京都・今宮神社の門前で味わえる「あぶり餅」は、平安時代から厄除けを願う参拝者を楽しませてきた伝統の味です。
白味噌ベースの甘いタレが絡んだ香ばしい「あぶり餅」は、今宮神社の参道に向かい合う「一文字屋和輔」と「かざりや」で食べることができます。歴史の深さを感じながら、それぞれの風味の違いを食べ比べるのもおすすめ。
京都在住歴15年のライターが実際に行って味わってきたので、その様子をレポートします。
あぶり餅とは
今宮神社境内前で販売している厄除け餅
「あぶり餅」は、きな粉をまぶしたひとくちサイズの餅を竹串に刺し、炭火であぶってから白味噌のタレに絡めて作る餅菓子。
今宮神社に供えられていた餅のお下がりをいただけば無病息災のご利益が得られるとされたことから、参拝時に立ち寄る茶店で味わえる餅菓子として今もなお愛され続けています。

一般的な和菓子屋さんではなかなか目にすることのない「あぶり餅」。いったいどんな味なのか気になりますよね。というわけで、実際に現地を訪れて、2つの店の味を食べ比べてきました!
あぶり餅 一和(一文字屋和輔)のあぶり餅
今宮神社の東門を出て左側にあるのが「一文字屋和輔(いちもんじやわすけ)」、通称“一和”さん。創業はなんと1000(長保2)年の平安時代。
1000年以上もの歴史を持つ「あぶり餅の専門店」といわれていて、代々受け継がれてきた伝統の味を今も変わらず提供しています。
歴史を感じる町家づくりの店内は、訪れた人をほっとさせる雰囲気です。取材当日も、多くのお客さんが訪れ、あぶり餅を味わっていました。
あぶり餅の特徴:香ばしさとカリモチの食感がクセになる!
店のメニューはあぶり餅のみで、1人前600円。注文をすませたら椅子に座って、温かいお茶を飲みながらゆっくりと焼き上がりを待ちましょう。
店頭では職人さんが手際よく餅を焼いています。竹串に刺した一口大の餅を備長炭であぶりますが、これは今も昔も変わらず手作業。火のあたり方を見ながら、丁寧に焼き加減を調整しています。
こんがり焼けた餅の香りが周囲に漂い、パチパチと炭の弾ける音に風情を感じます。
焼き上げられた餅を、白味噌を使ったタレにくぐらせて完成。やわらかいうちに食べるのが一番美味しいので、出来立てをすぐに味わうのがおすすめですよ。
「一和」のあぶり餅は、焦げの香ばしい香りと外はカリッ、中はモチッとした食感が特徴。タレの甘さとしょっぱさのバランスも良く、とっても食べやすいです。
気づけばペロリと完食してしまいました!周辺のお客さんを見ていたら、1人で2人前を平らげている人もちらほら。3人前からお持ち帰り用も注文できるので、お土産にすることもおすすめですよ。
京都府京都市北区紫野今宮町69
10時~17時(LO)
水(1日、15日、祝日の場合は営業、翌日休み)、12月16日~31日
北大路駅より徒歩20分/名神高速京都南ICより40分
40台(有料※店舗利用の場合、今宮神社ダイワハウスパーキング1時間無料券配布)
「あぶり餅 一和(一文字屋和輔)」の詳細はこちら
あぶり餅 本家 根元 かざりやのあぶり餅
参道に並ぶもう一軒の店は「あぶり餅 本家 根元 かざりや」です。
かつて庶民にとっては特別な食べ物だった餅を、身分を問わず味わえるようになったといわれる江戸時代初期から“門前茶屋”として親しまれてきました。

