化遺産「明治日本の産業革命遺産」の構成資産の一つとしても登録されています。
偉人たちも魅せられた、稲佐山や長崎港を一望できる眺望も魅力の一つ。園内のライトアップや高台からの夜景を楽しめる夜間開園も期間限定で行っています。
●グラバー園夏期夜間開園2021
<期間>2021年7月16日(金)~2021年10月9日(土)
<開演時間>8時~21時30分(受付終了21時10分)
※2021年8月現在、旧グラバー住宅は約半世紀ぶりの保存修理工事を行っています。工事期間中は建物へ入っての見学はできませんが、特設展望デッキから保存修理の様子を見ることができます。2021年11月中旬より室内のみリニューアル展示公開、12月下旬より全面開放を予定しています。
[住所]長崎県長崎市南山手町8番1号
[営業時間]8時〜18時(最終入園受付は20分前)
※2021年度 夜間開園スケジュール【4月23日〜5月4日】8時〜20時30分、【7月16日〜10月9日】8時〜21時30分、【10月10日~11月25日期間の毎週土曜】8時〜20時30分
[定休日]なし
[料金]大人620円、高校生310円、小・中学生180円
[アクセス]【電車】路面電車大浦天主堂より徒歩7分
[駐車場] ※近隣の駐車場をご利用ください
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グラバー園のおすすめの周り方

どのルートを回るかによりますが、全体をしっかり見ると1〜2時間程度はかかります。園内は長崎独特の坂の多い地形のため、上記マップの水色の基本ルートを参考に「動く歩道」で一気に高台にのぼってから、スポットを巡りながら降りてくるルートがおすすめです。
詳細は公式ホームページでチェックしてみてください。
見どころをうまく回りたい方には、無料の「グラバー園ガイドツアー」に参加してみてはいかがでしょうか。11時〜、13時〜、15時〜の1日3回開催し、約60分でグラバー園内の不思議スポットを案内してくれます。
グラバー園の見どころ
旧グラバー住宅
世界文化遺産にも登録された貴重な木造洋風建築

旧グラバー住宅は、貿易商であり、グラバー商会を設立した英国スコットランド出身のトーマス・ブレーク・グラバーが住んでいた邸宅です。1863年に木造で建てられた洋風建築で、外観は日本瓦と日本の伝統的な土壁が使われ、一方で室内は典型的な西洋風の造りとなっており、歴史的にも非常に貴重な建物です。上から見ると四葉のクローバーの葉形に似た形をしています。
グラバー園の記念撮影スポットになるのが、旧グラバー住宅前とその前の花壇。特に春から夏にかけて、時期に応じてチューリップ、バラ、紫陽花など様々な花が楽しめます。
※2021年8月現在、保存修理工事のため、建物へ入っての見学はできません。

旧リンガー住宅
三方をベランダで囲まれ、木と石が調和した移しい建物

グラバー商会に勤め、ホーム・リンガー商会を設立したイギリス人、フレデリック・リンガーの旧邸で、1868年〜1869年に建てられました。家の三方をベランダで囲まれたバンガロー風の建物で、ベランダの床石には、ロシアのウラジオストックから運んだ御影石が使われ、木と石がうまく調和した珍しい木骨石造りです。
現在住宅内では、フレデリック・リンガーゆかりの品として、当時、極東一豪華なホテルと謳われた「ナガサキホテル」で使用されていたカトラリー(ナイフ、フォーク、スプーン)のセットが展示されています。

旧ウォーカー住宅
イギリスの煙突と日本瓦がマッチした和洋折衷の建物

最新鋭の蒸気船の船長として日本の海運業に大きな業績を残したイギリス人、ロバート・ニール・ウォーカーの次男、ロバート・ウォーカー・ジュニアの邸宅です。後に日本国籍も取得した親日家で、明治中期頃に建てられたと考えられるこの建物を1915年に購入し、1958年に亡くなるまで暮らしました。
この建物の特徴は、イギリス式の暖炉や煙突と、日本瓦と和風のひさしが融合した造り。当時は大浦天主堂のすぐ隣にありましたが、後にこの建物のみを移築しています。
グラバー園の絶景スポット
旧三菱第2ドックハウス
最も高台にある建物から稲佐山と長崎港を一望

グラバー園の絶景スポットの1つ目が、園内で最も高台にある「旧三菱第2ドックハウス」。ドックハウスとは船の修理中に乗組員が宿泊した施設のことで、典型的な西洋風建築の建物になっています。夜間ライトアップの時期には庭園の池が水鏡となって建物が映り込み、幻想的な美しさに!
長崎港を一望できる2階のベランダからの景色も圧巻で、対岸にある三菱造船所や港内を行き交う船の様子を望むことができます。また、夕方には稲佐山に落ちる美しい夕焼けを、夜にはイルミネーションや夜景を、それぞれの時間帯で違った絶景を楽しむことができます。

