城の天守の屋根を飾る「しゃちほこ」。名古屋城の金鯱が有名ですが、その由来や意味をご存知ですか?海にいる「シャチ」から来ていると思われる方もいますが、それは大きな誤解。この記事では、「しゃちほこ」の基本的な情報から、全国に数多くある「しゃちほこ」を見られるお城についてご紹介します。
※この記事は2021年4月12日時点での情報です。休業日や営業時間など掲載情報は変更の可能性があります。日々状況が変化しておりますので、事前に各施設・店舗へ最新の情報をお問い合わせください。
しゃちほこ・金鯱とは?
「しゃちほこ」とは、城の天守や櫓などの屋根に使われる装飾の一つです。
鯱(しゃち)は、想像上の生き物で、頭は龍または虎とも言われ、胴体は魚、空に向かってそり返る尾を持っています。
「しゃちほこ」の「ほこ」とは、この尾の形が鉾(ほこ)のように上にそそりたっていることからつけられたもの。
つまり鉾のような鯱=「しゃちほこ」という名になったのです。
しゃちほこは、建物が火事になると口から水を吐きだして消してくれるという伝説があることから、屋根の上に乗せられ、鬼瓦と同様に守り神として大切にされてきました。
この鯱に金色に装飾を施したものは「金鯱(きんしゃち、きんこ、きんのしゃちほこ)」と呼ばれ、名古屋城のシンボルとしても知られています。
しゃちほこの由来
木造建築が中心の日本で、大敵となるのが火事。そこで、もともとは寺院などで、火除けの守り神としてしゃちほこを飾るようになりました。
それを城に取り入れたのは、織田信長の安土城と言われており、城跡からは鯱瓦の破片も見つかっています。
その後、豊臣秀吉が大阪城の天守に金鯱を飾って権威を示し、全国の大名たちにもしゃちほこが普及していったと言われています。
全国のしゃちほこが見られるお城
弘前城【青森県】
現存12天守の中で東北にあるのが、弘前城。
江戸時代に落雷によって5層の天守が焼失。このときの雷は天守の屋根に飾られていたしゃちほこに落ちたと言われています。
200年近く天守のない時代が続きましたが、1810年に再建。2021年現在は、国の重要文化財に指定されています。
[住所]青森県弘前市下白銀町1
[営業時間]9時~17時 ※さくらまつり期間(2021年は4月23日~5月5日)は7時~20時
[定休日]弘前城天守は11月24日~3月31日 ※天守以外の弘前城本丸・北の郭は無休
[料金]弘前城本丸・北の郭【大人】320円【子供】100円 ※11月24日~3月31日の期間は入園無料
[アクセス]【バス】JR「弘前駅」より弘南バス市役所方面行きで15分「市役所前」より徒歩4分【車】東北自動車道「大鰐弘前IC」より30分
[駐車場]なし
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新発田城【新潟県】
新発田(しばた)城は、三体のしゃちほこで知られるお城。
実質的に天守閣の役割を果たしていた三階櫓は、丁字型の屋根にあわせて三体のしゃちほこが飾られることになったのですが、なぜこのような特殊な形になったのか、明確な理由はわかっていないようです。
また、新発田城は、自衛隊の駐屯地と隣接している全国でも珍しいお城。三階櫓は、一般公開されていないため内部には入れませんが、外観を眺めることができます。
[住所]新潟県新発田市大手町6丁目
[営業時間]9時~17時(11月のみ16時30分閉門)
[定休日]12月~3月は冬季閉鎖期間
[料金]無料
[アクセス]【電車】JR白新線・羽越本線「新発田駅」より徒歩25分【車】日本海東北自動車道「聖籠新発田IC」より10分
[駐車場]あり(無料)
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名古屋城【愛知県】
名古屋城のシンボルとも言えるのが、天守閣を飾る金のしゃちほこ。
1612年に天守閣が完成した際、徳川家康の支配力や尾張徳川家の権威を誇示するため、絢爛豪華な金鯱が載せられました。
明治時代には日本国内やウィーンの博覧会に金鯱が出品され、大きな話題に。
その後も昭和まで長きにわたって名古屋城を守ってきた金鯱ですが、残念ながら名古屋大空襲にて焼失。2021年現在は、復元されたものが飾られています。
※2021年4月現在、金鯱は地上での展示のため屋根の上から取り外されています。2021年8月頃に天守に再設置予定です。