こちらの店舗も風情ある町家で、店頭ではたくさんの招き猫が歓迎してくれました。表には靴を履いたまま座れる椅子席が、奥には立派な中庭を眺めながら過ごせる座敷席があります。
あぶり餅の特徴:上品なタレの甘みとお焦げの風味が好相性
「かざりや」のあぶり餅も1人前600円。店先の座席にて、淹れたてのお茶をいただきながら出来上がりを待ちます。
店頭では、炭火でじっくりとあぶられていく様子を見られます。ときどき職人さんが風を送りながらひっくり返し、時間をかけて焼き上げていきます。
「かざりや」のあぶり餅は、白味噌の風味がしっかりと感じられる、京都らしい味付けが特徴。コクのあるタレは、お皿に残すのをもったいなく感じるくらいの美味しさでした。
表面のお焦げのほろ苦さとサクサクとした食感で、串を持つ手が止まりません。あっというまに全串食べきってしまいました。
「かざりや」でも、3人前からお持ち帰り用の注文が可能です。
京都府京都市北区紫野今宮町96
10時~17時(LO)
水(1日、15日、祝日の場合は営業、翌日休み)、12月16日~31日
北大路駅より徒歩20分/名神高速京都南ICより40分
40台(有料※店舗利用の場合、今宮神社ダイワハウスパーキング1時間無料券配布)
「あぶり餅 本家 根元 かざりや」の詳細はこちら
「今宮神社」の見どころ
疫病を鎮める、疫神を祀った神社
あぶり餅を食べる前に、まずは今宮神社に参拝しましょう!
今宮神社の歴史は古く、994(正暦5)年、京都で流行していた疫病を鎮めるため、疫神を祀ったことが起源とされています。

毎年4月の第2日曜には、京の三奇祭の一つである「やすらい祭」が斎行されます。
「やすらい祭」は「花鎮めの祭」とも呼ばれ、桜の散る時期に流行るとされる疫病を鎮めるため、疫神を桜や椿で飾った花傘に集め、疫社に鎮めるお祭りです。
この傘の中に入れば一年間の厄を逃れることができるとの言い伝えがあり、現在でも参拝者は傘の下に入って無病息災を祈願します。

通年授かれる二面御朱印には、やすらい祭りの象徴である花傘に、椿や桜の花があしらわれている様子が描かれています。

境内には疫神を祀った「疫社」や機織の神様を祀った「織姫社」などいくつもの社がありますが、お参りをする際にぜひ見つけてほしいのが、宗像三女神を祀った「宗像社」の台石にあるナマズの彫り物です。
宗像三女神は志を持つ人を導く神様で、美を司る弁天様としても親しまれていますが、このナマズは女神たちの使いで、願いを神へ届けてくれる存在といわれています。

今宮神社では、神の使いであるナマズの姿のお守り「三姫守」を受けることができます。
色の組み合わせで3種類あり、そのうちのひとつ「湍津姫守」(だぎつひめまもり)は迷いを払い決断力を得るご利益があるそう。自分の願いや悩みに合わせて選んでみてくださいね。
京都府京都市北区紫野今宮町21
[参拝時間]参拝自由(社務所受付9時~17時)
なし
北大路駅より徒歩20分/名神高速京都南ICより40分
44台(有料※最初の60分100円、以降30分100円)
「今宮神社」の詳細はこちら
まとめ
今宮神社がある紫野エリアは、京都市内でも比較的混雑が少ないといわれる場所です。心静かに参拝したあとは、風情あるお店で伝統のあぶり餅を味わって帰りましょう。
シンプルな製法ながら、店ごとに焼き加減やタレの味が異なるのがあぶり餅の奥深いところ。それぞれの味を食べ比べして、その違いを感じてみるのも楽しいですよ。
取材・写真撮影:ミョウガヤノブヒサ
※この記事は2026年4月9日時点での情報です。休業日や営業時間など掲載情報は変更の可能性があります。
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ミョウガヤ ノブヒサ
全国各地で豊富な取材経験をもつ旅ライター&広告ディレクター。現在は三重県尾鷲市で地域おこし協力隊と二足のわらじで奮闘中。趣味は合気道(三段)と日本酒(唎酒師)。

