旧オルト住宅
噴水と切妻屋根のポーチの美しい建物を花がドレスアップ

旧オルト住宅は、石造円柱に支えられたベランダと、中央に張り出す切妻屋根のポーチ、エントランス前の噴水が印象的な石造りの洋館。春になるとポーチ横にはモッコウバラが生い茂り、建物を美しくドレスアップしてくれます。
春は園内全体が自然の花でいっぱいに彩られる季節。春の自然と一緒に見る洋風の建物たちは、まさに長崎ならではの異国情緒を感じることができます。


自由亭喫茶室
オシャレな空間の中で、港を一望できる喫茶室

旧グラバー住宅の背後にあるのが、旧自由亭(自由亭喫茶室)。西洋料理レストラン「自由亭」の建物を移築したレトロな雰囲気が魅力で、喫茶室として営業しています。
名物は、24時間かけて水で一滴ずつ抽出される濃厚な味わいが特徴の、オランダ人考案「ダッチコーヒー」。2階にあるため眺めも抜群で、港を一望しながら美味しいコーヒーやデザートを楽しめます。
[住所]長崎県長崎市南山手町5-3
[営業時間]9時30分~17時15分(L.O.16時45分)
[定休日]なし ※ただし2021年2月は土日祝のみの営業
[料金]ダッチアイスコーヒー660円、ロイヤルブレンドコーヒー594円、ケーキセット1012円、他
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グラバー園をもっと楽しめる巡り方
見つけると恋が叶う?!ハートストーン探し

グラバー園には、「触れると恋が叶う」「2人で石に手を重ねると幸せになる」という言い伝えのある「ハートストーン」の伝説があります。
ハートストーンは広い園内に2つ。敷石のなかに溶け込んでいるので、見つけるのが少し大変ですが、のんびり園内を散策しながら探してみては。
※2021年8月現在、旧グラバー住宅が保存修理工事のため、ハートストーンの一つは見ることができません。
噂話は本当?不思議スポット探索
1つ目の噂は「グラバー園にフリーメイソンのマークの入った門柱がある」というもの。
これは事実です。フリーメイソンとは、中世のイギリスではじめられた友愛団体で、長崎においても1885年にロッジ(集会所)が発足されました。三菱長崎造船所に勤めるイギリス人たちが会員で、初代グランドマスター(ロッジ長)の住宅に設置されていたのが、フリーメイソンのマークを刻んだ門柱だったのです。それが後にグラバー園に移築されました。
場所は旧リンガー住宅の横にあり、一見すると見逃してしまいそうな普通のデザインの門柱ですが、よくみるとフリーメイソンが掲げる平等と正義の象徴である定規とコンパスを組み合わせた彫刻が見て取れます。ぜひ気をつけてチェックしてみてください。

2つ目の噂が、「旧グラバー住宅には、坂本龍馬をかくまった隠し部屋がある」というもの。トーマス・グラバーが長崎に暮らしていたのは、ちょうど日本が新しい世の中へと変わり始める幕末の時代から明治にかけて。異国の風が吹く長崎には各藩の藩士が集まり、グラバーのもとを訪れていたのは事実です。坂本龍馬も武器調達などを目的としてグラバーと交流がありましたが、グラバーの住宅を訪れたかどうかは資料として残っていません。また、隠し部屋と噂される廊下の天井裏の部屋も、単なる物置部屋だそうです。
※2021年8月現在、旧グラバー住宅は保存修理工事のため、建物へ入っての見学はできません。
西洋ドレスをレンタルして散策

たくさんのレトロ衣装の中からお気に入りの1着を選んで写真撮影を楽しめるレトロ写真館。2021年6月に「旧地方裁判所長官舎」から、旧オルト住宅近くの「旧スチイル記念学校1階」に場所を移転致しました。お天気の良い日は、異国情緒あふれる園内をレトロな衣装で散策してみるのもおすすめです。
[住所]長崎県長崎市南山手町5-3
[営業時間]10時30分~16時30分(受付終了16時)
[定休日]なし
[料金]室内撮影(15分)1000円、園内散策(30分)2000円、日傘レンタル 200円 ※雨天時は室内写真撮影のみとなります。
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グラバー園周辺のおすすめ観光スポット
大浦天主堂
「信徒発見」の舞台として知られるステンドグラスの美しい教会

世界の宗教史上にも類を見ない「信徒発見」の舞台としても知られる国宝「大浦天主堂」。1864年に竣工され、以来、増改築や原爆による損傷の修復が行われましたが、内部空間の主要部には創建当初の姿が温存されています。聖堂内はステンドグラスが美しく、中には約100年前のものもあります。祭壇の右手に飾られた「信徒発見のマリア像」は、創建当時にフランスより持ってこられたものです。
[住所]長崎県長崎市南山手町5-3
[営業時間]8時30分~18時(最終入館は30分前まで)
※11月1日~2月末日は8時30分~17時30分(最終入館は30分前まで)
[定休日]教会行事により休館する場合があります
[料金]大人1000円、中学生400円、小学生300円※ 拝観料には「大浦天主堂キリシタン博物館」の入場料を含みます。
[アクセス]【電車】路面電車大浦天主堂より徒歩5分
[駐車場]なし
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出島
江戸時代に日本と世界をつないだ街並みを体験