名古屋城の金鯱の特徴は、木造のしゃちほこに金板を貼って作られていること。金箔押のしゃちほこよりも重く、一体あたりで総重量は約1.2トン、約44キロもの金が使われているそうです。
[住所]愛知県名古屋市中区本丸1番1号
[営業時間]9時~16時30分(本丸御殿への入場は16時まで)※天守閣は閉館しています
[定休日]12月29日~1月1日 ※催事等により変更となる場合あり
[料金]【大人】500円【中学生以下】無料
[アクセス]【電車】名城線「市役所駅」より徒歩5分【車】名古屋高速1号楠線「黒川」出口より8分
[駐車場]あり(有料)
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犬山城【愛知県】
室町時代の1537年に建てられ、現存天守を有する国宝五城の一つである犬山城。
天守の上に飾られた2体のしゃちほこは、暴風雨よる落下や修理などで何度か交換されてきました。
2021年現在、南側のしゃちほこは1964年製のもの。北側のしゃちほこは、2017年7月の落雷で破損したため、2018年に新たに制作されたものです。
江戸、昭和、平成に制作された3体のしゃちほこが現存しており、犬山市の「城とまちミュージアム(犬山市文化資料館内)」で見ることができます。
[住所]愛知県犬山市犬山北古券65-2
[営業時間]9時~17時(入場は16時30分まで)
[定休日]12月29日~12月31日
[料金]【一般】550円【小中学生】110円
[アクセス]【電車】名鉄犬山線「犬山駅」より徒歩20分、名鉄犬山線「犬山遊園駅」より徒歩15分【車】東名高速道路「小牧IC」より25分、中央自動車道「小牧東IC」より25分
[駐車場]あり(有料)
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大阪城【大阪府】
1583年から1598年にかけて豊臣秀吉が築城した大坂城。天下人にふさわしい絢爛豪華な天守には、金のしゃちほこが飾られていました。
その後、大坂城は大坂夏の陣で落城し、江戸時代に再築された2代目も落雷により焼失。昭和初期に3代目天守閣が復興された際、金鯱も推定復元されました。
8階にある展望台からは、金鯱を間近で見ることができます。
[住所]大阪府大阪市中央区大阪城1-1
[営業時間]【平日】9時~17時(入館は16時30分まで)※状況に応じて16時30分よりも前にチケット購入列へ制限をかけることがあります
[休館日]12月28日から翌年1月1日
[料金]【大人】600円【中学生以下】無料 ※要証明(生徒手帳など)
[アクセス]【電車】JR大阪環状線「大阪城公園駅」より徒歩20分、大阪メトロ 谷町線「谷町4丁目駅」より徒歩20分、他【車】阪神高速 13号東大阪線「法円坂出口」「森之宮出口」より5分
[駐車場]あり(有料)
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姫路城【兵庫県】
通常、しゃちほこは雄と雌で一対になっていますが、姫路城は全国でも珍しく、二体とも同じ形をしています。
姫路城は江戸時代から残る現存天守ですが、「昭和の大修理」の際、姫路城に残る最も古いしゃちほこを基に同じ形のものを作成して載せたことが理由だそう。造形の比較対象がないため、雄雌は定かではありません。
[住所]兵庫県姫路市本町68番地
[営業時間]9時~16時(閉門は17時)※夏季(4月27日~8月31日)は9時~17時(閉門は18時)
[定休日]12月29日・30日
[料金]【大人(18才以上)】1000円【小人(小学生・中学生・高校生)】300円【小学校就学前】無料
[アクセス]【電車】JR「姫路駅「山陽姫路駅」より徒歩20分【バス】姫路駅北口より神姫バス乗車「大手門前」停留所より徒歩5分【車】姫路バイパス「姫路南ランプ」より10分、播但連絡自動車道「花田IC」より15分、他
[駐車場]あり(有料)
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広島城【広島県】
広島城で必見のしゃちほこは、天守閣に展示されている金鯱。
天守閣から400mほど離れた広島城内の武家屋敷地の遺跡から発見された、雌雄一対の金箔のしゃちほこと鬼瓦を見ることができます。