江戸時代の鎖国期間中、日本で西欧に開かれた唯一の窓口として大きな役割を果たしてきた「出島」。復元された江戸時代の建物や、明治時代に建築されたオリジナルの洋風建築など、様々な時代の街並みを体験することができます。敷地内にある着物レンタル「長崎はいからさん」では5分で着付けが完了し、着物や袴で長崎の街を散策するのもおすすめです。
[住所]長崎県長崎市出島町6-1
[営業時間]8時~21時(最終入場20時40分)
[定休日]なし
[料金]大人520円、高校生200円、小・中学生100円
[アクセス]【電車】路面電車出島より徒歩すぐ 【車】長崎自動車道長崎IC・ながさき出島道路より約1分
[駐車場]なし
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長崎新地中華街
約40軒が店を連ねる、日本を代表する中華街の一つ

横浜、神戸と並ぶ中華街の一つ「長崎新地中華街」。江戸時代中期、中国からの貿易品を納める倉庫のために、海を埋め立てて新しく作ったことから「新地」と呼ばれました。東西、南北合わせて約250mの石畳の十字路は、中華料理店や中華菓子、中国雑貨店など約40店舗が軒を連ねています。長崎の中華・郷土料理「ちゃんぽん」や「皿うどん」も楽しめるのは長崎の中華街ならでは。
[住所]長崎県長崎市新地町
[営業時間]10時~20時(飲食店は11時~20時)
[定休日]不定休
[アクセス]【電車】路面電車新地中華街より徒歩1分
[駐車場]なし
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稲佐山山頂展望台
長崎の絶景を一望しながら、地元食材の味も堪能

長崎の街を一望できる絶景スポット「稲佐山山頂展望台」。「夜景サミット2012 in 長崎」において、香港、モナコと並び“世界新三大夜景”にも認定された美しい夜景はもちろんのこと、日中や夕日の時間もおすすめです。2021年7月には、新たに稲佐山山頂レストラン「ITADAKI」やバーガーショップ、カフェなどがオープン!稲佐山からの景色と共に、地元長崎の食材を使った料理を楽しめます。

[住所]長崎県長崎市稲佐町364
[営業時間]8時~22時(屋上展望所は終日開放)
[定休日]なし
[料金]入館料無料
[アクセス]稲佐山公園 中腹駐車場まで【バス】長崎駅前より長崎バス5番系統(稲佐山行)乗車、終点稲佐山バス停下車
稲佐山山頂まで【スロープカー】稲佐山中腹駅より搭乗
[駐車場] あり(中腹駐車場は無料、稲佐山展望台は最初の20分無料/以降30分100円)
※稲佐山展望台は、土日・祝日、繁忙期(GW・お盆・年末年始など)は一般車両の駐車ができません。中腹駐車場をご利用ください。
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孔子廟
本格中国様式の霊廟と、中国の国宝級の文化財を展示した博物館

1893年(明治26年)に中国清朝政府と華僑によって建立された「長崎孔子廟」。中国にある総本山並みに壮麗な伝統美を凝らした建物となっており、本格的中国様式の霊廟を見ることができます。大成殿の奥には博物館の建物がつづき、2階の「中国歴代博物館」では、北京故宮博物院をはじめとする中国国内各地の博物館が所蔵する国宝級の貴重な文物を常時展示。3階の「長崎孔子廟史料館」
は、孔子や孔子廟について学べるフロアになっています。
[住所]長崎県長崎市大浦町10-36
[営業時間]10時〜16時(最終受付15時30分まで)※2021年8月現在、時間短縮で営業しています。
[定休日]なし ※博物館の展示入替その他特別に休館する場合もありますので、公式ホームページでご確認下さい。
[料金]大人660円、高校生440円、小・中学生330円 ※博物館の観覧料込みの金額です。
[アクセス]【電車】路面電車大浦天主堂より徒歩3分 【車】長崎自動車道⻑崎ICより3分
[駐車場] あり(有料)
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祈りの丘絵本美術館
1万冊以上の厳選された絵本や原画を楽しめる美術館

グラバー園からすぐ近くにある「祈りの丘絵本美術館」。1階の「こどもの本の店・童話館」では、1万冊以上の厳選された絵本や子どもの本が用意されています。2、3階の美術館フロアでは国内外の絵本の原画の展示や企画展を開催しているほか、一角には約500冊の選びぬかれた絵本のコーナーがあり、美術館入館者は自由に楽しむことができます。
[住所]長崎県長崎市南山手町2-10
[営業時間]10時〜17時30分
[定休日]月曜(祝日の場合は翌火曜)、年末年始
[料金]「こどもの本の店 童話館」は無料 ※企画展は公式ホームページでご確認下さい。
[アクセス]【電車】路面電車大浦天主堂より徒歩3分
[駐車場]なし
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Akiko
美味しいものを求めて、国内外を旅するライター。最近は山登りも始めるも、何よりの楽しみは下山後のビールと温泉。