その形などから毛利輝元が城主だった16世紀後半に作られたものと考えられており、ほぼ完全な形と鮮やかな色彩を留めて発見された例はほとんどないため、歴史的にも価値のある非常に貴重な資料です。
[住所]広島県広島市中区基町21-1
[営業時間]【天守閣】3月~11月:9時~18時、12月~2月:9時~17時【二の丸】4月~9月:9時~17時30分、10月~3月:9時~16時30分 ※どちらも入場は閉館の30分前まで
[定休日]【天守閣】12月29日~12月31日【二の丸】12月29日~1月2日 ※臨時休館あり
[料金]【天守閣】大人370円、高校生・シニア(65歳以上※)180円、中学生以下無料 ※年齢確認ができるものを提示【二の丸】無料
[アクセス]【電車】市内電車「紙屋町東」「紙屋町西」電停より徒歩15分、JR「新白島駅」より徒歩17分【車】山陽自動車道「広島IC」から20分
[駐車場]なし(周辺に有料駐車場あり)
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松山城【愛媛県】
黒船来航の翌年に落成した松山城。
2021年現在のしゃちほこは、平成の大改修で交換され、3~4代目のものと考えられています。
しゃちほことセットで注目して見たいのは、その下にある瓦。徳川家とゆかりのある親藩・松平家が築城したため、天守の紋章として「丸に三つ葉葵」(通称:葵の御紋)が付されています。
天守最上階からは、小天守のしゃちほこと「葵の御紋」の瓦を見ることができます。
[住所]愛媛県松山市丸之内1
[営業時間]【天守】2月~7月、9月~11月:9時~17時、8月:9時~17時30分、12月~1月:9時~16時30分(入場は終了30分前まで)※本丸広場は5時~21時(11月~3月 5時30分~21時)
[定休日]【天守】12月第3水曜 ※本丸広場は無休
[料金]【天守】大人520円、小人(小学生)160円
[アクセス]【電車】JR「松山駅」より、道後温泉行き市内電車で10分「大街道」電停より徒歩5分【車】松山自動車道「松山IC」より20分
[駐車場]あり(有料)
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高知城【高知県】
高知城は、江戸時代以前に建設された天守が残る現存12天守の一つ。
高知城のしゃちほこの魅力は、何よりもその美しい姿をすぐ近くからじっくり眺められること。
通常、しゃちほこは天守の上に飾られているため間近で見るのは難しいものですが、高知城の場合、東西南北の4か所に設置されており、南北の2体を天守の4階の窓から間近に見ることができます。
[住所]高知県高知市丸ノ内1-2-1
[営業時間]9時~17時(最終入館16時30分まで)
[定休日]12月26日~1月1日
[料金]【18歳以上】420円【18歳未満】無料※学生証等を提示
[アクセス]【バス】JR「高知駅」より、とさでん交通バス「高知城前」下車すぐ【車】高知自動車道「高知IC」より15分
[駐車場]あり(有料)
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熊本城【熊本県】
熊本地震で大きな被害を受けた熊本城の天守閣。2008年に新たに制作されたしゃちほこも、地震による落下で破損しましたが、2018年4月に天守閣最上部への設置工事が完了しました。
2021年春には天守閣が完全復旧する熊本城。
2021年4月26日(月)から「特別公開第3弾」として、天守閣内部の一般公開を開始します。※詳細は公式ホームページをご覧ください。
[住所]熊本県熊本市中央区本丸1-1
[営業時間]9時~17時(最終入園16時30分)
[料金]第2弾特別公開(2021年4月25日まで)【高校生以上】500円【小・中学生】200円【未就学児】無料
第3弾特別公開(2021年4月26日から)【高校生以上】800円【小・中学生】300円【未就学児】無料
※小・中学生は名札又は生徒手帳の提示が必要
[アクセス]【バス】JR「熊本駅」より熊本城周遊バス「しろめぐりん」で約30分「熊本城・二の丸駐車場」停留所下車すぐ【車】九州自動車道「熊本IC」より約30分
[駐車場]あり(有料)
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Akiko
美味しいものを求めて、国内外を旅するライター。最近は山登りも始めるも、何よりの楽しみは下山後のビールと温泉。